ゼリーを使うのはなぜ?他

大腸菌の培養、それからプラスミドのori(複製起点)などについて、改めていくつかご質問をいただいていたので、今回はそれに触れていくといたしましょう。

スッキリしない疑問点なんていくらもろてもえぇもんですからね、初めて聞いたときはややこしい話なだけに、改めて取り上げることで視界がクリアになる手助けになってってくれれば嬉しい限りですね。

 

Q1. 培地の寒天って、、あの寒天なん?(注:前回の記事で、寒天について具体的に触れる前にいただいていたご質問。)
 前からチラッと思ってたんじゃが、菌を増やすのに培地は固まってないといかんのか?…っていうか、むしろ、固まってて菌は動けなさそうなのに、菌は増えるんかえ?

(その後、前回寒天について触れていて、改めていただいた追い質問→)あぁ、液体で飼うことも固体で飼うこともあるんか……しかし、そもそも正直、プレート状の固体培地と液体培地の違いというか使い分けというかが、全くイメージできねぇんだけど?

A1. まず、菌を増やすのに培地は固まっていないとアカンなんてことは全くなく、例えばミニプレのときは液体を使いますし、菌を増やす上で、寒天の有無は全くどっちでもいいというか、菌の生育には一切影響を与えません。

寒天にはカロリーがほとんどないことからも分かる通り、これは培地をゼリー状に固めるためだけの存在で、寒天があることで菌の成長が早くなることもないし、寒天が入ってなかったら菌が育たないなんてことも一切ない感じですね(菌が育つのに必要なのは、あくまでもLB培地)。
(でも、調べたら一応カロリーゼロではないんですね(100 gあたり2-3 kcal)。まぁ、寒天もこの記事で見ていた通り、こいつは何気に糖が繋がってできたものですから、非常に消化がしづらいだけで、完全に全く水と同じというわけではないのかもしれませんね。
 何かそういうのも分解・消化できそうな微生物はいそうなもんですが、大腸菌も我々と同様、寒天を栄養源として使うことはできないので、寒天のみの培地では、大腸菌は全く増えません…!)

では、なぜわざわざ固めるのか…?

ズバリ、寒天を混ぜてゼリー状にした培地プレートを使うのは、基本的に「形質転換後に、プラスミドをもってる菌体だけを確実に拾いたい」という目的があるとき、という感じですね。

液体では、当たり前ですが水の中で菌体はウヨウヨと漂いますから、一箇所に留まることがありません。

なので、液体の中ではプラスミドをゲットしてバンバン分裂してるやつも、プラスミドがなくて死んでるやつも、全部がもうごちゃ混ぜの感じになり、元気なやつだけをピックアップすることが困難を極めるわけですね。

塩水の中にコーヒーの粉を入れて、コーヒーの茶色い成分だけを拾うのが不可能なのと同じ感じといえましょう。

一方、プレート上だと、これはご質問の中でもおっしゃられていた通り、菌は自由に動けず一箇所に留まり続けますから、プラスミドを獲得したやつはその場で増殖を続けて、最終的に人間の目に見える大きさの点(コロニー)にまで成長し、これを爪楊枝とかでピックアップするのは大変容易だと、そういうお話です。

コーヒーの粉をゼリーの上に落としても、拾うのは容易なのと似たような話ですね。
(まぁコーヒー粉は分裂しませんし、水に溶けるものと生物とでは全然違うっちゃ違うかもしれませんが、あくまでイメージの例え話ですね。
 少なくとも「液体の中に落としたものより拾いやすい」というのは、それはそうだねと伝わってくれるのではないかと思います。)


ただ、これもご質問にあった「動けないのに増えるの?」というのは、我々人間は動きを拘束されたらストレスで死にそうなイメージもあるので想像しづらいかもしれませんが、基本的に生物は栄養さえあればすくすく生きて、ガンガン成長することができます(大腸菌は単細胞なので、成長というより分裂=生育ですが)。

