そして「痩せホルモン」ことレプチン…

「空腹ホルモン」としておなじみ(…って、僕は知りませんでしたが(笑))、胃腸をグイングイン動かす機能もあるモチリンとグレリンというホルモンについて見ていたここ最近の記事でしたが、前回のグレリン記事では「どう違うの?」という比較対象として、レプチンというこれまた類似のホルモンが挙げられていました。

 

正直、あまりにも長い記事だったら間違いなく無視してましたけど(笑)、幸いモチ・グレ記事同様、割とあっさり目にまとまっていた記事だったため、例によって「記事水増しにちょうどいいや」という感じで、今回はこちらを見て行こうと思います。

(実際、最近見ていた記事で挙がっていた興味深い用語の中で、例えば「神経性無食欲症」という面白そうな病気なんかは、記事を見てみたらスクロールするのもうんざりすぐるらいの長さだったので、諦めました(笑)。)

 

my.clevelandclinic.org

 

…と、このレプチン、アイキャッチ画像用にウィキペディア記事をまず見てみたら、「ギリシャ語で『痩せる』を意味するλεπτός (leptos) から命名された」とあり、空腹ホルモンから転じて、「痩せホルモン」といえる物質のようで、こいつぁ面白そうじゃあないですか。

 

まぁ、天下のクリーブランド・クリニックによるまとめなので、そういう部分にばかり着目はしていない、至って真面目な記事ではないかと思えるものの、早速見て参りましょう。

 

レプチン&レプチン抵抗性(Leptin & Leptin Resistance)

レプチンは、長期的に正常な体重を維持するのに役立つ、体内で分泌されるホルモンです。血液中のレプチンレベルは、体脂肪の量に直接関係しています。レプチン抵抗性があると、体に十分な脂肪が蓄えられているにもかかわらず空腹を感じることで、食べる量が増えてしまいます。

 

概要

レプチンとは何?

レプチンは脂肪組織(体脂肪)から分泌される、長期的に正常な体重を維持するのに役立っているホルモンです。このホルモンは、飽満感(お腹がいっぱいになる感覚)を与えることで空腹感を調節しています。

ホルモンとは、血液を通じて臓器、筋肉、および他の組織に情報を伝えることで、体内のさまざまな機能を調整する化学物質です。こういったシグナルは、いつ、そして何をすべきかを体に伝えています。

研究者がレプチンを発見したのは1994年のことで、現在もその作用の全てを理解するために研究が続けられています。

 

レプチンの機能は何?

レプチンの主な機能は、体内の食物摂取量とエネルギー使用(消費量)との間の長期的なバランスの調整を手助けすることです。レプチンは空腹を抑制(予防)し、体がエネルギー(カロリー)を必要としないときに空腹反応を起こさないように、エネルギーバランスを調整するのに役立っています。

レプチンは主に脳幹と視床下部に作用し、空腹感とエネルギーバランスを制御していますが、体の他の部位にもレプチン受容体は存在しています。

レプチンは、毎食ごとの空腹レベルや食事摂取量に影響を与えるのではなく、むしろより長い期間にわたって、正常な体重を維持するのに役立つように、食事摂取量を変化させ、エネルギー消費量をコントロールしているのです。

レプチンは、体重を減らす時に、より深い効果を発揮します。体脂肪(脂肪組織)が減少すると、レプチンレベルが低下し、これにより体が飢餓状態であると考えるようなシグナルが送られます。これが強い空腹感と食欲とを刺激し、食物の消費量を増やすことにつながり得るわけです。

研究者は現在もレプチンの研究を続けており、レプチンは代謝、内分泌系の調節、および免疫系の機能にも影響すると考えられています。

 

レプチンレベルはどうコントロールされているの?

白色脂肪組織(体脂肪)がレプチンを合成し、分泌しています。白色脂肪組織は、体内の脂肪の主要なタイプです。皮膚の下、内臓の周り、骨の中腔に存在しています。白色脂肪組織は、体の様々な部分でクッションの役割を果たしています。

血液中のレプチンの量は、脂肪組織の量に正比例します。つまり言い換えると、体脂肪が少ないほどレプチンは少なく、体脂肪が多いほどレプチンは多くなるということです。

時間とともに脂肪量が増加すればレプチンレベルは上昇し、時間とともに減少すればレプチンレベルは低下することになるわけです。

 

どんな検査でレプチンレベルを測定するの?

