それでは何回かの脱線を経て1段落進んだ所で、いただいていたご質問の次の段落に参りましょう。
改めて、こちらはアンさんよりもう割と以前の記事に対してご送信いただいていたものであり、その後の記事で見ていた関連ネタに触れる前に書かれたものであることにご注意いただければと思います。
酸化銅においては、陰イオンは酸化物イオンということですし、例えばこれが銅でない別の金属であっても、その陽イオンが酸化物イオンと手を繋げば酸化なんちゃらになるということになり、、ということは、陰イオンっていうのはある程度限られたものしかない…?と思ったりしましたけど…どうでしょう?
まぁ、陽イオンがどれだけあるのか、全ての物質に陽イオンが存在するのか、どんな条件で存在するのか、そこら辺含めてまるでわかりませんので、、適当なイメージでしかないんですけど笑
⇒くどいですがこのご質問は周期表や原子・電子などに触れる前にいただいていたものなので、後半に関しては既に何となく触れたことのあった(=陽イオンになりやすいのは、電子が(安定型と比較して)余っている=周期表で左側に位置する、金属が中心)点ですが、前半でも大変興味深い点をお尋ねいただけていました。
一応ポイントとしては、ちょうど前回見ていた通り、もちろん陰イオンも化合物を作る上で陽イオンと同様に主役的役割を持っているわけですけど、気になる点としては、「陰イオンは限られたものしかないのか?」つまり、記事タイトルにもした通り、「陰イオンと陽イオンは、どちらの種類が多いのだろうか?」というのが、実際僕も考えたことはなく、そういえばどうなんだろ、と思えた点ですね。
パッと考えてみた思いつきレベルでは、やはり金属元素の方が数が多いですし、ほとんどの金属は陽イオンになりますから、陽イオンの方が多いんちゃうかな?…とは思えたものの、しかし陰イオンは陰イオンで、複数の元素が組み合わさって作られるイオンが豊富ですし、これはいい勝負かもしれませんね。
こんなときはやはりWikipedia総帥の力をお借りしましょう。
「イオン」の記事(↓)に、「主なイオン」として、陽イオンと陰イオン、ご丁寧に価数(+○とかの、○の数字)ごとに分けて代表的なものがまとめられていました。
表はなぜか(日本語のWikipedia記事はほとんどそうですが)、元素記号(この場合イオン式)が、テキストではなく画像形式になっていたので、これは検索とかコピペに不便ですから、利便性を考えて全部テキストに置き換えた形で、丸っと引用させていただきましょう。
主なイオン
おもな陽イオン 価数 イオン名 イオン式 1 単原子イオン 水素イオン H+ リチウムイオン Li+ ナトリウムイオン Na+ カリウムイオン K+ 銀イオン Ag+ 銅(I) イオン Cu+ 水銀(I) イオン Hg22+ 多原子イオン オキソニウムイオン H3O+ アンモニウムイオン NH4+ 錯イオン ジアンミン銀イオン [Ag(NH3)2]+ ビオレオ [CoCl2(NH3)4]+ 2 単原子イオン マグネシウムイオン Mg2+ カルシウムイオン Ca2+ ストロンチウムイオン Sr2+ バリウムイオン Ba2+ カドミウムイオン Cd2+ ニッケル(II) イオン Ni2+ 亜鉛イオン Zn2+ 銅(II) イオン Cu2+ 水銀(II) イオン Hg2+ 鉄(II) イオン Fe2+ コバルト(II) イオン Co2+ スズ(II) イオン Sn2+ 鉛(II) イオン Pb2+ マンガン(II) イオン Mn2+ 錯イオン テトラアンミン亜鉛(II) イオン [Zn(NH3)4]2+ テトラアンミン銅(II) イオン [Cu(NH3)4]2+ テトラアクア銅(II) イオン [Cu(H2O)4]2+ チオシアニド鉄(III) イオン [Fe(SCN)]2+ ヘキサアンミンニッケル(II) イオン [Ni(NH3)6]2+ プルプレオ [CoCl(NH3)5]2+ 3 単原子イオン アルミニウムイオン Al3+ 鉄(III) イオン Fe3+ クロム(III) イオン Cr3+ 錯イオン ヘキサアンミンコバルト(III) イオン [Co(NH3)6]3+ ヘキサアクアコバルト(III) イオン [Co(H2O)6]3+ ヘキサアンミンクロム(III) イオン [Cr(NH3)6]3+ ローゼオ [Co(NH3)4(H2O)2]3+ 4 単原子イオン スズ(IV) イオン Sn4+ マンガン(IV) イオン Mn4+
