手を洗わない少年

色々ペーパータオルやら何やらで衛生やらなんちゃら語っていたので、もうちょい関連小話を続けるといたしやしょう。

今でこそ「衛生観念の高い男でごめんなさいね~」などと嘯いていますが、実は、子供の頃は割と、衛生のエの字も知らない、何というか薄汚ぇ少年だったのです。

(とはいっても、子供特有の、「衛生意識が低い」というだけで、外見(そとみ)的にはいうまでもなく、年を取った今より断然、玉のように美麗な、透き通るぐらいと形容できそうな天使タイプの男の子でした。……っていや自分で言うかよ(笑)って感じですが、まぁ昔のことなのでセーフ、ってことにしといてください(笑))


例えば、子供の頃は、トイレに入って手を洗うなんてしたことがありません。

だって、どう考えても全く汚れてませんもんね!

むしろ、学校のトイレとかだと、蛇口ひねる方がどう考えても汚ぇだろ、などと思っていたわけですが…
(まぁこれは、今でも思っているというか、手動の蛇口の場合は、当然のごとく、手洗い完了→まずペータオをちょっくらいただき、ペータオをかまして水を止める→とりあえずそれはトイレ内のゴミ箱に捨てて、改めて新しいペータオをちょろまかし、しっかり手を拭く→そのまままドア開けにも利用し、トイレの外にも設置されているゴミ箱に捨てる(最近はアメリカ人も衛生意識が高まってそういう人も増えているのか、少なくともよく使うトイレは入り口すぐ外にゴミ箱があり、ドアを足で開けてペータオだけと入れないのゴミ箱に捨てる…みたいな無理のある姿勢をとる必要がない感じです)……という流れを取ってますけどね(笑)。)
…当時の日本のぼろい公立小学校には自動蛇口とかペータオとか洒落たものなどあるわけないので、どう考えても蛇口を最後素手でしめるなんて罰ゲームに思えたのです。


まぁ実際小用の場合、特に男性ですとマジで手は一切衣服にしか触れない形でも実行可能ですから、もちろん今は衛生観念が高くなったので小用だろうとトイレ後は絶対に手を洗いますけど、まぁ子供時代手を洗わなかったのも、そこまでばっちくもなかったんじゃないかな、なんて思えます。

(入り口ドアも、ずっと開いた状態になっていたのか、一切手を使わないで入退場できた記憶があります。男は個室に入る必要がありませんから、マジで本当に外部のものは一切何も触らずに用を足せたんですね。
 なお、子供の頃は、衛生観念自体は低かったものの、汚いものを触るのは昔から苦手でしたし、トイレのドアや蛇口は極力触りたくなかったのは昔から変わっていません。 

 またちなみに、全国どこでも恐らくなぜかそうだったと思われるように、小学校では大用を足すことはありませんでした。小中・下手したら高校含めて12年間、学校で大用を足したことは一度もなかったように記憶してますね~。
 なぜか学校で大をするとからかわれるという文字通りクソみたいな文化がありましたからね、大用はしっかり家で済ませていたのです。
…あぁでも、女の子は個室に入るのが普通ですし、それは小学生男児特有の謎文化なのかな…?)


…とかいいつつ、まぁ学校では大用の経験なしor小用のみだったからともかく、今だから告白しますが、幼い頃は家でも、大用を済ませた後ですら、別に手を洗うなんてことはしていませんでした。

家族が見ていたら吐き気を催すかもしれませんが、いやだって、別に手にはなんもついてないじゃん!としか、当時の紺助少年は思えなかったわけですね。

まさにクソ野郎です。

しかしある時、TVだったか何かの学習雑誌だったか媒体は忘れましたが、「トイレットペーパーでお尻を拭くとき、トイペを30枚以上重ねて、ようやく大腸菌が1匹いるかどうかになります。そのぐらい、大腸菌は大量に存在しているんですね。トイレの後は手を洗いましょう」という情報を見て、「マジか!30枚も重ねて、ようやくいなくなるって、普段はどんだけ大腸菌まみれだったんだ!これはとんでもないことだぞ!!」と、しっかり学習し、以後、意識を改め、大用後はきちんと手を洗うようになったのでした。


