改めて、いただいていたコメントに触れながら、予定していた絶滅危惧生物のネタなんかに足を踏み入れてみるといたしましょう。
例によっていつも丁寧なメッセージをいただけるアンさんからのコメントです。
タスマニアデビルは、知らなかったわけではないねんけど、、まぁイメージはイリオモテヤマネコやったわ笑
臆病で穏やかな性格と書いてあったけど、肉食でウォンバットも食べるって書いてあったのぅ。主に死肉??まぁ、人間も死肉は食べるわけじゃけのぅ、タスマニアデビルだけがデビルってこともなかろうもんじゃわな笑
あぁ、、閲覧注意画像、見ちゃったけどな…ほんと、痛々しいやね。癌細胞が他のデビルに直接伝染するって、、癌が感染るってことだべな?うーん。なんかリアルには想像でけへんけど、絶滅の危機っていうのもわかるわね。
タスマニアデビルについては、まぁイリオモテヤマネコの方も僕は正直イメージが湧きませんが、減ってるレア枠という意味ではとても似てるといえそうですね。
検索したら、確かにイカツい、悪魔のようなネコの写真がヒットしましたが…
…Wikipediaの方を見てみたら、あれ、普通の可愛いネコじゃないの、って感じでしたね(笑)。
現地語のヤマピカリャー、温かい響きでとてもいい名前ですね。
特別天然記念物でもありますけど、また島内であればどこでも見かけるぐらいに数が増えていってくれることを願いたい限りです。
へぇ~、タスマニアデビルのWikipedia記事、しっかり読んでませんでしたが、ウォンバットが食べられる方でも登場していたとは、何とも弱肉強食は大変だ、って感じですねぇ。
まぁでもそれは自然界の掟ですから、食物連鎖・生態ピラミッドとしてあるべき姿であり、それを可哀想とか思うのは人間のエゴにすぎないといえる話になるので(より小型の獣が食べられずに救われたとしたら、普通に大型獣が生きられなくなって死ぬだけなので、結局我々人間を含め、みな何かの命をいただいて生きているってことですしね)、一口に善悪では語れない、難しさのあるトピックといえそうです。
しかし「主に死肉を食す」ってのも、あぁなるほどそういうのもあって、タスデビさんはデビルみが強いのかもしれませんね。
まぁ食べるときは基本的にもう相手は死んでるわけで、あえてそう書くってことはいわゆるスカベンジャーなのかな、って思いますが(スカベンジャー=屍肉食動物;ちなみにこの語は全く別の意味で、化学でもよく出てくる面白い学術用語ですね(ってまぁ学術用語っていうより単に英単語ですが)。化学では、「ラジカルスカベンジャー」的な感じで、活性酸素種といったラジカルを捕捉する、安定剤的な、いわば平和な意味で用いられる用語であり、生物用語とは真逆に近いです)、やっぱりハイエナしかり、若干イメージは良くない感じがしますねぇ、死肉漁りというのは…。
例のデビル病は、感染性の腫瘍って相当厄介なのではないかと思います。
まぁ実際厄介だからここまで蔓延しているのでしょうが、動物の行動をコントロールするってのも難しいですし(できたとして、それはもう野生とはいえないですしね)、疾病というのはやっぱり生物にとって本当に一番怖い存在です。
『銃・病原菌・鉄』というベストセラーがありますが、まぁ僕は読んだことないんでただ頭に浮かんだから出してみただけなんですけど(ないのかよ(笑)。まぁ、めちゃくちゃ知的なタイトルだし、絶賛している人も多いのでずっと読んでみたいと思ってはいるものの、Amazonレビューを見ると、やや冗長・論理展開が稚拙・底が浅い…などと低レビューがトップに来ており、若干「まぁやっぱり重厚な作品というよりは流行りものなのかな」って気もしちゃいますね)、いずれにせよ人類史のみならず生物の歴史と切っても切り離せないのが疾病であり、図らずもどれだけ人間の生活に大きな影響を及ぼすかは、将来の人類史の教科書に確実に1文加わるであろうここ数年のパンデミックが実証してくれているといえましょう。
上手く治療が功を奏し、また元気なデビルたちの集団に戻ってくれると嬉しいですね。
