苦手なタイプでも、素晴らしいものは素晴らしい…岩明さんの歴史もの!

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前回相田裕さんの作品について懇々と語らせていただきましたが、学園もの→『1518!』→『勇気あるものより散れ』→時代物・歴史物…という流れで、今回は歴史物の素晴らしい大傑作について触れてみるとしましょう。


既に何度も書いていてしつこいですけど、僕は時代物・歴史物・戦争物なんかにはてんで興味がそそられないお子様な好みの持ち主なんですが、そんな難しそうな大人テーマにはまるで興味ない勢の僕が選ぶ一押しの歴史物漫画がコレ!

岩明均さん作・室井大資さん画の、『レイリ』(全6巻)!!

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「レイリ」4巻表紙より

最初の漫画画像に載せた最終巻・6巻の表紙は、穏やかになった優しいレイリで、これはこれでとても温かくて良いんですけど、表紙映えとしてはやはりキリッとしたカッコいいレイリの方がこの作品に相応しい気がしたので、ちょうど真ん中辺りから、4巻の表紙を抜粋させていただきました。


いやぁ~、これはねぇ~、たった6巻なのに、マジで読み応えが抜群の、凄まじく面白い作品ですよ!!

舞台は戦国、信長とかその辺のあの時代で、主役は織田さんでも豊臣さんでも徳川さんでもない、まさかの武田家

…まぁ、いうほど「まさか」でもなく、武田信玄なんて小学生でも知ってるメジャー武将ではありますけど、実は信玄さんですらない、その息子・四男の勝頼さんがメインキャラとして活躍するのです。

正直、本作を読んだ後でさえ、勝頼さんが四男であったことすら調べるまで知りませんでしたけど、ま、正直、あんまり史実とか歴史の流れとか、そういうことはそれほどこの作品では関係がないのです(もちろん、全くなくはないですけど)。


……と思いきや、改めて作品をチェックしたら、メインキャラは勝頼さんではなく、勝頼さんの長男である信勝さんでした(笑)。

(そーだそーだ、勝頼さんは親父さんだったわ(笑)。)

いかに適当に読んでいるかが丸分かりですね(笑)。


でも改めて、この作品は、勝頼だろうと信勝だろうとあんまり関係ないのです(いや武田家の興亡的に、どう考えても関係はありますけど、歴史興味ない勢にとっては、まま、どっちでもいいやってもんなのです(笑))。

ズバリこの作品の良さは、タイトルにもなっている「レイリ」、(無料お試し読みではそこまで届いていなかったのであんまり詳しくは触れませんが)この、幼い頃に不幸に遭いながらも生き延びて、やや屈折しつつも才ある武者に育った少女の活躍&有能っぷり、それが見ていて本当に、非常~に爽快なのです!


…まぁぶっちゃけ冷静に考えたらレイリが女性である必要性は皆無なんですけど(笑)、いーんだよ、強い女性がカッコよく活躍するのを見る方が、チョロい男性読者はより心が躍るってもんなんだよ!(笑)


…更にいうと、「あーたリアルなキャラが好きなんじゃなかったのかよ。明らかにフィクション・作りものの、あり得ない強さ賢さなわけだが…?」という難癖も賜わって然るべきな話になってるかもなんですけど、前回も似たようなことを書きましたが、別に作り物であることと、キャラが立っていることとは相反しない、両立可能な性質だと僕は思うのです。

天才的に有能だけど、決して作者のご都合で動いたり贔屓されているわけではない……まぁ正直かなり自分勝手な解釈なんですけど、僕の目から見たら、上手に描かれている天才キャラというのは、「こういう人がいたら凄いな、嬉しいな」と思える感じで、大好物なわけです。


…とはいえあくまで「上手に描かれている」というのがポイントで、浅い天才キャラとかは「見てらんない…」となりがちといいますか、結局は「説得力」をもって描かれているかどうか、そこに尽きる感じでしょうかね。

現実の人間にはあり得ない描写であっても、その世界でそれを受け入れられる自然さ・納得のいく説得力みたいなものがあるかどうかが鍵、ってな所といえましょう。

レイリ、そしてレイリサイドの有能なキャラは、まさにそう思える、本当に魅力溢れる傑物として描かれており、読んでいて本当にワクワクしたと、そういう感じだってことですね。


まぁ正直、そんなのは本当に自分勝手・独善的な受け取り方でしかなく、恐らくレイリを見てもそんなにワクワクしない人もいらっしゃるでしょうし、逆に、僕が「ご都合だなぁ…」と思えてしまうようなキャラやストーリーがドンピシャでワクワクする方もきっと大勢いらっしゃると思いますから、結局その辺はもう個人の趣味嗜好次第としかいえないような気もするんですけどね。
(どう感じるかは人によって千差万別で、だからこそヒット作を描くのは難しい、といえましょう。)

でも改めて、僕の好みでは、レイリは本当に心から素晴らしいキャラクター&ストーリーでした、最っ高に面白かったです、の一言ですね…!


