IBDより少しマシなIBS…でも大変!

前回の記事では、お腹ゴロゴロ(というレベルを遥かに超えた難病ではありますが)大変なIBD炎症性腸疾患)というものを見ていましたが、そこでも軽く触れられていたように、IBSという名前からしてそっくりな疾患も存在するため、今回はこちらを参考に見ていく形とさせていただきましょう。

 

my.clevelandclinic.org

 

違いは、名前末尾のDとSになるわけですが、実はそちらよりも遥かに大きな違いがまさかの先頭の「I」にあり、IBDは炎症性=inflammatoryでしたけど、今回のIBSは過敏性という日本語で表記される、Irritableという単語であり、どちらも腸=bowelの病気であることには変わらないのですが、大きな違いは炎症性か否かということが第一に挙げられるといえる感じですね。

(ちなみにirritableという語は、「irri-」という部分が日本語の意味というか音に近い感じで覚えやすい、「イライラさせられる」という意味でもあります。「irritate」で「イライラさせる」という動詞にもなる感じですね。

 それから、末尾のD=diseaseとS=syndromeは、ディジーズ=「疾患」とシンドローム=「症候群」という違いで、まぁその辺はそれぞれ定義もあることにはあるものの、一般的にはどちらも「病気」と考えて問題ない気がします。)

 

それでは今回も上記HEALTH LIBRARY記事を翻訳引用させていただこうと思います。

 

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome (IBS))

過敏性腸症候群、あるいはIBSは、不快なまたは痛みを伴う腹部の症状を引き起こします。便秘、下痢、ガス、および腹部膨満感は全てIBSの一般的な症状です。IBSが消化管を傷つけたり、大腸がんのリスクを高めたりすることはありません。多くの場合、薬物療法、食事療法、生活習慣の改善によって症状を抑えることが可能です。

 

概要

過敏性腸症候群IBS)とは何?

過敏性腸症候群IBS)とは、消化器系に影響を及ぼす症状群の1グループです。一般的によく見られる病気ですが、不快な胃腸の病気、つまり腸に影響を及ぼす症状になります。

IBSの患者さんは、腹痛やけいれんなどの症状に苛まれます。IBSでは、頻繁な下痢や便秘、またはその両方が同時に起こることもあり得ます。IBSはGI(胃腸)管(※前回も出てきましたが、「GI」自体はまさに「胃腸」を意味する単語(gastrointestinal)ですが、「GI tract」で「消化管」と読むのが一般的ですね)の組織損傷を引き起こしたり、大腸ガンのようなより重篤な疾患のリスクを高めたりすることはありません。そうではなく、ほとんどの方が日常生活や食べるものを変えたり、薬を飲んだり、行動療法を受けたりすることで対処することが可能な、慢性的(長期的)な症状となっています。

 

IBSの種類

研究者は、症状がフレアアップ(再燃)した日の便(うんち)の様子からIBSを分類しています。ほとんどのIBS患者さんは、正常な排便がある日もあれば、異常な排便がある日もあります。その異常な日に応じて、その患者さん自身のIBSのタイプが定義されます。

  • 便秘を伴うIBSIBS-C): うんちのほとんどが硬く、塊状である
  • 下痢を伴うIBSIBS-D): うんちのほとんどが緩く、水っぽい
  • 混合性の腸習慣を伴うIBSIBS-M): 硬くてゴツゴツした排便と、緩くて水っぽい排便の両方がある

この違いは重要です。特定の治療法は特定のタイプのIBSにしか効果がありません。

 

IBSはどのくらい一般的な病気なの?

非常によくみられます。専門家の推定では、アメリカの成人の約10~15%がIBSであると見積もられています。医療機関を受診して診断を受けるのは5~7%程度です。

IBSは、消化器内科医(消化器疾患の専門家)が診断する最も一般的な病気です。

 

症状と原因

IBSの症状は何?

IBSの症状は頻繁に現れます。あるいは、再燃中にのみ発症することもあるかもしれません。つまり言い換えると、いつも症状が出るわけではないのです。逆に、症状が治まることもあり得ます(便通も正常になるでしょう)。それ以外の場合には、症状は再発することになります。

IBSの徴候や症状には以下が含まれます:

  • 腹痛またはけいれん(Abdominal pain or cramps)、これは通常、うんちのしたさと関連しています。
  • 過剰なガスおよび膨満感(Excess gas and bloating)。
  • 下痢(Diarrhea)、便秘(Constipation)、またはその両方が交互に起こる。
  • うんちに粘液が混じる(白っぽく見えることもあるかもしれません)(Mucus in your poop (may look whitish))。
  • うんちの後でも、腸が空っぽにできない感じがする(Feeling like you’re unable to empty your bowels after pooping)。

 

過敏性腸症候群は、トイレの習慣を変え、腸に痛みを引き起こすことがあります。

(※各イラストの説明はどれも上記段落で完全に説明されていたので、日本語は↑をご参照ください。)

 

炎症性腸疾患の原因は何?

