詳しい仕組みはややこしい…でもそれが生命の神秘!

そういえば時間もなかったので触れていませんでしたが、ついに先日の日曜日(=3月第2日曜)から暗黒の冬時間は終わりを告げ、明るく楽しくみんな大好きなサマータイムがやってきました!

 

そんなわけで日米の時差はまたまた13時間に縮まり、とはいえ無駄に時間のない日々が続いているので、「日本時間13時更新のままにすることで、更新時間=〆切を1時間遅らせようかな…」とも思ったのですが、まぁアメリカ時間で今ぐらいのタイミングが一番都合いい感じなので、日本時間ではまた、夏時間のあいだはお昼12時更新にしようかなぁと思っています。

 

…あまりにも時間がなくて間に合わなかったらこっそり13時とかになる記事もあるかもしれませんが、もしそうなっていたら「あ、あいつ間に合わなかったんだな(笑)」と笑って流していただければ幸いです(笑)。

 

何気に早速今回は殺人級に時間がなかったんですが、まぁここ最近はとりとめもなく専門分野に近い話をぺちゃくちゃ語ってるだけの省エネ記事なので何とかなりそうかなと楽観視しつつ、適当にまた前回のおさらいから行っておきますと……

 

前回は、「DNAはヌクレオチドや塩基と呼ばれる分子を1単位として、4種類ある塩基がひたすらつながり続けることで巨大分子となっているのです」などという話から、「つながると言っても、何がどうやってつながるのさ?」という誰しもが感じるであろう疑問を挙げて、実際に生体内でそれをやっているDNAポリメラーゼという酵素について…というか、この酵素が行う反応の模式図を簡単に見ていました。

 

ただ、書いていて実は、

「確かずっと前にも『酵素、目がついてんのかよ!何でそんな相棒の鎖の塩基を読んでペアをつけるとかいう高等技術が可能なんだ!』とか書いて、実際に酵素がDNAの鎖を読んで新しい鎖を伸長していく図、自分で作って載せたことがなかったか…?

 被り記事になっちゃうか…?!」

…と思い、念のため「DNAポリメラーゼ」でブログ記事内検索をしたのですが、なぜかそれっぽい記事が見つからなかったので、前回も時間が全くなかったこともあり、「まぁないならいいか…」と思ってそのまま書き終えていたんですが、アップ後に気付きました…!

 

酵素が意思を持っているかのように、伸長反応を進める」という図を使って説明していたのは、DNAポリメラーゼではなく、RNAポリメラーゼで、転写について触れた記事でしたね!

 

…と思って自信満々で検索したら、意外とそれっぽいのが見当たらなかったものの、幸いちゃんとヒットしてきました……しかし「DNA→RNA」という反応が行われる転写ではなく、「RNA→DNA」という反応が行われる、逆転写について触れた記事でしたけど(笑)。

 

con-cats.hatenablog.com

 

サムネ画像にも表示されていますが、わざわざ図も描いて説明していたこの「逆転写反応」というのは「RNAの一本鎖を参考に、DNA塩基を1つずつくっつけていってDNA鎖を伸長させる」という反応ですけど、「元となる鎖」「新しくできる鎖」がDNAかRNAかが違うだけで、反応の概略みたいなものは「DNA複製」も「転写」も「逆転写」も、全く同じ形になっている感じですね。

 

ちなみにこの記事では、補足として「RNAポリメラーゼ」と一言だけ触れていたから検索にヒットしてきてよかったものの、この文がなかったらまたヒットしてこず、「まさかの記憶違いか…?絶対そういう図を自分で描いたのはハッキリ覚えてるのに、夢…??」となって発狂寸前だったかもしれませんけど(笑)、一言触れていて何よりでした。

(というか「DNAポリメラーゼ」という文もあったので、昨日の検索でもヒットしてきていたはずでしたけど、「RNAの話ではなくDNAの話のはず…」という固定観念から見落としていました……凄まじくどうでもいい話に過ぎないですけど(笑))

 

なお、「4種類の塩基を総称して『dNTP』と呼ぶ」という話、前回が初出かと思ってちょっと詳しく説明も加えていたのですが、もうこの記事で触れたことがあったんですねぇ。