なお、こちらは原作が岩明さん、作画が室井さんの共作なんですけど、僕はこのレイリが、室井さんの初めての作品でした。

岩明さん直々の作画ご指名だそうで、レビューなどの評判も良かったので、『秋津』他室井さんの他の作品も読ませていただいましたが、正直な所、ちょっと僕には難しかったかな、という感じだったかもしれません。

でも、レイリの表現力は神懸がっていましたし、実はあんまりじっくり読む時間もなくかなり斜め読みでパラパラ眺めた程度(一部の作品は、手に取ったけど読んですらいない、積ん読状態…)なので、また改めてじっくり読ませていただきたい限りです。


一方の岩明さん、こちらは説明不要の大作家さんで、代表作はやはり『寄生獣』でしょう。

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寄生獣(フルカラー版)」最終巻表紙より

寄生獣は「漫画史に残る大傑作」との呼び声も高く、僕が読んだのは大学に入ってすぐの頃、まだまだそれほど大量の漫画にも触れる前のことでしたが、圧倒的な評判に従い、僕も一気読みしたものです。

もちろん尋常じゃなく面白かったし、読み応え抜群・大いなる感動とワクワク感があって、間違いなく大傑作ではあったんですけど、あまりにも前評判が高すぎて期待値が青天井無限大にまで上がってしまっていた結果、「期待感と比べると」そこそこだったかな…というもったいない読み方をしてしまった作品ともいえるかもしれません。

(その辺、BANANA FISHと非常に近い感じかもですね。どちらも、何度も何度も読み返すぐらいに本当に気に入って心から面白いと思いましたが、読む前の期待度があまりにも強すぎたせいで、自分の中では自分史に残る盛り上がり・ワクワクさという程の感銘にまでは至らなかったかな…というもったいなさですね。)


話は濃く・設定もストーリーも最高に面白く・絵はあんまり上手くなく…を地でいく感じではあるので(失礼にも程がありますが(笑)、まぁ岩明さんのかなり初期の作品であり、80年代スタートと時代も結構古いものであるこちらは、流石に「絵も最高ランクである」とはいえないように思います)、絵柄の方もちょっと時代がくだって21世紀になってから読むには少し物足りなさがあったのも事実ですが、でも改めて、寄生獣が歴史に残る傑作であるのは疑いようもないことですね。

絵の古さにも目を瞑れるぐらいの、本当に心から素晴らしい作品に思います。


一方、個人的には岩明さんの現在連載中の作品『ヒストリエ』が、これまた歴史物で、こちらも岩明さんの作品じゃなかったらまぁ手を出してなかったかなと思える(でも、あまりにも面白いと話題なので、多分手を出してたとかもしれませんが)作品なんですけど(いうまでもなく、レイリも岩明作品だから読んでみた感じですね)、個人的には、寄生獣より、むしろこちらヒストリエの方が好きぐらいまでありますね!

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ヒストリエ」最新11巻表紙より

まぁ、こちらは連載中の作品ですし詳しくは触れませんが(って、ぶっちゃけどの作品も大して詳しくは触れてませんけど)、長いキャリアとともに絵ももう十分魅力的といえる感じになってますし、ネットでめっちゃよく貼られている有名ネタ画像も複数枚存在するなどのインパクトもありますけれど、これも改めて、「有能キャラの有能っぷりがマジで見ていて爽快」の一言に尽きます。
(結局やっぱり、歴史漫画といっても、歴史の流れを学ぶとか史実や舞台設定がどうこうというより、僕は描かれている人物の魅力などに惹かれる読者なのかもしれません。)


なお、ヒストリエの舞台は古代ギリシアで、主人公エウメネス(エウネメスなのかメネなのか、恐らく一生覚えられないでしょう(笑))を筆頭にキャラの名前もひたすら分かりづら過ぎる感じで、歴史興味ナシ勢にはより厳しさが増しているんですけど……それでも本当に面白い!面白すぎる…!!

正直ぶっちゃけ、1巻の時点では本当に、視点も行ったり来たりかつ謎のキャラばかりが出てきて、何が誰で何の話なのかマジで1ミリも理解できない感じでして、岩明さんの作品じゃなかったらほぼ確でもう途中で切ってたかな…ぐらいまであったんですけど、途中視点が固定されてからは話にもついていけて、2巻11話の引きとか「うおぉ~~!!」と思えて、もう完全にのめり込める感じになりました。

何気に、編集の方もその辺の「最序盤はちょっと弱い」ということを意識されてか理解されてのことなのか、面白いことに、このヒストリエは1-2巻同時発売だったんですよね。

絶対に2巻まで一気に読むべき作品なので、これはとてもいい販売戦略であったと思わずにはおれません(なので、こちらも改めて、無料お試し読みリンクは省略しましょう。試し読みなしに、2冊(どころか既刊全巻)いっぺんに買っても、絶対後悔しないから!)。


ま、それ以上詳しい点に触れるのはやめておきますが、岩明さんの唯一の弱点は、マジで遅筆極まりないという所…!!

(でも、ヒストリエは2003年連載スタートで、19年で11冊なので、まぁ、そこまで遅くもない…?いうまでもなく、段々刊行ペースが開き気味になってるのは気になりますが…。)

とはいえまぁ、どれだけ待たされても、確実に期待を超えてくる作品を届けてもらえ続けていますし、吉田基已さん同様、個人的には「刊行ペースは全く気になりません、どうかごゆっくりと気分が乗るときに執筆していただけたら幸いに存じます、他の楽しいことをして毎日暮らしながら、のんびりと待たせていただきます…」の一言ですね。


ということで、今回は歴史ものの大家・岩明さんの作品を主に取り上げさせていただきました。

岩明さんの他の作品も、やっぱり個人的にはヒストリエが一番かなとは思えるものの、どれも例外なく心から楽しめるので、未読の方がうらやましい限りです…!

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