婚活してるし、DNAについて知っておこーぜ!

前回アミノ酸の話から発展して、関連する質問への説明のための前段階として、細胞の話をしていました。

ちなみにツラツラと書いている一連の話は、いわゆる分子生物学と呼ばれるジャンルで、割と21世紀みを感じる、それなりに新しくカッコ良さそうな分野なんですけど(専門の自分がいうかよ(笑))、分子生物学に多少詳しくなっても、特に生活に役立てられることにはほぼ全くつながらない、という残念さはあるかもしれませんね。

別に分子生物学を知り、細胞レベルでDNAやタンパク質や何やかんやがどう暗躍していようと知ろうが、「おっ、さっき食べた納豆、今アミノ酸にまで分解されましたぁー!さてさてこのアミノ酸、血液を通って……おわぁ~っと、頭へと移動してきた、髪タンパク質を合成して、これは髪が伸びるぞぉ~っ!」とかが分かるわけじゃありませんので(笑)。

全ては、無意識で行われている分子レベルの反応のメカニズムをただ知るだけにすぎません。

まぁでも、ここ数十年で最も発展した学問分野の一つですし、教養として知っておいても悪かぁないでしょう。

一応、多少栄養学とかに通ずる所もなくはないですしね、少しでも楽しんでいただけるか、何か学びとっていただけるものがあれば、恐悦至極に存じます。

いただいたご質問への回答へ行く前に、もう少し分子生物学の根幹・中枢・心髄をなしているといえる、DNAからタンパク質合成への流れをサラッとさらっていくとしましょう。

目や、皮膚や、胃や肝臓や筋肉などなど、部位によって見た目も役割も何もかも違う人間の体ですが、どれも、基本的には細胞が集まって作られている、ということを前回書いていました。

そして、細胞というのは具入りスープの詰まった水風船みたいなもので、その具こそが、生命活動を支える主役たちなのです。

「余計分かりづらくなるだけ」って話もありますが、あくまで入門編ということで、なるべく横文字の耳慣れない用語は使わずに行こうと思いますが…

(まぁ、場合によっては出すかもしれませんけど。あぁ、あと、話を簡単にするために、あえて少数の例外には触れず、「とりあえずそう考えてOK」的な話にしていたり、ややざっくりすぎる過度の単純化をしたりする場面も、前回今回に限らずあると思いますが、重要なポイントであれば、後で補足すると思うのでご了承ください。
 「とりあえず入門的には簡単にそう考えて、まずは概要を理解しちゃおう」という感じですね。
 但し書きが長くなりましたが、続いて新用語の登場↓)

…これは恐らくどなたも聞いたことがあって覚えていることでしょう、細胞の中で一番重要ともいえる、部屋の中のかなりのスペースを占めている一番大きい具、それが、です。

細胞の中には核がある、これは中学生物の知識なので、多分ぼんやりとでも印象にあるのではないかと思います。

核とは何か?

ズバリ、核こそが、DNAの格納庫なんですね。


~おさらい~

DNAとは、タンパク質の作り方「遺伝子情報」とも呼ばれる!)が記録された、レシピ本みたいなものなのだ。

このレシピ通りに、細胞の中で、タンパク質が合成されるぞ!

しかし、このレシピ本には、たった4種類の文字しか使われていない!
(A, C, G, Tのみ)

そんな少ない文字で大丈夫か?

大丈夫だ、タンパク質もたった20種類のアミノ酸でしかできてないし、その4文字が織り成す暗号の解読班も、細胞の中にはちゃんといるんだ!

ちなみに、自分の細胞は、基本的に全身どの細胞でも、全く同じDNAを保有しているぞ!

だって自分のDNAなんだから、違ったらそれ他人じゃん(笑)

なお、人間のDNAは、父親から30億文字、母親から30億文字を受け継いだ、合計60億文字もある分厚い本なんだ。分厚いってレベルじゃねーぞ

当たり前だけど、オスとメスが協力して子供を生むあらゆる生物は、自分の遺伝子の半分を子供に伝えるんだ!(当然、もう半分はパートナーから)

だからもちろん、君自身の遺伝子は半分が父親由来でもう半分が母親由来だし、君自身が子供を産む時も、「自分の父親から受け継いだ遺伝子」「自分の母親から受け継いだ遺伝子」のどちらか一方の遺伝子のみ(言い方を変えれば、自分の持ってる遺伝子の半分だけ)を、自分の子供に託すことになるぞ!

【例:分かりやすい、血液型の場合】

君は、AB型の父親からAを、O型の母親からOの遺伝子を受け継いでいたとしよう⇒君自身はAOでA型

君が産む子供は、血液型遺伝子として、君自身の父親(子供からみたら祖父)譲りのAか、君自身の母親(子供からみたら祖母)譲りのOかの、どちらか一方を受け取ることになる。

君のパートナーが例えばO型(持ってる遺伝子はOのみ)だったら、君の子供は、君の父親由来(ややこし過ぎるけど、頑張って読み取ってくれ!子供にとっての祖父だ!)の遺伝子が選ばれたらAOでA型に、君の母親由来の遺伝子が選ばれたらOOでO型になる、というわけ。)

ちなみに、自分の子供に託すものとして、自分の父親由来の遺伝子が選ばれるか、自分の母親由来の遺伝子が選ばれるかは、完全にランダムだ!

