前回は、実は分泌腺として特に子どもの免疫に重要な役割を果たしている組織だった「アデノイド」について見ていたわけですが、やはり一般的なイメージとしては(まぁインターネットをあまり見ない方は、悪口的に書かれがちなそういう意味合いをご存知なかったかもしれないものの)、「口呼吸が原因の、何かカッコ悪い顔の形」を意味するアデノイド顔貌という印象が強いかもしれず、前回見ていたHEALTH LIBRARY記事でも、何気に口呼吸に関する言及がされており、しかも記事リンクが張られていて独立記事も存在していました。
幸い全然長くない記事で読みやすそうだったので、今回はこちらを見て行こうと思います。
悪く言われがちな口呼吸ですが、世界最先端を行くクリーブランド・クリニックはどのようにまとめてくれているのでしょうか、気になる所です。
(まぁ、「毎度、『最先端、最先端』うるせぇよ、仮にその病院やまとめ記事が世界最先端であったとしても、別にお前自身が最先端なわけではないけどな?」と書いてて自分でもちょっと思えますけど(笑)、そう思ってた方がより話も身に入ってくる気もしますし、よくある煽り文句的なものとして軽く流していただければ幸いに存じます(笑)。)
それでは今回も早速参りましょう。
口呼吸(Mouth Breathing)
口呼吸とは、鼻で呼吸することができないため、口から空気を取り込んでいる状態です。口呼吸は、日常生活に影響を及ぼす睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、顔の骨格が変化することもあり得ます。医療従事者が、鼻で呼吸できるようにするために、手術や投薬によって口呼吸を治療します。
概要
口呼吸とは、空気の取り入れを、鼻ではなく口に頼っている状態のことです。口が乾いて目が覚めたり、枕によだれが垂れたりしてしまう方は、口呼吸が理由かもしれません。
しかし、口呼吸が引き起こす問題は、枕がびしょびしょになったり口が乾いたりすることだけではないのです。口呼吸は、日常生活に影響を及ぼす睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、顔の骨格を変えてしまうこともあり得ます。口呼吸は、ほとんどの人が幼少期に発症し、長期的な問題を引き起こす可能性があるものです。
(※何となく絵でも理解できると思いますが、以下の段落で各項目が登場する際に英語も併記しておくので、日本語の意味はそちらをご参照ください。
なお、「Enlarged tonsils」と「Daytime sleepiness」だけはなぜか挙げられていませんでしたが、それぞれ「扁桃腺肥大」と「日中の眠気」ですね。)
鼻呼吸と口呼吸の違いは何?
鼻を介してではなく口で呼吸することによる違いは、いくつか存在します:
- 鼻で呼吸すると、繊毛と呼ばれる小さな毛がアレルゲン、汚染物質、さらには小さな虫といったゴミをろ過してくれます。口にはそのような保護機能はありません。
- 肺と喉は、湿った空気の方がよく機能します。鼻には、その役割を担う鼻甲介と呼ばれる骨の構造が存在しています。口から吸い込む空気は、より乾燥したものになるわけです。
- 同様に、喉と肺は温かい空気でより生き生きとします。鼻から吸った空気は、体温に近づくまで徐々に温まっていき、組織が吸収しやすくなるのです。
口呼吸の影響を受けるのはどんな人?
口呼吸は大人にも子供にも影響します。医療従事者は、子供の10~25%が口呼吸であると推定しています。
口呼吸は人間にどんな影響を与えるの?
鼻ではなく口で呼吸する方々は、睡眠時無呼吸症候群を含む、睡眠障害をより発症しやすくなります。口呼吸の子供は、不正咬合や顔面変化といった歯の問題を抱える可能性が高いです。また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症することもあり、医療従事者はこれを学習障害や行動上の問題と結びつけて考えています。
口呼吸する人でいることは悪いことなの?
口呼吸は、してしまうものです。その人が誰であるかということではありません。良い人か悪い人かの問題ではありません。どの呼吸法が最も有用で健康的か、ということなのです。口ではなく鼻で呼吸する方が、両方の点でよりメリットが大きいと言えます。
症状と原因
何が口呼吸を引き起こすの?
