イオン液体とは…

ここ最近見ている「銅」について見ていた記事(↓)にいただいていたご質問も、少しずつ進めてきた結果、次の段落で一通り見終えるぐらいの感じですね。

 

con-cats.hatenablog.com

早速参りましょう。

 

硫酸銅っていうのは、陽イオンの銅イオンと陰イオンの硫酸イオンが手を繋いで固体になっているのに、イオン状態の銅というのが特殊な感じなんですかね?(イオンは液体にしか存在しない、の例外という意味?)

これは、めっちゃ綺麗な青色ですねぇ。金属とは思えないです。イオンは金属とは言わないのかもしれませんけど。

 

⇒こちらは既に直近で触れていた話と被る内容にもなっていますが、復習がてら改めてまとめてみようと思います。

例によって非常にややこしい話になってしまっているわけですけれども、まず最初の「硫酸銅っていうのは、陽イオンの銅イオンと陰イオンの硫酸イオンが手を繋いで固体」という部分については、完全にその通りですね。


(一般的に硫酸銅は二価の銅イオンであることがほとんどなので、硫酸銅(II)で話を進めると)電子を2つ失った陽イオンである銅イオン・Cu2+と、その電子2つをちゃっかりいただいて陰イオンとなっている硫酸イオン・SO42-が電気の力で手をつないで、CuSO4として安定した粉末で世の中に存在しています。

(あぁでも今さらですが、例の鮮やかな青いものは、実は水分子がくっついた硫酸銅五水和物というもので、水分子がくっついていない硫酸銅(無水硫酸銅とか、硫酸銅無水和物とか呼ばれます)は、上の記事では画像を削っていましたが、引用元のウィキページでそのすぐ下にあった通り、実は白色の粉末だったんですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/硫酸銅(II)より

実験で用いるのは専ら五水和物なので「銅といえば青」って印象でしたが、青色を得るには水の力も必要だったということで、その辺適当に意識していたかもしれません。

(改めて、「水がくっつくって何だよ」って話ですが、これは水分子の酸素原子と水素原子に微妙な電気のプラマイ差があることから(→この記事で見ていた、水の「極性」)、水分子も電気の力でピタリとくっつき、まるで1つの分子であるかのように共存している、って感じですね。

 もちろん、無水物を水に溶かした場合、当たり前ですが水に溶かした時点で大量の水が水和してくるので、五水和物を溶かしたのと全く同じ鮮やかな青色になります)

 

ちょうどその辺が他のご質問ポイントにも絡んできそうですが、続きで書かれていた「イオン状態の銅というのが特殊な感じ…」については、これは改めて、固体の銅化合物は、もちろん陽イオンと陰イオンが手をつないで出来てるものなんですけど、手をつないだ結果その時点でトータルでは電気的に中性になっているため、少なくとも自由に動ける電荷を帯びた粒子=イオンは存在しない、と言えるように思います。

(いやまぁ両者は電子を分け与えて寄り添ってるだけなので、一応存在はしてるんですけど、お互いが手を離して陽イオンまたは陰イオンだけ自由に動けるわけではないので、実質的に捕獲されている/動けないように固定されているも同然といいますか、「イオン単独」では存在しないって感じだといえましょう)

 

これまた既にここ最近の記事で何度か書いていたポイントに思いますが、「イオン単独で我が物顔で自由に動き回っているものは、水の中にしか存在しない」というのがより正確な記述だった、って感じですかね。


…と、それに関連して脱線注意点として、これまでずーっと「イオンは液体の中のみ」と書いていたわけですけど、「イオン結合でできた化合物は、基本的にほぼ全て固体」であり、しかもイオン結合はそれなりに強い結合ですので、実は、結びつきが強い=融点や沸点が異常に高い=「めちゃくちゃ液体になりにくい物質」であるともいえるんですね!

 

「いや食塩は水に溶けてイオンに分かれるんじゃなかったんかーい!」「イオンは液体のみに存在するって話ちゃうかったんかーい!!」と思われるかもしれませんが、これが案外ごっちゃになりやすいポイントで、それはただ「水に溶かした」だけであり、その物質自身の「固体液体気体」が変わったわけではない=状態変化を起こしたわけでは決してないことにご注意といえましょう。


「食塩が水の中でイオンに」というのは、あくまで「水」という偉大な液体分子の力を借りて「溶けた」だけであり、塩の粒自身が固体から液体に「融けた」わけではないんですね!

