朝食記事で紹介されていた興味深い食事・栄養関連ネタを順に消化させていただいている形ですが、心臓に優しい食事、カフェインと来て、次に出て来ていた気になるものは、ズバリ、断食!
「断食」自体は「fast」であり、「速い」という意味のファースト(より正確にはファスト)と全く同じ語なわけですが、まぁこないだの朝食記事にもあった通り、「朝食」を意味する英単語「breakfast」は「fastをブレイクする」ということで、「断食を破る」という意味から転じて「朝食」として使われるようになった語ですから、そこそこ馴染みはある言葉かもしれません。
そして、断食の中でも最近流行なのは「intermittent」という形容詞つきのもの……これは「間欠」と訳されることが多い語で、要は「途切れ途切れな」という意味の言葉ですが、「断続的な」とも言い換えられるものであり、この断食法自体も、「間欠性断食」「断続的断食」など複数の表記法があるようで、ウィッキー先生の表記(↓)は「断続的」のようですけど…
…なんか「断」が連なってダンダンうるさいですし、なんとなく響き的に「間欠」の方が簡潔で聞きやすい気がするので、今回は「間欠的断食」という表記で統一させていただくといたしましょう。
それでは今回も、世界を代表する最先端医療機関、クリーブランド・クリニックのまとめ記事を丸っと翻訳引用させていただこうと思います。
間欠的断食の説明: メリットと安全なやり方(Intermittent Fasting Explained: Benefits and How To Do It Safely)
食事と断食を交互に行うための、いくつか異なる方法が存在します
ダイエットと栄養の世界にはトレンドで溢れていますが、その中でも勢いを増しているのが断食です。間欠的断食の人気が高まるにつれて、場合によってはこの断食法を単なる流行以上のものとして支持することになるかもしれないような、より多くのデータが展開されています。
登録栄養士のジュリア・ズンパノRD/LD(登録栄養士/管理栄養士)が、間欠的断食のスケジュールと、それが健康とウェルネスの目標達成にどのように役立つかを理解するためのお手伝いをしてくださいます。
間欠的断食とは何?
間欠的断食とは、食べる期間と絶食する期間を交互に繰り返すことです。このタイプの食事は、断食の「パターン」、「サイクル」、または「スケジュール」と表現されることがよくあります。
間欠的断食は、身体を飢餓状態にするものではありません―短期間だけカロリーを減らすものなのです(参考:断食期間中は水や、ブラックコーヒーおよび紅茶などの飲料を飲んでも構いません)。
考え方としては、少量の食事で体が満足するようになり、不健康なスナック菓子への欲望も減るようになる、というものです。ただしこれは、しっかりと断食をこなす間、健康的な食生活を維持するならば、という条件付きのものになります。
効果的な方法はいくつか存在しますが、結局は個人の好みに帰着します。
「間欠的断食を試してみたいのでしたら、何が自分に一番合っているのかを見極める準備が必要です」とズンパノ栄養士は言います。「まずは試行錯誤が必要かもしれません。」
例えば午前9時から午後5時までというように、1日の内8時間だけに食事を制限し、16時間断食するのが簡単だと思う方もいらっしゃれば、それでは大変すぎて断食の時間を短くする必要があると思われる方もいらっしゃいます。
間欠的断食のメリット
では、間欠的断食には効果があるのでしょうか?そして健康的なのでしょうか?