植物なんてその際たるもので、一切動くことはできませんが、土や肥料から栄養を吸い上げることで、のびのびと成長していきます。

大腸菌もそれと同じで(そもそもこいつは細菌なので、動物じゃないですしね。まぁ鞭毛をもつので動くことも一応可能ですが、何気に細胞壁ももっていますから(これは受験生物で、知っておかないと極めて引っかかりやすい知識問題ですね。細胞壁といえば植物の印象ですが、大腸菌酵母といった菌類細菌類も、細胞壁をもちます。むしろ、細胞壁をもたない我々動物が、生物界の異端児って感じですね)、まぁ植物っぽさもあるとはいえる感じでしょうか)、栄養さえ存在すれば別にその場に固定されていても全力で分裂可能(20分に1回程度)で、その栄養は当然LB培地にはたんまりと豊富に存在しますから、動けないことは大腸菌にとって何らのネックにはならんってことなんですね。
(固定といっても完全に1ミリも動けないわけではなく(あくまでもゼリーですし)、分裂して少しずつ広がっていくぐらいには自由度はある感じですけどね。)

ただこのプレート上での菌の生育に関しては、初めて学んだとき、僕も似たような「そんな風に上手くいくもんなん?」とかなり謎に思ったことをよく覚えています。

光る大腸菌の画像で見ていたように、プレートにまいた大腸菌は上手いこと点々とコロニーを形成するわけですが、改めてコロニー形成の例として、同じ画像を何度も使うのもあれなので、同じ大腸菌プレートで、ちょっと別の面白いやつを紹介しましょう。

…って、正直説明するのが面倒(というか、かなりややこしい)なのがちょっとネックなんですけど、プラスミドによっては…というか多くのDNAクローニング用プラスミドでは、「青白セレクション」という便利な手法が可能になっています。

説明の前にまず結果ですが、これは光る大腸菌GFPとは違って、普通にそのまま肉眼で色が見える感じのやつですね。

f:id:hit-us_con-cats:20210930061426p:plain

SIGMAの、青白スクリーニング解説記事より

一部のコロニーが青くなっています。

まぁこんなんもあえて説明するほどの話でもないんですけど、一応ごく簡単にまとめると、例えば代表的なDNAクローニング用プラスミド、pUC19…は以前マップも貼ったことがあったので、これまた少し変えてpUC18(使える制限酵素がちょっと違うだけで、ほぼ同じ)のベクターマップを見てみると……

f:id:hit-us_con-cats:20210930061518p:plain

https://www.snapgene.com/resources/plasmid-files/?set=basic_cloning_vectors&plasmid=pUC18より

…お好みの遺伝子を導入可能な、大量の制限酵素部位が並んでいるMCS(マルチクローニングサイト)と同じ場所に、lacZαというエレメントがあるのが目につくと思います。

これはラクトース分解酵素の遺伝子で、話をごく単純化しますと、こいつを合成している大腸菌に、X-gal(エックス・ギャル)という、ちょっと特別な物質のついたラクトースを与えると、酵素の力でX-galが分解され、結果、分解されたX-galは青色を発色することが知られています(分解前は無色)。

(X-galの分子構造はこちら↓。こんなの見ても何も分かりませんが…)

f:id:hit-us_con-cats:20210930061531p:plain

https://ja.wikipedia.org/wiki/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシドより

しかしここでMCSに自分の好きな遺伝子を入れると、ベクターマップにある通り、まさにlacZαの始まりの部分に自分の入れた遺伝子が挿入されることになり、ラクトース分解酵素の合成が妨害されますから、機能をもった正しい酵素がぶっ壊れる(大腸菌が作れなくなる)ことになります。

結果、X-galは分解されず、青色物質は発生しないので、コロニーは普通の白いままになるわけです。

ということで、このシステムを用いると、コロニーをつつく前に、見た目の色で「目的の導入したい遺伝子を、プラスミドのMCSへ入れることに成功した」ということが分かるという、優れものになってるわけですね。
(つまり、白いコロニーが導入したい遺伝子の入った「当たり」コロニーで、青いコロニーは挿入に失敗して無傷のラクトース分解酵素が作られている「外れ」コロニーであることが分かる、ということ。)


正直この辺も、どの程度の確率でライゲーションが成功するかとかの肌感覚がないと何の目的で何をやっているのかまたしても不明な話になっちゃってる気もしますが、これは結局、クローニング実験の成功率を上げる、上手な工夫ってことですね。

