雑菌について知っておこう

日焼けやらニキビやらに端を発する一連の衛生関連ネタで、まだいくつか気になるものが残っていました。

 

直接出て来ていたのはこないだの手洗い記事だったと思いますけど、今回はズバリ、雑菌全般について触れられているHEALTH LIBRARY記事を見てみようかなと思います(↓)。

 

my.clevelandclinic.org

 

英単語としては「Germ」で、このジャームという語は意外と色々な意味があり、僕の専門の生命科学的には「胚芽」という意味で使われることも多いのですが、今回の衛生学的な文脈では、まぁ辞書だと「菌」とされることも多いわけですけど、科学的側面から言うと、「細菌」というのは、

・細胞の中の遺伝子DNAが剥き出しで存在している=核に膜を持たない(というか核という構造を持たない)

…という特徴を持つ生物グループのことなので、もちろん日常用語的には「目に見えないバイ菌全般」という意味で使われる言葉でもあるので決して間違いではないものの、「germ」という語が意味するのは必ずしも生物分類上の「細菌類」に限らず、「病原性を持つ微生物全般」を意味しますから…


…専門に近い立場の者としてはgermを「細菌」とするのは厳密に言うとズレている気がしてちょっと抵抗のある使い方なため、やはり「菌」(まぁ「バイ菌」とかも、悪い微生物全般を指す言葉ですからドンピシャですけど、でもこれはちょっと小学生っぽい響きもありますしね(笑))とか、他にももちろん「病原体」なんて表現もちょうどいいと思いますけど、まぁとにかく目に見えないレベルの小さな病原菌全般を意味する言葉ということですね。

 

今回のHEALTH LIBRARY記事では、↑の説明のような「germというのは、総称を意味する言葉です」というのを絵で示してくれるのを期待していたんですが、また画像なしの記事だったため、アイキャッチ用の画像として、クリーブランド・クリニックのライバルと言える真の世界一の医療機関、メイヨー・クリニックのgerm記事に良さ気なのがあったため(まぁ大したクオリティの画像でもないですけど(笑))、そちらをお借りするといたしましょう。

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/infectious-diseases/in-depth/germs/art-20045289より

上で書いていた、生物分類としてのいわゆる「細菌」というのは、英語だと「バクテリア」になるわけですね(bacteriaは複数形で、単数形だと画像にある通りbacteriumですが)。

 

germに含まれる細菌バクテリア以外のその他のバイ菌は、当然記事に出てくると思うので、それぞれ何者なのかは記事で見ていくといたしましょう。

 

雑菌(Germs)

雑菌は、空気中から地面、更には体の中まで、どこにでも存在する生物です。雑菌の主な種類は、細菌(バクテリア)、ウイルス、真菌、原虫です。ある種の雑菌は体に良く、健康を維持してくれるものもあります(※注:日本語の「雑菌」だと有用微生物は含まないイメージなので、「雑菌」も必ずしも完璧な訳語ではないかもしれませんね。あくまでこれは「germs」と表現されるものの説明です)。その他の雑菌は害を及ぼし、危険でさえあります。手を洗うことで、雑菌の蔓延を防ぐことが可能です。

 

雑菌とは何?

雑菌とは、病気を引き起こし得る微生物あるいは微生物叢です。身の回りのあらゆる所で見られる生き物です。雑菌は空気、水、土の中にいます。植物や動物、そして食べ物にもいます。雑菌は、触れる表面や物に付着しているものです。体内や皮膚表面にも存在しています。

雑菌は日常生活の一部です。菌の中には無害なものもあり、役に立つものさえ存在します。健康維持のために必要なものなのです。しかし、有害な雑菌もいます。そういった雑菌が体内に広がると、病気になる可能性があります。病気につながる雑菌の蔓延は、手洗いをすることで防ぐことがで可能です。

 

雑菌の異なる種類とはどんなもの?

