オタクじゃないんだ、「深い」だけなんだ…!

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前回の記事でBLがどうちゃらという浅い話を書いていたのですが、そこで「女性作家さんはBLも嗜まれる方が多い気がする」的な、かなり適当なことをぶっこいてたんですけど、実は「女性、みんなBL好き…?」という意識を漠然と持っているのには理由があったのです。


それがズバリ、かの有名な大野さんのセリフ…「ホモが嫌いな女子なんかいません!!!!」ですね。

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https://ebookstore.sony.jp/stc/article/campaign/2802/より
(いいまとめ記事ですが、結構名場面のネタバレ的画像もあるので、未読の方はご注意かもしれません(まぁそこだけ見ても分からないと思いますが…))

「いやおるだろ(笑)」という冷静な意見の介入する余地を認めない、圧倒的な熱量の有無をいわさぬ歴史に残る名言ですが、これやっぱね、あながちデマカセというわけでもなく、ちょうど男にとってのメカやロボット(…はちょっと対等ではないかもですね……まぁやはり美少女キャラとかが対応する例として適当でしょうか)と似たような感じで、女性にとってのBLというのは、本能に訴えかけてくる何か魔性の魅力があるのかなぁと、僕なんぞはそう思っているわけです。

(いうまでもなく、嫌悪感を示すまではいかなくとも、BLに1ミリも興味がない女性の方が、世の中圧倒的に多いのも分かってるんですけどね。
 実際、周りで現実にBL好きの女性に出会ったことは一度もありませんし…(まぁ、そこまで親しくない間柄の場合、そら男の前でそんな話はせんだろ、って話でもありますが…)。
 でも、超巨大マーケットを構成するぐらいには、非常に多くの方を惹きつけてやまない何かがあるのも、間違いなく事実だといえましょう。)


そんなわけで、今回はそのネタから浮かんだ、このセリフの産みの親、偉大なる木尾士目(きお しもく)さんを取り上げさせていただきましょう。

…とはいえ、このセリフが炸裂するオタク漫画(しかも、超純度が高い、ディープオタ)である『げんしけん』は、流石に合わない人の方が多いと思われるので、ピックアップするのはあえて別の作品にしようかと思います。

まぁ、この「げんしけん」、僕は最初タイトルだけを目にしていた時は「はだしのゲン」みたいな重苦しい話?あるいは原子力を扱った小難しい作品なのかな??…とか勝手に思ってたわけですけど、こちらは「覚文化究会」略して「げんしけん」という大学のオタクサークルを舞台にした、重苦しさ小難しさとは対極に位置する、読み応え抜群な、すっげぇ軽楽しい面白作品だったのです。

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げんしけん」1巻表紙より

…が、こちらそんじょそこらの生っちょろいオタクではなく、ネタへの造詣・人物描写・その他諸々があまりにも深い、ディープなマジもんのオタクを描いた傑作でして、僕はオタクではないんですけど(笑)、初めて読んだとき「こ~れは面白い、凄まじすぎる…!」と感銘を受けたものの、やはりそういうオタクっぽいネタにそこまで興味も耐性もない方には少々突き抜けすぎているようで、オススメしたほとんどの人が「いやぁ~キツイっす」と、受け付けてくれなかった感じでした…。

(なので、何度か書いている通り、(割と最近になってから)僕は姉に漫画をしばしばオススメしているんですけど、姉には明らかにどう考えても全く合わないので、どれだけネタが尽きてもげんしけんをオススメすることはないでしょう…。
 しかし、後述の作品は近いうち必ずオススメするつもりです。)


いやでもこれやっぱさぁ、僕はオタクではないけど、まぁ「世の中を2つだけに分けたとしたら、オタクか非オタか?」と問われれば100%間違いなくオタク側に属すし、そのことを誇りに思ってるまでありますけど(ただし、世の中は2つに分けられるほど単純な構図ではないので、まぁ客観的に普通の視点で見たら、僕はオタクではないかな、ってことにしといてください(笑))、そんなオタク寄りの立場から言わせていただくと、正直、オタクと対極に位置するタイプの人たちの浅さは異常…とまではまぁ言いませんけど(言ってますけど(笑))、やっぱり、世の中の色々面白いものを作っている人は、基本的にオタクっぽい性質があると思うのです。


かのビル・ゲイツさんも、学生に向けて「ナード(オタクの英語版)には優しくしておきなさい。社会に出たら、あなたの上司になる人だから」と度々提言しているというのも有名な話といえましょう。

自分自身オタクではないけど(しつこいな(笑))、オタクと呼ばれたらむしろ嬉しいまである僕なんかの目から見ても、絶対にオタクの方が面白いと思うし、オタクを迫害するような世の中は間違っている…とすら思えますもんね。

(結局ゲイツさんも僕も、自分がナードタイプだから自分に優しくすることを求めてるだけくせぇですけど(笑)。)


…もちろん、この作品に登場する斑目さんとか、現実にも(言葉は悪いけど)特有のキモさのあるオタク(「コミュニケーションが苦手」と書いた方がいいかもですが)がいるのは間違いないんですけど、別にオタクじゃなくてもコミュニケーションが苦手な人は沢山いるわけで、そことオタクとは、あんま関係ない(まぁ、全く関係なくは絶対ないですけど)んじゃないかな、と思えてなりません。
(ただ、斑目さんは、何気にBL人気が相当高いという話は小耳によく挟まってきます(笑))

