ドライ・ニードルとは?

頭痛の治療法として、天下のクリーブランド・クリニックによる医療解説記事に挙げられていた鍼治療の話を前回見ていましたが、そこで、「似て非なるもの」として、ドライ・二―ドリングという技法が軽く紹介されていました。

 

ニードル=針を使うこと以外は全く違うのです……などと書かれていたわけですけれども、一体どういう違いなのか、今回も早速HEALTH LIBRARY記事の翻訳引用をさせていただきましょう。

 

my.clevelandclinic.org

 

ドライニードル法(Dry Needling)

ドライニードリングは、筋膜のトリガーポイントに関連する痛みや動きの問題に対して、医療従事者が用いる治療法です。この手技では、施術者がトリガーポイントまたはその近くに細い針を刺し込みます。針が筋肉を刺激することで、筋肉の収縮や引きつりを引き起こします。これにより、痛みが和らぎ、可動域が改善するのです。

 

概要

ドライニードリングとは何?

ドライニードリングは、鍼灸師理学療法士、およびその他の訓練を受けた医療従事者が、筋骨格系の痛みや動きの問題を治療するために用いる技術です。ほぼ常に、運動、ストレッチ、マッサージおよびその他の手法を含む、より大きな疼痛管理プランの一部として使用されます。この治療では、医療従事者が皮膚から細く鋭い針を刺すことで、そこにある筋膜トリガーポイントを治療します。

「筋膜 (myofascial)」という言葉の「myo」は「筋肉」を意味します。Fascia(膜)は、筋肉を包んでいる白くて薄い結合組織のことです。

トリガーポイントとは、筋肉にできる結節部的な、圧痛のある部位のことです。このトリガーポイントは非常に敏感で、触れると痛みが感じられ得ます。時には、痛みの場所の近くにトリガーポイントが位置することもあります。しかし、トリガーポイントは、しばしば関連痛の原因にもなります。関連痛とは、身体の他の部分に影響を及ぼす痛みのことです。

理学療法士は、トリガーポイントを楽にするために針を使用します。ドライニードルを筋肉や組織に当てることで、締め付けを軽減し、血流を増加させ、局所痛や関連痛を軽減することが可能となるのです。施術者は、薬剤を一切含まない固形の針を使用します。これが、この技術が「ドライ」と呼ばれる理由です。体には何も注入されません。トリガーポイント注射とは異なります。そちらは薬が入っており、医師によって行われます。

ドライニードリングの他の呼び名は、トリガーポイント・ドライニードリングおよび筋肉内刺激です。

医療提供者が、表面的または深部ドライニードリング技術を用いることがあります。

 (※主な用語の日本語は、「手順の詳細」段落で説明されていたのでそちらをご参照ください。)

 

ドライニードリングはどう作用するの?

筋肉が酷使されると、筋繊維に十分な血液が供給されず、エネルギー危機状態に陥ります。正常な量の血液が供給されないと、筋肉が正常な安静状態に戻るための酸素や栄養素が得られません。

そうなると、トリガーポイント付近の組織はより酸性に傾きます。神経が感作され、これによりその部分が荒れたり痛んだりするのです。

針でトリガーポイントを刺激すると、正常な血液供給が戻り、その部分が洗い流され、緊張が解ける一助となります。また、この刺すような感覚は、体内で作られる鎮痛剤であるエンドルフィンを分泌させるために脳を刺激することにつながる、神経線維群を発火させることも可能です。

担当の施術者がトリガーポイントを見つけたら、皮膚から直接そこに針を刺すことになります。そこからさらに、局所痙攣反応―筋肉の素早い痙攣―を起こすために、針を少し動かすことがあるかもしれません。この反応は、筋肉が反応しているという良いサインになり得ます。

ドライニードリングセッションの後、ほとんどすぐに痛みの緩和や可動性の改善を感じる人もいます。そうではない方には、複数回のセッションが必要になります。

 

ドライニードリングは痛い?

