鳥かごの鳥が羽ばたくと…

遠心力に端を発した面白物理問題ネタ、エレベータージャンプに続き、車内に浮かぶ風船の動きなんかをここ最近の記事では見ていたわけですが、ちょっと欲を出してもう少しだけ、関連する話としてふと頭に浮かんだ、(もうあんまり本題の遠心力とは関係ないけれど)非常によく話題に上がりがちな初等物理クイズネタを続けてみようかと思います。

 

今回の話もシチュエーション自体は単純明快で、でも物理・力学の考え方を通して見ないとどうなるかが自信をもって中々いえない内容になっていまして、それがズバリ、「鳥かごの中の鳥の重さ」ってやつですね…!

 

まぁ簡単に書けば、

「箱の中に鳥を入れる(箱は完全密閉されている)。その箱の重さを秤(体重計)で測定する。

 鳥が箱の底に座って休んでいるときと、箱の中を飛んで空中で停止(ホバリング)しているときとで、秤の数字は変わるだろうか?」

…というもので……

 

この問題のポイントは当然、「空中に浮いてる鳥の重さはどうなる?!」って点ですね。

 

これも、直感的な常識に照らし合わせて考えると、

「空中に浮いてるんだから、重さが秤にかかるわけがなくない?だって台に触れてないわけだし」

…と思えるのではないかと思うんですけれども、これまた実は、そういうわけではないんですねぇ。

 

サクッと答の方から書いてみますと、こちらはズバリ、「鳥が空中に浮かんでいても(空中で停止していても)、体重計は箱と鳥の重さの合計を示す」という形になるのです。

 

確かかなり幼い頃、まだネットもなく納得いくまでの説明を得る(調べる)ことができなかった頃は、「そんなわけなくない?納得いかねぇ~」と思ったものでしたが、これも結局、前回の電車の中のヘリやハエや風船同様、「空気というものの存在」を意識しなければいけない感じになっています。

 

ひとまずより分かりやすい例え話で置き換えてみますと、空き箱ではなく、「水を満たした水槽」を置くことを考えてみましょう。

 

この水槽の上に、水に浮かぶアヒルのおもちゃを置いた場合、体重計はアヒルの重さを無視するでしょうか…?

 

…まぁかなり水を張った水槽に、アヒルのおもちゃ1つ置いた程度ではかかる重さの違いなんて分かりにくそうですけど、まぁアヒルを100個とか浮かべるなり(まぁそれはそれで、大きな風呂桶をイメージすることになるので結局あんまり違いが出なさそうですが(笑))……あぁ、よりいい例としては、

「大きな体重計の上に浴槽を乗せて水を満たし、そこに自分自身が入る。

 この時、身体の力を抜いて水の上に浮かんだら(あるいは浮くのが苦手ならビート板を使ってもいいですが)どうなるか?」

を考えるのがいいですね。

 

果たして、風呂+水+自分の重さがかかっている体重計が、自分が水の上にぷかーっと浮いて直接浴槽とタッチしない状況を作り出した際、自分の体重分がマイナスされるといえるでしょうか…?

 

まぁそんな実験した人はいらっしゃるわけないので「知るかよ(笑)」って話かもしれないですが、これは鳥の例と比べて、ほぼ間違いなく誰でも「まぁ浮かぶ前と浮かんだ後で、流石に重さは変わらないんじゃない?」と思うのではないかと思います。

 

結局、それと全く同じなんですね。

 

人間が水に浮かぶ場合、浮力が働くことでその状況が実現されているわけですが、作用反作用の法則で、人間は接している水分子を下向きに押し続けるともいえますから、その力が水分子を介して底面に加わる形になっています。

したがって、水分子を介すことで間接的に、自分の体重は普通に体重計にきちんと下向きの力としてのしかかることになりますから、身体を水面に浮かすことで風呂桶と直接接触はしていなくても、自分の体重から生まれる「重み」は、しっかり体重計に伝わる形になってるわけです。

 

「いや、でも水は自分と体重計のどっちともと実際に触れあってるけどさ、空気は違うじゃん……なんていうか、つながってないじゃん!」

…と思われるかもしれませんけど、これも結局「空気は目に見えない」のが諸悪の根源であって、分子レベルでいえば、空気というのはその空間内に満たされており、以前見ていた通り、気圧というものを生み出すぐらいにそこに「実体あるものとして、確実に存在している」ものといえるんですね。


そして、一見つながってないように見えても、密閉した箱で逃げ場がない状況であれば、その中に存在する空気分子はある意味一体となって働いているものであり…

(この辺、物理センスのなさのせいで下手な説明というかイマイチな記述になっている気もしますが…)

…とりあえずより分かりやすい鳥の話に戻ると、「鳥が空中で浮かんでいる」というのは、何てこたぁない、あいつらは別に魔法の力で反重力を生み出すとかそんなことをしているわけではなく、羽ばたくことで空気を下に送って「揚力」を生み出すことで浮いているだけであり、その「上向きの力である」揚力の反作用として空気分子は「下向きの力」を発生させており、それが重さとなって体重計に伝わるんですね。

(まぁ力なんて考えなくても、羽ばたいて空気を下に送ったら体重計を押すことになるのは明らかですが。)

 

そもそも秤(体重計)ってのは、その上に存在するものの重みをエスパーで感じ取って表示しているとかそういうわけではなく、台表面にかかる力を感知して数字にしているだけですから、台に触れていなくても、力さえ伝われば「重み」となって検知されるという仕組みといえるため……

…例えば秤に強力扇風機の風を真上から当てると、(まぁ体重計みたいに重いものを量る、やや感度の悪いものだとあんまイメージ湧かないかもしれないものの、料理で使うような簡単なキッチン秤であれば…)風=空気分子を下に送ることで生み出される力で確実に台が押されて、扇風機は秤に直接触れてはいないにも関わらず、ある程度の重さとして針が振れることはイメージに容易いといえましょう。

 

結局、空中を漂っている鳥も、下向きの力を(地面に立っているときと全く同じように)送っているだけにすぎなかったんですね。

(そうじゃないと、空中で停止できません。)

 

しかしそうすると、「いや待てよ、『空気を下に送る力が重さとなって伝わる』ってことは、じゃあ空気がなかったら伝わらないわけ?」と思われるかもしれませんけど、それはズバリ、「そうだよ」と言いたい所ですが、それ以前の問題として、空気がない=真空状態だと、鳥は飛べないという問題がありますね。

まぁ鳥は生き物なので、真空状態だと死んでしまうというそういう問題もあるのでややこしいですが、純粋にプロペラの動きで浮くラジコンヘリやドローンでも、真空状態では浮かぶことができないのです。

 

実際に実験されている動画がYouTubeにありました。

 

www.youtube.com

 

動画の2:00前後、この箱の中の空気を抜いて真空状態にしてドローンを動かしても、プロペラが回るだけで浮かぶことはできないんですねぇ~。

真空状態でプロペラを回しても、浮上しない!

(ちなみにこの直後、箱の中に空気を戻してやっていますが、十分な空気が戻った瞬間、生き返ったように飛び立つ感じです。)

 

結局、「鳥やドローンが空中に浮かんでいる」というのは「空気を下に強く送って、その反作用の力で浮かび上がる」という現象にすぎず、翻って鑑みるに、その「下方に送られた空気」が体重計を押すことで、浮かんでいる分と同じ重さが検知されると、そういう話だったわけです。

 

…と、もうちょい気になる点もある話になっていたのですが、今回も完全に時間切れとなってしまいました。

引っ張る話でもないですが、他にも気になる部分について、次回またあとちょっと補足として触れようかなと思います。

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