光の吸収とは?混ざるとは??

光と色に関する話でいただいていた質問、続きにいってみましょう。

(一部自分の作った想定質問も交えています。)

 

Q3. (「光線の成分には色の他に強度もあり…」とか書いていたが)光の強さ波長は無関係なの?

A3. 完全に無関係です。

顕微鏡を用いて分子モーターを分子レベルで解析してらっしゃる、阪大・石島研究室の解説記事に、そのものズバリの図があったので引用させていただきましょう。

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https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/ishijima/microscope-01.htmlより

…まぁ、このぐらいの図なら自分で作れよ(笑)って話なんですけど、リンク記事の説明も簡潔にして分かりやすくまとまっていたので、そちらの紹介も兼ねての引用ですね。

結局、波長というのは、波のような動きをしている光が、ある一点から同じ場所に戻ってくるまでの長さ(…というと、「半分の所でちょうど同じx軸の位置に戻ってきてんじゃん」とも思えてややこしいんですけど、「同じ向きの動きで戻ってくる所まで」ですね。これだと実際同じ位置を一度通っていて分かり辛いので、「山の頂点から次の頂点までが波長」と考えた方が分かりやすいかもしれませんね)のことで、光の色を決めるのはこの「波長」のみになっています。

…というかそもそも波ってなんだよ、って話になるかもしれませんが、まぁややこしくなるだけなのであまり触れたくないポイントではあるんですけど、「光は粒子であり波である」といわれるように、光というのは、めちゃくちゃ小さい粒が、波のように動いて直進している(もちろん、超高速で)と考えればとりあえずはOKかと思います。

その波も、海の波のように不規則なものではなく、必ず一定の波長をもった形として存在する(動いていく)というのがポイントですね。

だから、波長が700 nmの大きさの光は常に赤く見えるし、逆に緑の光は波長が550 nmという形で進み続けている、などといえる感じになっているわけです。

一方、先ほどの図の、「振れ幅の大きさ」(縦軸の大きさ=物理用語で、振幅)が、光の強度(明るさ)に直結することになります(ただし、粒子としての光という観点から見ると、光子の数の方が明るさにはより影響があるといえるかもしれません)。

いずれにせよ、振幅は、光の色には一切影響を及ぼしません。

なお、この「波としての光」には、もう1つ振動数(単位はHz(ヘルツ))という観点もありますが、これは、光の速度は決まっているので、波長が決まれば自動的に定まるものになります。

まぁこの辺は完全なる物理学の話になるうえ、ぶっちゃけ面白くないので(まぁ色の話も言う程面白くないかもしれませんが(笑)、物理的な話はそれに輪をかけてつまらないので)、深追いはやめておきましょう。

一応重要なポイントは、光の色と強さ(明るさ)は全く関係ない独立した要素である、ってことですね(波長がめっちゃ短い紫色の光でも、振幅がクッソでかければめちゃくちゃ明るい光になるし、波長が長い赤い光でも、振幅が小さいと弱い光になる、ということ)。


Q4. そもそも光を「吸収・反射・透過」するって何だよ?吸収されたとして、光はどーなる?いきなりこの世から消え失せるのか?!

A4. まず、反射は恐らく明らかでしょう。そのまんま、どっか別の方向へ光をはね返す感じですね。

そして透過も、これはむしろ一番分かりやすく、光が何らかの物質に当たっても、そのまま何事もなかったかのように素通りするってことですね。

一番分かりにくいのが吸収ですが、これは結局、ごくごく簡単にいえば、「光線が物体に当たり、その物体を構成する分子・原子・電子なりに影響を与えた結果、(基本的には)熱に変換される」と考えればOKかと思います。

もちろん、光の種類(具体的には、これも波長の違い)により、「電子を励起させる」とか「分子内・原子間の振動に影響を与える」とか色々なパターンがあるのですが、これまた物理の知識が必要なややこしい話なので深入りは避けるとして、分かりやすくいえば熱ということですね。

だから、黒い服を着ると全ての光が吸収され、吸収された光は熱に変換された結果、夏はクソ熱くなるというわけです。


ちなみに、「赤外線は波長が長いので、エネルギーは小さい」という話のはずが、電気ストーブなどの赤外線ヒーターを浴びるとめちゃくちゃ熱いのに、蛍光灯(それより波長が短い=エネルギーの大きい可視光線を大量に含む)を浴びてもあまり熱くないのはなぜ?……と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、これも完全に吸収率の違いによるものになります。

赤外線は、目には見えませんが、多くの物質でとても吸収されやすい波長をしている(=反射率が低い)ことが知られています。

なので、肌やら服やら、もちろん壁とかも電気ストーブに近づけると熱くなることからも分かる通り、多くの物質で赤外線というのは容易に吸収されて、その結果、熱に変換されて温かく(熱く)なるという仕組みなんですね。

一方可視光線は、まぁ黒い物質に近づくほど沢山吸収されはしますが、(黒色無双とかを塗ったのでもない限り)基本的に赤外線より圧倒的に反射される光線の方が多いので、蛍光灯の光を浴びても電気ストーブほどの熱は感じない、という話なのでした。


Q5.  赤青緑のドットの絵…ピクセル?…あれは、各色それぞれが違う色の光を放つということなのか?3色の小さいドットが集まって光るとオレンジに見えるということ…?自然光は混ざる感覚が理解できても、モニターからの光は別の場所から発射されているわけで、「混ざって見える」といわれてもなんだか納得いかないんだが…。
 例えばiPadと同じ「2732×2048」ピクセル新宿アルタのビジョンに並べた場合、スカスカにはなっても、赤青緑の3色が見えるなんてことにはならない気もするけど……。どうも、モニターからの発光と、自然光の反射や透過などとが同じ原理の話というのが、イマイチつながりにくくてスッキリしない。

