超絶有能物質が続々登場!さすがはアロマさん!!

この記事、昨日、下書きの段階(といってもわずか一言二言書いただけで、後は前回の記事のまま)で公開しちゃってたみたいですね。

たまにそんなミスをしてますが、その主な理由は、記事投稿時点の指定日時は日本時間なのに、その後表示される「投稿予定日時」はなぜかアメリカ時間が表示されるという、ブログ管理ページの中だけですらまさかの「時差が存在する」という、はてなの意味不明な仕様でたまにこんがらがってしまうから、ということがあったのでした。

めっちゃややこしいんで、どっちかに統一してくれよ、と思うんですが、まぁ自分が気をつければいいだけなので、もし今後も下書き記事がアップされていたら……まぁ気にせず見なかったことにしてください(笑)。

新しい記事だと思ってクリックした方には、どうもご迷惑おかけしました。


…ということで、最近見ている芳香族(アロマ)化合物シリーズ、前回のフェノールの続きへといきましょう。

フェノール自身は危険物質でありながらも、自分自身が「フェノール類」というファミリーを形成していることからも分かるように、かなりの有能物質です。

こいつを基準に、様々な有名かつ有能な物質が生まれていくわけですね。

かなり数も多いので、それぞれ一言二言程度で、簡単に各種物質を見ていくとしましょうか。

まず、フェノールを基準に、次に一番単純な物質は何かといえば、例によって炭素と水素だけから成るメチル基(-CH3を足してやったやつですかね、やっぱり。

こいつの名前は…もちろん慣用名があり(この辺の芳香族化合物の有名物質は、古くから人間に使われていただけあって、基本慣用名のオンパレードですね)、その名も……クレゾール

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https://ja.wikipedia.org/wiki/M-クレゾールより

フェノールを基準に考えて、メチル基がついて「メチルフェノール」(メタ位なら3番目の炭素なので、「3-メチルフェノール」など)も、トルエンを基準に、ヒドロキシ基で「ヒドロキシトルエン」というのも、どちらも間違いじゃないけど使われない、といういつものやつです。

こないだキシレンについて見たとき、「オルト・メタ・パラの官能基の位置関係はほぼキシレンでしか出てきませんし、どうでもよし」とか書いていたのですが、そういえばクレゾールでも出てくるっちゃ出てきますね。

上の画像は、なぜか3種の内Wikipedia日本語記事が唯一あったメタクレゾールから引用させていただきましたが、当然、オルトもパラも存在します。

ま、一覧性のために、英語版からも引っ張らせてもらいましょうか。

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https://en.wikipedia.org/wiki/Cresolより

一部抜粋しただけなのに、長えぇー!!

でも、それだけ情報が充実してるってことかもしれませんね。

しかし、そもそもクレゾールって、これ、消毒薬みたいな話で、何とな~くどこかで聞いたことがある名前ではないでしょうか?

まさにその通りで、クレゾールを薄めたものは、殺菌・消毒・洗浄薬として用いられており、成分について僕は詳しくはないですが、市販製品としては、融点的に、多分主にm-クレゾールが使われているのかな、という気がします。
(先ほどのWikipedia英語版のMelting pointの項目に示されているように、なぜかメタだけ融点が低くなっています…オルトとパラの真ん中に位置するくせに、これは意外ですね!)

なお、クレゾールの原液自体は、フェノールにメチル基がついただけですから、これは何気に、有毒です(フェノール同様、腐食性がある)。

ただし、フェノールよりも「殺菌力はやや強く、毒性はやや低い」ようで、しっかりと水で薄めさえすれば極めて有用な薬液に変貌するため、現実世界ではその用途で使われている感じですね。

もちろんそれでも濃度が高すぎると人体・皮膚に有害なので、最近は徐々に使われなくなってきているようですが、調べたら、まさかの、Amazonにすら取り扱いがありました。

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https://www.amazon.co.jp/健栄製薬-【第2類医薬品】クレゾール石ケン液P-500mL/dp/B014F01VN0より

これはカルピス原液みたいなもので、薄めて使うタイプのものですが、約50%程度のクレゾール液みたいです。
(多分原液で使うと手肌が荒れてボロボロになることでしょう。カルピスが原液では飲めたものではないのと、ちょうど同じようなものですね。)