いずれにせよ、多分、知識が豊富な人の方が、長い目で見て付き合ったら面白いと思いますよ……と、まぁ大きく分けたらそっち側に属する人間として、改めて自己アピールに余念ない感じでいかせていただきましょう(笑)。


なお、げんしけんがなぜ他のオタク作品と比べて別格で面白い(合わない人はなお多いけれど、やはり陰気な感じの従来のオタク漫画とは圧倒的に格が違うと、個人的には思います。…まぁ、別に、書いてて他の「従来のオタク漫画」の具体的なイメージも特にないんですが(笑))かといいますと、それは、作者の木尾さんが、全くキモオタタイプの方ではない、むしろ古い用語でいう所の「リア充」タイプであるように見受けられる、ってことに尽きるのかな…って気がしますね。

オタク知識は豊富だし、描写もマジでリアルなんですが、それはオタクだからじゃなく、何というか本当に「深い」からだと思うのです。


げんしけん以前または他の作品もご覧になった方ならご存知だと思うのですが、結局、木尾さんからはオタク臭どころか、むしろ抜群のセンスと人間観察力と、それから上質な知性みたいなものがヒシヒシと感じられてならないわけですよ。
(まさに、個人的に沙村広明さんと同じ印象です。何というか大人な視点の持ち主で、「この方は本当に賢いんだろうなぁ」と心から思えるタイプの作家さんですね。)

そんなわけで、「勝手にオタク分類して不快扱いしないで下さる?この作品はもっと、何というかこう深いものがあるんだからね!」と声高に叫びたくなるのがこの「げんしけん」という作品ってことですね!

(…とはいえテーマは「21世紀の大学生オタク」なので、まぁオタク作品といえば確実にオタク作品なんですが(笑))

 

…って、結局げんしけんについてごたごた語ってしまいましたけど、初めて木尾さんの作品に触れたのはげんしけんですし、個人的にはやっぱり本当に心の底から好きなんですが、万人受けはちょっと厳しく、不特定多数の方にオススメするのは難しいかなぁ、と思える作品ということでした。

なので、あえて別の作品をピックアップすると……

げんしけんを読んで、木尾さんの作品は一生全て追うことは確定したので早速他のも読んだのですが、当時すぐに手にした、げんしけんより前の中編作品、『四年生』(全1巻)とその続編『五年生』(全5巻)です!

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「四年生」表紙より

 

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「五年生」1巻表紙より

ちなみに上記画像は僕の持っているオリジナル版コミックスの表紙なんですけど、数年前に新装版も出ている感じですね。

電子版の画質も若干新装版の方がいいので、試し読みはそちらのリンクを貼っておきましょう。

www.cmoa.jp
(まぁ五年生は四年生の続きなので、試し読みも四年生を終えてからがいいかもですが、一応新章・新しい話の始まりですし、雰囲気を掴むには、もう29ページ読めるのは大変ありがたいですね)

www.cmoa.jp
こちらはげんしけんと違って、完全に普通の大学生の普通のお話なのですが、これを読んだのはげんしけんが出てすぐ、僕が大学2-3年生の頃だったはずですけど、めっっちゃ大人なストーリーで、先ほど書いた木尾さんの知性みたいなものが感じられて、げんしけんと同じかそれ以上にのめり込めましたねぇ~。

特に五年生の方は、ぐっちゃぐちゃな、ドス黒いリアルな大学生の人間関係みたいなものも描かれているので、その辺が苦手な方にはこれまた合わないともいえるかもですが、リアルな大人の物語が好きな方には、絶品ではないかと思われます。

こちらも人を選びますが、間違いなくげんしけんよりは広く受け容れられやすいのではないかと思うので、ちょっと時代は感じるかもしれませんけど、今読んでも十分グッと来るこの作品、個人的には大変オススメという話でした…!


あ、恒例の女性キャラ評ですが、四年生・五年生の才媛ヒロイン芳乃さんとかマジで好きなんですけど、げんしけんの非オタ代表・咲ちゃんも超絶いいっすね…!

もちろんちょっと狂気をはらんだ荻上さんもナイスだし、何気に賢く鋭い笹妹なんかも普通に魅力的です(いやまぁあえて挙げるほどでもないですけど(笑))。

結局僕は、特定のタイプがあるわけではなく、割と誰でも大好きな、節操ないゴミカスというだけなのかもしれません(笑)。


…あっ!あと最後、木尾さん作品の中で一番一般受けしそうなのは、恐らく最新作の『はしっこアンサンブル』(合唱に青春を注ぐ、高校生たちの熱い作品)かとも思うんですが、ちょうど今月23日に最終巻8巻が発売されるということで、現在、それを祝してか、1-2巻が無料公開中!

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3月23日(水曜日)発売の、「はしっこアンサンブル」最終巻(8巻)!

www.cmoa.jp

シーモアに限らず、Amazonでも無料キャンペーン中ですね!

個人的には、どちらかといえば高校生の部活より大学生のリアルライフの方が好きという好みの問題で(いやまぁ年齢というより、合唱よりオタトークが好きというテーマの問題かもですが(笑))、どちらかといえば四年生・五年生(そしてげんしけん)の方がのめり込めたかな、という気はするものの、それはあくまで「圧倒的断トツに思い入れもあるそれらと比べたら」の話ですし、木尾さんにハズレはありませんから、当然こちらも本っっ当に、べらぼうに面白いです。

ちょうど完結といういいタイミングですし、ぜひお手に取ってみることを心からオススメしたい限りですね!

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