ただ、今回一連のネタ元である、例として挙げていた合成遺伝子を業者から購入してそれを使うソーマチンのクローニング実験なんかは、ほぼ確実に当たりを引けるやり方になっているので(…ってそれも、やってみたことがなければその辺の実感を全くもてないと思いますが…)、いちいち青白選別をやる必要は皆無なんですけど(やらなくても絶対余裕で当たりコロニーを引けるから)、例えば増やしにくいサンプルから増やしにくい遺伝子を取ってきてクローニングに用いる場合とかはマジで成功率が低いので、こういう工夫をして、なるべく高い確率で当たりを引くために色々と策を練っているのです、ということでした。
(学生時代、後輩が、青白選別も使えないパターンのクローニングで、「96個大腸菌のコロニーを拾ってミニプレして、ようやく当たりが1つありました(笑)」という途方もない低確率の実験なんかを耳にしたこともあります。)

 

青白セレクションに関しては、Wikipediaにも記事があって、分かりやすい(かはともかく、仕組みが要約されている)まとめ図(↓)とともに、この記事にも青白コロニーのプレート図も載っていましたが…

f:id:hit-us_con-cats:20210930061648p:plain

https://ja.wikipedia.org/wiki/ブルー・ホワイトセレクションより

まぁこの辺は高校生物でも一応ごくサワリだけは触れる話だった気がするものの(もしかしたら指導要領の改訂で、今はがっつり触れてるのかもしれませんが、僕の頃は発展内容的な感じで、資料集とかに小さく載ってるだけでした)、基本的には大学に入ってから学ぶ分子生物学の話(でも、分子生物学の基礎中の基礎で、最初に学ぶ感じ)であり、入門編としてはまぁ気にしなくてもよい細かすぎるネタといえましょう。


ちなみに、青白実験には、X-galと一緒にlacZ遺伝子のスイッチとして働くIPTGも加える必要があるのですが、毎回プレートにX-galとIPTGを塗りたくるのがクソ面倒で、青白の差も必ずしも完璧ではないため、僕はもう長いこと青白セレクションはやってないですね。
(例えば挿入遺伝子が短く、しかも3の倍数の塩基数だったら、コドンの読み枠がずれることもなく、ほんの少しアミノ酸が挿入されるだけですから、遺伝子が挿入されてもlacZαが壊れず、当たりなのにコロニーが青いまま、なんてこともあります。
 もちろん、挿入するのがどんなに短い遺伝子でも、3の倍数の塩基数じゃなかったらコドンの読み枠が完全にずれるので、この場合は、lacZαは完璧に壊れますけどね。
 また、仮に当たりである白いコロニーでも、「挿入した遺伝子の中に1文字変異が入っていた」とかいう問題を見抜くことはできないので、結局シークエンスでしっかり確認する必要がありますし、青白選別はあんまり意味ない場面も多いです。)

ただ、この一応便利な青白実験とかで使える大腸菌が開発当初は売りになっていたようで(色々な試薬の質も悪く、クローニングの成功率が低い時代だったでしょうしね)、以前大腸菌の種類として挙げていたNovaBlueとかXL1-Blueとか、大腸菌の菌株の名前にやたらBlueがつくことが多いのは、この「青白実験を行える菌ですよ」ということを宣伝しているが故なんじゃないかな、と思います(調べたことないので違うかもしれませんが)。


…とまぁ、青白は余談だったのでともかく、大腸菌をプレートにまくと、あんな感じでコロニーが形成されるけれど、「何でそんな都合よく一箇所にコロニーができるの?生きてるやつが集まってくるのか??」とか、一番最初に聞いたときは僕自身も謎に思った、という話ですね。

結局これは、もちろん大腸菌がプレート上を自由に動くなんてことはできないので僕の勘違いだったわけですけど、コロニーというのは、たった1匹の大腸菌が増殖して、つまりひたすら分裂を続けて倍々に増え続けたことで、最終的に目に見える量の菌体にまで増えた結果のものになります。

…あぁ、まぁ「プレート上で大腸菌は動けない」ってのは流石に一応理解はしていたけれど、それよりもむしろ、「なぜコロニーはある程度一定の大きさになって、しかも都合よくちょうどまばらに点々と存在する形で発生するのか?」ということが当初の疑問だった感じですね。

その辺は学生実験で実際のプレートを見た上でも感じた謎だったわけですけど、これは結局、「実験のデザインが、ちょうどコロニーの数も大きさも都合いい感じになるように、上手に設計されているから」ってことに尽きる形です。