そういえば何気にフェノールも極限まで薄めたら消毒薬として利用できるらしいですが、フェノールの恐ろしさを知ってる立場としては、「本当にぃ?害の方が大きくない?」って気がしちゃいますけど、あまりいい消毒液もなかった昔は特に、汎用されていたみたいですね。


…と、一言二言のつもりが、結局クレゾールだけで長くなりましたが、またちょっとさらに脱線すると、オルト・メタ・パラの話で、「キシレン以外出てこないからどうでもよし」と書いて記事をアップした後、クレゾール以外にも1つ、「あっ、誰でも知ってるアレがあったな!」と思い出していました。

それが、中学理科・融点の話でなぜか唐突に出現する、意味不明な呪文にしか思えなかった物質、パラジクロロベンゼン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/パラジクロロベンゼンより

マジでなぜかいきなり出てくるこいつのインパクトはでかいので、恐らくぼんやりと覚えてらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、こいつ、これまでの知識を総合すると、実はとても簡単で分かりやすい名前をしているのでした。

画像からも明らかですし、もう説明するまでもないでしょう、塩素=クロロ基(塩素は英語でChlorine、有機化学では、官能基-Clとして登場。色は現実的にも黄緑色のガスなのでよく緑色で表されますが、ウィキペ画像で緑ボールは初登場でしたね)が2つで「・クロロ」で、それが、ベンゼンパラ位につながっているので、パラ・ジ・クロロ・ベンゼンという名前になっているのでした。

ちなみにこのパラジクロロベンゼンも、実は中学理科の呪文のみならず、実生活でもお世話になってるかもしれない、結構身近な有能物質なのです。

これは、防虫剤やトイレの芳香剤として使われている強いニオイをもつやつで、香りを吸うことでは健康被害は一切確認されていないものの、直接口にしたりしてしまうと、やはり塩素とベンゼンといういかにも強い化学物質の塊ですから、健康被害が見られることもあるようです。
Wikipediaに載ってた、防虫剤のそばにカップ麺を置くと、カップ麺にこいつが乗り移ってニオイがヤバイ、というのは、健康被害も出ているようなので笑い事ではないですが、何か笑えるニュースですね。)

なので、生徒の安全を考え、今の中学理科からは、多感な中学生に強烈な印象を残すこのパラジクロロベンゼン様は、姿を消してしまっているみたいですね…!

残念!…と思ったけど、別にちょっと響きが面白いだけで、こんなやつ出てこようがこまいが生徒の人生には1ミリも影響がありませんから、マジでどうでもいいですね。

安らかに眠れパラジクロロベンゼンよ…。

また、せっかくなのでパラジクロロベンゼンからさらに脱線すると、まず1つめの余談ですが、地味に、同じ中学理科の融点の話では、ナフタレンが登場することもあったように記憶しています。

ナフタレンも、ちょうど今話題にするのにピッタリの、芳香族化合物の一種なんですね。

形は、なんと分かりやすい、ダブルベンゼン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ナフタレンより

こちらもパラジクロロ~と同じで、防虫剤として長らく使われてきた物質ですね。

まさに、「おばあちゃん家のタンスのにおい(っていうか、おばあちゃん家のにおい?)」が、ナフタレンでしょう。

こいつも、近年健康面で問題があることが取り沙汰されてきて、それでなくとも何か古臭いにおいともいえますから、もうほとんど無臭の防虫剤に取って代わられてるんじゃないか、って気がしますね。


ついでにもう1つ、パラジクロロ~からちょうどいい脱線ネタとしては、まさに昨日も出てきたクロロホルム

こちらは、実はクッソ単純な物質で、メタンの4つの水素の内、3つを塩素に置き換えたものが、この誰もが絶対どっかで名前を聞いたことのある、クロロホルムなのです。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/クロロホルムより

もちろん、クロロ基が3つでトリクロロメタンという名前が正式名称ですが、めちゃくちゃ浸透している慣用名があるので、これはほぼ確実にその慣用名クロロホルムと呼ばれる、という例のパターンですね。

