クリーブランド・クリニックによるダイエット記事シリーズ（減量ネタではなく、食餌療法という意味でのダイエットですが）、ケトン・ダイエット、クリアリキッド・ダイエットと来て、続きましてはエレメンタル・ダイエット！
中二男子的な心がくすぐられる、ファンタジー的な響きもあるこちらですが、「エレメント」というのは普通に「要素・元素・成分」といった意味の言葉であり、日本語ではズバリ、「成分栄養剤」という、一気に何かショボそうな感じになる気もする（別にそんなことないかもですが(笑)）、こちらは食餌療法というより、食事そのもの・物質を指す感じのものと言えそうですね。
（とはいえ↓のウィキペディアによると口から摂る食事ではなく、経腸で用いられるもののようですし（※追記注：…と思ったら、HEALTH LIBRARY記事を読んでいくと、経口剤も存在するとのことですね）、記事1文目には「医療的なプロトコル（＝手順・方法）です」とあったので、日本語だと単なるサプリっぽい響きもあるものの、やはり食餌療法の一環という意味合いが強いのかもしれません。）
例によってウィ記事を見れば概ね分かりやすくまとまってるんですけど(笑)、まぁせっかくなので天下のクリ・クリHEALTH LIBRARY記事のまとめも参考にさせていただくといたしましょう。
成分栄養剤（Elemental Diet）
成分栄養剤とは、特定の胃腸病に対して処方される医療手法のことです。この食事療法は、完全な栄養を最も元素に近い形（エレメンタル）にまで分解した、液体製剤で構成されています。この「事前に消化された」栄養は上部消化管で容易に吸収されるため、下部消化管は休息し、病気や怪我から回復することができるようになるわけです。
概要
成分栄養剤って何？
成分栄養剤は、最も「元素的（エレメンタル）」な形にまで分解された、完全な栄養バランスを提供する、液体の食事代替食です。タンパク質、脂肪、炭水化物は、アミノ酸、短鎖トリグリセリド、短鎖マルトデキストリンに分解されており、さらにビタミン、ミネラル、電解質と組み合わされています。こういった栄養的「構成要素」は上部消化管で容易に吸収されるため、消化器系の他の部分は休息し、病気や怪我からの回復に努めることができます。いくつかの製剤が、処方薬や非処方薬の形で市販されています。液状や、水と混ぜて飲む粉末のものが入手可能です。経口または経腸（チューブを介して）摂取することが可能となっています。
成分栄養剤は何に使われるの？
成分栄養剤は通常、重度の胃腸病や胃腸の手術後の回復期で、治療のために消化器系を休ませてあげる必要のある方に対し、医学的に処方されるものです。消化器系を休ませることで、炎症の再燃（フレアアップ）を鎮め、食物刺激に対する自己免疫反応を防ぎ、増えすぎた腸内細菌を飢餓状態にすることができます。時には、栄養不足に悩む方々に栄養補助食品として処方されることもあるかもしれません。医学的監理の下、この食事療法を行う期間と摂取カロリーに関しては、それぞれの方に合わせてカスタマイズされます。この食事療法は指導を受けることが推奨されますが、腸の問題に効果があるかどうかを確認するために短期間試してみたい場合は、一般的に安全なものとなっています。
成分栄養剤はどんな症状に推奨されるの？
以下のいずれかに該当する場合、かかりつけの医療従事者が成分栄養剤を勧めることがあるかもしれません：
炎症性疾患または自己免疫疾患
補助栄養を必要とする状態
- 食欲不振
- ガン
- HIV
消化器系が十分に機能していない状態
- 短腸症候群
- 膵不全
成分栄養剤を用いるべきではない人は？
- 糖尿病といった、血糖値の高い状態にある方。成分栄養剤には炭水化物が多く含まれており、これにより血糖値スパイクが引き起こされる可能性があります。