実際、菌をプレートにまいたら、基本翌日にコロニーの様子を見たりつついたりするわけですが、これを数日以上とか1週間とか37℃の培養器に放置しちゃうと、コロニーはどんどん大きくなり、最終的には当然近所のコロニーとぶつかって境目がなくなるぐらい重なり合うこともある感じですね。
(もちろん、無限に大きくなり続けるわけではありませんが。コロニーが大きくなりすぎると、流石に菌が一箇所に密集しすぎてコロニー付近の栄養も枯渇してくるなど条件も悪化していって、分裂・増殖のペースは大分落ちますしね。
 また特に、近場に別のコロニーがある場合、既にその別のコロニーに使われてしまって栄養分が足りなくなるのか、かなり小さいサイズでもコロニーの拡大がストップすることが多いです。
 先ほどの青白プレートの図も、コロニーが密集しているところはサイズが小さいですね。)


コロニーの数に関しても、先ほどの青白の画像も結構多めでしたが、結局、都合よく「バラバラのコロニーを確認できる程度の数が生えてくる」のは、自分がその程度の数の菌しかまいていないからなだけで、あまりにも大量の菌をまくと、もうワッサーっと、コロニーなんて一切見えないぐらい、プレート全面を覆うぐらいに菌体まみれのめちゃくちゃな状態になります。

あまりいい例の画像はありませんでしたが、ちょうど、菌が多すぎるとどうなるか&薄めていくとどうなっていくかの例が、生物学のオンライン教材みたいなのに載っていたので、引用させていただきましょう。

f:id:hit-us_con-cats:20210930061748p:plain

https://bio.libretexts.org/Courses/North_Carolina_State_University/MB352_General_Microbiology_Laboratory_2021_(Lee)/05%3A_Enumeration_of_Bacteria/5.01%3A_Introduction_to_Enumeration_of_Bacteriaより

左上から順番に10倍希釈をしている感じですが、一番濃い濃度の菌でもまだ微妙に隙間はある感じですけど、これより更に大量の菌を塗りたくると、マジで1ミリの隙間もないぐらいに、ビッシリと菌が表面を覆いつくす感じです(まぁ既にビッシリともいえますけどね)。

こうなるとコロニーどころではないので、例えばライゲーション産物をコンピテントセルにぶちこみ、正しくライゲーションされたプラスミドを取り込んだ菌だけを選択したい、という何度も例としてずっと見ている実験であっても、あまりにも多すぎる量の菌体やDNAを使ってしまうと、ミッチリと生えすぎてコロニーがつつけない、なんてこともありえるわけですね。

普通はそんなに無駄に菌やDNAを使うことがないのでそうはなりませんが、例えばプレートに混ぜた抗生物質アンピシリンが切れていたような場合、プラスミドをもっていようといまいと全ての菌が生育してくることになるので、この場合、マジで1ミリの隙間もないぐらいにワッサリと菌が生えてきます(明らかにおかしいので、失敗した(アンピシリンが壊れていた)とすぐに分かります)。

(これは逆にいうと、ライゲーションの成功確率およびプラスミドの導入確率は、そこまであんまり高くないってことですね。
 アンピシリン存在下=プラスミドがぶち込まれた大腸菌は目で数えられるぐらいのコロニー数に落ち着くのが普通ですが、アンピシリンがないだけで、何億匹もの大腸菌が無尽蔵に生えまくる形だからです。)

結論としては、菌をまいたプレート上のコロニーが都合よくいい感じのサイズ・数になるのは、先人の知恵を活かして、そうなるように実験デザイン(使う材料の量)が上手いこと調整されているから、ということに過ぎないって感じですね。

(なお、コロニーができるのは、普通に(プラスミドの獲得に成功した)1匹の大腸菌が増殖を続けて、目に見える量の菌の塊になったから、というのがその理由です。
 これも、ちゃんと理解するまでは、意外なポイントだったというかそういう考えに至れない点だったかもしれません。
 1つのコロニーは1匹の大腸菌からスタートしており、だからこそ、そのコロニーは同一の菌=クローンであり、一連の実験はクローニングと呼ばれているわけですね。
 コロニーが生えていない部分には、プラスミドを獲得で傷、大量の死んだ大腸菌が横たわっているという感じですね(増えないから、目に見える塊にはならないだけ)。)