おもな陰イオン 価数 イオン名 イオン式 1 単原子イオン 水素化物イオン H- フッ化物イオン F- 塩化物イオン Cl- 臭化物イオン Br- ヨウ化物イオン I- 多原子イオン 水酸化物イオン OH- シアン化物イオン CN- 硝酸イオン NO3- 亜硝酸イオン NO2- 次亜塩素酸イオン ClO- 亜塩素酸イオン ClO2- 塩素酸イオン ClO3- 過塩素酸イオン ClO4- 過マンガン酸イオン MnO4- 酢酸イオン CH3COO- 炭酸水素イオン HCO3- リン酸二水素イオン H2PO4- 硫酸水素イオン HSO4- 硫化水素イオン HS- チオシアン酸イオン SCN- シュウ酸水素イオン H(COO)2- 超酸化物イオン O2- 錯イオン テトラヒドロキシドアルミン酸イオン [Al(OH)4]-
[Al(OH)4(H2O)2]-ジシアニド銀(I) 酸イオン [Ag(CN)2]- テトラヒドロキシドクロム(III) 酸イオン [Cr(OH)4]- テトラクロリド金(III) 酸イオン [AuCl4]- 2 単原子イオン 酸化物イオン O2- 硫化物イオン S2- 多原子イオン 過酸化物イオン O22- 硫酸イオン SO42- 亜硫酸イオン SO32- チオ硫酸イオン S2O32- 炭酸イオン CO32- クロム酸イオン CrO42- 二クロム酸イオン Cr2O72- シュウ酸イオン (COO)22- リン酸一水素イオン HPO42- 錯イオン テトラヒドロキシド亜鉛(II) 酸イオン [Zn(OH)4]2- テトラシアニド亜鉛(II) 酸イオン [Zn(CN)4]2- テトラクロリド銅(II) 酸イオン [CuCl4]2- 3 多原子イオン リン酸イオン PO43- 錯イオン ヘキサシアニド鉄(III) 酸イオン [Fe(CN)6]3- ビス(チオスルファト)銀(I) 酸イオン [Ag(S2O3)2]3- 4 錯イオン ヘキサシアニド鉄(II) 酸イオン [Fe(CN)6]4-
いっぱいありますねぇ~。
一応、上記ウィッキー先生の表によると、陽40に対し陰45で、世の中には陰の者の方が多いということが判明しましたが(笑)、そうは言ってもこれはあくまで「主な」で、まだ他にも陽イオンになれる金属はいくらでもありますしね、実際の所はやっぱり、どちらが沢山あるかは分からないのが実際といえましょう。
例えば…まぁ本当にいくらでもありますけど、チタンみたいな、美しくて安定してそうな金属でも…
普通に二酸化チタンがある感じですし、チタンも当然イオンになって、他の陰イオンと結合できるわけですね。
(アイキャッチ用に、わざわざ大したことない画像をお借りしました(笑))
あとは、表の途中あった謎に複雑な「錯イオン」というのも、高校化学で習うヤツらですけど、ぶっちゃけ「結局あいつら何やったん」と思えたやつらなんですが、時を経ていろいろ学んだ今語るとしたら……「結局こいつら何やったん…」でしかないかもしれません(笑)。
まぁ別に、イオンに他の分子がくっついて、全体で電荷を持ってる状態になっているだけですけど、「テトラアンミン銅イオン」(テトラ=4、アンミン=アンモニアですね)とか、「テトラヒドロキシドアルミン酸イオン」とか、今でもバッチリ覚えてますが、試験以外で出会った記憶すらありませんしね(笑)。
(後者は僕の場合「テトラヒドロキソ…」で覚えてましたが、特にどちらでもいいみたいですね……と思ったら、2005年のIUPAC無機化学命名法で、「ヒドロキシド」にするよう勧告があったとのことです)
そんな感じで、今回もまたちょっと時間がなかったため、ほぼWikipediaの主なイオンまとめを貼っただけでしたが(笑)、続きのご質問にはまた次回触れさせていただこうと思います。