…って、うっすら記憶に残っているだけで、果たしてその30枚という数値やその説自体が正しいのかどうかは謎ですけど、まぁ、便に存在する大腸菌量と、1枚の紙で捕捉できる菌体量との割合から単純計算で求めただけの数値であって、実際30枚重ねないと菌が貫通しないわけではないんじゃないかな、などと思いますが、まぁ詳細なこの説の成否はともかく、紺助少年の衛生観念を改めることにつながったこの情報は実にナイスでした。

実際、それだけ微生物というのは、目には決して見えないけれどとんでもない量存在しており、手を洗うというのは本当に大切なことなんですね。


…って、一応念のため「トイレットペーパー 30枚 大腸菌」で検索してみたら、まさかの、トップページにその情報がヒットしました!

日本カルミック社のこのページ(↓)によると…

www.calmic.co.jp

日本防菌防黴(ぼうばい)学会によると「トイレットペーパーを36枚重ねてようやく手から大腸菌群が検出されなくなる」との結果が報告されています。

…とのことです!

なんと、うっすら記憶にあったあの情報は、地味に学会から報告されていたそれなりに信用できそうなデータだったということで、遠い昔の記憶が真実に基づいていてしかも割と正しく覚えられていたのが何十年もの歳月を経て明らかになり、なんだか嬉しいですね。


一人暮らしを始めて、友人が家に来て大用を足した後、即そのまま電気を消してるのを見て、「電気のスイッチに触る前に手を洗っておくれよ。トイペ30枚で大腸菌うんぬんなんだぜ」といったらその友人は「ホントかよ(笑)」と笑って鵜呑みにしてませんでしたが、実際これはホントだったとともに、少年時代と打って変わり、微生物学もきちんと学んでもうその頃には僕の衛生観念も確たるものになっていたため、大用→石鹸のある洗面所へ直行し、まず手を洗う→電気のスイッチはその後で消す…という流れになっていたということですね(笑)。


今でも、大用を足したら、決して他の何物にも触ることなく、まずは必ず手を洗うよう心がけています。

用足し後、洗う前の手のまんまだと、何だかウズウズして、「これではいけない!」みたいな信号を脳が送るようになったのか、指先が痺れるような感覚に襲われる意識すらありますからね(笑)(いやでも冗談抜きに割と、不潔な状態のままの手だと、何となく感覚が違うのが分かるようになってきた気がします)。

いや極端すぎでしょ(笑)と思われるかもしれませんが、まぁ実際、用足し後や何か不衛生なものを触った後の手に大量の大腸菌腸内細菌他たくさんの雑菌がおわしますことは間違いないことなので、それを心がけるのは間違いなくいいことではないかな、と思っています。

(まぁ、今現在は、用を足すのは何度か書いている通りほぼ大学の個室トイレのみなので、そこには水道も石鹸も完備されていますから、別に意識することなく、当然のごとく手を洗ってから個室を後にしているんですけどね。
 むしろそれ以外でも、例えば誰かの家のトイレを借りるとか、別の環境であっても、トイレの中にちゃんとした石鹸や水道がないような場合、トイレを出たらまずは手を洗う、それまでは絶対に他のものは触らないぞ、という確たる信念がある、ってことですね。

 ちなみに、多くの家庭用水洗トイレでは、流した後に、タンクに水をためるための水が上から出てくることが多いと思うんですけど、個人的には何となくあれは「便所の水」って感じがして、あれで手を洗う気にはならんのです。
 まぁ下水ではないので洗うのに問題はないと思いますが、あそこに石鹸を備えている家庭もそうそうないと思うので(というかあのタンクに石鹸を流してはいけない…?)、やはり別口で、石鹸とともに、ちゃんとした水道で洗わねば気が済まない感じですね。)