そんなわけで、関連ネタとして少し脱線して話を広げてみようと思っていた絶滅危惧種について、今回はいわゆるレッドリストを垣間見てみるとしましょう。
ウォンバットがLC(Least concern;軽度懸念)、コアラやパンダがVU(vulnerable;危急)、タスマニアデビルがEN(Endangered;絶滅危機)、そしてイリオモテヤマネコがCR(Critically Endangered;絶滅寸前)という順に危険度が上がっていき、さらにいうまでもなく、フクロオオカミ他多くの絶滅生物(EX、Extinct)がいる(いた)わけですが、この分類をまとめたのが、レッドリストと呼ばれるものなわけですね。
ja.wikipedia.org
普通にWikipediaに情報は網羅的にまとめられていますけど(これまでの記事で見てきた中では出てこなかった分類としては、EXとCRの間のEW(Extinct in the Wild;野生絶滅)、絶滅危惧と低危惧の間のNT(Near Threatened;準絶滅危惧)などがありますが、果たしてどんな生物がいるのか、ここはIUCN(国際自然保護連合)がまとめている公式データを調べてみるといたしましょう。
こちらがIUCNレッドリスト公式サイトで、トップには興味深い種がいくつか、動物・植物に関わらず(恐らく定期的に更新されるランダム掲載で)ピックアップされていますが…
(現在のピックアップ2つ目が、割とグロいサソリだったので、1つしか表示されないように幅を調節しておきました。)
最上部を見ると、2021年3月版が、恐らく最新の更新のようですね。
おっ、そして、対応言語を見てみると、こういう国際機関にしては非常に珍しく、スペイン語・フランス語に次ぎ、中国語ではなく日本語があるんですね!
…と思ったら、よくあるパターンの、日本語を選択してもUIやメニューが一部クッソ不自然な日本語になるだけで、各種リストや詳細説明など肝心の部分は英語のままという、ほぼ無意味な言語対応でした。
まぁしゃあないということで、検索してみましょう。
Advanced search(高度な検索)から、まずは日本の絶滅種を調べてみるとしましょうか。
検索フィルターとして、画面左から(もちろん、閲覧環境によって違いはあると思いますが…)、まず「Land Regions」でEast AsiaのサブカテゴリーからJapanを選択(6033種の生物がレッドリストに登録されていました)……しかしこれでは多すぎるので、「Red List Category」から、EX(絶滅、14種)と、ついでに1種だけいたEW(野生絶滅)をチェックしてみましょう。
結果がこちら…
当然、絶滅種なので、写真のない種ばかりなのが残念ですが、一番最初に来ていたBonin Pipistrelleというのはオガサワラアブラコウモリなるコウモリだそうです。
Wikipediaによると「1915年に模式標本1頭を元に新種として記載されて以降、確認されていない 」とのことで、ちょっと何じゃそら、って感じかもしれませんね。
下まで見てみると…
Japanese Sea Lion!!
「あっ!これ、こないだ進研ゼミでやった所だ!!」…ばりに馴染みのある名前が目に付きましたが、レッドリストの詳細ページには画像もこれといった情報もなく…
もちろん下の方に詳細情報はあるものの、学術的というかデータ的な情報しかないので、やや面白みに欠けますね。
そんなわけで例によってWikipedia先生に頼った所、こちらには画像もありました、ズバリ、和名でニホンアシカ!
うーん、まるで絶滅の運命を悟っているかのような、悲しい目をしていますね…。
ただ正直、アシカ類の違いはパッと見ではよく分からないので、こんなの動物園とかにいなかったっけ…?って気もしますが、まぁ実際偉い人がそういってるので、このタイプのアシカは絶滅してしまったのでしょう。
残念ですが、こればっかりはしょうがないのかもしれません。
一方、日本で唯一のEW(野生絶滅)は、先ほどの検索結果にも並んでいました、KUNIMASU!