なお、その「父由来遺伝子か母由来遺伝子か、どちらを子供に伝えるか」の抽選回数は、合計23回だ!(理由はいつか説明しよう!)

つまり、自分の子供に伝わる全部の遺伝子が自分の父親(または母親)由来、なんてこともあり得るわけだ!

その場合、自分の孫なのに、お祖母ちゃん(←君の父親由来の遺伝子のみが選ばれた場合)から見たら、「自分(お祖母ちゃん自身)の遺伝子」を全く1つも受け継いでいない、遺伝子的には赤の他人と同じ人間ということになってしまう!

でも、自分の孫は可愛いぞ!

血や遺伝なんかよりも、家族の絆だ!

…孫(どころか子供すら)もったことないけど!!


ちなみに、その「全部の遺伝子が、自分の父親由来の方だけ選ばれる」パターンになる確率は、二分の一の確率が23回連続ということだから、(1/2)230.0000119%だ!!

意外と高いな?!(=838万8608人に1人

でも、その場合でも、子供の遺伝子の残り半分は自分のパートナーから受け継ぐことになるから、自分の父親(または母親)の完全生き写しにはならないぞ!
(あと、その奇跡的な確率で選ばれた遺伝子自体も、そもそも自分の父親(または母親)にとっては、あくまで父親(母親)本人の持つ内の「半分の遺伝子」でしかないってこともあるしね!)

もちろん、その場合、他の孫より、めっちゃくちゃお祖父ちゃん似(またはお祖母ちゃん似)の子になるとは思うけど!!

(なお、もうちょい厳密にいえば、0.0000119%の確率で父由来のみ、もう0.0000119%の確率で母由来のみのパターンがあるから、「どちらか片方の親だけでコンプリート」の確率は、その2倍、419万4304人に1人いることになる。

この確率なら…日本人に1人ぐらいはいるかな?ここで唐突にクイズ

[クイズ1]419万4304人に1人いる、選ばれし「(自分目線で)片方の親由来の遺伝子だけ受け継いだ」子は、今いる日本人・1億2333万4千人の中に、1人でも存在する確率はどのぐらい?
(=つまり、どのぐらいの自信を持って、「日本人の中に絶対1人はいる」と言い切れる?ってこと)

 日本人は結構いるけど、419万人に1人というレアケースだから、もしかしたらいない可能性も…?
 せっかくなので、続けてクイズ!

[クイズ2]…では、父親からは祖父(父の父)由来の遺伝子のみ、そして、母親からも祖父(母の父)由来の遺伝子のみを受け継いだ、「父方の祖父と母方の祖父の遺伝子のみ」を持つ(=父方の祖母と母方の祖母、涙目(笑))、いわば「スーパー男親遺伝子コンプリートさん」が日本にいる確率は?

…クイズの答は、記事の最後で!)

~おさらいおわり~

…おさらいといいつつ、新情報も盛り込んでしまった気もしますが(っていうか書いてる内に、あれよあれよとボリュームが膨らんで、むしろそっちがメインになってしまった)、後半の話も結構面白そうではあるものの(ちなみに、これは分子生物学というより、遺伝学ですね)、それは後回しにしましょう(なら何で書いたんだ…?)。

本筋に話を戻すと、極めて重要なポイントは、どの細胞にも核があり、その核の中にはDNAが格納されていますが、そこには、あなたを形成する全てのタンパク質の設計図(=遺伝情報)が存在している、ということですね。

上のおさらいで書いた通り(初出情報でしたが)、人間のDNAは60億文字でできているといわれてますから、どの細胞も、なんと中に60億文字ものDNAを抱えている、ってことになるんですね。

これも、「何億個どころか、何十兆個とある全部の細胞が?うそやん」と感じるポイントかもしれませんが、マジなのです。

どの細胞も、あなたを形成する全情報が記されたDNAを、きちんと一式持っているんですね。

なぜそう言い切れるのか?