- 体重を減らそうとしている方。成分栄養剤は、使うカロリーの量ではなく、使うカロリーの方法を変えるように設計されています。事前消化済みの食品が必ずしも体重管理に良いとは限りません。広範囲の病状に適しているものなのです。
手順の詳細
成分栄養剤を始める前にすべきことは？
理想的には、ご自身の症状や、この食事療法から何を得たいのかについて、資格を持った医療従事者に相談すべきだと言えます。ご自身の状態に応じて、担当医は、急性の症状に対処するために3～5日間にわたるこの食事療法を勧めるかもしれませんし、消化器系に回復のための休息と再起動の余力を与えるために、数週間にわたるこの食事療法を勧めるかもしれません。また、体にとって必要なカロリーを満たすために、どれくらいの量の栄養剤を摂取すればよいかも教えてくれることでしょう。医療従事者は、この食事療法中に空腹感を覚えてしまったり、飢餓状態に陥ったりすることがないように、高カロリーのものに寄せてくることが多いです。
成分栄養剤摂取中、食べ物を食べたり、他の液体を飲んだりしていいの？
完全な成分栄養剤では、他の食品は一切食べません。この食事療法のポイントは、食べ物を置き換えて、消化活動を最小限に抑えることなのです。この療法に忠実に従うことで、腸が回復するのに必要な休息をとることができます。何も加えないお茶は飲んでもよいとされる可能性はあります。
二次的な栄養補給が必要な方や、完全食への移行期、あるいは完全食からの移行期に、医療従事者が「ハーフ成分栄養剤」を勧めてくることも時折あります。この場合、栄養剤でカロリーの半分を摂取し、残りの半分を食事から摂取することになります。
ハーフ成分栄養剤用に特別に販売されている製剤の中には、完全な栄養剤でないものもあります―例えば、MCTオイルやホエイが含まれていることがあるかもしれません。これらは完全に分解されたタンパク質や脂質源ではありませんが、一般的に消化しやすく、ハーフダイエットを続けやすくしてくれるものになっています。
成分栄養剤を乗り切るには？
この食事療法は非常に制限の多いものであり、困難な挑戦になり得ます。成功させるために、医療従事者は次のことを推奨しています：
- 冷たく保つこと。氷とブレンドしてスムージー風にすると、より飲みやすくなります。
- 吐き気を防ぐため、ゆっくりと口に含み、「食事」の間には水をたくさん飲むこと。
- 持ち運べるようにすること。外出先でお腹が空かないように、製剤を入れておける温度調節可能な魔法瓶を用意しましょう。
- 忙しくすること。食事に関係のない楽しい活動や良い仲間と一緒に、気を紛らわせましょう。
成分栄養剤で起こり得る副作用は何？
この食事療法中に、実際に症状が改善しているのか、それとも悪化しているのか疑問に思うような症状が現れるかもしれません。医学的なガイダンスがこれを解決する手助けになり得ます。症状には以下が含まれる可能性があります：
- 腹部のけいれん。流動食を始めて最初の数日間は、大腸に詰まっていたうんちがゆるみ、ガスが発生したり、残っていたうんちが押し出されることで不快感を感じたりすることがあるかもしれません。これは一時的に気分が悪くなる症状ですが、何か良いことが起こっていることを示しています。
- デトックス症状。腸を休ませている間、肝臓はこの機会を利用して、余分な毒素を排出することがあり得ます。そのため、頭痛、ふらつき、吐き気、疲労感といった、一時的なデトックス症状が現れる可能性があります。デトックスは数日間気分が悪くなりますが、ほとんどの人はその後ずっと気分が良くなります。
- 細菌の死滅症状。小腸内細菌の過繁殖や小腸内真菌の過繁殖がある場合、成分栄養剤は、下部消化管でそういった菌を効果的に飢えさせることで、大量に死滅させることにつながります。その結果、デトックス症状が現れる可能性があります。こういった症状は通常、食事療法を始めて数日後に現れ、そこからさらに数日後に引いていくものです。
