鼓膜切開・イヤーチューブについての記事から、前回は鼓膜を切開だけする(チューブは留置しない)手術を見ていましたけど、元ネタのチューブ記事にて、もう一つ気になるものが目に付いていました。
それがズバリ、記事タイトルにも挙げました、アデノイド!
僕なんぞは、「え、アデノイドって、口呼吸が癖になってる人がなりがちだかいう、いわゆる口ゴボ的な、一般的にあまり魅力的ではないとされる顔型の代名詞じゃねーの…?」と思っており、「なぜ鼓膜関連の話で…?」と一瞬戸惑っていたんですけれども、何てこたぁない、↑の顔の話は「アデノイド顔貌」というものであって、アデノイドそのものは全く顔の形そのものとは関係ない、単なる体の一部だったということなんですねぇ~。
正直話はそれだけなんですが、ほぼ部位の説明だけであり、すこぶる短めのあっさり記事だったため、「おっ、しめしめ、時間のないときに打ってつけだね」といういつもの手抜き万歳ムーブから(笑)、今回は「アデノイドとはそもそも何なのか」について、天下のクリーブランド・クリニックのまとめ記事を参考にさせていただこうと思います。
アデノイド(Adenoids)
アデノイドとは、免疫系の一部です。鼻腔のすぐ後ろに位置するアデノイドは、鼻や口から体内に侵入する細菌を捕捉する役に立っています。アデノイドは5歳頃から縮小し始め、通常は成人までに消失します。
概要
アデノイドって何?
アデノイドは、鼻腔のすぐ後ろ、上気道に位置する腺です。リンパおよび免疫系の一部であるアデノイドは、口や鼻から吸い込む細菌を撃退する一助を担っています。
アデノイドに関する何か面白い話はないの?
アデノイドは、赤ちゃんや小児のために重要な仕事を果たしています。子供の体が感染症と戦う別の方法を獲得するまで、細菌を撃退する役に立ってくれているわけです。アデノイドについての興味深い事実をいくつか挙げてみましょう:
- アデノイドは3~5歳の間に最大サイズにまで成長します。
- アデノイドは7~8歳までに縮小し始めます。
- 成人期までには、アデノイドは完全になくなります。
(※Tonsil=扁桃腺、Uvula=口蓋垂(のどちんこ)、Tongue=舌)
機能
アデノイドは何をしているの?
扁桃腺と同様、アデノイドは細菌やウイルスを撃退する働きを担っています。これを可能にしているのが白血球です。白血球はアデノイドの中を移動し、細菌を標的にして捕らえます。
アデノイドはまた、抗体(体内の未知の侵入者と戦うのを助ける、血液中のタンパク質)も産生します。
解剖学的知見
アデノイドはどこにあるの?
アデノイドは軟口蓋の上、鼻腔の真後ろに鎮座しています。扁桃腺とは異なり、喉を覗き込んでもアデノイドは見えません。
アデノイドはどんな見た目なの?
アデノイドはピンク色の柔らかい組織の塊のように見えるものです。中には、この組織の塊を「カリフラワーのよう」と表現する方もいらっしゃいます。
アデノイドの大きさはどのくらい?
正常な(肥大していない)アデノイドの平均的な大きさは6.2 mmです。肥大したアデノイドの平均的な大きさは11.6 mmです。(アデノイドは感染症、アレルギー、またはその他の刺激によって肥大する可能性があります。)
アデノイドは何でできているの?
アデノイドはリンパ組織―つまり、リンパ節と同じ種類の組織―から成るものです。リンパ組織は結合組織と白血球、特にリンパ球で構成されています。リンパ球は抗体を作り、免疫応答において役割を果たしているものです。
症状と疾患
アデノイドに影響を与え得る一般的な疾患は何?
お子様の体が何かと戦おうとするとき、アデノイドが炎症を起こし、肥大することがあり得ます。アデノイドが肥大する最も一般的な原因としては、以下が挙げられます:
- 頻繁な耳の感染
- 上気道感染症
- 再発する鼻血
- アレルギー
アデノイド肥大の一般的な徴候や症状は何?