…と、何のこっちゃ、本来書こうと思ってたこととちょっとずれてきたんですが、せっかくなので関連した情報に脱線しておくとしましょう。

似たような話で、恐らくどこかで「手にはこれだけの雑菌が存在するんですよ!」ということを示す、寒天培地を用いた実験例をご覧になったことがあるのではないでしょうか。

「手洗い前の手にはこんなに雑菌が!しかし、手を洗うと、これだけキレイになるのです!!」

…ということを実演してくれる、分かりやすくインパクトがあるものですね。


「手 寒天培地」で軽く検索したら、2番目に、北里大のオープンキャンパスで行われた出し物の結果が紹介されていました。

早速画像を拝借させていただきましょう。

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https://www.kitasato-u.ac.jp/ahs/ml/microbio/public_html/2012-3/H-explain2012-3.htmlより

これは、寒天培地に手の平をペターっと付けて、その時手に存在していた微生物を寒天培地に乗っけることで、これを培養することでどのぐらいの菌が存在するのか見てみよう、という形の実験ですね。

これこの通り、左側の手洗い前の手には、大量の菌類細菌類といった各種微生物が存在し、培地で増やすとものによってはメチャクチャでかくキモいカビのコロニーみたいなのが形成されることが見てとれると思います。

一方、手を洗ってから触れた方はお見事、ごくわずかな菌(写真から肉眼で判別する限り、わずか1コロニー)しか残っておらず、洗浄で大分キレイになったことが伺えるというものです。


しかし改めて補足しておくと、手を洗っても体表に存在する菌が完全にいなくなるわけではありません。

ちょうど前回の記事で、毎度丁寧なコメントをいただけるアンさんからまた感想をいただいており、「手を洗っても、そんなにファージが残っているということにむしろ驚きが…」とあったんですが、実際、どんなに丁寧に洗っても、完全にゼロにすることは不可能でしょう。

仮にゼロにしても、空気中には信じられないぐらいの量の微生物が漂っていますから、またすぐに体表に付着することになります。

これまた改めて、物事は0か1かではなく、特に手を洗うという行為の場合、雑菌類を0にまで減らせず多少は残っていても、有意に数を減らせば、それだけで衛生的には十分な意味があるってことなんですね。

そもそも常在菌には、皮膚をより良くない雑菌から守る役割をもつものもいるといわれていますから、菌が存在することそれ自体にあまり神経質になる必要もないのです。
(この辺を極端に捉えると、深刻な潔癖症を発症してしまいがちなので、その辺の意識も大事、ってことですね。)

ただし、トイレ後や、外で色々なものを触れた後の手には、良くない雑菌の量が無視できないレベルで超大量に存在することになるので、健康な生活を維持するために、そういう悪いバイ菌はきちんと手を洗うことで洗い流しましょうね、というのがハイジーン・公衆衛生学の主張する大事なポイントだということでした。


また、衛生学の観点からは、手の洗い方にも細かい指示があるのはどなたもご覧になったことがあると思いますけど、中途半端な形の手洗いだと、むしろ逆に雑菌を増やすだけで逆効果になる、というのも、これまた重要なポイントですね。

先ほどの北里大の結果では、むしろ手洗いでコロニーが増えてしまった例の方がより多く紹介されていたんですけど、例えばこちらの図3では…

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恐らく中途半端な手洗いで、むしろ菌分布が悪化してしまった例

コロニーの大きさは小さくなった(多少菌の数は減った)ものの、むしろコロニーの存在領域は広がってしまったことが見てとれます。


ということで、手洗いは石鹸を用いて、しっかり丁寧にやる必要があるということですが、よくいわれる話として、男子トイレで見ていると、手を洗わない人が多いし、洗っても水をちょんと付けて終わりのやつがあまりにも多すぎる…って意見を耳にするわけですけど、まぁこれは本当に、「手を洗ったアピール」として水ちょんするぐらいなら、マジでやらない方がマシとはいえるかもしれませんね。

