グレリンでお腹がグゥ~

腸を動かすホルモンであるモチリンという物質(実際は、22個のアミノ酸がつながった、言うなればタンパク質・プロテインの一種ですね)を見ていた前回でしたが、そこで類似分子なのか相棒分子なのか、むしろウィキペディアでは同じものであるかのように記述されていたグレリンというものに目がいったので、今回はそちらさんを垣間見てみようと思います。 

 

my.clevelandclinic.org

 

前回と全く同じような、ホルモン紹介記事ですね。

 

早速参りましょう。

 

グレリン(Ghrelin)

グレリンは胃が合成して分泌するホルモンです。グレリンは、胃が空っぽになり、食事の時間になると、脳にシグナルを送ります。グレリンレベルは食事時間の間に上昇し、胃が満杯になると低下します。肥満の方々はグレリンレベルが低いことが多く、一方、摂取カロリーを大幅に制限している方々では、グレリンレベルが高いです。

 

概要

グレリンとは何?

グレリンは胃で生合成されるホルモンです。脳、小腸、膵臓といった、体内の他の部位からも少量のグレリンが分泌されています。

しばしば「空腹ホルモン」として知られるグレリンには、空腹を脳に伝えることに加え、数多くの働きがあります。例えば、グレリンは、以下の作用を有します:

  • 食物の摂取量を増やし、体に脂肪を蓄える手助けをする。
  • 脳下垂体から成長ホルモンを分泌させる。
  • 糖分をコントロールし、糖分を処理するホルモンであるインスリンを分泌させる。
  • 筋肉を衰えから守り、骨の形成と代謝に関与する。

 

グレリンとレプチンの違いは何?

グレリンとレプチンは、食欲と満腹感をコントロールしている多くのホルモンの内の2つです。体重を調節する経路の広大なネットワークに関与しています。レプチンは食欲を減退させ、一方グレリンは食欲を増進させるものです。

グレリンは胃で作られ、空腹時に脳にシグナルを送ります。脂肪細胞がレプチンを合成しています。レプチンは、十分なエネルギーが蓄えられ、「満腹」と感じるタイミングを脳に知らせます。

グレリンは短期的な食欲コントロールに関与し、レプチンは長期的な体重コントロールに関与しているわけです。

 

機能

グレリンホルモンは何をしているの?

グレリンにはいくつかの重要な働きがあります。このホルモンの作用は以下の通りです:

  • 脳の視床下部と呼ばれる部分に食欲増進のシグナルを送る。
  • 脂肪の蓄積を促進する。
  • 脳下垂体を刺激し、成長ホルモンを分泌させる。
  • 消化器系を刺激し、食物を胃から小腸を経て大腸へと移動させる。
  • インスリン分泌の制御に寄与する。
  • 心臓血管の健康を守る役割を果たす。

 

何がグレリンの引き金(トリガー)になるの?

胃が空っぽのとき、またはほとんど空っぽのときに、グレリンが分泌されます。グレリンレベルは通常、食事の直前に最も高くなります。

 

症状や病状

どんな症状や病状がモチリンに影響を与える?

グレリンレベルは胃が空っぽの時に上昇します。体がグレリンを分泌するのは、脳に食事の時間を知らせるためなのです。その後、食事をすると、グレリンレベルは低下します。

いくつかの症状が、慢性的に低いまたは高いグレリン状態につながり得ます:

グレリン状態

グレリンレベルは通常、肥満を患う方々でより低くなっています。研究者の中には、この関係は、肥満の方は元々グレリンに対してより感受性の高い体であることを意味するのではないかと考えている人もいます。肥満の方は、より低いグレリンレベルで空腹を感じやすくなっているのではないか、という理論です。

以下を含む特定の胃腸疾患も、低グレリンレベルと関連しています:

グレリン状態

食事制限などでカロリー摂取を制限すると、人によってはグレリンレベルが上昇することがあるかもしれません。高グレリンはまた、以下のような生物学的および遺伝的疾患に関連することもあり得ます:

  • 神経性無食欲症
  • 筋肉が衰えていく状態である、悪液質
  • セリアック病
  • 炎症性腸疾患(IBD
  • プラダー・ウィリ症候群

 

胃バイパス手術はグレリンレベルにどんな影響を与えるの?

