エアコンも安くなりました

前回の記事では物体を冷やす仕組みについて、正直うわべのみの基本的なことしか語っていなかったものの、一応うわべの仕組み的なものにはサラッと触れていました。


おさらいをしますと、どんな気体でも圧縮すれば自由な気体分子のままではいられず液体に姿を変えるわけですが、その液体をまた気体に戻すことで、「液体が気体になる際の温度変化」を使って周りを冷やす…というのが根本の仕組みでした。


実際に用いられる物理現象は断熱膨張と気化熱、似て非なるものですがどちらも温度が下がる現象(=外部から熱を奪い取る)であるため……

(「液→気」変化である沸騰は、水を火にくべて起こすものなので「え?気体になるのって、熱くなるんじゃないの?」と思えるかもしれませんが、それは全く逆で、あれはいわば「水が火から熱を奪い続けている」状況といえますから、「水は熱くなり、(同時に、熱というものは必ず高いものから低いものへと移動するものなので)周りの物質は冷たくなる」という仕組みなんですね(高熱の火を与え続けているからそのイメージはないかもしれませんが、火の方は、水に熱を奪われて温度がごくわずか下がっているともいえるわけです))

……実際の冷却システムで分かりやすくいえば、その膨張や気化(蒸発)を起こしている容器は、液→気に変化する分子にガンガン熱を奪われて冷たくなっていくということで、その冷気を使うのが身近なものでいえば冷蔵庫であり、エアコンであるわけですね。

 

気化熱について、「水を沸騰させる」よりもうちょい分かりやすい例でいえば、消毒用アルコールを肌にかけたらスーッとして冷えるのはどなたも経験があると思うんですけど、あれはアルコールが肌の上で蒸発し、気化熱を自分の肌から奪うためにヒンヤリと感じる(「感じる」というか、実際に温度が下がっている)という仕組みだということですね。

 

要は、冷蔵庫やエアコンってのは、何ぞ大層な装置で冷やしてくれる凄そうなツラをしてますけど、あいつらも結局は、「消毒用アルコールを腕に塗ったらヒヤ~」というのとほぼ全く同じ仕組みで冷やしているだけにすぎなかったという衝撃の話で、逆にいえばそれだけ気化熱というのは凄い威力をもっている、ってことなわけですね。

 

「圧縮液化→断熱膨張→蒸発・気化→圧縮液化→…」の無限サイクルを回すことで冷却はいくらでもできるわけですけど(とはいえ前回も書いていた通り、固体になったら膨張の際の気化効率などもガクッと下がってサイクルの回転が困難になっていくでしょうし、無限に温度を下げ続けることができるわけではないのは言うまでもないわけですが…)、液体窒素を作るわけでもないなら、実際のエアコンや冷蔵庫なんかは、一回の膨張&気化で必要な冷気を取り出すレベルになっているように思います。

(もちろん、ずっと冷やし続けるならずっとサイクルを回す必要があるわけですけど、一度の気化でマイナス30℃とかは達成できるようなので、「必要な温度に届くまでに、何サイクルも圧縮膨張を繰り返す必要はない、ってことですね。)


前回長々と説明していたその一連の冷却サイクルですが、検索したら真空技術を使って様々な製品を研究・開発されているアルバック社のコラムに、イラスト付きでより分かりやすいものがあったので(↓)、普通にこの記事を紹介すれば一発の話だったかもしれません(笑)。

 

showcase.ulvac.co.jp

せっかくなので、その大変分かりやすいエアコンの仕組みの概略図を、アイキャッチ画像用に引用させていただこうと思います。

 

https://showcase.ulvac.co.jp/ja/solution/lifestyle/air-conditioner-01.htmlより

 

結局は気化熱が最も大きいもので、液体が気体になるいわゆる「蒸発器」的な役割の部分(図では左上の「熱交換器」)で風を送り、気化する分子に熱を奪われて温度がグッと下げられたパイプに触れた空気が部屋に提供されることで「あぁ~涼しい~」となるわけですけど、この「細い管が蛇腹のように並んでいる」というのが、いわゆる熱交換器というものの特徴でもあると思います。

 

もちろんそれだけではなくもっと様々な工夫がなされているものだと思いますが、単純に、少量のものが長距離配置されていれば、それだけ表面積も稼げるし熱の交換も容易になるわけですね。


ちょうど、「給湯器は、なぜ一瞬でお湯を沸かせるのか?」というのも、基本的にはまさにこの仕組みを用いており、お風呂に張った大量のお湯を沸かすのはかなりのガスを使っても時間がかかるものの、熱したフライパンの上に数滴置いた水は、ホンの一瞬で沸騰して気体になるのはイメージに容易いと思います。


それと同じ話で、給湯器では細い管に水を通すことで、管内に存在するごく少量の水はごく一瞬で熱湯にまで加熱可能となりますし、さらに長い距離を稼ぐことで十分な量の供給も可能ということで、瞬間湯沸かし器は延々とお湯を出すことが可能となっているわけですね。