書いた人ですら忘れていたので、まぁ記事を一読していた程度の方でしたら、やっぱり記憶に残ることはまずないだろうなぁ…と思えますが、まぁ記憶に残らなくても、その瞬間「何か分かった気がする」と思っていただけたら十分ですし、なるべく普通の教科書とかには載っていない、「はぁ?!」と思えがちな部分に分かりやすく説明を加えていこうかな、と思っています。

 

個人的にはやっぱり、毎度「酵素には目とか手がついてるのか?そんな反応が進むとか、どう考えてもあり得なくない?」みたいな疑問を、本当に毎回この手の話をする度に書いているわけですけど…

(全然そう思わない方には、「また言ってるよこいつ、全然ピンと来ないよその話(笑)」って感じかもしれませんが(笑))

…僕はまぁ「信じられないからやる気をなくす」ということはなく、「嘘くさいしどういう仕組みでそんなことが可能になるか皆目見当がつかないけど、まぁ従っとけばテストで点も取れるし、どうでもいいや」と思って細かいことは気にせず盲目的に従うという素直さがあったのは幸いでしたが、ちょっと大げさかもしれないものの、意外と身近な話でも(というか身近だからこそ)あまりにも想像できる範囲を超えていて理解が追っつかない話を聞かされると、意味分からなさすぎて投げる…というのは、化学・生物という科目あるあるな気がしますね。

 

例えば液体の水が、

「実は細かく見ていくと、酸素原子に水素原子が104.45°の角度で結合した、分子モデルではあのパンツみたいな構造(参考↓)の粒が、大量に集まったものなのである。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/水の性質より

 つまり、例えば1滴(1マイクロリットル)の水には、約3000京個の水分子という小さなボールが大量に集まって存在しているということなのだ!」

…とか言われても、触っても何の境目も感じられない液体の水が「大量の粒が集まってできたものだ」なんてあまりにも現実世界というか想像の範疇からも離れすぎていて、脳が理解を拒む…まで行かなくても、全然実感が湧かな過ぎて知らない外国語を学んでるみたいで気分が悪くなる……というのは、多くの人の総意ではないかと思います。

(あとはまぁ、「そんなこと知ったところでどうなるの?!おもんな…」と思う人の方が世の中圧倒的に多いのも、恐らくそうかな、と思います。)

 

結局それと似たような感じで、特に生命科学の話は、


「そんな都合いいことが起こるとか、ホントにぃ~?」

「いや誰が見てきたんだよ嘘くせぇな、想像で適当抜かしとるだけちゃうんか?」


…みたいな感じで、どうにも信頼できないといいますか、実際、

「詳しくはまだ分からないことが多い」

…という逃げを食らうことや、

「やっぱりそのモデルは違いましたテヘペロー」

…でちゃぶ台返しされることも往々にしてありすぎるのが腹立つポイントというか、どうにも信用しきれない胡散臭さが拭えないポイントでもあるんですけど(笑)、それのせいで学んでても何かごまかされてる感が払拭できないのが、生命系の抱える悩ましさではあるのかな…って気がしますね。

 

そんな胡散臭いものを専門にした胡散臭いヤツが言っても説得力ないかもしれませんが、実際僕もそう思うことが多かったので代表して謝ります、まぁ結構怪しい話も多いです(笑)。

 

とはいえこないだも書いていた通り、分子生物学の根幹をなすような話はもうほぼ完全に正しいことが誰の手でも立証可能ですし、分子レベルでの作用機序もほぼ完璧正確に確固たる理論が成り立っているのも間違いありません。

 

例えば前回から見ている、「DNAポリメラーゼによるDNA合成(鎖の伸長)」ですが、これは本当に、チューブの中に、(相棒のペアにあたる鎖を増やす目的で)1本鎖DNAをたった1分子でもいいから入れて、材料となるdNTP(A, C, G, Tそれぞれ「1塩基」)とDNAポリメラーゼとを加えれば、それだけでアラ不思議、1本鎖DNAしかなかった状態から、いきなり2本鎖DNAが爆誕しているんですねぇ~。

 