胃バイパス手術とスリーブ状胃切除術は、高度肥満に対する外科的治療法の内の2つです。こういった手術後は、患者さんのグレリンレベルが持続的に低下しており、これが長期的な体重コントロールに関与していると考えられています。胃のサイズが小さくなることは、肥満手術後の体重減少の原因の一つであり、グレリンレベルの低下に一役買っていると考えられています。

 

ケアする

グレリンレベルを健康に保つにはどうすればいい?

グレリンやその他のホルモンのレベルをより健康に保つには、以下のような生活習慣が実践可能です:

  • 頻繁に体重を増やしたり減らしたりすることになってしまう、流行ダイエットやヨーヨーダイエットは避ける。
  • 全粒穀物といった健康的な炭水化物と、鶏肉や魚といった赤身のタンパク質を多く含む食事を摂る。
  • 加工食品、特に砂糖、異性化糖、塩分を多く含む食品を控える。
  • 毎晩少なくとも7~8時間眠る。
  • 水分を十分にとり、果物や野菜といった水分を多く含む食品を摂る。
  • ストレスはグレリンを増加させるかもしれないため、ストレス反応をコントロールする。

 

グレリンを抑えてくれる食べ物は何?

グレリンを抑制する特定の食品はありません。一般的には、健康的な炭水化物(全粒穀物のような)やタンパク質を多く含む食品を食べると、グレリンレベルを下げることが可能です。

 

グレリンはどうやって下げるの?

グレリンレベルは、食事の量によって上下する傾向があります。グレリンは、水分補給をすると減少し、脱水状態になると増加することがあるかもしれません。

食事の種類はグレリンに影響を与えます。例えば、タンパク質や健康的な炭水化物を多く含む食品を食べると、脂肪を多く含む食品を食べるよりもグレリンレベルが下がります。

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

グレリンは胃で作られるホルモンです。胃が空っぽになるとグレリンが分泌され、脳に食事の時間であることを知らせます。グレリンはしばしば空腹ホルモンと呼ばれますが、空腹をコントロールするだけではありません。成長ホルモンを分泌するよう脳下垂体にシグナルを送ったり、インスリンの分泌に一役買ったり、心臓血管の健康を守ったりもしているのです。

 

空腹ホルモンとして有名なもので、モチリンと似ていると思いきや、記事内ではレプチンとの比較がされているなど、意外と別物だったという感じですね。

(まぁモチリンも「空腹感を惹起する」という話だったので、似てるっちゃ似ていますが、少なくともこの記事にはモチリンのモの字も出てきませんでした。)

 

飽食の時代にあっては、お腹が空くと(=「空いた」と感じてしまうと)モノを食べてしまい、太ったり不健康な状態につながりやすくなったりするといえますから、これは邪魔者な敵性ホルモンと言える感じでしょうか。


とはいえちょうど最後のまとめにあった通り、どんなホルモンも大抵色々な機能を持っており、こちらは成長ホルモンの分泌を促したり、心臓をヘルシーに保つなんて良い役割もあるようですから、必ずしも悪者ホルモンと断じられるものではなさそうですね。

 

例によって画像がなかったので、ウィッキー先生から構造をお借りしてみると、こちらもモチリン同様、アミノ酸がつながっただけの分子で、22アミノ酸のモチリンより少し大きな、28アミノ酸(一文字表記で、GSSFLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR。モチリンはFVPIFTYGELQRMQEKERNKGQでしたが、何気に配列もあんまり似ていないんですね)がつながったもののようです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Ghrelinより

(構造の画像は、英語版の記事だけにしかありませんでした。)

 

青い部分が「プレ・プロ版」で、生体分子によくありがちな、「まず大きな分子として合成され、特定の酵素で一部が切り出されて機能するようになる」というパターンですね(成熟型の、28アミノ酸であるグレリンが、緑の部分とのことです)。

 

おっ、日本語版グレリン記事によると、この分子は日本人研究者である、児島将康さんと寒川賢治さんとによって発見されたものだったんですねぇ~。

まだまだ研究も盛んなようです、この分子を探って行くことで空腹のメカニズムを突き止め、面白い発見がさらにされて行くことに期待したい限りです。

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