遠心ネタで無駄に脱線を続けており、前回は遊園地のアトラクションでかかる「G」なんかを見ていました(我らが富士急ハイランドにある「トンデミーナ」の最高速でかかるGは、重力の6.5倍以上!)。
いきなり何のこっちゃという話でしたが、何気に遠心機とかいうワケ分からんものより、もっと身近なものでしかも体感できるものなので(トンデミーナに乗ったことがなくても、まぁ似たような回転アトラクションを想像すればイメージできる話ですしね)、むしろより面白いネタだったかもしれませんね(笑)。
というかそもそも「遠心力ってなんだよ」って話だったかもしれないですが、これはまぁ言うまでもなく、物体が回転したときに、回転の中心から遠ざかる方向へかかる力のことで、あくまで「回転するとき」にかかる力のことであり、例えば走り出した電車の中でかかるあの「置いてかれる感じ」になる力は、あれは遠心力とは呼ばず、慣性の力と呼ばれるものでちょっと違うものの、しかし遠心力は慣性の力の一種なので、まぁあんまり言葉尻に囚われる意味もない気もします。
そうすると、「『回転するときにかかる力』ってことは、じゃあ観覧車にも遠心力はかかるわけ?」と思われるかもしれませんが、これは当然のごとく、余裕でかかっています。
しかし、遠心力は「速度の2乗」でかかってくるという話で、しかも公式をチェックしてみると「回転速度(1分あたりの回転数=RPM)を1000で割った値を2乗」になっていますから…
(再掲:RCF(遠心力)=11.2 × 半径 (cm) × (RPM/1000)2)
…観覧車なんて、1周するのに何分もかかるレベル、すなわち1分あたりの回転数は小数点レベルで、さらにそれを1000で割って、しかも2乗するということで…
小数点以下の値というのは、2乗すると極めて大きく0に近づきますから…
(例:0.1の2乗は0.01、0.0001の2乗は0.00000001ですね。
まぁ0を並べた小数点表記はあまりにも分かりづらいので、こういうのは高校数学以降、指数で表すわけですが、上の例を指数表記すると
「10のマイナス1乗(0.1)の2乗」が、「10のマイナス2乗」(=百分の1)
「10のマイナス4乗(0.0001)の2乗」が、「10のマイナス8乗」(=1億分の1)
…となり、要は指数の値を普通に2倍する形になるわけです)
…結局、めちゃくちゃのろいスピードでしか回っていない観覧車の遠心力は極めてゼロに近い数字でしかないので(まさに、例えば「10分で1回転」だと、0.1 RPM(1分で0.1回転)ですから、遠心力の公式の「2乗」の部分は「10のマイナス4乗(1万分の1)の2乗」となり、1億分の1ですね)、こんなもんでは体感何も感じないと、そういう話だったってことなんですね。
(もちろん公式の11.2と、もう一つ掛け算される半径もかなりの大きさなのが観覧車とはいえ、それを1億分の1もされたらどう考えても微々たるもんといえましょう。)
それで言えばむしろ、「え?じゃあ地球は回ってるんだから、俺らは常に遠心力を感じてるってこと?むしろ地球に引っ張られてるんだし、そんなわけなくない?」と思われるかもしれませんが、ところがどっこい、これも言うまでもなく、我々は勝手に常時グルングルン回っている地球から、実は常に吹き飛ばされそうになりながら生活しているのです…!