中には体重管理のために間欠的断食を試みる方もいれば、他には過敏性腸症候群(IBS)や高血圧のような病状を改善するために行う方もいらっしゃいます。
間欠的断食には以下のようなメリットがあるかもしれません:
- 炎症を抑える
- 血中トリグリセリド(中性脂肪)の減少
- 食欲を抑える
- 血糖値の改善
- 血圧の改善
- 腸内環境の改善
- 免疫系の改善
- 集中力の向上
- 睡眠の質の向上
- 老化の兆候を抑える
- 体重減少
「間欠的断食は、インスリン、食欲、炎症の抑制から、高血圧、高コレステロール、IBSといった健康状態の改善まで、複数の健康に良い結果をもたらすことが示されています」とズンパノ栄養士が情報を共有してくれています。
断食のスケジュール
断食のやり方に関して言えば、食事全体の中で適切な栄養を維持し、身体を不必要なリスクに晒さないようにしたい所です。
「減量には、決して万能のアプローチ法は存在しません」とズンパノ栄養士が強調しています。「間欠的断食が持続可能な方もいれば、このやり方が自分には合わないと思う方もいらっしゃいます。」
間欠的断食を試したいなら、まず、この食事スタイルを自分の生活にどう取り入れるか、特に社交行事や活動的な生活を送ることに関してどうするかを考える必要がありましょう、とズンパノ栄養士がアドバイスをくださっています。
自分に合う方法を探す準備はできましたか?ズンパノ栄養士が、最も人気のある断食のタイプをいくつか説明してくださいます。
16/8または14/10メソッド
この時間制限法では、間欠的な断食の時間と、食事ができる特定の枠を設定します。例えば、1日の内16時間断食し、8時間だけ食事ができるといった具合です。
ほとんどの人は、寝ている間に既に断食しているので、この方法は人気があります。
「朝食(ブランチ(※breakfastとlunchの合成語で、「遅い朝食」のこと)の人もいますか?)を抜き、夕食を少し早く始めることで一晩の断食を延長すればいいため、これは便利ですね。この断食法は、初めて間欠的断食に挑戦しようとする多くの方々にとって、より安全な方法と言えましょう」とズンパノ栄養士が語ります。
最も一般的な断食フレームには、以下のようなものがあります:
- 16/8方式: 午前10時から午後6時までの間だけ食事をします
- 14/10方式: 午前9時から午後7時までの間だけ食事をします
ズンパノ栄養士は、効果を得るために、なるべく多くの日でこの断食を行うことを勧めています。
繰り返しになりますが、この方法に適した食事と断食の時間帯を見つけるには、特に非常に活動的な方あるいは朝食前に空腹で目が覚める方にとっては、試行錯誤が必要かもしれません。しかし、ズンパノ栄養士は、外が暗くなる前にカロリーの大半を摂取することが重要だと言います。断食は、就寝の少なくとも3時間前に始めるよう提言もされています。
「夜中の間食は、カロリーが高くて栄養価の低いスナック菓子が一般的ですが、これは血糖値を急上昇させ、カロリーや炭水化物の過剰摂取につながってしまいます。夜食のほとんどは習慣的なものです」とズンパノ栄養士が付け加えています。
実際にお腹が空く場合、ズンパノ栄養士は、夕食にタンパク質と食物繊維を追加することを勧めています。寝る前に血糖値を正常化させる時間を作るため、夕食後に何かを食べることは避けましょう。
5:2メソッド
この週2回の間欠的断食法は、週に2日間、カロリーを500キロカロリーに抑えることに重点を置いたものになります。残りの5日間は、健康的な通常の食事を維持する形です。
断食の日は、通常、200キロカロリーの食事と300キロカロリーの食事を摂ります。断食中の満腹感を高め、カロリーを低く抑えるために、高食物繊維と高タンパク質の食品を中心に摂ることが重要です。
断食しない日が間にあれば、2回の断食日はお好みで選ぶことができます(例えば火曜日と木曜日)。非断食日には、普段と同じ量の食事を摂ることを心がけしましょう。
日替わり断食
1日おきに断食を「変更」する方法です。例えば、断食日の摂取カロリーを500 kcal―または通常摂取の約25%―に制限します。非断食日は、通常の健康的な食事を続けます。(この方法には、500キロカロリーの代わりに0キロカロリーを交互に摂取するという厳格なパターンもあります。)
興味深い注釈: ある研究では、このパターンの間欠的断食を6ヵ月間続けた人は、更に6ヵ月間断食を続けた後、LDL(いわゆる「悪玉」)コレステロール値が有意に上昇してしまったそうです。
食べる:止める:食べるメソッド
この24時間メソッドは、24時間完全に絶食するというものです。多くの場合、週に1度か2度しか行いません。ほとんどの方は、朝食から朝食まで、または昼食から昼食まで断食を行います。このタイプの間欠的断食では、疲労、頭痛、イライラ感、空腹感、エネルギー低下など、副作用が極端になることがあり得ます。
この方法を行う場合、断食しない日は通常の健康的な食事に戻すべきです。
断食のリスク
間欠的断食は、以下を含む一部の方々にとっては安全でありません:
- 妊娠中または授乳中の方
- 栄養不良の方
- 低血糖症の方
- 特定の慢性疾患のある人
- 小児
閉経前の女性といった月経のある方々も、断食はホルモンに影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
「摂食障害の既往歴がある方や現在治療中の方は、医師の監督なしに断食ダイエットを試みるべきではありません」とズンパノ栄養士がアドバイスしています。「間欠的断食は、その制限のために、人によってはドカ食いやオルトレキシア(※自分が不健康だと考える食品を徹底的に避ける新型の摂食障害)の可能性を高めてしまうことも知られています。」
間欠的断食を試してみたいと思っている方は、あまり美しくない副作用にも注意する必要があります。イライラしたり、低エネルギー状態になったり、空腹感が続いたり、気温に敏感になったり、仕事や活動のパフォーマンスが低下したりといったことにつながる可能性があり得ます。
結論は?