- 運動性の低下。成分栄養剤では、排便の回数が減るのが一般的です。そのため、特にまだ出ていないうんちが大腸に残っている場合、便秘になったと勘違いする方がいるかもしれません。この食事療法が便秘の原因になることはありませんが、腸の働きが鈍くなることはあり得ます。これは自然なことで、一般的には心配する必要はありません。
成分栄養剤の摂取後は何をすべき？
消化器系が再び活性化していくために、徐々に食品摂取を再開することが重要です。医療従事者は通常、移行期間中はハーフ成分栄養剤または低FODMAPダイエットを行うことを推奨しています。また、腸内に有益な細菌叢を再増殖させるためのプロバイオティクスや、腸が再び規則正しく動き出すように刺激するプロキネティック剤（消化管機能改善薬）が勧められることもあるかもしれません。より規則正しい食生活に戻ったら、種々の異なる食品が消化器系に与える影響に注意してみるようにしましょう。あまりに苦痛を感じる食事があれば、少し控えて、後日また試してみるようにしてください。
リスク／メリット
成分栄養剤のメリットは何？
この食事療法の主な効果は以下の通りです：
- 腸の休息。栄養を犠牲にすることなく、消化器系が重い病気や怪我を治すことを可能にします。
- 炎症の軽減。急性および慢性疾患の多くは、消化や生活の質に影響を与える、一時的な炎症のフレアアップを引き起こします。消化器系の刺激物を減らすことで、炎症が治まるチャンスが生まれます。
- 細菌過剰繁殖の抑制。増えすぎると問題を引き起こす類の腸内細菌は、下部消化管の未消化の食物に依存して生きています。成分栄養剤では、食べ物を下部消化管に入れないようにすることで、問題のある細菌を飢餓状態にし、バランスを回復させてくれます。
成分栄養剤のデメリットは何？
- 味。ほとんどの製剤には味がついていますが、それでもあまり美味しくないという評判です。
- 飽きる。毎日毎日、同じ製剤を飲むのは辛いかもしれません。食べる物に感情移入しやすい方にとって、これはネガティブな感情を引き起こす可能性があります。
- 炭水化物が多い。血糖値が高い人や炭水化物不耐症の人には合わないでしょう。
医師に連絡する時
いつ医療機関を受診すべき？
この食事療法中は定期的に担当医と連絡を取り、現在の様子を伝えてください。ご自身の手法を調整することが有益か有害かを教えてくれるでしょう。
クリーブランド・クリニックからのメモ
成分栄養剤は何十年もの間、臨床の場で用いられてきましたが、最近では外来患者向けのプロトコルとしてより人気が高まっています。SIBOと炎症性腸疾患の症状緩和における成功率は十分に証明されています。その他の関連疾患についてはそれほど徹底的な研究は行われていませんが、理論的にも評判的にも、同じような恩恵が得られる可能性はあるといえます。慢性の炎症性疾患を患っている場合、かかりつけの医療従事者が介入として成分栄養剤を勧めてくるかもしれません。専門家の指導があれば、一時的なこの食事療法はほとんどの方が安全に試すことが可能です。困難があるかもしれませんが、それだけの価値がある結果が得られるかもしれませんよ。
「味がヤベェです」「楽しいことをして根性で乗り切りましょう」とか書かれてて笑いましたが、市販されているものもあるようですね。
今回の記事には画像がなかったので、検索して出てきた市販のエレメンタル・ダイエットをペタリと貼っておしまいとさせていただきましょう（検索結果は、宣伝商品画像以外は、トップにHEALTH LIBRARY記事が来ていましたね）。
個人的には、食に全くこだわりがないので、栄養バッチリということですし、必要になったら率先して試してみたい限りです（クリーブランド・クリニックお墨付きの「味に課題」がどれだけ不味いのかも気になりますしね(笑)）。