(化学では、「溶解=水に溶ける」と、「融解=固体が液体に変化する」を使い分けている感じです。)


食塩の融点は何度かといいますと、これはキリがいいので化学好きな人は覚えているかもしれない数字で(まぁいないと思いますが(笑))、ちょうど800℃になります。

つまり、塩の粒を熱して熱して熱し続けてとうとう800℃の高温にまで上昇させると、あの食塩もついに「あぢいぃぃ」と音を上げてサラサラの粒ではいられなくなり、あいつら自身が液体化してしまうんですね!

(僕は見たことありませんが……と思ったら、ガスバーナーで加熱するだけで、案外簡単に到達可能なんですね!面白い実験動画がYoutubeにあったので、紹介させていただきましょう↓)

www.youtube.com

(ちなみに沸点は1413℃なので、そこまでいくと食塩ガスになるレベルってことですね。味は……熱すぎて、味わう前に舌…どころかそれを手に取れる空間に入った時点で全身が焼け爛れて死ぬことでしょう(笑))

 

ともかく、イオン結合の物質は陽イオン側が基本的に金属なわけですし、金属は常温で固体(唯一の例外・水銀はいるものの…)ですから、これに何かがくっついても基本固体のまんまなことが多いのは納得いく話な気がします。

(なお、水銀の化合物ってそういやどうなんだろう、と思って調べてみたら、WikiP記事のこちら(↓)に挙がっていた…

ja.wikipedia.org

これらは全て常温で固体でした。

…と、一応ジメチル水銀だけは常温で液体のようですけど、とはいえこちらは有機物であるメチル基と水銀が共有結合で結ばれた有機物なので、純粋なイオン結合性の物質とはいえませんし、まぁ無視してOKでしょう。)


…が、そういえばイオン結合性の物質で常温で液体のものはないんやろか、と思って調べてみたら、普通にそのまんま過ぎて何の捻りもなさすぎて笑いましたけど、「イオン液体」ってのが世の中にはあるんですね!

ja.wikipedia.org

とはいえ、リンクカードにも構造式の画像が一部表示されていますけど、結局これも金属ではなく有機物が絡んでくるやつでして、NとCで出来た五角形のリングが電子を1つ放出して陽イオン化したものと、F(フッ素)が6つもつながってるP(リン)が電子を受け取って陰イオン化したものがくっついているという、「何か、あ~んまイオン結合っぽくないぜぇ」と思えるこんなの↓だったわけですが…

https://ja.wikipedia.org/wiki/イオン液体より

パッと見「ぽくない」だけで(イオン結合は、やっぱり金属と非金属が寄り添いあってる簡単なやつが基本ですしね)、一応間違いなくイオン結合でできた物質なんですけれども、こいつは常温で液体ということで、まさかの、水に溶かすことなくとも、それ自身が液体となりイオンに電離しているという物質で、世の中にはそんなのもあったんですね。


これ自体は粘性がある無色の液体だそうで、水には全く溶けない(混ざり合わない、ってことですね)もののようです。

(水には溶けないけど、水と接触していると徐々に分解されていくとのこと。何か見慣れないめちゃくちゃな構造ですし、簡単に分解されて性質が変わりそうなのは容易に想像が出来ます。)


他にもイオン液体となる物質はいくつか研究開発されているようですが、それ自身が液体になってイオンに分かれてくれるということで、ドバドバ電気を流せる物質だということですし、水と違って揮発もほとんどしないため、電池の電解液なんかへの応用が進められているようですね。


物質化学は専門ではないためそれ以上僕には分かりませんが、普通は超高温じゃないと液体になってくれないイオン結合の物質が普通の温度で液体になってくれるというのは、面白い使い勝手がありそうです。


…と、あまり関係ない話に脱線してしまいましたが、「溶かすことと融かすことは違う」という話も見ておく価値がありそうかな、と思えたため触れてみた話題でした。

(なお、もう1つ「解かす」で、「解凍」の熟語の通り「凍っていたものを温めて戻す」という語もある感じでしょうか。これは「雪が融ける(融雪)」とも書くので、厳密なものではないかもですが…)

 

では、続きのご質問はまた次回見ていくといたしましょう。

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