口呼吸は、鼻呼吸ができないときに起こります。鼻呼吸に影響を及ぼす疾患には、以下が含まれます:
- アデノイドの肥大(Enlarged adenoids): アデノイドは、口の上と鼻の後ろにある小さな組織の塊のような腺です。アデノイドは細菌やウイルスから幼児を守っています。時に、アデノイドが腫れたり感染したりして、子供の気道を塞いでしまうことがあります。アデノイドは通常、年齢とともに縮小するため、アデノイド肥大が成人で口呼吸を引き起こすことはあまりありません。
- 鼻詰まり(Nasal congestion): アレルギー、風邪、または慢性副鼻腔炎がある場合、鼻詰まりが続いて鼻呼吸ができないことがあるかもしれません。
- 鼻中隔弯曲症(Deviated septum):鼻中隔は、鼻の内部を左右に分けている軟骨と骨です。鼻中隔が片側に傾くと、気道が塞がれてしまうことがあり得ます。
口呼吸の症状は何?
口呼吸の症状の多くは、子供にも大人にも同じような影響を及ぼします。以下はいくつかの例です:
- 口の乾燥(Dry mouth): 寝ている間に口呼吸をすることで、口の中の水分を保っている唾液が乾燥します。
- 口臭(Bad breath): 口呼吸は、通常口の中を清潔に保っている唾液の流れに影響を与えます。
- 枕のよだれ(Drool on pillows): 普段は口の中に溜まっている唾液が、開いた口から染み出てしまいます。
- 不正咬合(Malocclusion): 不正咬合(こうごう)は、上下の歯が噛み合わないことで起こるものです。
口呼吸をする子供には、他にもっと深刻な症状があります:
- 「口呼吸顔」: 口呼吸は子供の顔の発育に影響を与え、「口呼吸顔」と呼ばれる症状を引き起こします。口呼吸顔の方はしばしば、あご先や下あごが後退し、顔が狭くなっていることが多いです。
- 行動上の問題: 口呼吸の子供の中には、注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供に見られる問題と同様の行動上の問題を起こすことがあることが研究で示されています。
診断と検査
医師は口呼吸をどう診断するの?
医療従事者は、ご自身やお子様のアデノイド、扁桃腺、および鼻に、鼻呼吸に影響を及ぼすかもしれない問題がないかどうかをチェックするといった身体検査を行うことで、口呼吸を診断します。睡眠習慣についても質問されることがあるかもしれません。
口呼吸を診断するために医師はどんな検査をするの?
医療従事者が行う可能性のある検査には、以下が含まれます:
- リップ・シール・テスト: この検査では、口を閉じて呼吸できるかどうかを評価します。
- ミラー・テスト: 担当医が、患者さんの鼻の下に鏡を当て、鼻呼吸をしていることを示す曇りや結露が出来るかどうかを調べます。
- ウォーター・テスト: 水を口に含むことができるかどうかを確かめます。
管理と治療
医師は口呼吸をどう治療するの?
口呼吸は、何かが鼻腔を塞いでいるときによく起こるものです。中には、アデノイド肥大が原因で口呼吸になる子供もいます。医療従事者が、以下の手術を勧めることがあるかもしれません:
- アデノイド切除術: 感染したり腫れたりしたアデノイドを切除することで、子供の気道を広げます。
- 鼻中隔形成術: この手術は、呼吸障害の原因となり得る鼻中隔弯曲を修復します。
慢性的な風邪、副鼻腔炎、およびアレルギーも口呼吸の原因となります。医療従事者が、鼻呼吸を妨げている鼻詰まりを緩和する薬を勧めてくることがあるかもしれません。
予防
口呼吸は予防できる?
子供が口呼吸をしてしまうことを制止することはできません。しかし、お子様が口呼吸を有害な習慣にしてしまわないよう、手助けすることは可能です。以下はいくつかの提案です:
- 鼻水や鼻詰まりの兆候に注意する。慢性的な鼻づまりの子供は、口呼吸になりやすいです。
- 子供の睡眠習慣をチェックする。眠りが浅い、いびきをかく、または寝ている時のほとんどで口で呼吸をしている場合は、口呼吸を発症しつつあるかもしれません。
お子様が鼻呼吸よりも口呼吸をすることが多いようであれば、鼻呼吸を妨げている可能性のある身体的問題を含め、口呼吸について、かかりつけの医療従事者に尋ね、お子様を検査してもらってください。
大人の口呼吸を防ぐにはどうしたらよい?