その辺の意識や、微生物は目に見えないけれど尋常じゃない数存在すること、並びにこいつらは条件がそろうと爆発的に増殖することなんかは、僕が幼い頃そうだったように、教わらないと中々気付けないことだと思いますから、その辺の意識付けが加速度的に進行したコロナ騒動は、その意味においてだけは公衆衛生学的には良かったといえるのかもしれないですね。

 

なお、脱線の脱線として、検索してトップに出てきたのは、この手形シャーレ入りの寒天培地を売っている業者さんでした。

www.schoolpress.co.jp

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https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/s-851.htmlより

 

子供でも微生物のヤバさが目で見れるようになるとてもいい教材だと思います。
(でも、手からのサンプル採取やその後の培養を上手にやらないと、上手く差が見れないかもしれないので、子供だけでは実施が難しいかもしれませんが…。)

まぁ、送料込みで1万円ぐらいするので、以前の記事で培地のコストなどを見たことがありましたが……

con-cats.hatenablog.com
手の大きさのシャーレだと、まぁ50-100 mLぐらいの培地かなってぐらいなので、原価としては多分1枚シャーレの値段込みでも数十円とか100円かかってないぐらいなのかな、という気もしますし(見ていたのはLB培地で、商品はSCD培地と呼ばれるものですが、まぁ大差はないです)、ちょっとボリすぎ……とは思えるものの、こんなのは需要が多いとも思えませんし、滅菌状態で作成する必要のあるものですし、そのぐらいの価格付けなのは妥当なのかもしれないですね。

 

ちなみに、いただいたコメントには「そういうのを気にしない人の方が抵抗力が強くなるというか、免疫ができるというか、何食べても大丈夫とか、そんなイメージもありますけど…」という旨もありました。

まぁ、確かに「無菌状態に慣れ過ぎ、みんなあちこち弱ってる」の通りといいますか、あんまり清潔清潔しすぎてもむしろ免疫が弱くなるのでは…?という意見もありますし、有名ななぁにかえって免疫がつくの通り、昔の、衛生的に優れない不潔な時代を過ごした人の方が強いような気がするというのもまぁ、一理なくはない気もします。

ただ、恐らく、これは単なる個人のご意見・感想かもしれませんが、突然不潔な環境に放り込まれたとしたら普段から不潔な人の方が強いですけど、ずーっと清潔な状況を維持する限りにおいては、間違いなく清潔を保ち続けてる人の方が健康・長生き・より長い間若々しいままでいられる…というのは、疫学的にもほぼ間違いないのではないかな、と思われます。

僕もまさに不潔な状態のままの手が続くだけで何となく強い違和感を覚えるようになったように(特に、実験器具に触れて、化学物質が手についたようなとき(基本的に使い捨て手袋を使って触れますが、たまに素手で触れたような場合)は顕著ですが)、環境の変化には弱くなった(清潔が維持されていないと我慢ができなくなった)気はしますけど、清潔さを維持する限り、その辺を全然意識していなかった頃と比べて、様々な病気にかかる確率は有意に減少したように思います。
(ニキビとかそういう些細なものも含め……まぁニキビは年齢による皮脂量の差とかもあると思いますけど、中高生時代、もっと衛生観念が高ければ、ニキビが出来る確率ももっと低かったろうな、と思えてやみません。肌のできものなんてまさに、雑菌が悪さをしてできる場合がとても多いですからね。)


…ってなわけで、手を洗わなかった少年は、学習により正しい知恵を付けて、清潔好きな大人に生まれ変わったのでした、というそんな話でした。

野生動物ではない人間にとって、手洗いの重要性に例外はないので、しっかり丁寧な手洗いを心がけるようにするとよいでしょう、ということですね。

次回はもう1点だけ、似たような小話をはさんでおこうかな、などと考えています。

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