間欠的断食の利点と、それが長期的に健康に対してどのような影響を与えるかについては更なる研究が必要ですが、有望なデータは沢山存在しています。どなたもぜひ試してみたいと思うものかもしれません。
間欠的断食を始めるにあたって、ズンパノ栄養士が以下のようなアドバイスをしてくれています:
- ルーティーン(※この場合、「決まった手順」という感じですね)を持つ。断食することにした日の、食事と断食をする時間枠は同じに保ちましょう。
- 飲む物に気を付ける。断食状態を維持するためには、カロリーのある食べ物や飲み物を摂取してはいけません。ズンパノ栄養士によれば、断食中は水、炭酸水、ブラックコーヒー、および無糖の紅茶は全て許容されるとのことです。
- 人工甘味料は避けるか制限する。サッカリン、アスパルテーム、スクラロースといった人工甘味料は、断食状態から脱却してしまう可能性があります。
- 電解質を考慮する。電解質ドリンク、パウダー、タブレット、あるいは電解質入りの水を選びましょう。電解質は、ふらつき、疲労感、血圧低下など、断食によるネガティブな副作用を軽減するのに役立ち得ます。
最終的には、断食を始める前にかかりつけの医療従事者に連絡し、断食について相談すべきだと言えます。ご自身の健康状態を誰よりもよく知っているのはかかりつけ医であり、こういった間欠的断食の選択肢がご自身に合っているものかどうかについて、適切な指導を行ってくれることでしょう。
また、断食を試す場合、治療中の投薬計画に影響が出る可能性があることも念頭に置いてください。薬を飲む時間を変更する前に、必ずかかりつけの医療従事者に相談するようにしましょう。
「断食は健康増進のための素晴らしい方法になり得ますが、不適切な方法で行うと、健康に悪い結果をもたらす可能性があります」とズンパノ栄養士が警告します。「持続不可能な極端な断食は避けましょう。続けることが可能で、気分が良く、必要な栄養素を満たせる方法をお選びください。断食は、何よりもまず、あまり健康的でない食品を減らし、栄養価の高い食品に集中するための素晴らしい方法なのです。」
…まぁ「どれがベストかは人による」ということなので当然かもしれませんが、どれも一長一短と言いますか、結局どれも科学的なメカニズムについてまでは語られていなかったこともあり、何かイマイチ「これは凄そうだ!やってみたいなぁ」と思えるものはなかった気がします。
というか僕はそもそも必要性を感じないのであえてやってみることはないと思いますが、「日替わり法」だけは「悪玉コレステロールが爆上げした」とか「それダメじゃん、ヤバすぎじゃん(笑)」と思えましたけど、一応どれも天下のクリーブランド・クリニックお墨付きの方法ということで、基本的に「栄養摂取習慣を改善する」のが目的とのことですし、「どうも不健康な食生活になってしまっている」とお悩みの方は、やりやすそうなものをチャレンジしてもいいかもしれませんね。
(というか、「断食」と大げさな表現をせずとも、「16時間の絶食時間を設けると、空腹状態による代謝の活性化がどうたらこうたらで、非常に良い」とダイエット系の話で最近よく耳にする気がしますが(※しばしば「オートファジー」とかも挙げられていますけど、まぁクリーブランド・クリニックがそこに触れてない以上、科学的にしっかり立証された話ではないように思えます)、仕組みはともかく経験的にはズンパノ栄養士的にも「悪くはない行為」という評価のようで、安心して試せるものといえる感じでしょうか。
…正直、「朝食はやっぱり、できれば摂った方がいい」ってのと矛盾する気も……いや、朝食べて、7-8時間後、少し早めの夕食にすれば普通に両立も可能ですかね?
改変型として、「14時間バージョン」もあるということですし(これなら10時間の猶予あり)、改めて、自分に合ったもの(やりやすいもの)を見つけるのがベストだと言えそうです。)
今回の記事にも、より詳しい絶食法の詳細含めいくつか興味深いリンク記事が貼られていたので、次回はまたそちらに脱線しようかな、と思います。