IBSの原因が何であるか、正確には研究者にも分かっていませんが、研究者はこれを神経性消化器(GI)障害に分類しています。こういった症状は、腸-脳相互作用の障害とも呼ばれ、消化器系の働きを助けるために腸と脳がどのように協調するかの問題に向き合う必要があるものです。

脳と腸のコミュニケーションに問題があると、以下のようなことが起こり得ます:

  • 運動障害: 消化管の筋肉が収縮すること、そして食べ物を消化管内で移動させる方法に問題があるかもしれません。IBSの方は、大腸の筋肉がより収縮しやすい傾向があります。この収縮がけいれんや痛みを引き起こすのです。
  • 内臓知覚過敏: 消化管の神経が過敏になっているかもしれません。IBSの方は、そうでない方に比べて痛みに対する耐性が低い傾向があります。消化管が腹痛や不快感に対して過敏になっている可能性があるわけです。

その他の潜在的IBSの原因としては、以下が含まれます:

  • 腸内細菌IBSの患者さんは消化管内の細菌が変化し、それが症状の一因となっている可能性があることが研究で示されています。腸内細菌の種類や量は、IBSの方とそうでない方とでは異なることが種々の研究で示されています。
  • 重度の感染症: 消化管に重度の感染症を起こした後にIBSと診断される方もおり、細菌が関与している可能性が示唆されています。
  • 食物不耐症: 特定の食品に対する過敏症やアレルギーがIBSの原因となることがあるかもしれません。
  • 幼少期のストレスIBSは、身体的、性的、精神的虐待など、幼少期に強いストレス要因に晒された方により多くみられます。

 

IBSのトリガー(引き金)

IBSに罹っている方は、何か特定のことがきっかけで症状が出ることに気付かれたことがあるかもしれません。トリガーはこの疾患そのものを発症させるものではありませんが、症状の再燃を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。一般的なトリガーには以下が含まれます:

  • 生理: 出生時に女性と割り当てられた方(AFAB)は、月経周期によって症状が悪化することに気付いたことがあるかもしれません。
  • 特定の食べ物: 食べ物のトリガーは人によって異なります。それでも、IBS症状の再燃のトリガーとなり得る一般的な容疑者としては、乳製品、グルテン(小麦など)を含む食品、およびガスが出やすくなることで知られる食品/飲料などが挙げられます。
  • ストレスIBSはストレスに対する腸の反応だと指摘する研究者もいます。ちなみに、IBSが時折「神経質な胃」や「不安な胃」と呼ばれるのはこのためです。

 

IBSの危険因子

IBSは10歳代後半から40代前半に発症することが最も多いです。出生時に女性に割り当てられた方(AFAB)は、IBSと診断される可能性が2倍高くなります。その他の危険因子には以下が含まれます:

IBS患者さんの多くは、他の慢性疼痛疾患も併発しています。IBSのリスクの上昇と関連付けられている疾患には、以下が含まれます:

 

診断と検査

IBSはどう診断されるの?

IBSを診断する第一歩は、詳しい病歴の聴取です。担当医が、ご自身の症状について尋ねてくることでしょう。次のようなことが聞かれるかもしれません:

  • 排便時に痛みはありますか?
  • 排便の回数の変化に気付かれることがありましたか?
  • うんちの様子に変化はありますか?
  • どのくらいの頻度で症状が出ますか?
  • 症状はいつ始まりましたか?
  • どんな薬を飲んでいますか?
  • 最近、病気になった、またはストレスの多い出来事がありましたか?

症状によっては、診断を確定するために他の検査が必要になるかもしれません。IBSを診断する唯一の検査というものはありません。代わりに、IBSかどうかについては、以下のような方法で担当医が判断します:

  • 症状について尋ねる
  • 大腸がん検診の受診状況が最新のものかどうかを確認する
  • 他の疾患を示唆する症状がないか確認する
臨床検査

ほとんどの臨床検査は、感染症、食物不耐症、炎症性腸疾患(IBD)のような別の消化器疾患、あるいは症状を引き起こしている可能性のある他の疾患を除外するために行われます。全ての方に同じ検査が必要なわけではありません。

  • 血液検査: 消化器疾患の状態や、この症状を引き起こす可能性のある他の疾患の有無を調べます。
  • 便検査感染症や消化器疾患による腸の炎症の徴候がないかを調べます。
  • 水素呼気試験: 腸内細菌の過剰増殖(SIBO)や食物不耐症がないかを確認します。
画像検査