雑菌の主な4種類のタイプは、細菌(バクテリア)、ウイルス、真菌、原虫となります。

 

細菌(Bacteria)

細菌は小さな単細胞生物で、周りの環境から栄養を得ています。細菌の中には体に良いものもあります。消化器官を正常に機能させ、有害な雑菌の侵入を防いでくれるのです。

一方、病気や感染の原因となる毒素を出す細菌もいます。虫歯、尿路感染症、および溶連菌感染症などがこれにあたります。医療従事者は、細菌感染の治療として、抗生物質を使用する可能性があります。

 

ウイルス(Viruses)

ウイルスは完全な細胞ではありません―遺伝物質をタンパク質のカプセルに包んだだけのものです。ウイルスは生きた細胞なしでは生存できません。ウイルスが繁殖するには、生きた細胞を持つ宿主が必要なのです。ウイルスが宿主(人間の体など)を見つけると、簡単に広がって病気になってしまいます。

風邪やインフルエンザのような軽い病気を引き起こすウイルスもあります。他には、麻疹(はしか)やHIV/AIDSのような深刻な病気を引き起こすウイルスもいます。抗生物質はウイルスには効果がありません。医療従事者は、抗ウイルス薬で、限られた数のウイルス感染症なら治療することが可能です。

 

真菌(Fungi)

真菌(FUN-guy(ファンガイ)と発音します)は、複数の細胞を持つ、植物に似た生物です。真菌は細菌と同様、動物や植物から栄養を得ます。菌類は暖かく湿った環境で増殖します。真菌の例には、青カビ、白カビ、キノコ、酵母などが含まれます。

ほとんどの真菌感染症は、健康な方々にとって危険なものではありません。一般的な真菌感染症には、酵母感染症や水虫などがあります。医療従事者は、抗真菌薬で真菌感染症を治療することがあります。

 

原虫(Protozoa)

原虫(pro-toe-ZO-uh(プロトゥゾゥアと発音します)は、細菌と同じ単細胞生物です。しかし、原虫には核があり、より動物や植物の細胞に似ています。原虫は湿気を好むので、汚染された水を通して病気を広めることが多いです。

原虫の中には寄生虫もいます。寄生虫は植物や動物に寄生しないと生きていけません。マラリアトキソプラズマ症が寄生虫感染の例です。医療従事者は、抗寄生虫薬で寄生虫感染を治療することがあります。

 

雑菌はいつ発見されたの?

雑菌の歴史は何世紀も前に遡ります。アントニ・ファン・レーウェンフックというオランダの科学者が、1676年に初期の顕微鏡を使って初めて雑菌を発見しました。その後、長い年月を経て微生物学が発展するにつれ、多くの発見がなされました。

1857年、フランスの化学者ルイ・パスツールが、食品は微生物による汚染で腐敗することを証明しました。これが、病原体として知られる雑菌が感染や病気を引き起こすという、病気の病原体説(germ theory of disease)につながったのです。この発見以前は、科学者は自然発生説を信じていました。生物は非生物から発生すると考えられていたのです。

 

雑菌はどういう風に見えるの?

ほとんどの雑菌は肉眼で見ることができません―あまりにも小さすぎるからです。もし顕微鏡で雑菌を見るとしたら、小さな球や棒や渦巻きが見えることでしょう。とても小さいので、消しゴムの上に1000個の雑菌が並ぶこともできるぐらいです。

 

雑菌はどうやって広がるの?

雑菌は様々な方法で広がります。以下のような方法で広がり得ます:

  • 雑菌を持っている人に触れる、あるいは密接に近付くこと。これには、抱き合ったり、キスをしたり、食器を共有したりすることが含まれ得ます。
  • 雑菌を持っている人がくしゃみや咳をした後の空気を吸い込むこと。
  • 雑菌を持っている人のウンチに触れること。これは、赤ちゃんのおむつを交換した後に、自分の鼻、口、または目に触れることを通して起こるかもしれないものです。
  • 雑菌が付着した表面や物に触れた後に、鼻、口、または目に触れること。

雑菌は以下からも広がる可能性があります:

  • 妊娠中または出産時の親から子へ
  • 動物や昆虫による咬傷
  • 汚染された土壌、植物、食物、または水

 

雑菌はどれくらいの期間、表面で生きているの?

雑菌は、種々の要因に依りますが、数分から数ヶ月の間、表面に生息することが可能です。その要因には以下が含まれます:

  • 雑菌: どの種類の雑菌―細菌、ウイルス、真菌、原虫のいずれ―なのか?
  • : 表面に残っている雑菌の量はどれくらいか?
  • 表面: どのような表面―柔らかい(多孔質)か、硬い(無孔質)―なのか?
  • 環境: その場所の温度と湿度はどれくらいか?

ウイルスは通常、ステンレスやプラスチックなどの非多孔質表面の方が、布やティッシュなどの多孔質表面よりも長生きします。

風邪の菌は表面に付着しても1週間ほどは生きられますが、最初の24時間で感染能はなくなります。手に付着した風邪の菌は、最長1時間生き続けることが可能です。インフルエンザウイルスは、硬い表面上では24~48時間生きられます。コロナウイルスは数時間から数日間生き続けます。

大腸菌サルモネラ菌などの細菌は、20分しか生きられませんが、硬い表面上では最大4時間生き続けることが可能です。クロストリジウム・ディフィシル菌(C. diff)は、硬い表面上では最長5ヶ月間生存する可能性があります。

 

過酸化水素は雑菌を殺せる?