(湯沸かし器は温度交換とは関係ないものの、クーラーや冷蔵庫のように内部の液体ではなく「冷えた管」が重要になる場合は特に、蛇腹で長くして、部屋に送る用の空気が接する表面積を稼ぐことがより重要になってくるんだといえましょう。)

 

とはいえ改めてもちろん、熱交換器は様々なものがあるようで、以下のアピステ社のコラムが性能などもまとめて分かりやすく紹介してくれていましたが……

www.apiste.co.jp

https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588より

…最近はこういったプレート型のものが、省サイズでありながら熱交換効率は極めて大きいものを持つとのことでよく使われているようですけれど、これもよく見たらプレートの内部には何枚もの伝熱プレートが重なり合っているようで、結局は数の暴力が正義、って感じのようですね。

 

ちなみに、熱交換器のみならず、圧縮機も膨張弁も、エアコンを形成する全ての部品が科学の進歩で性能が上昇しているのは間違いなく、エアコンの電気代、いわゆるランニングコストは本当に下がりましたよね。


僕が特に覚えてるのは、ドラえもんの漫画の…どの話だったかは忘れたものの、まだ本当にエアコンというものがこの世に誕生・普及したばかりの時代のエピソードなんだと思いますが、野比家で初めて導入したエアコンを「こりゃあいい」とひと夏使い続けたら、あまりの電気代に驚いてママが極めて不機嫌になっている……なんてシーンがあったんですけど(多分、作者である藤子Fさんの実体験なんだと思いますが(笑))…

軽く調べたら、30年前のエアコンだと、1日8時間の使用でシーズン9万円以上の消費電力ぐらいだったようで(ドラえもんのエピソードはもっと昔ですね)……

ありがたがって24時間ずーっとバカみたいに使い続けたら、月10万円どころか、下手したら7桁に届くぐらいの電気代になってしまうレベル(まぁそれは流石に言いすぎかもですが(笑))で、冗談抜きに、本当にエアコンが普及し始めた頃は、昔の携帯時代のパケ死ぐらいの明細ショックが訪れた家庭もあったのではないかと予想します。

パケ死パケ死で、最早令和キッズには何のこっちゃ分からない話かもしれませんが(笑)。)

 

しかし、技術の進歩は素晴らしいようで、もちろん24時間365日稼動し続ける冷蔵庫が「家庭内消費電力トップ」の座を譲ってはいないものの、今の時代、なんとエアコンよりも照明とテレビの方がより電気代がかかっているというデータが、↓の価格.comのコラムで書かれていましたねぇ~。

kakaku.com

テレビは大型の一途を辿っていますし納得ですが、照明は、LEDみたいなより安価なものもあるのに意外だったものの、いずれにせよ昭和の男である僕の印象からは信じられないぐらい、エアコンのランニングコストは下がっているんですね。

(もちろん、エアコン本体の値段も最初期より安くなっているようには思いますが(昔のバカ高金食い虫は茶色いボディ→今はスタイリッシュな白いボディという違いも印象的ですね)、やっぱり電気代が文字通り本当に桁違いな、0が1つ減る以上の安さになってるように思います。)

 

ちなみに僕は80~90年代を子供で過ごしたわけですけど、ドラえもんの漫画でたいそう不機嫌なのび太ママパパを見ていたこともあり、「エアコンは尋常じゃなく電気代を食うもの」という印象が強かったため、何ぞ家計を気にするような子供ってわけでもなかったんですが(笑)、エアコンを起動するのは非常に抵抗があり、逆に親は「暑いからつけようよ~」と言っているのに、(姉も似たような感覚だったので)子供たちが「もったいない!我慢できるじゃん!!」と、エアコンをつけると不機嫌になるという謎キッズだったんですけれども(笑)、最近の夏の平均気温は本当に当時より確実に上がっていますし、今はきっと姉とその子供も、ちゃんとクーラーの効いた部屋で快適に過ごしていることを願いたい限りです(笑)。


(なお、僕は日本を発つ直前(か前年)の夏が超猛暑だった記憶があるんですけど、マジで扇風機だけでクソ暑い東京の夏を乗り切ったのは、今でもちょっとした誇りです。

…「クーラー使ってない自慢とか、マジで昭和初期のジジイかよ!!」って話なんですけど(笑)、あれはやっぱり達成感がありましたね。

 今なら本当に、数百円の節約程度でしょうし、サウナじゃないんだからさ…ってレベルの汗も健康にいいわけないですし(あぁ、パソコンとかの電化製品にも最悪だった気がしますね、我ながら)、絶対にそんな無意味なことはしないことをオススメしたい限りです(笑))

 

…って所で、何だかまた全く大した話をしていない気もするものの、今回もタイムアップとなってしまったので、もうちょい広げようと思っていた関連ネタはまた次回見ていこうと思っています。

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