Since, As, Becauseの補足他

一連の「英作文で顔を出すつなぎ言葉の注意点」的な記事(ほとんどがマーク・ピーターセンさんの著作をただ引用しただけでしたが(笑))にいただいていたご質問コメントを中心に、またいくつかコメントから話を広げさせてもらおうかと思います。


まずは、前回の終わりに触れていたコメの続き…というか実際はその前後にあたるのですが、まぁ細かいことはともかく、続きから参りましょう。

 

あぁ、since…?!これは、〜から(以来)っていう意味しか記憶にないですが、言われてみればその意味で訳すのは難しくない?って思ったことがあるくらいのイメージはありますねぇ。


⇒そう、これも触れようと思いつつ長すぎたので端折っていた点なんですけど、sinceは、まず習うのが「~以来」ですし、全然関係ない「~ので」の意味もあるとか何でやねん!と思えてくるやつですね。


一応、sinceの語源を紐解いてみると……

www.etymonline.com

例によってオンライン語源 (etymology) 辞典のetymonlineの記事(↑)を参考にすると、

「afterward(以降)、from now on(今から)、hereafter(今後)、further(さらに)、later(後に)、as soon as(…次第)、after that(その後に)」という意味の古英語であるsiððan由来

…だそうですけど(この由来自体意味が多すぎますが(笑))、まぁ基本的には「起点」を表す単語だということで、時間的起点であれば「~以来」、そこから派生して何かの事象・出来事の起点であれば「~なので」という理由を語る意味になるというのも、まま納得はいくって感じですかね。

(まぁそんなこと言ったら、「他の起点を表す言葉が理由を表す意味を持たないのはなんでだよ」ってなるので、ややこじつけにも思えますけど、言葉なんてそんなものとしかいえない感じでしょうか。

…あぁでも一応、上の由来にも見え隠れしていた「after」は、「ちなんで」という意外な用法があることも以前どっかで書いたことがあった気がしますが(「name after XX」で、「XXにちなんで名付ける」って感じですね)、そう考えるとこれもやっぱり起点の一種なんだなぁとは思えるかもしれません。)

 

と、いかにもスペースを埋めるためだけの、取ってつけたような大したことない脱線になってしまいましたが(笑)、語源を見てもsinceは基本やっぱり「~以来」というのが第一義とはいえるものの、実際「~ので」的な理由説明でもめちゃんこよく使われる語なので、気をつけた方がいいやつといえそうですね。

(おさらいですが、becauseは原則として相手が知らないであろう新情報となる理由を、sinceは相手がもう知っているであろう既知情報を理由として伝える際に使われるという違いがある語でした。)

 

この手の複数の意味があるやつ、まぁsinceほどはっきりした違いなら混乱もないものの、例えばマーク本でも挙がっていた「as」なんかも、理由説明の意味もあれば「~しながら」という意味もあれば「~する時」という似てるけど若干違うニュアンスの意味もあって、さらには文頭のみならずただ名詞をつなげるだけの形でも使える「~のように/のような」という意味もあれば「~として/としての」という意味もあり、まだまだ他にも比較級で「~と同じぐらい」という使われ方もあるし……と、マジで尋常じゃないほどの微妙に異なるニュアンスがあるドチャクソ面倒くさいにも程がある語ですけど、個人的に、こういうのはもう逆に考えて、「めっちゃ色んなニュアンスがあるから、適当に使っても、ネイティブが自動的にそれっぽく解釈してくれる」という、最早便利な言葉として捉えるのもいいんじゃないかな、って気がします。


「as」の基本的なイメージとしては、「何かを並べて『イコール』の関係を示す」というニュアンスのある言葉といえますが、そこさえ抑えておけば、同時発生するニュアンス(~の間、~の時)とか、論理的に等価なつながりを導くみたいな感じで理由を述べる形だとか、もちろん他にも同格の名詞を並べたり比較表現で同等であることを示したりといった意味で使えるのも納得といえましょう。