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、過酸化水素を使えば、非多孔質表面上の細菌やウイルスを含む様々な雑菌を殺すことができるとのことです。最良の結果を得るには、過酸化水素を表面にスプレーし、少なくとも1分間放置してから拭き取るようにしてください。

 

何が雑菌を殺すの?

多くの一般的な方法で雑菌は死滅しますが、中には死滅しないものもあります。

 

消毒用アルコールは雑菌を殺せる?

イソプロピルアルコールが70%以上含まれていれば、ハンド・サニタイザー(手指消毒剤)などの消毒用アルコールは、雑菌を死滅させることが可能です。最良の結果を得るには、消毒用アルコールを表面にスプレーするか拭い、少なくとも30秒間放置してから拭き取るようにしてください。

 

酢は雑菌を殺せる?

いいえ。CDCによると、酢や酢を使った製品は、インフルエンザウイルスやコロナウイルスを含むほとんどの細菌やウイルスには効果がないとのことです。原液のホワイトビネガーは雑菌の種類によっては効くかもしれませんが、雑菌を殺す最も効果的な方法ではありません。

 

熱は雑菌を殺せる?

世界保健機関(WHO)によると、ほとんどのウイルスを死滅させるには、少なくとも華氏140度(摂氏60度)の温度があれば十分とのことです。お湯を沸騰させれば食品に付着した雑菌を殺すことができますし、食器洗い機を動かせば食器を滅菌するのに十分です。

 

熱湯は雑菌を殺せる?

アメリカ農務省によると、熱湯は雑菌を死滅させることが可能ですが、その破壊レベルはいくつかの要因に左右されるとのことです。それには以下が含まれます:

  • 雑菌の耐熱性
  • 雑菌が熱湯にさらされる時間
  • お湯の温度
  • 存在する食物や植物の粒子

 

どうすれば雑菌の蔓延を防げる?

雑菌の蔓延を防ぐ方法は沢山あります。一番良いのは、石鹸と水で少なくとも20秒間、定期的に手を洗うことです。高温でほとんどの雑菌は死滅しますが、冷水で手を洗っても問題ありません。これは、水は余分な汚れを落とすのに役立ちますが、手を洗うときに雑菌を殺すほど十分な熱を得られることはないからです。

雑菌の蔓延を防ぐその他の方法には、以下が含まれます:

  • イソプロピルアルコールを70%以上含むハンド・サニタイザーを携帯する。これは、石鹸と水で手を洗うことができないような、ピンチの時に役立ちます。
  • くしゃみや咳は肘を被せてするか、ティッシュで鼻や口を覆うようにする。
  • 具合が悪いときは家に留まる。
  • 病気の人を避ける。
  • 食品の調理や保存の際には、食品を適切に扱う。
  • よく触る表面や物はこまめに掃除して消毒するようにする。

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

雑菌はどこにでもいます。生活の一部なのです。腸内細菌など、一部の雑菌は実際に体に良く、健康を維持してくれます。しかし、他の雑菌は害を及ぼし得、危険でさえあります。雑菌の蔓延を防ぐ方法はいっぱい存在します。最も良い方法は、単純に石鹸と水で手を洗うことです。水場が近くにない場合は、ハンド・サニタイザーが良いバックアップになってくれるでしょう。

 

まぁ「細菌と真菌は違う」みたいなことを知った所で、生活する上では特に何の意味もないんですけど、一口に「雑菌」と呼ばれるものの中には、そういう異なるグループがいるということですね。

 

メイヨーの画像には挙がっていたのにクリ・クリの記事には言及がなかったものに「Helminth」というのがありますけど、これは「蠕虫」のことで、より分かりやすい日常語でいえば「寄生虫」ですから、記事中ではちゃんと「パラサイト」という別名で挙がっていた感じでした。

蠕虫にはサナダムシなんかも含まれますし、必ずしも「目に見えない微生物」とも限らないのが「germ」と言えるのかもしれませんね。

 

せっかくなので、まぁ大した話もない気がしますけど、バクテリアのHEALTH LIBRARY記事も目に付いたため、次回は雑菌の代表格といえる細菌(バクテリア)についてだけ、お茶濁し程度に見てみようかなと思います。

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