それは、我々は皆、母親の卵細胞というたった1つの細胞が分裂し続けてできたものであり、細胞は分裂する時、DNAを完コピして、分裂元も分裂先も、全く同じDNAを保有するようにできているから、なんですね。

(そうじゃないと、分裂するごとにDNAが減ったり適当に分けられてたりしたら、最後の方の細胞が可哀想じゃないですか!
 分裂し続けて、ようやく肝臓まで出来上がったと思ったら、「メンゴメンゴ、肝臓で必要な遺伝子の情報、もうなくなってたわ(笑)」とかだったら、目も当てられません。

…いやまぁ、正直、「高度な仕組みで、細胞分裂時には、今後必要なDNAだけが新しい細胞に受け継がれるようにできているのです。その方が無駄がありませんからね」とか、ぶっちゃけ出木杉くんこと何でもありの生物ならあり得そうな気もするんですけど、実際流石にそれはありません(笑)。
 こればっかりは、凄いのか無駄なのか微妙なラインで、DNAは60億文字全情報を完全にコピーして、どの細胞にも自分のDNAが一式全部行き渡るように分裂し続けます。…いやまぁどう考えても凄いですね…!)

とにかく、どの細胞も、60億文字が記されたDNAを、核の中にひっそり忍ばせているというわけです。スゴいぞ細胞!

もちろん、何せ60億文字ですから、1文字がいくら塵芥(ちりあくた)のごときゴミ粒のような小ささであっても、全体では結構なボリュームになってしまいます。

どのぐらいのボリュームかといいますと、肉眼では流石に厳しいですけど、顕微鏡で見れば、自分の目で見れるぐらいの大きさになっているのです!

それが……これまた中学校理科で登場したはずで、恐らく名前はみなさまご存知、染色体

しかし、当時の僕含め、ほとんどの人が、核?DNA?染色体?遺伝子?何がどう違うのか、ワケワカメ!となることでしょう…。

用語だけ出しといてアレですが、途中の「自分の父親つまり子供の祖父の遺伝子コンプリート」みたいなしょうもない話(でも多分そっちの方が面白い)が長引きすぎたため、スペースの都合で、以降次回へ続く、という形にさせていただきます…。

例によってあまり進みませんでしたが、今回は、
「人間は、あなたも私もみんな、60億文字も記録されてるDNAを細胞の中にもっている。流石に60億文字ともなればかなりのボリュームであり、ギュッと詰まった結果、DNAは染色体という形で存在しているのだ!」
…ということを覚えておけば、それだけで完璧マスターといえましょう。
(逆にいえば、この1文で済む話を無駄に長々としていただけ。)

次回、染色体へと続く…!


~クイズの答~

[答1]419万4304人に1人しか生まれない「遺伝子の半分が、(子供目線で)祖父か祖母のどちらかのみでコンプリートさん」が、今の日本の人口・1億2333万4千人の中に、1人でも存在する確率は……

まさかの、100%!!(正確には99.9999…%だけど、これは、100%と断言可能)

400万人に1人という割とレアケースに見えても、1億人いれば、絶っっっ対に最低1人はいると断言できるんですね。
(大げさにいえば、サイコロを200回投げて、6の目が1回でも出る確率は、100%確実と絶対断言できるのと似たような感じで、99.9999…%ではあるけど、100%と断言して構わない、って話と同じ感じですね。
 嘘だと思うならやってみ?200回連続で6を出さないこと、死ぬまでサイコロ振り続けても、絶っっっ対できねぇから…としかいえないお話です)

(ちなみに、2000万人を調べた時点で、既に99%以上の確率で、最低1人は見つかる感じになっています。
 これに限らず、統計・確率の基本知識として、○分の1の確率で当たるクジは、○×3回やれば95%の確率で1回は当たる、○×5回(10分の1で当たるクジなら、50回ということ)やれば、99%の確率で最低1回は当たりを引ける、ということが知られているので、覚えておいて損はないでしょう。)

[答2]「両親ともから、父親由来(子供目線で、祖父)の遺伝子だけ」を引き継いだ、いわば「スーパー男親偏り遺伝子」さん、こちらが日本人の中にいる確率は……

まさかの、0%!!

絶っ対に日本に1人はいる「片方の親から、祖父母どちらか由来の遺伝子のみを受け継いだ人」と違い、こちらは、絶っっ対にいません!

理由は簡単で、838万8608分の1の確率を、2連続でつかみ取らなければいけない⇒ (1/8388608)×(1/8388608)=0.00000000000142と、(まぁこの数字を見てもあんまり違いは分かりませんが、言い換えると、)いきなり70兆3687億人に1人という、ありえないぐらい一気にレアな確率に跳ね上がるから、ですね。
(別に「スーパー男親」と限定せず、「どちら親でもいいから、一方の祖父母のみからコンプリート」でも、その4倍しかいないので、依然激レアであることに変わりありません。)

この小ささですと、日本人どころか、世界中の人間すらも通り越して、有史以来、おおよそ1000億人の人間が存在したといわれていますが、その中に1人いたかどうかも怪しい(多分いない)レベルのレアさです。

逆にいうと、父親と母親の遺伝子が混ざり合うことで、子供・孫…の遺伝子は、どんどんどんどん変わっていく、ということなわけですね。

まぁ、計算せずとも、そんなのは当たり前すぎる話だったかもしれませんが…。

遺伝というより、ただの統計・数学の話ですが、こういうのも結構面白いですよね。

脱線クイズおわり。

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