そんな感じで、漠然とそういうニュアンスさえ抑えておけば、以前の「仮定法はムードなんだよ」で書いていたことに通じるものがある話ですけど、決まりきった用法とかルールはなくぼんやり色んな意味があるからこそ「適当に使っても相手は一番それっぽく捉えてくれるから、適当に使ったろ」の精神でいっても実際普通に上手くいくことが多いように思います。

…って、以前も書いてた似たような浅い話の単なる繰り返しになってしまいますが、言葉というのは強力ですが万能ではないので、基本的に言葉を使ったコミュニケーションというのは自分の言いたいことが100%確実に伝わる保証なんてどこにもないわけですし、「正しい用法になっていなくて、言いたいことが正しく伝わらなかったらどうしよう…」とか不安がったりせず、全く逆の「ムードだよムード。それっぽい感じのこと言っとけば、英語力が圧倒的に高い相手が勝手に解釈してくれんだろ」ぐらいの適当さで構えるのが一番に思えますね。


とはいえしかし、曖昧さがあるのは普段の会話やカジュアルな作文では大変便利なんですけど、論文など論理がカッチリしている必要がある場面だとそれはやや困りものになることも事実で、一連の記事では引用しませんでしたがマークさんも本の中で、

「日本人が論文で使う『As...』は意味が漠然としていることも多々あり、よっぽど自信がない限り、曖昧になり得る場面で使うことは避けた方が良いでしょう」

…みたいなことを書かれていました。

これは実際まさにそう思うので、僕は(絶対使うことを避けているまではいかないものの)asよりももっと意味のはっきりしたbecauseなりsinceなり、その他ここ最近見ていたつなぎ言葉を使うことの方が多いかな、って気がします。


一応、元ネタの記事で一応ちょっとだけ触れていたものの深入りはしなかった点として、「財布を忘れて、310円しかない」の例文でasを使うのは「書き言葉っぽいフォーマルさが過ぎる」という指摘から「会話文で使うのはおかしい」と書かれていた…と紹介していた通り、少なくともその意味でのasは、フォーマルさという観点からは論文で使っても全く違和感のない表現ではあるんですけど……

(ちなみにもう一つ挙がっていた「for」(「For I forgot my wallet today, I have only 310 yen.」みたいな形)は、こちらはあまりにも文学的過ぎる、古典小説みたいな響きさえ感じられるといえるようなので、これは論文には全く不向きな表現ですね。)

…まぁ今さっき書いていた通り、英語を完璧に操れるわけではない我々が作文する場合は、他の表現に逃げた方が無難なことが多いのではないかな、って感じですね。

 

という感じで、(大した補足でもなかったですが)触れそびれていた部分にも触れるべく、ちょっとasの方にも脱線させていただきました。

それではコメントの続きに参りましょう。

 

andはいいですね〜!

私の場合は、まぁ書くことはほぼないので話す時ということになりますが、andなんて簡単そうなのに、なかなか言えないかも。文章を必死で考える必要があるので、それどころじゃないですね笑


soやbecause、sinceを使った場合の因果関係について、

財布を忘れたことと310円しか持っていないことは、言われてみればなるほどという感じで、必然的な結果は導いていないのでsoや becauseを使えないというのもわかります。

けど、やっぱり使いますよねぇ?笑

例えば、財布を忘れたことと、免許証が無いことは、財布に免許証を入れておくのが当然という人になら必然的に思えるかもしれませんよね?そうなると、財布を忘れたことと運転ができないことも本人にとっては必然なわけですが…まぁそうゆうのはもう個人の感覚でいいのか?っていう気がしちゃいますが…

なぜ運転できないの?と聞かれたら、なぜなら免許証を持っていないから、はOKっぽいですが、財布を忘れたから、はNGっぽいですね、やっぱり笑

もし、なんで310円しか持ってないん?って聞かれたとして、財布忘れたんよ!っていうのは、becauseで良さそうじゃないですか?

この場合の正解は何でしょう?