とはいえ我々が日々暮らしている中で、地上から吹っ飛ばされる感覚などあるわけないのも当たり前な話でして、これはズバリ、
「遠心力よりも遥かに大きな『地球の引力』によって、中心の方へ引っ張られているから」
…となっているからなんですね。
要は、「吹き飛ばされる向きの遠心力もかかっていてるんだけど、もっと大きな「引力」で地球の中心に引っ張られる力もかかっているので、合計すると地面に引っ張られている力に落ち着く」ということになるわけですが、逆にいえば、少なからず遠心力も確実にかかっているといえるわけです。
これに関して面白い話が、我らが国土地理院、そして匿名質問サイトである我らがQuoraにあったので、僕が説明するよりも分かりやすくまた説得力も増すでしょうから、図込みでお借りさせていただきましょう。
まずはQuoraの記事からお借りすると、先ほど書いていた通り、地球の自転でも遠心力というのは発生し、しかも引力と相殺している(というか、引力の力をやわらげている)わけですが、遠心力というのは回転半径によっても影響を受けるものなので、回転の中心より、端っこに近づくほど遠心力は大きくなるわけですね。
(例の公園にある回転地球儀遊具を想像しても明らかといえましょう)
その話を図で分かりやすく説明してくれているのが以下の図で…
…そう、ここまで書けばもう当たり前かと思いますが、実は、地球の自転から発生する遠心力というのは、回転の中心(回転軸)にあたる北極南極で最も小さくなり、逆に、一番外側に位置する赤道上で最も大きくなることがいえまして、それを踏まえると、地球上でかかる重力というのは、赤道に近づけば近づくほど小さくなる(吹き飛ばされる向きの遠心力が大きくなるので)といえるんですね!
ということで、記事タイトルにしました「体重はどこで測るのがオススメ?」という点に関しては、肥満が忌避されできれば軽く見せたい現代人、もし少しでも低い体重を目指すのであれば、なるべく赤道に近づいて測りましょう、という話なのでした。
実際、すぐ次の図で、どのぐらいの影響が出るのかも紹介されていましたが…
…北極と赤道では、約0.5%、北極で測ったら体重60 kgの人であれば、赤道で測るだけでなんと、0.3 kg減った59.7 kgになるのです、フウゥ~自動ダイエット~~!
(…って、どんだけ微妙な違いだよ、北極から赤道に行く間にトイレするだけでそんぐらい変わるわ(笑)。っていうかそんぐらいの差を気にするなら、もうサバ読めサバを(笑))
ちなみに、Quora記事の続きによると、緯度以外にも地球の密度の偏りなんかにも影響を受けるのが重力であり(こちらは「引力」の方への影響ですね)、日本で最も実効重力が大きいのが根室、小さいのが沖縄で、両者の差も何気に北極⇔赤道と同じ0.5%ぐらいとありましたから、日本国内でも結構な差が……と思いましたけど、「流石に北極⇔赤道の差と同じはあり得なくない…?ミスかな?」と思ったら、ちょうど国土地理院の記事でそこに関する記述がありました、やはり0.15%のミス入力っぽいですね(以下のスクショ部分の説明文より)。
…まぁ実際の差の大きさはともかく、ここで記述されている話は大変面白いですね。
そう、理論的に北海道より沖縄で測った方が体重は軽くなるって話だと思ってたのですが、偉い人にはそんなことはとっくのとうにお見通しだったようで、実は秤(はかり)というのは、地域ごとにきちんと補正されているんだそうですね…。
そうすると先ほどの体重の話も破綻してしまいますが、しかしまぁ、あくまで自動補正ではないでしょうし、北海道で買った北海道用の体重計を持って沖縄で測れば、体重は若干軽く出てくるのではないかと思います。
(実際、以下の電子計測器を製造されているエー・アンド・デイ社の説明によると…
…そこまで精密さを求めない計測器具では、やはり「使用地域での重力加速度を設定」する形になっているようで、「北海道」で設定した体重計を沖縄に持ち込めば、まんまと0.15%、50 kgの人であれば75グラムも体重が軽くなるわけですね!
……だからもうそんぐらいの微々たる差を気にするならサバ読めよ、サバを(笑)(っていうかその程度の違いは体重計に表示されないでしょ(笑)))
ということで、今回は「世界最高速度の回転するもの」を見ていこうと思っていましたが、前置きのつもりで始めた話がまたいい分量となってくれました。
最高回転のネタは次回持ち越しとさせていただきましょう。