クニマスなんて、何か名前は聞いたことあるような気がするのに、そんなに貴重な魚だったんですねぇ。
正直、さかなクン(「さんを付けろよデコ助野郎」でおなじみかもしれませんが(笑)、まぁさかなクンは「さかなクン」が敬称込みといえましょう)でもなければパッと判別は難しいように思えるものの、改めてWikipediaによると当初「絶滅」とされていながら「2010年に京都大学研究チームの調査により、山梨県の西湖で現存個体群の生息が確認され、野生絶滅に指定変更された。」とのことですね。
野生絶滅である以上管理飼育なのかな、って気もしますが、個体が増えてまた野生にも戻るなんてことがあれば(あるのか?)、「KUNIMASU」という名で登録されているいかにもな日本の魚が息を吹き返してくれるようで、嬉しい限りですね。
せっかくなので、もう一つの欠番分類(たまたま出てなかっただけですが)、NT分類の生物も調べてみましょうか。
フィルターをNT(325種も登録されています)のみに変更しますと、出てきましたね!
キノコの類までいましたが、おっ、また分かりやすい名前の、Japaneseうんちゃらがいます!
しかし、ウッドピジョン…見た目もハトそのものだけど、こんなハトが準絶滅危惧種…?
早速出番だ、ウィキペ博士、教えてちょんまげ!
ほほ~う、カラスバト!
ま、確かに、よく見るハトとはちょっと(大分)違いますかね…?
まぁでも、こちらはあくまでNTで、そこまで喫緊の危機には瀕していないようですから、これからも末永く生きていって欲しい限りですね。
ちなみにレッドリストというのは一般的にはIUCNの定めるものですが、日本の環境省も独自のレッドリストを刊行しているというのはWikipediaにも掲載されていた通りです。
何となく国際機関の定めるものの方が信頼度は高い気もするものの、やはり「この国の情報収集なら この国の国家機構が一番優れている」と偉い人もいってましたし、せっかくなので環境省の定めるレッドリストもチェックしてみましょう。
www.env.go.jp
当然、今の時代この手の公文書はインターネットでいつでも容易にアクセス可能です。素晴らしいですね。
PDFで公開されていた最新環境省レッドリスト2020、1ページ目がこんな感じで、哺乳類からまとめられていました。
オガサワラアブラコウモリも当然いましたが、あぁ、日本の絶滅動物といえば、やはりニホンオオカミですね…。
こちらも、ドラえもんに印象深い良いエピソードがありました。
大切なことはドラえもんが何でも教えてくれるのです。
…って、あれ?絶滅哺乳類にニホンアシカがいないぞ?
…と思ったら、あぁっーー!!
下の方、絶滅危惧IA類(CR)に、ちゃっかりニホンアシカが、いるぅーー!!
なんと、国際機関IUCNは「絶滅」と認定しているのに、環境省は「いるもん!メイみたもん!!」といわんばかりに、駄々をこねているというのかぁーー!!
…ってまぁその辺の記述はちゃんとWikipediaにも記載されていましたが、環境省は過去50年報告例のない生物を「絶滅」としているようで、ニホンアシカは1974年に捕獲例が報告されていたことから、「絶滅」とはしていないとのことです。
しかし、その後観測例はないようですし、2024年以降、やはりニホンアシカは「絶滅」扱いになりそうだということで間違いはないみたいですね。
それにつけても、同じCR分類、イリオモテヤマネコも貫禄の絶滅寸前枠ですが、目についたのが、まさかの、ラッコ!!
うせやろ、ラッコさん、あーたそんなに貴重やってん?!…と驚きましたが、こないだの記事でも貼っていたラッコのWikipedia記事を改めて見てみたら、IUCN分類では一段階危険度は低いENだったものの、マジで、奴(やっこ)さん、コアラやパンダより絶滅危険性の高い希少種だったんですね…!
意外な生物が種の危険に晒されているということで、やはりこういうリストを見ておくのも大切なことかもしれませんね。
他には…と思ったら、この環境省レッドリストPDF、まさかの131ページにも及ぶ長大なリストだったので深追いはやめておきましたが、年の瀬に、この地球上で限りある資源を分かち合う動物たちに思いを馳せてみるなんてのも悪くはないのではないでしょうか。
…とそんな所で、唐突に始まった希少動物ネタもそのぐらいかな、って感じですが、結構面白かったですね。
人間は知恵があるからこそ、他の動植物への感謝や慈愛を忘れないようにしたい限りです。
人間も結局、目に見えない微生物含め、多くの生き物の力で生かされているともいえますからね…。