翻訳をアニメで学んでみよう

前回はようやく遺伝子のスイッチONについて、例として見ている大腸菌pETシステムでは、単にIPTGというラクトースもどきみたいな分子を大腸菌スープの中にペッと入れてやるだけなのです、なんてことに触れていました。

ちなみにいただいていたご質問に、「ヒト細胞とかではオペロンはないって話だったが、どうなっとるん?ずっとONで、RNAポリメラーゼは好き放題、無駄に遺伝子を合成し続けとんの?」というものもありましたが、これは当然、んなこたぁありません。

むしろ大腸菌みたいなクサいだけの単細胞カス生物(いや、特に分子生物学においては重要な生物ですけどね。でも、生理学的には、いわゆる悪玉菌に分類されるものでしょうか。

…一応、大塚製薬による分かりやすい健康指南記事(↓)によると、有毒な大腸菌は悪玉菌とみなされているようですが…

www.otsuka.co.jp
…無毒の大腸菌は、日和見菌として、まぁどっちつかずの、そこまで積極的に悪いこたぁないものとみなされているようですね。

 しかしいずれにせよ、腸内には100兆とか1000兆匹の細菌がいるといわれていますから、自分の体内で飼ってる菌は、健康状態や老化にマジで直結する、クッソ重要な因子といえますね。
 まぁ今回の話とは直接関係ないので、大腸菌話はその辺にしておきましょう。)


…って、文の途中で余談に逸れてしまいました。

話を戻すと、大腸菌なんぞと比べると、むしろ我々人間のような高級な生物の細胞の方が、遥かに複雑かつ精緻なメカニズムで遺伝子発現のON/OFFをコントロールしています。

まぁオペロンはあえて特別な名前が付いてるだけで、ヒト遺伝子にも似たような転写抑制因子とか転写活性化因子とかそういうやつは存在していて、それらが上手く絡んで上手いこと制御されているって感じですね。

ただこれも、複雑すぎてまだまだ全容は解明されていない、って面もあり、そもそもオペロンほど分かりやすく単純な仕組みじゃないため「これ」という形で学びづらいともいえることから、単に、オペロンはシンプルで説明しやすいという理由のみで取っ掛かりとして紹介されやすい題材といえる、ゆえに遺伝子制御のメジャー面をしているが、実際は以前も触れた通りそこまで重要なもんでもない……ともいえる感じかもしれません。
(まぁ大腸菌の中では重要だし、pETシステム他で非常によく活用されているので、「重要ではない」ってのもいいすぎというか、それは結局、ヒトでは分かりやすく固定されたオペロン制御がないから…ってことにつながるわけですけどね。)

いずれにせよ、「リプレッサー」「オペレーター」という名前では必ずしもないけれど、大腸菌よりむしろもっと複雑で大量の分子があれこれ関わって上手い形でのコントロールがなされており、いうまでもなく、RNAポリメラーゼは好き放題プロモーターにくっついて転写反応を行う、なんてことはできないことがほとんどです。
(もちろん逆に、マジでめちゃくちゃよく使われる遺伝子とかだと、どの細胞でも、常に発現され続けているようなものもあります。
 それでも必要だから作ってるだけで、無意味に、無駄に無節操に作られているわけではない、ってことですね。)


また本題の前の前段が長くなりましたが、前回転写(DNA→RNAのスイッチを入れたので、ついに舞台は翻訳(RNA→タンパク質)へ!

まぁ何度か書いていた通り、登場人物激多・名前も横文字ばかりでややこし・ステップも複雑かつ難解…と、悪の三重苦ですから、これをきちんと理解するのはかなり大変です。

なので、まずは特にキャラ紹介などは一切せず、分かりやすいGIFアニメ動画(=絵を連続して並べただけの、パラパラ漫画みたいな動画ファイル。もちろんできのいいやつは凄いクオリティですが)を見て、雰囲気を掴む所から始めてみるといたしましょう。

…って、ネットに落ちているものを見て偉そうに講釈垂れるだけなので、盗っ人猛々しいというか、人の褌で記事書いてるようなもんなんですけど、ま、営利目的でもない引用ということで、大目に見てもらえることを期待したい限りです。


やはり「現代人の生きる知恵」こと、このブログでもお世話になりまくっている、Wikipedia総帥の力を借りることを第一手とするのが妙手でしょう。

というか、Wikipedia翻訳_(生物学)の記事にGIFアニメが載っていたからこそこういう記事にしようと思った、ともいえるんですけどね。

さぁ、Wikipedia提督による、ありがた~い翻訳アニメがこれだ、食らいやがれっ!

……

………

…と、貼ろうと思ったら、ファイルサイズがでかすぎて、はてなブログではアップできない模様!ガビーン!!