 

⇒例のsoや becauseの持つ堅い論理関係うんぬんの話ですが、まさに、日常会話なら確実に「細けぇこたぁいいんだよ」という感じで絶対に何も問題ないし、誰も気にも留めないし、みんな普通に使ってると思います(笑)。

あくまで「厳密に言うと、その論理関係はおかしいよ」といえる文になっているという感じに過ぎないのであって、逆に、そんな厳密なことを日常会話でいちいち指摘するやつの方がおかしい・キモいとすら言えるかもしれませんね(笑)。

(学生の頃の飲み会で、先輩がそのまた先輩に向かって語っていた発言で未だに印象に残ってるものに「正論言うヤツは嫌われるんすよ」ってのがあって、「まさに正論!」と思えておかしかったというか心に残ったのを覚えてるんですが(笑)、結局そういうことなんですよね。

 人と人との会話ってのは、別に弁論大会してるわけじゃないんだからさ、そんな揚げ足取るんじゃなく、もっと楽しもーぜ!……ってなもんだといえましょう。)

 

とはいえ、ご指摘いただいた点は大変面白く、その流れですと、そもそもの論理構造が実際変わってる気もしますね!

「財布を忘れた→運転できない」は、もちろん「財布の中には免許が入っている」という中継地点込みであり、普段入れていない人には自明ではない可能性もあるものの、常識的にそれは推測可能な話ですから、「'Cause I forgot my wallet, I can't drive now!」は論理的に不備がある文ではなくなっているように思えます。

(まぁ、論理警察(=嫌われるヤツ(笑))は、もしかしたら「運転できない原因は、財布を忘れたことではなく、免許証を忘れたことであるからして、ここで君は『I cannot drive now because I forgot my driver's license.』と言うべきであった。なお、基本的に新しい情報は後出しするのが英語の原則であるゆえ、上述の文構造の方が理想的であろう」とか言ってくる可能性もゼロではありませんが、まぁそういう正論マンは無視しましょう(笑)。相手にしない方がより良い世の中になる気がします(笑)。)

 

そしてコメント最後の問答、「なんで310円っぽっちやねん」「財布忘れてもーて」の場合は、これもやっぱり、話の主眼というか論理構造が最初の文からは既に切り替わっているように思えるので、Why→Becauseの例の流れの対話で、全く問題ない(論理警察の出る幕ではない)んじゃないかな、って気がしますね。

要は、ここでの疑問文の本質は「310円という具体的な金額を聞いているのではなく、なぜそんなに少ないか?」という部分に入れ替わっているため、その回答として「財布を忘れたから」というのは、becauseという強い因果関係を導く語を使うのに完全に理に適っており、無問題な形といえるのではないか……って所ですね。

 

…って、こんな細かい点を長々語っているヤツの方が論理警察よりよっぽどキモいまであるかもしれないので(笑)、バランスを取って、「論理的な男を標榜してやまない僕ですが、実は、普段の会話とかなら、めちゃくちゃな言い方や発言の方が好きだったりするのです」…という謎アピールをしておしまいにさせていただきましょう(笑)。

例えば、インターネットで一時流行っていた「どうして○○なのはなぜなんだぜ?」という言い回し、これ最初見たときあまりにも日本語として破綻しすぎててクッソ笑えたんですけど、こういう論理性ガン無視な不思議なリズムの謎言語、僕は非常に好きなのです。

 

…ってまぁ、そんなネットスラングが好きとか、キモさに輪をかけてるだけな気もしてきたので(笑)、その辺にしておきましょう。

改めて、例えば「財布を忘れて運転できない!」で、仮に一瞬「ん?」と思うことがあっても、「免許、財布に入れてるんだ!俺は、免許は裸でポッケにインだぜ!!」と言いながらグチャボロの免許を出して笑いを取るぐらいの余裕を見せるのが、会話のキャッチボール上級者といえそうで、論理の不備を指摘するよりそういう人間になりたい限りです、というお話でした。


例によってネタがあまりにもなさすぎるアイキャッチ画像は、話題のご提供をいただけた免許のいらすとを拝借させていただきましょう(笑)。

ちなみに無駄情報ですが、僕は大学生の頃に免許を取って以来ずっとゴールドだったんですけど、こちらへ来て中々帰国のタイミングも合わず、いつも失効するまで更新しないので、今では毎回違反者講習を受けている感じです。

まぁ、ゴールドといってもただのペーパードライバーなだけなので、ちゃんと講習を受け直すのでちょうどいいのかもしれません(笑)。

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