アデノイド肥大の子供でも、全く症状が出ないことがあるかもしれません。しかし、場合によっては、アデノイド肥大が以下の原因となることもあり得ます:
- のどの痛み
- 鼻詰まり
- 耳詰まり感
- 口呼吸
- 睡眠障害
- いびき
- 閉塞性睡眠時無呼吸
医師は子供のアデノイドの健康状態をどうチェックするの?
お子様のかかりつけの医療従事者が、お子様のアデノイドに問題があると疑った場合、以下を含むいくつかの検査を勧めてくることがあるかもしれません:
- 画像検査。お子様の鼻腔、副鼻腔、およびアデノイドの状態をよりよく見るために、X線、CTスキャン、またはMRIを撮影する可能性があります。
- 睡眠検査。アデノイドの肥大が閉塞性睡眠時無呼吸やいびきの原因となっている場合は、担当医から睡眠検査を勧められることがあるかもしれません。
- 鼻内視鏡検査。この検査では、担当医がお子様の鼻に柔軟なチューブを挿入します。チューブの先には照明とカメラがついており、アデノイドを直接見ることが可能となっています。これにより、お子様のアデノイドが赤くなっているか、炎症を起こしているか、肥大しているかを知ることが可能です。
- 細菌培養検査。アデノイドの腫大が感染によるものかどうかを調べるために、担当医が喉の培養を行うことがあるかもしれません。この検査は、どのような生物または細菌が存在するかを判定するものです。
アデノイド肥大はどう治療されるの?
医療従事者は通常、疑われる基礎疾患の治療から始めます。非外科的治療で効果がない場合は、お子様の担当医からアデノイド切除術を勧められることがあるかもしれません。
基礎疾患の治療
担当医がアデノイド肥大の原因を突き止めたら、根本的な原因となる基礎疾患の治療が始められます。例えば、アレルギーが原因でお子様のアデノイドが肥大している場合は、お子様の担当医が抗ヒスタミン薬や鼻用コルチコステロイドスプレーを処方するかもしれません。細菌感染によってアデノイドが炎症を起こしている場合は、恐らく抗生物質が処方されることでしょう。
アデノイド切除術
非外科的な方法で問題が解決しない場合は、担当医がアデノイド切除術―お子様のアデノイドを取り除く手術―を勧めてくるかもしれません。
この外来手術では、お子様の担当外科医が全身麻酔下でお子様のアデノイドを摘出します。従来型の器具、あるいは焼灼器を用いて行うこともあるかもしれません。
ほとんどのお子様はアデノイド切除術から2~3日で回復します。調査研究によると、アデノイドを切除しても、風邪や感染症の頻度が増えることはないとのことです。
クリーブランド・クリニックからのメモ
アデノイドは、大きな仕事をしてくれる小さな腺です。身体がバイ菌を撃退する他の方法を見つけるまで、お子様の健康を維持するのに役立っています。しかし時には、アデノイドが肥大したり炎症を起こしたりする可能性があります。鼻用ステロイドスプレー、抗ヒスタミン剤、抗生物質およびその他の薬で通常は対処可能です。しかし、お子様のアデノイドが慢性的に肥大している場合は、担当医がアデノイド切除術をお勧めすることがあるかもしれません。どの治療法が一番良いかについては、かかりつけの医師にお尋ねください。
なんと、アデノイドというのは、幼い頃、まだ免疫系がしっかり発達しきっていないときにバイ菌をやっつけてくれていたという「ありがたい部位」でこそあれ、醜い顔を産み出すような忌むべき存在では全くなかったんですねぇ~。
「アデノイドが肥大すると口呼吸になりがち」というのは記事内でもチラッと、一言だけ触れられていましたけど、それだけで悪者扱いされるアデノイド、哀れなり……
…しかも大人になったら通常は消失するというのも(しかも×2、「重要な部位」という割に、「お子様から切除しても、別に風邪や病気にかかりやすくなったりはしません」という、「なんそれ(笑)」感も込みで(笑))、儚さに拍車をかけています……これからは僕だけでも「アデノイド顔貌」という呼称は使わないようにしたい限りに存じます。
(まぁ、そもそも生まれてから一度も「アデノイド顔貌」なんて言ったことも書いたことも、使おうとしたことすらないんですけどね(笑)。)