(『アップロードに失敗しました。Request failed with status code 504』というメッセージが出ます。)

基本的にGIFアニメは絵を連続して並べるだけでファイルサイズも大きくなりがちなので、最早過去の遺物というか、Googleなどには忌み嫌われている存在のようですし、これは仕方ないのかもしれませんね。


ということでまぁ、直接貼れないものは仕方ないですし、Wikipediaのリンクを貼っておくので、興味ある方は現地でご覧ください。
(リンクカードでGIFアニメが動くのでは、と期待しましたが、表示されているのは最初の1枚のみのようですね。)

ja.wikipedia.org

…と、リンク先トップにある、件(くだん)のGIF動画ですが、ふーむ、まあまあ、悪くはないんじゃあないの……って眺め続けてたら、長えぇーーっ!!

なんと2分にも及ぶ大作で、ファイルサイズが5.5 MBと巨大だったのも納得の、無意味に超長い作品でした。

GIFアニメはページを開いたら勝手に再生が始まって(それは環境による?)、場面のシークもできないので、かなり不便さもありますねぇ。

まぁ動画の長さはともかく、説明文が「翻訳(生物学)」の一言のみで詳細は皆無なのも笑いましたが、途中おもむろに変な長いハンマーみたいな分子が出てきて、変な膜がうようよしている所に移動するシーンがあるんですけど、その膜のあるやつは小胞体と呼ばれるやつで、導いたやつはSRP(シグナル認識粒子)と呼ばれるやつだと思うんですが、正直、「こんなの最初に示すような話じゃねーだろ!初学者をバカにしているのか!見損なったぞWikipediaくん!!」と憤りを覚えるぐらい、マジで初めて見る方にとってはどうでもいい部分まで含んでいると思えてやまない感じです。

…でもまぁ、そもそも別にWikipediaは「入門者用の教材です」ってわけでもなんでもないですし、勝手に引用して勝手に落胆してりゃ世話ねぇわな、って感じかもですね(笑)。

一応、無関係な分子も結構飛び交っていて、そういう無関係なやつらは普通に何も使われず跳ね返されていなくなるだけ…っていうのは、必要なものしか表示しないことの多いこういう解説動画にあって、実際の状況を表している素晴らしいポイントだとも思えました。


とはいえ、やはり分かりにくいですし、そもそも記事に実際のGIFアニメファイルを貼り付けられませんでしたから、もうちょい分かりやすいものを探してみるとしましょう。

「Translation protein gif animation」で検索してみたら、トップに、「Best Protein Synthesis GIF(最高のタンパク質合成GIF)」というページがヒットしまして、ベストっていうぐらいならいいんだろう、と思って見てみたら、確かに、分かりやすくまとまっていていい感じです!

しかも、こちらはそこまで大きいサイズではなかったので、無事にブログにもアップ可能でした!!

f:id:hit-us_con-cats:20211031053559g:plain

https://gfycat.com/adventurouscleargemsbuckより

でもまぁ、リンク先の方が画質も良く、動画形式に変換されているのでスピード調整&再生位置のシークも可能なので便利かもしれませんね(単に自分の記事にもGIFアニメを貼ってみたかっただけです(笑))。

せっかくなのでごく簡単にまとめておくと(同じページに動画を表示しながら説明文も置いておけるのはやっぱいいですね)、まず、下の方にある赤い直線でAUGCCG…という塩基が並んでいるのが、DNAから転写されたmRNAです。

で、最初にやってきてその後ど真ん中に位置し続けて存在感のあるデップリした物体、これが、以前名前だけチラッと出していた、タンパク質合成装置本体である巨大分子、リボソームですね。

リボソームは、大型パートと小型パートの2つの分子から成る巨大マシーンです(この動画では、ただそこにいるだけで何もやってないカスに見えますが(笑)、実際は当然こいつが様々な反応を行っている主役です)。

そして、たくさん出てくる、何か複雑な形の分子、手を広げて丸いのがくっついてるみたいなやつが、アミノ酸を運んでくるtRNAであり、以前書いていた通り、RNAは分子内で二重鎖(ステムやループ)を形成するのが特徴ですけど、まさにこのtRNAは非常に特徴的な形をしているってことですね(t字型とかL字型とか、クローバー型とかもいわれますが、まぁこんな形です)。

tRNAの頭についてる青い丸がアミノ酸で、ちょうど分子内反対側一番下の部分が、コドンを認識する「アンチコドンループ」と呼ばれる部位で(名前はどうでもいい)、ここが実際にコドンの配列を認識することで(例によって、A⇔U、C⇔Gという相棒関係で認識)、コドンに対応したアミノ酸が運ばれてくるって仕組みなんですね。

