支笏湖は凍らない…!

一連の低温シリーズを続けていますが、前回は「川は普通に凍るよ」なんてことを書いていました。


「いや誰も『川って凍らないよね』なんて言っとらんのやが…」って話だったかもしれず、勝手な自問自答が過ぎる感じだったかもしれませんが(笑)、よっぽどの雪国か北国在住の方でなければ、やはり凍った川ってのはご覧になったこともなく、想像がつき辛い話ではないかと思います。

 

ちなみに前回「川の場合は流れがあるため、例の結晶化コアが形成され辛く、過冷却効果で固まりにくい…って話はある気もするものの…」などと書いていたのですが、ふと、「いや待てよ…過冷却状態って、振動が加わったら一瞬で全体に結晶(氷)が形成されるって話だったのに、むしろ外部刺激があり続ける川で『結晶化コアが形成され辛い』っておかしいか…?」という疑念が発生しました。

 

「あれ、まさか『流れている水は腐らない』に引っ張られて、『流れている水は凍りにくい』なんて書いちゃったけど、これ、適当のウソッパチだったか…?」と一瞬焦ったものの……

…とはいえ、流れている川が凍り辛いというのは直感的経験的にも明らかで、水溜りや池が凍っても、川は凍っていないという状況は頻繁にあると思うので、間違いではないようにも思えます。


実際の所どうなんだろう…と色々考えつつ調べていたら、これは恐らく、温度の循環が一番大きい要因なのかな、って気がしてきましたね。

(もっとも、ペットボトルや試験管チューブという閉鎖空間で振動するのと、ほぼ開放系に近いといえる、延々と流れの続く川で水が流れているのとはまた違うものなので、やっぱり流れがあると「結晶化コアが形成され辛い」ってのも、一応ある気もするんですけどね…。)


ちょうど関連するであろう面白い記事が見つかったので、これをご紹介しつつ考えてみるといたしましょう。


その関連トピックは支笏湖についての話でして、北海道千歳市にある有名なこの湖は、どうやら「最北の不凍湖」として知られているそうで……

www.mizunouta.com


…上記支笏湖情報サイト・リゾートスパ「Mizu no Uta PRESS」の非常に丁寧で面白い解説記事によりますと、支笏湖が凍らないのは、「水量が豊富な湖であるため、比熱の高い水の全体が氷点下に下がってしまう前に春になるから」というのがその理由だそうで、水の比重は4℃で最大になるため、湖内の水はちょうど上手いこと温度の循環が起こる形になっているという点も、それに一役買っている重要なポイントだということです。

 

これは面白いですねぇ~。

 

ただもちろん、これまたあくまで「水量が多くて凍りにくい」であり、「絶対に凍らない」わけではないですから、冷え込みが続く冬なんかですと、我らが支笏湖もカチコチになることもあるそうで、以下のウィッキー先生記事(↓)によると…

ja.wikipedia.org

(っていうかよく読んだら、先ほどの「水の謌プレス」にも、むしろより詳しい情報が載っていましたが)直近では2001年に全面結氷が見られ、その前が1977年、そしてその前が1953年と、面白いことに24年周期支笏湖様は凍りあそばせられるということで、界隈では「2025年はどうだろうね?!」と、にわかに盛り上がりを見せているようです。


これは楽しみですねぇ~。

 

氷点下もドンと来いの北国なのに、凝固点降下のほとんど発生しない淡水湖にも関わらず凍らないというのもロマンがありますが、凍ったら凍ったでそれもまた美しいものだといえましょう。


2001年時の、全面が凍った支笏湖の写真が、もう更新されていないと思われるブログで見つかったので、写真の方を1枚、記念にお借りさせていただこうと思います。

(勝手に削除されてしまう心配も余計なお世話かもしれませんが、やっぱり個人ブログは気付いたら消えてしまっている可能性も高いですし、クレジットは記載した上で、広く保存するのは良いことに思えてなりません……素晴らしい写真をパクる、ただの言い訳かもしれませんが(笑))

 

http://chitosegawa.web.fc2.com/field/shikotsuice.htmlより

まだデジカメも十分発達していなかった時代ですし、解像度はやや低いものの、まさしく24年に一度の素晴らしい風景ですね。

再来年(もう1年ちょいぐらいですか)、また寒い冬となり支笏湖がフローズンになるのか、じっくり見守らせていただこうと思います。

 

