こないだの吉田基已さんの『夏の前日』が芸大を舞台にした作品でしたが、書いてて「そういえば芸大・美大出身の方の作品、好きなパターンが多かったなぁ」…という気がしてたんですけど、特に真っ先に思いついたのが、今回取り上げます沙村広明さん!
基本的に僕は学歴系はマジで1ミリも一切気にしないタイプなんですが(自分自身がいわゆる高学歴なので、学歴に肩書き以上の意味が全くないことを心の底から知っているので)、芸大・美大だけはやっぱり別といいますか、マジで「選ばれし方々」と思わずにはおれません。
しかし、「美大出身」ということまでしか覚えていなかったので検索してみたら、沙村さんはタマビ出身でしたか。
おうおう、おるおる、好きな漫画家の方々がやっぱりウジャウジャいらっしゃるじゃあないですか!
…ちなみに、前回の吉田秋生さんについても調べていたら、何気に吉田秋生さんも美大出身なんですよね。
吉田さんは、ムサビなんですね!
うーん、流石はムサビ、こちらも、むしろタマビ以上に大量の漫画家の方がワンサカと!
やはり美大出身の方ってのは素晴らしいですね。
僕は多分、もし入りたかったとして、恐らくどれだけ頑張っても持って生まれたセンス的に入れなかったでしょうから、自分にないものを持っていらっしゃる方というのは本当にまぶしく映ります。
あれ、でも美大・芸大といえば東京芸大、「日本で一番入るのが難しいのは、東大ではなく芸大」などといわれていますけど、芸大出身の漫画家さんはどうなのかな…?
…おっ!?こちらは、(タマビ・ムサビと比べると)意外と少ない!
もちろん知ってる名前・実際僕自身作品を持っている方の名前も結構見受けられますが、名門中の名門だけにもっといらっしゃるのかと思いきや、意外に少ないですね!
しかし、個人的に最高のセンスの持ち主に思える沙村さんの憧れ、「心の師」とされている一ノ関圭さんもいらっしゃるようで、流石は芸大でしょうか。
(割とマジで漫画は幅広く読みつくしているつもりですが、しかし、一ノ関さんの作品は、未見でした…!いつか必ず拝見しておきたい限りです。)
…とまぁ大学ネタは漫画とはやっぱり全然関係ないのでともかく、当たり前ですが油絵学科出身の沙村さんの絵は、何というか圧倒的なものがありますね。
耽美という形容詞がピタリでありながら、素人目で見ても恐ろしいほどの魅力を感じる、凄まじさ・凄みがあります。
沙村さんはツイッターをやってらっしゃらないようですが、「沙村広明 ツイッター」で検索したら、上の方に沙村さんの絵を転載されてバズってるツイートがヒットしてきました。
転載の転載はせず、ツイートリンクの紹介に留めますが…
今知った沙村広明が描いたハルヒ、めちゃくちゃに良い pic.twitter.com/4dctkxDpwm
— ヤコー (@yako_FLPR3) 2020年4月25日
クッソ魅力的なハルヒすぎてワロてまいましたねぇ(笑)。
いや僕はハルヒは名前(と大まかなキャラ設定・ストーリー)しか知らず、ハルヒ自体が好きってわけでもないんですけど、この構図とポーズと雰囲気よ…!
マジで芸術への審美眼は皆無なので講評とかはできませんけど、素人目から見ても、尋常じゃないセンスを感じる、この一言ですね。
とはいえしかし、漫画の絵に関しては、僕はあえて比較するならやっぱり志村さんや吉田基已さんの方が自分の好みに近い感じでして(いうまでもなく、沙村さんの漫画絵もめっちゃ好きで、心の底から上手いと思いますが、好みドンピシャ度でいうと、ご両名の方がピタリという感じ)、やはりポイントとしてはちょっと劇画チックなのが自分の趣味ど真ん中ではないのかなって感じで、これは恐らく、(こないだも書きましたが)吉田基已さんの絵が「あんまり合わなかったけど…」と言っていた姉とかは、個人的にはそんなの信じられない話なんですけど、ちょうどこれが僕の沙村さん絵に感じる気持ちに近いのかなとも思えることを考慮すると、やはりこの辺はもう「その人の好み」って話なんでしょうね。
(あぁでも、姉は「苦手=マイナス」というぐらいの評価でしたが、僕は沙村さんの絵は、絵だけでも眺めていたいぐらいに、断然好きでプラス評価なので(一番好きな絵と比べると、評価が落ちる、ってだけ)、あくまで例えとして出しただけで、姉の例と同じではないんですけどね。)
そう、僕がセンスを感じるのは、絵ももちろんそうなのですが、それ以上に文字・言葉・日本語のワードセンス!!