例えば、2番目に飛んでくるtRNAは、mRNAのCCGというコドンを認識するので、「CGG」というアンチコドンループをもっており(DNAやRNAは、必ず、5'→3’と3'←5'がペアを組む形、つまり逆向きのペアになることに改めて注意ですね。mRNAは左から5'→3'と配置されてますから、tRNAは、この動画において、右から5'→3'向きになるように存在しています)、この「tRNA(CGG)」という分子はCCGコドンで指定されるアミノ酸プロリンを運んでくるという専用機能をもった分子なわけです。
(つまり、アミノ酸の数だけ異なるtRNAが存在するってことですね。)

そして、tRNAが運んできたアミノ酸は、前のコドンのアミノ酸につながっていき、以後順番にコドンは1つずつ読まれていってガンガンアミノ酸がつながっていく…という流れで、最後、停止コドンが来たらそこでタンパク質合成は終了、リボソーム他一連のタンパク質合成マシーンは解散…って感じですが……

かなりざっくり解説ですけど、まぁ流れは大分つかめるのではないかな、と思います。

(この動画は、数コドン=数アミノ酸で終わりのしょぼいタンパク質ですが、実際は何百何千のアミノ酸がつながることもある、ってことですね。もちろん、配列は遺伝子次第です。)


とはいえ結局、こういうのを見せられて感じるのは、流れ自体が理解できないというより、

「いやいや待ってくれよ、何か都合よくコドンに対応するtRNAが飛んできてるけど、何でだよ!注文通りのアミノ酸をお届け…って、お前はウーバーイーツか!!
 アミノ酸もさぁ、何で空中を飛んで都合よく次のアミノ酸につながるんだよ!意思をもったボールか何かか?役目を終えたtRNAみたいに、お前もどっか飛んでけよ(笑)
 あとmRNAも都合よく1コドンずつ横に動いてってるけど、誰が引っ張ってるんすか(笑)。俺がmRNAだったら、逆向きに動きたくなるけどなぁ~」

…みたいな、何度か書いている通り「メルヘンやファンタジーじゃないんだから、そんな都合いいこと、ある?!」ってポイントではないかと思うんですよね。

でも結局これはやっぱり、

「マジでこんな風になっとるよ。tRNAは、Wikipediaのアニメーションみたく、実際は関係ないものも飛んできてるけど、ピッタリ合うやつだけがピッタリくっつけるようになっとるってだけだし、アミノ酸をつなぐのは、絵では確かに空中を漂って都合よく繋がりにいってるように見えるけど(笑)、実際はリボソームとその他の補助タンパク質がサポートしてる形だし、mRNAの移動も、リボソームが逆方向には動かない仕組みできっちり3塩基ずつ動かしてくれとるのさ(動画ではmRNAが自発的に動いてるみたいに見えるけど、実際はリボソームが動かしてるというかリボソーム自身が動いている感じです)」

としかいえない感じなんですね。

間違いなく、あまりにも凄すぎてニワカには信じられないけど、多くの賢い人の手によって、実際にミクロのレベルでこんな風なことが起こっていることが証明されている、って話なのです。


まぁいきなり見ても、高校の頃初めてこの辺を習った頃の僕がそうだったように、「う~ん…?」となんだか納得いかない面もあるかと思われますが、ひとまず受け入れるのが大切といえる話かもしれませんね。

なお、これは翻訳の超簡略化まとめで、実際は、翻訳開始時・タンパク質伸長時・終結時それぞれに、かなりの数の補助因子(それぞれ特有の機能をもったタンパク質)がサポートしています。

もう少しだけ丁寧に解説してくれている動画があったので、別の視点で見ることも理解の助けになりますから、一番評判の良さ気だったこちらも貼っておくとしましょうか。

www.youtube.com
っていうか別にいちいち紹介しなくても、この手の教材動画は無限にいくらでもありますが(しかも恐らく日本語でも)、まぁ英語でも絵だけ見て分かるのが生命科学の良さ(翻訳動画だけに、翻訳不要?!(笑))ともいえますし、逆に英語の動画でも意外と忌避するこたぁないというのがご理解いただけるのでは、という点でも、ノースダコタ州立大学のこちらは大変いい動画といえましょう。

(この動画では、終結に使われるリリースファクターとか、その他見ていないキャラもいくつか出てきますが、まぁあんまり関係ないので無視でOKですね。)


…とまぁ、これだけで分かるようになるなら学校はいらねぇよ、って話なので、これだけで「翻訳、完璧に理解した」となるわけはないんですけど、サワリとしてはやっぱり動画で雰囲気をつかむのは良さ気に感じます。

とりあえず、翻訳反応をもう少し見てみるか、あるいはとりあえずソーマチン実験の方の話を終わらせるか、何も考えていませんが、次回以降またちょっとずつ話を進めていくといたしましょう。

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