こればっかりは本当に実際に自分の手でやってみないと分からないと思うのですが、疑り深い上に慎重な僕が保証します、マジで、ただ「コピー元となるDNA鎖と、材料のヌクレオチドと、酵素」を混ぜるだけで、誰が命令するわけでもないのに、勝手に反応が進んで新しいDNA鎖(=コピー元と同じ長さの、中身がペア塩基になった(=A⇔T、C⇔Gに入れ替わった)配列の鎖)ができあがっているので、もうこれは信用するしかない話で……


…むしろ流石に、

「本当にできるんだ、凄い!」

と感動するレベルであることを天邪鬼な僕が保証いたします。


(ちなみに一応、より正確には、反応を進めるためにはもうちょっと細かい要素も必要となるのですが、まぁ今は細かい話はともかく「ざっくり言えば」ですね。)

 

ちなみに「どういう仕組みでそんなことが可能なの?」というのは、まぁ「水がH2Oという1粒の小さな分子の集合体である」と頭では理解していても中々納得できないように、理論を説明されたところで不思議さは消えないんですけど、まぁあえて説明するなら、やはり有機化学の知識を用いた、「各原子団でどのような電子授受が起こっているか」みたいな話を紐解く必要があり……

 

検索して出てきた、程よく難しそうな画像をシドニー・ブレナーさんというノーベル賞を受賞した生命科学の大御所が書かれた教科書から拝借すると…

https://www.sciencedirect.com/topics/neuroscience/polymeraseより

…この真ん中の図で示されている通り、マグネシウムイオンを介して、OH基の酸素原子がリン酸基に求核攻撃を行い……みたいなややこしい反応を、熱力学的に自然な形で引き起こせるように酵素が配置されて……という感じになり、結局「あ、ムズそっすね、じゃあもうイイッス…」となりがちなのも、意外と生命科学あるあるかもしれません(笑)。

 

ちなみにこれも今さらですけど、↑の図左にある通り(まぁこれを見てもよく分からないものの)、DNAポリメラーゼという酵素はタンパク質であり、タンパク質というのは何度も触れていますが20種類のアミノ酸がひたすらつながっただけの分子ですから…

 

(これまた分かりにくいくせによく出てくる例のやつですけど(笑)、結晶構造のリボンモデルだとこんな感じ↓)

https://en.wikipedia.org/wiki/DNA_polymeraseより

…タンパク質情報が豊富に乗っているUniprotのデータを見てみると、ヒトのDNAポリメラーゼは1133アミノ酸から成るということで、開始コドンのメチオニン=Mに始まり、アミノ酸一文字表記で「MDGKRRPGPG…」という配列であることも分かっているわけですけど……

これに関しても、メチオニンアスパラギン酸(D)をつないで、次にグリシン(G)をつないで…ということを1132回繰り返すと、いつの間にか「チューブの中に入れたら、勝手にDNAの鎖を合成してくれるスーパーマシーンが生まれている」というのも、本当にニワカには信じがたい、あまりにも不思議すぎる現象なわけですけど、本当に、いつ誰がどのように作ろうと、アミノ酸をその配列通りに1133個並べたら「DNAポリメラーゼ」と人間が名付けた高機能生体分子=酵素ができあがるというのは、まさに生命の神秘だといえましょう。


(もちろん、1133アミノ酸がその順番に並んだらなぜそんな機能が生まれるのかは、先ほどの分子構造モデルを使って行われるような「何が起こってそれが可能になるのか」という説明みたいなのはできますけど、究極的には「なぜそんな反応が起こるのか?」というのは、誰にも分かりません…「この宇宙が、たまたまそういう法則のもとに動く世界だった」としか言いようがない感じですね。)

 

…と、あまりにも時間がなさすぎて、何の中身もない、「仕組みはややこしいのです」というしょうもなさすぎる記事になってしまいましたが(しかも時間がないくせに無駄に長かったですけど(笑))…

「でも、仕組みが分からなくても、マジで本当に、小学生が混ぜても反応は起こって結果を自分の手で見られるのが、生命科学の面白さかもしれませんね!」

…と、申し訳程度に自分の専門アゲをして終わろうかなと思います(笑)。

(まぁ冗談抜きに、「本当にただ混ぜるだけでこの反応は勝手に進むんですよ、凄いですよね」というのは紹介しておきたいポイントですね。)

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