A5. ピクセルの話は、おっしゃられた通り、1つのピクセルの中に3色の光を放つまぁレーザーみたいなものがついていて、3色がそれぞれ指定されたレベルで光ることで、「そのピクセルから放たれる色」が決まるわけですね。

何となく納得いかないかもしれませんが、密集している極めて小さい離れて見ることになるので、我々の目に届く頃には、そのピクセルからは、3色が混ざった、決まった1つの色の光線が出ていると「感じられる」、という話ですね。

もちろん、「感じられる」と書いた通り、厳密には、3色がそれぞれ発色しているだけなので、超拡大して、顕微鏡で見るとかすれば当然3色別々に光っているだけにすぎないのは明らかなんですけど、 例えば肌は細胞からできてますが、あまりに小さいので肉眼で見ると細胞が集まってるようには見えない、というのと同様(ちょっと違うかもしれないけど(笑))、スケールの違いで、十分離れて見る分にはもう混ざって、1つのピクセルからは1色の色が出ているように見えるということですね。

この「感じられる」という点については、改めて錯視画像を見てみるとご理解いただけるのではないかと思います。

こちら、ハートの部分は黄色と白であるかのように、我々の脳内的には「感じられる」わけですが…

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http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/color16.htmlより

拡大してみましょう。

こちら、右側の白いハートのストライプ部分を1000%に拡大した画像…

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一方こちらは、左側の黄色く見えるハートのストライプ部を1000%に拡大した画像…

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なんと、どっちも、ストライプの薄い部分は、全く同じ真っ白

このように、拡大すればそれぞれの色を発していても、離れて見た場合は、すぐ近くの色と混ざることで、我々の脳にはもう元々とは違う、特定の色に感じられる、ということですね。

(ご質問の点とは微妙に違う話になってる気もしますが、3色ピクセルはもっともっと小さいので、一応それぞれ別の場所からの光ですが、目に届く頃には、そのピクセルから放たれる光はもう決まった1色に見える、という点でまぁ似た話ということはできましょう。
 このハートですら、白い色と隣の色が混ざって黄色く見えているぐらいですから、いわんやさらに小さいピクセルならば当然…って話ですね。)


ちなみに、このご質問(後半部)をいただいてアルタビジョンのスカスカさを説明しようと思って実際のサイズを調べてみたら、なんと、前回は全然見当違いの話をしてしまっていたことに気付きました!(既に前回の記事は修正(加筆取り消し)しておきました。)

データはこちらの記事からの抜粋ですが、2014年完成の新アルタビジョンは…

縦7.204m×横12.806mの600型。3mm角のパッケージにR・G・Bの3色のLEDを封じた表面実装型の3in1 LEDを使っており、LEDの総数は約210万個。素子数は1,920×1,080で、ピクセルピッチは6.67mm。

とのことで、なんと、あれだけ大型のビジョンなのに、使われているピクセルの数は、まさかの、iPadより少ない!!


非常に驚きでしたが、これも結局、先ほどの「距離とスケール」の話同様、アルタビジョンはかなり離れて見るから、多少スカスカであっても遠くから見れば十分滑らかな映像として認識できる、って話なんですね。

ああいう街頭の大ビジョンは、例えば超至近距離で見たら、かなりスカスカの映像というか点描みたいでよく分からない状況になってしまう、ということは、何となく想像できるのではないかと思います。

つまり、(僕自身前回は気付いていませんでしたが)想定される鑑賞距離に応じて、適切なピクセル密度は変わるということなんですね。

例えばTVであれば、そんなに数十メートルも離れて見ませんから、これならiPadピクセル数だと……と思ったら、これもやっぱり調べた所、iPadよりは離れて見るものだからか、何気にiPadピクセル数を30型TVに当てはめても、全く違和感がないようなので、前回触れていたTVの例も、完全に不適な話になってしまっていました。

kakakumag.com
よく聞く「4K」とか「8K」とか、あれは長辺のピクセル数のことだったんですね(参考↑)。

なので、iPadは3K(正確には2.7Kですが、まぁ「約」ですね)ということで、30型TVなら、これでも十分キレイなレベルで映るという感じだったようです(というか下手したら普通の30型TVは2Kなので、普通より遥かにキレイ)。

ただ、TVを超至近距離で見ると「粗いな」と思うのではないかと思われますが、それは、iPadよりも面積が広いのにiPadと同程度のピクセル数しかないから、TV画面ではピクセル配置は案外スカスカになっているので、っていうのがその理由ですね(改めて、TVから十分な距離をとれば、全く問題なく滑らかに見えるようになっているわけですが)。

上の参考記事にもありますが、85インチとかの超巨大TVですと、適切なピクセル数は8Kのようなので、流石にこの大きさのものにiPadピクセル数を当てはめると、離れて見てもかなり「このTV、でかいのに、粗いな」という印象になるのではないかと思います(もちろんアルタビジョンよりは小さいですが、アルタビジョンより遥かに近づいて見ることが想定されているので)。

85型TVは、僕は見たことがないんですけど(家電店とかにはもうあるのかな?)、どのぐらいの大きさキレイさ臨場感なのか一度実物を見てみたいですが、記事にある通り、「人体の仕組み的に、このぐらいの大きさがTVの最終形態」という話は面白いですね。


以上、前回の訂正含めいくつかのいただいた疑問点に触れてみましたが、まだナイスなご質問が残っているので、次回もQ&Aの続きを見ていこうと思います。

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