脂肪の代謝メカニズムの話を経て、前回の記事では「有酸素運動」について…ほぼ「『エアロビ』はあのレオタード体操だけを意味する言葉ではありません」というだけの内容でしたが、そんなネタへと移っていました。
まぁ有酸素運動に関しては、前回も貼っていたWikipedia記事が分子レベルの細かい点まで含めてまとめてくれていましたけれども、もうちょっと簡潔にまとまっていた記事が、我らが親方日の丸・厚労省のe-ヘルスネットで目に付いたため、情報の権威付けに目がない僕としては、改めてこちらのリンクを貼り、参考とさせていただくといたしましょう。
まぁリンクカードにも示されている冒頭部で既に、一番のポイント=「なぜ有酸素運動が推奨され、またダイエットに最適と叫ばれるのか」がハッキリと示されているわけですけど、結局有酸素運動を続けると、脂肪がエネルギー源としてガンガン使われていくというのが現代人にとって極めてありがたい点なわけですけど、その話はまた後ほど戻っていくとして、先に別のネタに触れてみようと思います。
「生体内では、ATPがエネルギーとして使われます」というこれまで長々と見てきた話に最初の段落で触れられた次に、こんな記述がありました。
しかしながら、組織におけるATP量には限りがあります。そのため、いくつかの経路によりATPが生成されます。大きく分けて、無酸素性エネルギー代謝(クレアチンリン酸系や解糖系)と有酸素性エネルギー代謝です。
そう、有酸素性のエネルギー代謝は、ここでは名前が挙げられておらずまたすぐ次の段落で紹介されていますけど、これまたこれまで長々と見続けてきた通り、「クエン酸回路」と「電子伝達系」が具体的な反応になるわけですが、一方の、酸素を使わない代謝経路、いわゆる嫌気性反応(上では「無酸素性エネルギー代謝」となっていますが、まぁ名前の微妙な違いなんてどうでもいいですね)について……
今までは、「解糖系」(と、こないだ「β酸化」にも触れていましたが)がこれにあたる…と書いていたんですけれども、なんと、これまで触れていなかったもう一つの反応があったのです。
それがズバリ、「クレアチンリン酸」!
クレアチンリン酸は、子供のときに目にしたらまず間違いなく、音の響き的にも「クレア・チンリンさん」みたいに区切っちゃいそうですけど、まぁ「リン酸基」ってのがもう何度も登場してきた我々大人は、そんなチン〇ンみたいな音には引っ張られず(笑)、クレアチンという分子に…
…リン酸基(H2PO3-)がくっついた形の分子だというのは余裕で解釈可能だといえましょう。
例によってまず名前から見ておくと、このクレアチン、英語ではcreatineで、そういえば語源的なものは全く意識したことがなかったものの、まさに「エネルギーを産み出す」分子ですから、これはどう考えても「create」(クリエイト、創造する)でしょう…と思いきや、なんと…!
…まさかの、ギリシャ語で「meat(肉)」を意味する「kreas」って単語が由来だったってことで、これは意外でした!
なお、「create」を同じ「etymology(語源)」検索したら、こちらは当然、「無から形成する」という意味合いの「creare」というラテン語が由来とのことで(語尾は、アミノ酸などのアミン化合物につけられる「-tine」になります)、完全にそっくりなのにクレアチンとクリエイトには一切関係がなかった感じなんですね。
あ、そこでふと閃きましたが、「クレアおばさんのクリームシチュー」でおなじみの「クレア」って、もしかしてクレアチンと同じ由来の語で、「クレアおばさん」はまさかの「肉おばさん」だった…?!
……と思ったものの、Claireは普通に英語圏の女性名でお馴染み、「clear」を語源とする、明るい・聡明な・著名なという意味の名前(なお、ClaireはClaraの英語名でもあるので、「クララが立った!」でおなじみクララちゃんは、日本名だと「明子ちゃん」「聡子ちゃん」になるわけですね)なので、これは違いますね……
…と思いきや、あぁーっと!!
クリームシチューの 「クリーム(cream)」から、「クレア(Crea)」と名付けられました。
…まさかの公式・我らがグリコが由来を紹介してくれており、全然違ったぁーっ!
肉子さんではないばかりか、明子さんでもなく、まさかの「乳脂子おばさん」のことだったぁっーっ!!
…って、一応「『Clear』という言葉のイメージにも由来しています」とありましたけど、何ともどう呼べばいいのか迷ってしまう名前のおばさんだったんですね…(いや漢字に直す意味は何だよ(笑))。
まぁでもそれは「公式が勝手に言ってるだけ」といえばそうとも言えますし、僕はClaireという名前の学生が以前研究室にいたとき「クレアおばさんじゃん!そうか、クレアはClaireってスペルで、明るいって意味だったんだね」と納得してしまっていましたから、僕の中では明子おばさんのままでいてもらおうと思います。
ちなみに「クリームが由来」で関連して思い出しましたが、クラムチャウダーの「クラム」は、まぁ料理の中身的にも、「クリームが由来なんでしょうねぇ、流石に」と思いきや……
…あひ~ん、スペルからしてもう違うぅ~!
そう、日本人的にはLとRの区別がつかないので、「Creamがなまってクレァム→クラムとなったに違いない」なんて思いがちなんですけど(別にそもそも語源なんて気になんねぇよ、って話かもしれませんが(笑))、これはズバリ…
…二枚貝、ハマグリやアサリのことだったんですね…!
じゃあ流石にチャウダーが「クリーム」的な意味なんか、あぁん?と思ったら、
…何気に語源はハッキリしないものの、英語のスラングで「食事」を意味する「chow」やフランス語で「大鍋」を意味する「chaudière」に由来するとのことで、あんなにクリームクリームしているクラムチャウダーなのに、クリーム要素は一体……と悲しくなってしまったものの、まぁでもチャウダー記事の英語版を見てみたら、単純な「鍋」の意味としてはフランス語「chaudron」が挙げられており、日本語記事にあった「chaudière」はむしろ「濃密な魚介スープ(シチュー鍋)」という意味のようだったため、まぁシチュー要素がそこに含まれているならよし……と、別にクラムチャウダーなんて好きでも何でもないし何のこだわりもない僕ですが、納得できて何よりでした(笑)。
…といった所で、まさかのまたまた名前だけ見て終わりというしょうもなさすぎる記事になってしまいましたが(しかもクラムチャウダーとか、あまりにどうでもいいにも程があるネタ(笑))、クレアチンが分子的に…というか生体内でどういう役割を持っているのか、また次回見ていく形にしようと思います。
語源が「肉」だけあって、こちらはやっぱり筋肉で活躍している感じですね。次回で代謝のまとめとなりそうです。