一方、川の凍結について翻って鑑みるに、川というのは流れがありますから、静止状態の水よりも温度が循環しやすいものであるため、冬、温度が下がるのはまず気温なので、水温は大気と接している川の表面から冷えていくことになるわけですけど、何せ川の水は動き続けていますから、凍ってしまうことよりも、まだ温かい底の方の水が表面に伝わってくる方が早く…

(改めて、比重の差ですね。今時はほとんどなくなったと思いますが、ガスで焚くタイプのお風呂ですと、かき混ぜない限り、「上が熱くて下はぬるい」って状態になるのは常識といえましょう)

…さらに川全体の水の体積も相当なものですから、これを全部冷やし尽くすには相当な冷気が必要となるわけで、結局川というのは小さな池なんかより遥かに凍り辛い状況になってるのかな、って気がしますね。

 

(まぁ「水溜りが凍るのに川が凍っていない」は、「流れの有無」というよりほとんど「水の量の差」だと思いますけど、とにかく水ってのは空気より遥かに熱しにくく冷めにくい性質があるため、体積効果も大きい、って話ですね。)

 

…と、予定外にまた1つ脱線ネタが増えたので、あまりにも時間のない日々が続いている状況に苦しんでいる立場としては「上手いこと記事の水増しができたシメシメ」と思えましたが(笑)、川の凍りにくさは、「流れによる温度の循環」と「水量も多い」の2点が大いに関係している話ではないかな、という気がする、という話でした。

 

ちなみに、「海や川が凍りにくい」のよりももっと圧倒的に身近な例が、すぐそばにありました。

 

ズバリ、「人体はもっと凍らない」といえますね!

マイナス20℃とかの環境でも、人間の体内で、例えば血液が凍って詰まって死んでしまった、という例はあり得ないわけです。

 

とはいえまぁそれは、もちろん血液や体液は非常に沢山のものが溶け込んでいる極めて濃度の高い液体であり、凝固点降下の効果もある程度はもちろんあるものの、それ以上に「人間は恒温動物だから」という方がより圧倒的に重要な事実であり、寒空の下、もちろん体表温度がめちゃくちゃ冷たくなってしまうことはあれど、身体の中は恒常性機構がなんとか頑張って…

(一番分かりやすいのが、「震える」ですね。身体が震えるのは、普通に振動を起こして摩擦熱で体温を上げてやるためであり、古典的ながら効果的な体温アップのための生体反応といえましょう。

 寒い日に手を擦り合わせるのと全く同じことを、全身の筋肉は無意識で行うんですね)

…身体の温度を高く保つようにできているわけで、実際氷点下の環境に長時間いても人体が凍ることはないわけですけれども、それは凍らないというより、その前に低体温症で意識を失うなり死んでしまうなりという結果になってしまうから…という感じだといえてしまうかもしれませんね。

 

とはいえ例えば液体窒素に指を突っ込んだような場合、これは指の中を走る血液どころか細胞全部が凍結してしまい、結果として凍傷を負うこともあるとはいえます。

ただこの場合、凍った状態というのは(特に液体窒素に浸けて急速冷凍したような場合は)いわば「冷凍保存」的な感じで、むしろそのまんまの肉体状態をより長く保てるとはいえるんですけど、問題は「氷が解ける」際にあり、細胞などは凍結よりもむしろ氷解する時にダメージが加わるとよく言われているため、そこの問題が解決していないことから、人体のコールドスリープは未だ実用化に至っていない…って話になっているんだと思います。


…まぁその辺の技術に関しては専門ではないので適当言ってるかもしれませんが、実際例えば液体窒素で冷凍保存をしている培養細胞を解凍して戻してやる際は、「37℃のウォーターバスにつけて、一気に急速融解すること」となっています。

培養細胞程度のスケールなら、お湯に付けて戻せば元気な状態に戻せるものの、人体レベルだとまだ、融解の際のダメージが無視できないんですね。


と、その辺の実験に関する低温ネタについて、今回はそっちに触れようと思っていたのですが、またしても時間が完全になくなってしまったので、(引き延ばすほどのネタでも全くないものの…)その辺の話はまた次回持ち越しにさせていただこうと思います。

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