決してギャグ漫画家というわけではなく、代表作『無限の住人』は超硬派な新時代・時代劇なわけですけど、とにかく言葉のセンスが、「あぁ、この人みたいな文章を書きたいなぁ」と思えるぐらいに、断トツでズバ抜けているのです。
なので、もちろん無限の住人などの長編も素晴らしいのですが、個人的にはやはり、セリフの掛け合いが楽しめる短編集や、それでいうと現在連載中の最新作『波よ聞いてくれ』が、やはり個人的には一番好きといえるレベルかもしれません。
(さらにいうと、あとがきとかが本編以上に(いや「以上に」は言い過ぎか(笑))楽しみなぐらいに、とにかく沙村さんの紡がれる文章・言葉が大好きなのです。)
ということで、そのめちゃくちゃ面白すぎるラブコメ(ラジオコメディー?(笑))「波よ聞いてくれ」(既刊9巻・以下続刊)を取り上げさせていただきますが…
……って、あぁーっと!!
つい昨日・3/17まで、「波よ聞いてくれ」が1-2巻無料キャンペーン中だったのに、1日遅れで、ちょうど終わってしまっていた…!
「夏の前日」が来週まで無料公開中だったから、油断しちゃいましたね。
でも、毎度温かいコメントをいただけるアンさんから「登録しないと無料公開分は読めんかったっちゃ。ちょっと登録するのも面倒だったので、登録なしで読める無料立ち読み分だけ楽しませてもらったんじゃが…」といった内容のメッセージをもらっていたんですけど……
あぁ、1巻丸々無料公開のやつは、一応購入処理をしないといけないので(もちろん0円で買えるわけですが)、アカウント登録しないといけなかったですね、そういえば…!
僕もセールチェック・無料公開範囲のチェックで、ログアウトして確認してるつもりでしたけど、そういえば別ブラウザのサブアカウントを使って見ている感じ(=ほとんどの本が未購入状態だけど、ログインはしている)だったので、その点見落としていました。
ま、ご登録いただくのも手間ですし(あぁでも、コミックシーモアの運営母体はNTTソルマーレで、言うまでもなくNTTの子会社ですから、怪しい胡散臭いサイトではないのでご安心ください(笑))、やはり買う価値のある作品だと思いますから、「気に入ったら買いましょう」ということで、普段の無料立ち読み公開範囲でも十分ですかね。
(なお、どうでもいい点ですが、僕がサブアカウントを持ってるのには理由がありまして、割と長い期間、全然何も購入していない状況が続いているアカウントがありますと、休眠状態アカウントを活性化するために運営からのプッシュが入るのか、クッソお得なクーポンが(そのアカウント限定で)届くことがあるからなのです。
具体的には、99%OFFクーポンとかをたま~に受け取れるんですが、99%ですよ?1000円の本が10円で買えるので、ヤバスギワロタとか思いながら、送られてきたときはありがたく活用させてもらってるという、ケチくせぇ生活の知恵ってことですね、サブアカを持ち続けているのは(笑)。
…ってそれはあんまり推奨されないやり方なのかもしれませんが、まぁメインアカウントでは割と結構買ってますし(なお、アクティビティの高いアカウントには、「釣った魚には餌をやらない」スタイルなのか、そういうお得クーポンは一切流れてきません(笑))、そもそも本当はそういうセコい理由ではなく、やむを得ず、最初期に複数作ったアカウント(説明が面倒なので省略…大した理由でもないですが)を持ち続けていたらクーポンが送られてきてラッキー…って流れだったんですけどね。
…まぁ、その辺の細かいシーモア情報はどうでもいいでしょう。)
そんなわけで、沙村さんによる素晴らしきセリフ回しの掛け合いが堪能できる「波よ聞いてくれ」1巻の無料立ち読みお試し読みリンクだけでも貼っておきましょう。
www.cmoa.jp
…クッソ、こんないい所で終わりかよ…!!