トリガーポイントは通常、触ると痛みを感じます。そのため、針を刺す前に、施術者がトリガーポイントを探している間、いくらかの痛みを感じるかもしれません。

また、針を刺している最中に不快感を感じることもあります。針はとても小さいので、針が刺さるのを感じない方も時折いますが、刺さるのを感じる方もいらっしゃいます。針がトリガーポイントに刺さると、痛みを感じたり、引きつり反応を起こしたりすることがあり得ます。その後、刺入部位の近くに締め付け感や痛みを感じることがありますが、体を動かしたり、ストレッチを続けることが大切です。

 

ドライニードリングは何をするの?

ドライニードリングは痛みを和らげ、可動域を広げるのに役立ちます。ドライニードリングが治療し得る症状には、以下が含まれます:

 

ドライニードリング治療を受けるべきではない人は?

ドライニードリングを受けるべきでない特定の方々がいらっしゃいます。12歳未満の子供には、苦痛を伴うことがあるため、施術者はこの処置を勧めていません。ご自身およびお子様の両方が同意を提供する必要があり、まず最初に他のより低侵襲な選択肢を検討することが推奨されます。ドライニードルを受ける前に医師に相談すべきその他のグループには、以下のような方々が含まれます:

  • 妊娠中の方
  • 治療法を理解できない方
  • 針を非常に怖がる方(トリパノフォビア=注射恐怖症)
  • 免疫力が低下している方
  • 手術を受けたばかりの方
  • 抗凝固薬を服用している方

 

手順の詳細

ドライニードリング療法の前には何が行われる?

ドライニードリング治療の前には必ず、担当の施術者がご自身の病歴を調べ、身体検査を行います。ドライニードリングがご自身に適しているかどうかを判断する必要があるわけです。もし対象者であると判断された場合は、担当者は治療がどのように行われるかを説明してくれ、またあらゆる質問にも答えてくれることでしょう。

治療当日は、動きやすい楽な服を着ていきましょう。施術者が治療部位にアクセスしやすい服をご着用ください。そうでない場合は、担当者がガウンやカバーをかけてくれます。

施術者が、個室の診察室か、大部屋のカーテンで仕切られた場所に案内します。必要に応じて衣服の調節をし、指示されたように治療の正しい姿勢をお取りください。

 

ドライニードリング療法の最中には何が行われる?

まず、担当の施術者が治療部位を滅菌し、針を準備します。針は常に使い捨てで滅菌済みとなっています。次に施術者は、片方の手または指を使ってトリガーポイントの位置する部位を感じ取ります(触診)。もう片方の手で、針―プラスチック製のガイドチューブに囲まれています―をその部位に当てます。このガイドチューブは、片手で作業しながら針を正確に刺入するのに役立ちます。

担当の施術者は、針を皮膚の一番上の層(表皮 (epidermis))に優しく打ち込み、ガイドチューブを廃棄します。施術者が使用する手技は様々です。一般的なドライニードル技術は以下の通りです:

  • 表面性 (superficial):施術者が針をトリガーポイントの上、皮膚(皮下組織 (subcutaneous tissue))の一番下の層の中へ、5~10ミリ挿入します。
  • 深部 (deep):針を皮下組織からさらに深く、筋肉 (muscle)の中まで挿入し、トリガーポイントに侵入させます (penetrate)。

手技によっては、針を刺したまま早ければ2秒から、長ければ20分ほど放置することもあり得ます。また、ピストン法を用いることもあるかもしれません。イン・アンド・アウト法とも呼ばれるこの方法は、組織を通す形で針を素早く上下に動かすものです。

最初の治療では、担当の施術者は1本から2本の針しか使わないかもしれません。ひとたびこの方法に対する反応が見られれば、より多くの針が使われ始める可能性があります。ご自身の状態によって異なります。例えば、背中の治療では背骨に沿って10~15本もの針を使うことがあり得ます。

治療中、筋肉の痛みや引きつりを感じるかもしれません。これらの感覚は正常で、筋肉が治療に反応しているサインです。

 

ドライニードリング療法の後には何が行われる?

