ヘパとピンセットと

今回はちょっとべらぼうに時間がなさすぎたため、前回の記事で「あ、この補足ぐらいはしておいてもいいかな」と思えたものの結局触れずじまいになっていた脱線ネタに触れさせていただくといたしましょう。

 

前回はプラズマクラスターの除菌効果なんかを本当にチラッとだけ垣間見ていたわけですが、「まぁ、その主張が正しいのかは何とも僕には判別がつかないですけれども…」みたいにゴニョってたわけですけど(まぁゴニョる時点で否定してるも同然なのですが、「ここがおかしい!」みたいに早口で捲し立てることはしなかった、って感じですね)、では本当に効果がある空気清浄機は何なのか…?

否定するからには、よりいいものがあるってことだろ?という疑問をもたれる方もいらっしゃるかもしれないものの(まぁいないと思いますけど(笑))、これはもう確実に、HEPAフィルターを用いた空調機器一択といえる感じですね!

 

ja.wikipedia.org

「HEPA」は「High Efficiency Particulate Air Filter」(高効率粒子状エアフィルター)のことで、英語でもそのまんま「ヘパ」と呼ばれますが、これは普通に病院のクリーンルームや精密機械の工場などで使われている、超高性能フィルターになります。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/HEPAより

こんなの見ても何も分からないというか、僕も「細胞培養で使うクリーンベンチにHEPAフィルターが使われている」という知識はあるものの具体的にどういう構造になってるのかは知りませんでしたが、ガラス繊維が何層も折りたたんで収納されることで複雑な網の目状を展開して、いかなる粒子もキャッチしてブロックする…という仕組みですね。

 

これの威力はガチで、正しく使うと本当にわずか1匹の菌の侵入も許さない、最強のものとなっています。

あまりにも高性能すぎて、流石に家庭レベルで必要とするスペックを凌駕しているため、基本的には業務用(まさに、病院・工場などですね)で使われているものだと思いますが、上記ウィキップ先生によると、ハイエンドモデルだと家庭用の空気清浄機フィルタに用いられていることもあるみたいです。


正直、部屋の空気をそこまで完全に綺麗にしても、エアシャワーを浴びたりこういう↓特殊な防護衣を着たりしない限り、持ち込みの汚物の影響が強すぎてHEPAの無駄使いにも思えますし(笑)…

https://ja.wikipedia.org/wiki/クリーンルームより

家でこういう防護衣を着て過ごすのなんて不可能というかそこまでしないと気が済まないのはもう病気なので(笑)、ちょっとオーバースペックな印象はあるかもしれません。


…と思いきや、検索してみたら、HEPAフィルター付きの空気清浄機でも、普通に4ケタ円のものもあるみたいで、そこまで高価格帯でもないものもいる感じでした。

 

https://www.amazon.co.jp/空気清浄機-HEPA/s?k=空気清浄機+HEPAより

こちらは、科学的に文句の付けようがないぐらいに高い性能なので(とはいえ、HEPAフィルターも、何層あるのか・網目の大きさは…とかで色々規格はあるので、一概にHEPAなら無敵、ってわけでもないかもしれませんが)、選ぶ際はそこに目をつけて買い物をすると賢いかもしれませんね。

 

…と、これだけではちょっと短かったのでもう1つ、全く関係ないネタになりますが、こないだから「水素イオンを何か超高性能ピンセットみたいなのでつまんで、単独で取り出すことはできないのです」みたいなことを書いていた際に、「ピンセットといえば…」と脱線しようと思いつつその機会もなく放置していたネタを、ここで使わせていただくといたしましょう。


まぁこれも大したネタじゃないんですけど、僕は初めて聞いたときはワクワクしたものに、「分子ピンセット」なるものがあるのです。


こちら、分子生物学の講義だかで習った気がしますが、「え?まさかの、めちゃくちゃ凄い顕微鏡&ロボットみたいなやつを精密操作することで、分子レベルで水素イオンとかを摘まめるスゲぇピンセットなのかな?」と期待したんですけれども、実体は特定の分子を挟み込むような空間が存在している普通の有機化合物を指してそう呼んでるだけのようで、案外期待外れでした(笑)。

 

ja.wikipedia.org

ちょうどこのリンクカードの画像にも使われているように、例の六角形炭素構造(=ベンゼン環)がいくつかつながってできた赤い分子が、真ん中の青い別のゲスト分子を包み込むように挟むことができるという、もちろんこれ自体は面白いもので、上記ウィ記事にも記載されている通り、例えばアルツハイマーの原因といわれているアミロイドタンパク質を挟み込む分子ピンセットを使えば、アミロイドが良くない凝集を引き起こすことを妨害し、アルツハイマー予防につながるのではないか…みたいな研究が盛んになされているなど興味深い応用例も報告されている形です。


とはいえ、「分子ピンセット」と聞いてイメージした、何かライトセイバーみたいな極小装置で分子やイオンをここでちょっとひとつまみ(笑)…みたいなものとは、残念ながら違っていた感じですね(まぁ別にそんな妄想するのは僕だけかもしれないというか、僕も言う程そんな妄想してませんけど(笑))。


あぁただ近いものとして、生物物理の講義だかで習った中に、もう1つ似たような、「光ピンセット」なんてのもありましたね…!

ja.wikipedia.org

こちらは、レーザー光を用いることで、局所的な電場を発生させてDNAやタンパク質といった巨大分子を動かすことすらできる(流石に1原子・1イオンレベルのものを摘まめるほどではありませんが)もので、2018年のノーベル物理学賞はこの光ピンセットの開発をされたアーサー・アシュキンさんが受賞されていたのも記憶に新しいです。

ja.wikipedia.org

まぁ、詳しい原理は難しすぎて僕も解説できるほどの知見は持ち合わせていないので省略させていただきますが、こういう技術を見ると、将来は「これが水素イオンね」と、水素イオンすなわち1個の陽子を持ち上げて目の前に持ってくることすら可能になるのかもしれないね……と、大変ワクワクするものです(まぁ、言う程そこまで水素イオン1個を持ち上げたくもないので、ぶっちゃけそないワクワクもしませんが(笑))。

 

といったところで、あんまり関係ない脱線ネタで時間不足をごまかさせていただきました。

…あぁ最後に1つ、「ピンセット」って、実験でもよく使うんですけど、こいつは英語っぽい響きを持っていながら実はオランダ語でして、英語では通じないんですよね。


英語でピンセットはどう言うかというと、2つもあるくせにどちらも全く耳馴染みがなさすぎる「tweezers(トゥイーザーズ)」と「forceps(フォーセップス)」となります。

ぶっちゃけどっちがどっちだったかいつもごっちゃになる(どっちでも通じるため)のですが、tweezersの方がより一般的なピンセットっぽいやつと考えればよく、forcepsの方は、解剖とかで使いそうな、日本語で言えば「鉗子(かんし)」というのがピッタリの、患部を挟んでお腹を開くときに使われそうなやつですね。

en.wikipedia.org

en.wikipedia.org

(リンクカードの画像は切れてますね…これです↓)

https://en.wikipedia.org/wiki/Forcepsより

ちなみに、分子ピンセットも、光ピンセットも、どちらも英語ではTweezersが使われています(Molecular tweezers、Optical tweezers)。

en.wikipedia.org

en.wikipedia.org

それでは次回はまた、ご質問の方を見ていこうと思います。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村