塩素1つのクロロメタン(塩化メチル)、2つのジクロロメタン塩化メチレン;エタンの腕が2本フリーなのがエチレン基でしたが、メタンの腕が2本フリーなのはメチレン基と呼ばれます)、4つのテトラクロロメタン(四塩化炭素)のどれよりも、なぜか塩素3つのクロロホルムが(まぁ自分が実際よく実験で使ってるだけかもしれませんが、恐らくそれを差し引いても)最も有名で、かつよく使われている物質ではないかと思います。

クロロホルムといえば、誰しもが思い浮かぶのが、ハンカチに染み込ませて、口に押し当てて気絶させるという、推理モノの作品とかでよく出てきそうな使い方ではないでしょうか。

しかし、クロロホルムを毎日のようにジャブジャブ使ってる立場からいわせていただくと、これは「ねーよ(笑)」としかいえないお話ですね。

フェノールは1滴でも触れただけで激痛で肌が死ぬし、ニオイも強烈な濃い絵の具って感じであり、見た目も禍々しい黄色っぽい色で(といっても、これはフェノールが分かりやすいように、自分たちで着けた色なんですけどね(笑))「触ったらヤケドするぜ!」といわんばかりの(まぁ実際ヤケドしますし)ヘヴィーな物質ですが、クロロホルムは、透明のサラサラ液体で、ニオイもちょっと甘いお酒みたいな感じで、仮にちょっとぐらい肌に触れても一瞬で揮発するだけで別に何ともないクソザコですから、こんなので気を失う人間は存在しません(笑)。

一応、歴史的には麻酔の発達していない中世近世に、高濃度で使うと麻酔作用があることが知られて一気に使われ出したとのことで、それがフィクションでの後ろから回り込んでハンカチがばっ→うっ(バタン)…の流れになったのかと思いますが、麻酔作用を及ぼすほどの量を使うと重篤な生命の危険につながることが知られており、都合よくちょっとの間一瞬だけ気絶させるなんてことは不可能ですし、今ではその有害性から麻酔薬としてのクロロホルムは全く使われていません。

ただ、フェノールに比べたら雑魚とはいえ、これも甘いニオイ(でもそんなに強いニオイじゃないです。エタノールの方がよっぽどニオイが強いかな?)・味(なめたことはありませんが)のくせして、継続的な揮発した蒸気の吸引・曝露による健康被害がよく知られるようになってきており、フェノール同様、研究の現場でも、なるべく使わない方向に舵取りされているのが現実ですね(とはいえ、やはり低コストで便利・有能なことに変わりはないので、まだまだ幅広くめちゃくちゃ使われていますが)。

また、関連して、トリハロメタンという言葉も、水道水の汚染物質なんかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

この「ハロ」はハロゲン、つまり元素周期表でいう17族の物質のことで、軽い方から順に、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br臭素)、Iヨウ素)、Atアスタチン)(そして、Tsテネシン)もありますが、これは2010年に発見された、非常に新しい元素で、知らない人の方が多いでしょう)となっているわけですけど、クロロホルムは塩素3つのメタンですから、まさにトリハロメタンの一種(代表格)なんですね。

(ちなみに17族の覚え方は、色々な語呂があるものの、僕は高校の授業で習った、「ふっくら(F・Cl)ブラジャー(Br)私(I)にあてて(At)」というものを永遠に使い続けたく存じますが、地味に、「あてて」の部分が「At」と、その後追加された「Ts」も、ちゃんと上手い感じに語呂合わせが崩れない形になってて、非常にナイスですね。
 周期表はこれに限らず、なぜか無駄に下ネタまじりの語呂が多いのですが(いや男子校だったからそう覚えさせられたのかもしれませんけど(笑))、まぁ、こんなのはインパクト込みで、覚えた者勝ちといえましょう)

そんなわけでクロロホルムは、一般社会では有毒性のみが注目されている嫌われ者かもしれないんですけど、普段めっちゃ便利に使わせてもらいまくってる立場としては、「この子にもいい所はあるんですよ」と、擁護したくなっちゃう気がするのも正直な所かもしれません。

まぁ、塩素自体が功罪両面ある物質ですしね(塩素がなければ、水道水を安心して飲むことも難しいわけですし)、人間にとって便利なものは、地球環境にとってよくないものである…こともままあるかもしれませんし、何事もいい点悪い点をちゃんと公平に判断していきたいものです。


ということで、まだまだあるフェノール類の有能物質、「次回へ続く」といたしましょう。

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