ドライニードリング治療の後は、担当の施術者が全ての針を取り除き、皮膚に反応がないか調べます。針は医療用鋭利物容器に廃棄されます。

その後、担当の施術者が患者さんをゆっくりと立ち上がらせます。めまいがある場合は、診察室を出る前に座って休ませてくれるでしょう。

治療後は、水分補給のために水をたくさん飲むようにしてください。治療後は筋肉痛が強くなることがありますが、動き続けることが大切です。これは正常なことで、24時間から36時間続くこともあり得ます。治療部位の近くに青あざができる可能性もあるかもしれません。このあざは1週間ほど続くことがあり得ます。

 

リスク/メリット

ドライニードリングのメリットは何?

全体的な治療計画の一環として、ドライニードリングには多くの利点があります。手技は安価で、一般的に安全であると考えられています。訓練を受けた施術者が行えば、合併症のリスクも低いです。

研究によると、ドライニードリングはトリガーポイントを解放することができ、筋肉の痛みやこわばりを和らげるのに役立つ可能性があるとされています。トリガーポイントを解放することで、柔軟性が増し、可動域が改善する可能性もありましょう。

 

ドライニードリングの副作用には何がある?

ドライニードリングの最も一般的な副作用は、治療中および治療後の痛みです。

その他の副作用は一般的に軽微です。それには以下が含まれます:

  • こわばり
  • 挿入部位またはその付近のあざ
  • 失神
  • 疲労

感染のリスクもあります。施術者が適切なトレーニングを受けていることを確認することが大切です。

重篤な副作用は極めて稀です。ただし、挿入部位から出血した場合は、しっかりと圧迫し、かかりつけの医療従事者または医師に連絡してください。息切れが生じた場合は、直ちに医療従事者または医師に連絡するか、911に電話してください。胸部に針を刺した場合、肺が潰れる(気胸)可能性があり得ます。これは非常に稀ですが、胸部X線検査と更なる治療が必要となります。

 

その他のよくある質問

ドライニードル対鍼治療 ― 違いは何?

ドライニードリングは鍼治療とは異なります。両手法とも、針による皮膚への侵入を伴います。両者は同じタイプの針を使用しますが、類似点はそこで終わりです。

異なる訓練を受けた異なる施術者がドライニードリングを行います。鍼治療は免許を持った鍼灸師によって行われ、東洋医学に基づいていますが、一方、ドライニードリングは西洋医学に基づいており、痛みのパターン、姿勢、誤った運動パターン、および整形外科的検査の評価に基づいています。

鍼治療は筋骨格系の痛みを治療しますが、身体の他のシステムも治療します。ドライニードリングは、痛みを軽減し、トリガーポイントを不活性化し、動きを改善する目的で筋肉組織を治療します。通常、他の理学療法を含む、より広範な理学療法アプローチの一環として使用されます。

 

ドライニードリングは全ての州で利用可能?

いいえ、ドライニードリング理学療法は、37の州とワシントンD.C.でのみ使用が承認されています。ドライニードリングは、各州の施術者を管理する法律のため、いくつかの州では許可されていません。

州によって異なりますが、ドライニードリングは、理学療法士、アスレチックトレーナー、カイロプラクター、またはこの手技の訓練を受けた医師によって行われます。

 
クリーブランド・クリニックからのメモ

ドライニードリングは、特定の筋骨格系の症状を持つ方々にとって、安全で痛みが少なく、しばしば非常に効果的なテクニックです。多くの方が、この治療が生活の質(QOL)を向上させ、人生を変え得るぐらいのものであったと実感しています。しかし、治療を受ける前には必ずかかりつけの医療従事者に相談してください。安全であるとは考えられていますが、侵襲的な手法です。かかりつけの医療従事者が、より保守的な治療を先に勧めてくるかもしれません。

 

結局、鍼灸のハリとドラニーは、「ツボ」か、筋肉にできる小さな結節部のような「トリガーポイント」をほぐすのが目的か、という違いが一番大きいようですね。

 

受ける側からすれば、ツボに利いてるのかトリポに利いてるのかなんてよぉ分かりませんし、正直どっちゃでもいい気もしますけど(笑)、しかし全く仕組みは異なるということですし、これはぜひいつか両方とも受けてみたい限りです…!

(個人的には今の所、腰痛や筋肉の問題も特にないのでそんなにすぐには要らないかなという気もしますが、いつか弱くなってきたときのサポートに「違う種類のものもあった」と覚えておきたいな、と思えます。)

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