消化管の炎症や異常増殖を伴う疾患を除外するために、画像検査が必要な場合があるかもしれません。

  • 大腸内視鏡検査: ポリープ、IBD、ガン性増殖を含む、症状の原因となる特定の腸疾患があるかどうかを担当医が判断するのに役立ち得ます。この検査では、医師が、大腸全体を観察可能なものとするスコープを挿入することになります。
  • 軟性S状結腸鏡検査大腸内視鏡検査に似ていますが、直腸の粘膜と大腸の下部のみを観察できるスコープを挿入する点が異なります。
  • 上部内視鏡検査: セリアック病やその他の消化器疾患の診断に役立ち得ます。この検査では、担当医が食道(食物管)、胃、小腸の最初の部分(十二指腸)の内部を観察可能なスコープを使用します。

 

管理と治療

IBSの治療法には何がある?

全ての人に効く特定の治療法はありませんが、ほとんどのIBS患者さんは、自分自身に合った治療法を見つけることが可能です。典型的な治療法には、食べるものや日常生活を変えることが挙げられます。薬物療法も有効でしょう。行動療法が役に立つかもしれません。

こういった治療法の多くは、効果が出るまでに時間がかかります。症状を改善することはできますが、症状が完全になくなるとは限りません。

食事の変更

栄養士が、症状の再燃を避けるための食品を選んだり、食習慣や飲酒習慣を変えたりする手助けをしてくれます。以下のようなことを勧められるかもしれません:

  • 食物繊維を増やす。果物、野菜、穀物、プルーン、およびナッツといった食物繊維の豊富な食品は、便秘に悩んでいる方に役立つものです。腸に慣れさせる時間をあげるために、食物繊維はゆっくりと食事に取り入れましょう。
  • 食物繊維をサプリメントで補う。他にも、メタムシル®やシトルセル®のような食物繊維サプリメントを試してみるのも一案です。
  • チーズやミルクのような乳製品は控える乳糖不耐症IBSの人により多くみられます。乳製品を減らす場合は、ブロッコリー、ほうれん草、あるいはサーモンなど、カルシウムが豊富な非乳製品食品を食べるよう心がけましょう。
  • ガスが出やすい食品を控える。豆類、芽キャベツ、キャベツなどはガスが出やすい食品として悪名高いですが、炭酸飲料やガムを噛むことでもガスが出ることがあります。腸に負担をかけないよう、これらの食品を減らしましょう。
  • グルテンを避けるIBSの方は―セリアック病でなくても―グルテンに対してより過敏になる傾向があります。グルテンフリーの食事を選ぶ場合は、グルテン入りの食品に多く含まれる主要なビタミンやミネラル(食物繊維、鉄分、カルシウムなど)を十分に摂取できるよう、かかりつけの医師に相談するようにしてください。
  • 低FODMAP食を試してみる。これは、消化しにくい炭水化物の量を減らす食事法です。消化管に負担をかけず、必要な栄養素を摂取できる代替食品が推奨されています。
  • 水をたくさん飲む。少なくとも1日8オンスコップ8杯(2リットル)の水を飲みましょう。水は消化管を潤滑に保ち、便秘の治療や予防の一助となってくれます。
  • 食事日記をつける。どの食べ物がIBS再燃のトリガーになるかを知るために、担当医から、食べたものを記録し、それを栄養士に見せることを勧められることがあるかもしれません。

行動の変化

日常生活を変えることも役に立つ可能性があります。担当医が、次のようなことを勧めてくるかもしれません:

  • 定期的に運動する。週150分の適度な運動を目標にしましょう。これは1日約30分を週5日に当たります。「適度」とは、心拍数を上げることです。
  • ラクゼーション法を試す。毎日のヨガ、瞑想およびその他のストレス解消法は、過度に緊張した神経系と「神経質な腸」を落ち着かせるのに役立ち得ます。時に、行動療法士が助けになってくれることもあります。
  • 十分な睡眠をとる。毎晩7~9時間の質の高い睡眠を目指しましょう。毎晩同じ時間に就寝するようにしてください。ぐっすり眠ることは、最も強力なストレス解消法のひとつです。睡眠に問題がある場合は、医療機関にご相談ください。
  • 活動日記をつけるIBSを管理するのに役立つ活動を記録し、担当医と比較してみましょう。

セラピー

IBS患者さんの多くは、セラピストと会うことで恩恵を受けることが可能です。セラピーを受けることで、IBSの原因となる不安や抑うつといった症状やストレスに対処する一助となり得ます。以下のような方法で緩和を見出す方もいらっしゃいます:

薬物療法

かかりつけの医療従事者が、症状緩和のために以下のような薬を処方することがあるかもしれません:

プロバイオティクスの有効性に関する研究は現在も進行中ですが、担当医がプロバイオティクスを勧めてくることもあり得ます。こういった「善玉菌」は、IBSの症状を和らげるのに役立つかもしれません。

特にIBSの治療に用いられる薬には、以下が含まれます:

  • ジサイクロミン(ベンチル®)
  • ヒヨスチアミン(レブシン®)
  • ルビプロストン(アミティーザ®)
  • リナクロチド(リンゼス®)
  • プレカナチド(トリュランス®)
  • リファキシミン(ザイファキサン®)

 

IBSの根治法はあるの?

IBSを完全に治す方法はありません。しかし、ほとんどの方は、トリガーとなるものを避けたり、必要に応じて薬を服用したりすることで、症状に対処されています。

 

予防

IBSを予防することはできる?

IBSの原因は分かっていませんので、予防したり避けたりすることはできません。もしIBSに罹っているのであれば、トリガーとなるものを避けることで、症状の悪化を防ぐことは可能です。

 

見通し/予後

IBSに罹っていると、重篤な胃腸障害を発症するリスクが高くなるの?

いいえ、IBSによって、大腸炎クローン病、あるいは大腸ガンなどを発症するリスクが高くなることはありません。

 

IBSに罹ったら何が考えられる?

IBSの症状は一生を通じて出たり出なかったりするため、IBSとともに生きていくことは困難さを伴うものです。治療にはしばしば試行錯誤が伴います。しかし、良いニュースとしては、IBS患者さんのほぼ全員が、時間をかけて自分に合う治療法を見つけることができる、ということが挙げられます。

通常、食べるものや活動レベルを変えることで、時間とともに症状は改善します。トリガーとなるものを見つけ、それを避けるための手立てを講じるには、ある程度の忍耐が必要かもしれません。症状が完全に消えることはないかもしれません。しかし、数週間から数ヶ月後には、ハッキリと気分が改善されていることに気が付くはずです。

 

受け入れる

いつ医療機関を受診すべき?

症状が3ヵ月以上続いたり、悪化したりした場合は、かかりつけの医療機関を受診してください。症状の頻度は少なくても、生活に支障をきたすようであれば、やはりかかりつけの家庭医に相談してみるのが良いでしょう。

症状によっては、より深刻な問題を示唆している場合もあります。IBSの一般的な症状に以下の状態が伴う場合は、できるだけ早く医療機関に連絡してください:

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 直腸出血
  • 原因不明の体重減少
  • 夜中に目が覚めるほどの激しい下痢
  • 激しい腹痛(特にうんちやガスを出しても改善しないもの)

 

かかりつけの医療従事者にどんな質問をすべき?

IBSの症状がある場合は、以下のことをかかりつけの医師にお尋ねください:

  • どんな薬が効きますか?
  • どんな食品を避けるべきですか?
  • どんな生活習慣の変化を取るべきですか?
  • いつ頃から気分が良くなりますか?

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

胃痛、下痢、便秘、ガスといったIBSの症状は不快で、生活に支障をきたすことがあります。しかし、IBSは管理可能な症状です。食べるものを変えたり、トリガーにより良く対処できるように日々の習慣を調整することで、症状を改善することが可能です。お腹の症状がなかなか治まらない場合は、かかりつけの医療従事者に相談しましょう。ご自身に合ったIBSの治療計画を一緒に見つけることができますよ。

 

前回簡単に調べた範囲では、IBSよりもIBDの方が患者数が多いという印象があったのですが、IBSの方がIBDよりも遥かに症状としては軽め(とはいえ、IBSも極めて厄介なことには変わりないですけどね)ということもあり、どうやらIBSの方が、あえて病院に行くわけではない程の人なんかも含めると、実際圧倒的にかなり多くの方が悩まされている症状のようですね。

 

深刻な健康被害につながるわけでは決してないとはいえ、ふとした時に漏らしてしまう可能性があることなんかは大きな悩みの種だといえましょう。

 

これまた特効薬はまだなく、決して治ることはないとされている病気のようですけど、色々な対処法が開発されているようですし、お腹の問題で悩む方の症状が少しでも良くなることを願ってやみません。

(僕は胃腸は強い方ですが、実は腐ってた牛乳とかを飲んでしまって食あたりで下痢になったことはありますし、あれはマジで、人生が終わるレベルの大変さなのは身をもって理解できるレベルでした…。)

 

記事が案外予想以上に長かったので予定投稿時間を過ぎてしまいましたが、次回もいくつか気になる腸・消化ネタに触れていこうかなと思います。

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