最後、せっかく細かく具体的に色々見ているので、プレートに菌体を実際どうまいているのか(というか使うツール)だけを簡単に見ておきましょう。

まぁ形質転換に使うコンピテントセルは液体に懸濁した大腸菌ですけど、大体100 μL=0.1ミリリットルを使い、ヒートショックをした後に、プレートの上にペッと菌液をのせるわけですが、その菌液は、「コンラージ棒」と呼ばれる、ガラスやプラスチックでできた伸ばし棒でプレート表面に塗りたくるのがよくやられるやり方ですね。

まさかの、Wikipediaにも項目がありましたが、こんなのです↓

f:id:hit-us_con-cats:20210930061827p:plain

https://ja.wikipedia.org/wiki/コンラージ棒より

(「コンラージ」って、なんかそういう用途か形か何かを意味する英単語なのかなとずっと思ってましたが、まさかの開発者の名前だったんですね!)

プラスチックのディスポのやつを使う人もいますが、個人的にはガラス派です(ちょうど、上の図右から2つ目みたいなやつ)。

大腸菌を扱うときは、他の雑菌が混入しないように(異物の混入を、業界用語ではコンタミというので、いわばコンタミしないように)、ガスバーナーの炎の下で扱うことが多いんですが、消毒用エタノールをちょちょいっと付けて、火であぶれば簡単に滅菌ができますから、これぐらいのものはディスポの使い捨て製品だとちょっともったいない気もしますし、先端がトライアングルになったガラス棒が僕は一番好きですねぇ。


また、研究室によっては、ガラスビーズを使うこともあります。

こんなの(↓)

f:id:hit-us_con-cats:20210930062004p:plain

https://www.nippongene.com/siyaku/product/e-coli/beads/bacn-roll-beads.htmlより

…といってもこれではあんまりよく分からないので、使い方の説明も書いてあった、日本の試薬・実験機器大手フナコシにあった画像も引用しましょう。

f:id:hit-us_con-cats:20210930062022p:plain

https://www.funakoshi.co.jp/contents/5575より

…って、こんなの説明が必要な話でもなく、ビーズをプレートに入れて、シャカシャカ振るだけで、プレート全体に菌液が行き渡る、というそれだけですね。

常日頃超大量にプレーティングをする研究室ならこれの方が便利なのかもしれませんが(例えば100枚のプレートに菌を広げる作業があっても、それぞれにビーズを入れてまとめてシャカシャカ振るだけなので。ガラス棒だと、1枚1枚自分で塗り広げる必要がありますから、相当な手間ですね)、個人的には、そこまで大量にプレーティングをする実験はほとんどないので、ガラス棒で、気の済むまで自分の手を使って塗りたくってる感じです。

(ちなみに、補助器具として、こんな感じ(↓)の手でくるくる回せるターンテーブルもありますが…

f:id:hit-us_con-cats:20210930062047p:plain

https://www.monotaro.com/g/00256696/?t.q=ターンテーブルより

…実際僕ももってますけど、正直、左手にプレートをもって、上手いことガラス棒にフィットする位置で動かしながら塗りたくる方が速いというか、これを使ってもいうほど楽にも何にもならないので、なくてもいいかな、って商品ですね(笑))


色々余談に逸れましたが、結局ご質問のポイントである液体固体培地の使い分けの結論としては…

  • 基本的に数を増やすためには、液体の方が優れているので(固体上では菌が動けず、場所&栄養の制約で、ある程度で分裂に制約がかかるから)、液体培地で飼う
  • しかし、形質転換(=プラスミド導入)後などの状況では、プラスミドがぶち込まれた菌体だけをピックアップしたい!→液体だと全てごちゃまぜになっちゃって、1つのクローンをピックするのが不可能→固体のプレートに塗りたくって、点々とコロニーが発生して、生き残って元気に増えてる菌体と死んだのとを区別ができるようにする…という流れで、プレートを使うことになる

…というそれだけの話でした。


…と、他にもいただいていた、プラスミドとoriに関する全体的なご質問にも触れようと思っていましたが、プレートだけでやたら長くなってしまいました。

続きQ2は、次回また触れさせていただくとしましょう。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村