まま、めっちゃ気になるからこそ、ぜひ続きを読みたくなるともいえるえわけで、これはマジで面白いですからね、ここまでの掛け合いが十分楽しめた方は、絶対に買って損はないのではないかと思われます。
ま、ズバリ、大人の、ウィットに富んだ知的な台詞回し、って感じですかねぇ。
(逆にいえば、子供や、あんまり漫画に親しくない人には、そこまでバッチリ楽しめないかも…。)
確かこの作品のレビューだったと思いますが、ずーっと前見かけた中に、
「あぁ、この作者さんはマジでモテる人なんだろうな、って感想しか浮かばなかった。女の人を切らしたことがないんだろうな~、って感じ」
…という恐らく女性の方のコメントがあったんですけど(友人知人にそういうことを言う人はほぼいないので、間違いなく知らない人のネットコメントだと思いますが)、なるほどまさにそんな感じ、大人のセンスが本当に光ってるんですよねぇ~、と思わず膝を打った感じで、記事タイトルにも今回流用させていただきました。
…まぁ、それはあくまでたった1人の意見で、実際沙村節がどう思われるかは分からないというかそんなの人に依るわけですけどね…!
もちろん僕自身はものごっつ好きな感じなんですが、しかし、「多分ピンとこない人もいるんだろうな」というのは正直そう思える感じで、実際僕も、割と似たようなタイプと思われる漫画作品・漫画家の方で、全く合わない例はありますし、万人受けではない、結構ギリギリのセンスとはいえるのかもしれませんけれども、繰り返しですが僕は本当にこの沙村さんのセンスが大好きで、たまらなく面白いと思える、というお話でした。
ま、せっかくなので、もう1作、短編の方も貼っておきましょうか。
短編集も、どれもゲボクソ面白いんですけど、一番最新の短編集にあたる『シスター・ジェネレーター』のリンクを貼ってみます。
www.cmoa.jp
結構大盤振る舞いで、かなりのページ数を無料公開してくださってますが、クッソおもろい小ネタシリーズ「制服は脱げない」までは流石に届かなかったか…!
まま、それは実際の本を手に取ってからのお楽しみということで、公開範囲の1話は何というか実に耽美的な感じですけど、これ以外にも全く毛色の違う様々な話が掲載された、沙村さんの凄まじいセンスおよび才能に触れることのできるこの最高の短編集、改めて、めちゃんこオススメです。
(…あれ、でも、「筒井筒」とか、何で入ってないんだ…?と思ったら、短編集としては、2冊出ている『幻想ギネコクラシー』の方が新しかったでしたか…!
短編集=1巻完結のイメージで、見落としてました。まぁ、古いのと新しいのと問わず、マジで全部オススメって感じですね…!)
(なお、この「シスジェネ」1話に、「波よ~」にも出てくる南波さんが出てきていたの、僕は最近まで気付いていませんでした…!)
あぁあと、最近の若い人たちに超人気の藤本タツキさん(『チェンソーマン』など)と沙村さんの対談記事なんかもありましたが、ご覧になったことがない方のために、せっかくなのでこちらも貼っておきましょう。
www.shonenjump.com
藤本さんのセンスも光りますが、やはり沙村さんのお話はいいですねぇ~。
とにかく沙村さんの発する言葉は余すことなく全部見させていただきたいなぁと思える、改めてセンスの塊である作家さんということでした。
…ま、作風的に、ハードボイルドな作品も多いんですけど、ハードボイルドまるでダメ勢の僕ですらマジで楽しめるぐらいに、沙村節は本当に軽快で心地よいのです。
あと、エログロもめちゃんこ多いので(『ブラッドハーレーの馬車』とか、精神が弱い人は卒倒するんじゃないかってレベル(笑))、その辺含め、やっぱり個人的には最初はマイルドで純粋に楽しく面白い「波よ聞いてくれ」をオススメしたいかな、って感じですかね。