子供の場合と同様、口呼吸を防ぐことは不可能かもしれませんが、口臭や浅い眠りといった問題を引き起こす前に、口呼吸を止める手助けを得ることは可能です。寝ている間に口呼吸が始まったかもしれないと思われる場合は、かかりつけの医療従事者にご相談ください。
見通し/予後
私/子供がこの症状になった場合、何が考えられる?
多くの場合、医療従事者が根本的な問題を治療することで、口呼吸の症状を排除することが可能です。そのためには、ご自身またはお子様の気道を塞いでいる組織を取り除く手術が必要になるかもしれません。慢性的な鼻詰まりといったアレルギー反応を抑えるために、薬物療法が必要になることもあり得ましょう。
クリーブランド・クリニックからのメモ
口呼吸は、鼻を通して呼吸ができなくなったときに生じる習慣です。口呼吸は、十分な空気を得るという緊急かつ不可欠な問題を解決してくれるかもしれません。しかし、口呼吸は、睡眠障害、歯の問題、および顔の骨格の違和を引き起こし得る、なかなか治らない習慣になる可能性があります。ご自身やお子様が口呼吸になっていると思われる場合は、かかりつけの医療従事者にご相談ください。問題を解決するための治療法や薬を勧めてくれますよ。
特に「こうすると口呼吸はたちまち治る!」みたいな話はなく、純粋に口呼吸の嫌な部分ばかりを聞かされる記事となっていましたが、やはり根本的に治すなら手術をするのが一番のようで、怪しげな家庭療法を軽く勧めることはしない、世界最先端の医療機関の矜持を感じるものだったと言えましょう。
ちなみに僕は、子供の頃は鼻も詰まっていることが多く、やっぱりどう考えても単位時間あたり摂取できる空気の量も段違いですし、圧倒的に楽な口呼吸メインで生きていた気しかしませんけど、成長して「口呼吸は良くないよ」と聞くにつれ、素直な性格が幸いしてか、いつの間にか(特に意識して強制したことはないものの)鼻呼吸メインで生活できているような気がします。
(まぁ呼吸なんて意識しないので常時100%鼻呼吸かは分からないですけど、ふと思い出した時も、基本的に口を閉じて生活できている感じですね。
冒頭、「枕によだれが…」とありましたが、そういえば子供の頃の枕カバーはよだれでべちょべちょになってましたけど、今はシミ一滴垂れなくなりましたね、そういえば…!)
また、やはりクリーブランド・クリニックも「顔の形が変わってしまうかもしれません」と挙げていましたし、美容医療業界の陰謀ではなく、「口呼吸顔」というのは否定しがたい事実のようですね。
(ただ、「アデノイド顔貌」ではなく、まさかのそのまんま「Mouth breathing face」で「口呼吸顔」という表現でしたし、「アデノイド」は、カタカナ語でより怖い物だと考えさせる、日本の美容医療業界の陰謀があるのかもしれませんね……
…まぁ別に僕は美容医療を憎んでるわけでも陰謀論者でもないので、そんなの極端な言いがかりに過ぎないかもしれませんけど(笑))
本当に一つもいいことがないということですし(でもまぁ、「息がしやすい」というのは生きていく上でストレスが減る、否定しがたい「良い点」な気もしますけどね)、「俺は人より酸素を使うんだ、鼻呼吸程度の空気では窒息する」という人は絶対に存在しませんから、健康の面からも鼻に軍配が上がるということで、もし口メインで呼吸をされている場合は、少し意識してみるようにする(手術など行かずとも、なるべく口を閉じて過ごすなど…案外、口を閉じて鼻で息せざるを得ない状況に追い込めば、鼻の通りは良くなったりするものです)のも悪くないかもしれませんね。