血液検査で、腕の静脈から採取した血液サンプル中のレプチンの量を調べることが可能です。

医療従事者は日常的にレプチンレベルを検査しているわけではありませんし、この検査は全ての検査機関で実施されているわけではありません。医療従事者は通常、肥満でかつ空腹感が続く人、または幼い子供がクラスIIIの肥満である場合にのみ、レプチン検査の実施を検討します。

 

レプチンレベルの正常値はどのくらい?

レプチンレベルの正常値の範囲は、検査施設によって多少異なる場合があるかもしれません。検査報告書に記載されている正常値の範囲を忘れずに確認するか、結果について質問がある場合はかかりつけの医療従事者にお尋ねください。

一般的に、レプチン値の正常範囲は以下の通りです:

  • 出生時に女性に割り当てられた成人:1ミリリットルあたり0.5~15.2ナノグラム (ng/mL)。
  • 出生時に男性に割り当てられた成人:0.5~12.5 ng/mL。

 

レプチンレベルが高すぎるとどうなる?

血液中のレプチンの量は脂肪組織(体脂肪)の量に正比例するため、肥満になるとレプチンレベルが高くなります(高レプチン血症)。その結果、レプチンに対する感受性が低下し、レプチン抵抗性と呼ばれる状態になる可能性が出てきます。

高レプチン血症に関連する他の疾患には、以下が含まれます:

 

レプチン抵抗性とは何?

レプチン抵抗性になると、脳がレプチンに通常通り反応しなくなります。脳はコンスタントにレプチンに刺激されているため、こうなると満腹感や満足感が得られなくなってしまうわけです。これにより、体に十分な脂肪が蓄えられているにもかかわらず、さらに食べてしまうことにつながってしまいます。

レプチン抵抗性ではレプチンが不足しているように感じられるため、体も飢餓モードに入ってしまいます。エネルギーを節約しようと努めることから、脳がエネルギーレベルを低下させ、安静時のカロリー消費を少なくさせてしまうのです。

こうしてレプチン抵抗性は肥満をさらに助長し、空腹感を刺激して代謝を低下させることにより、脂肪蓄積という形でさらなる体重増加を引き起こします。

研究者が現在、レプチン抵抗性を治療可能な薬の開発に取り組んでいます。

 

レプチン抵抗性の症状は何?

レプチン抵抗性では、レプチンの食欲を抑えたり体内のエネルギー消費を増加させたりする能力の低下が認められます。このため、レプチン抵抗性の主な症状としては、体脂肪が十分または過剰にあるにもかかわらず、常に空腹感を感じたり、食事摂取量が増えたりすることが挙げられます。

しかし、その他いくつかの要因や状態が、こういった症状を―レプチン抵抗性のみならず―引き起こす可能性があります。研究者はまだレプチンについて研究中であり、今後、レプチン抵抗性の他の症状が発見されることがあるかもしれません。

 

レプチンレベルが低すぎると何が起きる?

レプチンレベルが正常値より低いこと(低レプチン血症)は非常に稀です。低レプチン血症と関連付けられている主な病状は先天性レプチン欠乏症と呼ばれ、これは生まれつきの遺伝的疾患であり、脂肪組織がレプチンを産生することができません。

レプチンが分泌されないと、体は体脂肪がないと勘違いし、激しく、制御不能な空腹と食物摂取を引き起こすシグナルを発します。このため、先天性レプチン欠乏症は小児にクラスIIIの肥満を発症させ、また、思春期を遅れさせます。他にも、レプチン欠乏症は以下の病状とも関連しています:

 

その他のよくある質問

どうすればレプチンレベルを上げられる?

残念ながら、レプチンレベルは体の脂肪組織の量に直接関係していますから、空腹感や食欲を減らすためにレプチンレベルを上げるためにできることはほとんどありません。

ある研究では、睡眠不足の人は空腹を知らせるホルモンであるグレリンのレベルが高く、レプチンのレベルは低いことが見出されました。適切な量の質の高い睡眠をとることは種々の理由で重要ですから、いずれにせよ、健康全般にとって有益なものになっています。

研究者は、レプチンとトリグリセリド(中性脂肪としても知られる脂質の一種)との関係にも着目しています。トリグリセリドが高いとレプチンの機能に影響するらしい、ということを明らかにした研究もいくつか報告されていますが、これには賛否両論があります。複数の研究者が、トリグリセリドを下げるようにデザインされた食事はレプチンレベルを上げるのに役立つと考えていますが、他の複数の研究者はそれに異議を唱えています。

 

レプチンを多く含む食品は何?

レプチンは体内で作られるホルモンであり、(ビタミンCやタンパク質のような)栄養素ではないため、レプチンを含む食品はありません。

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

レプチンは比較的新しく発見された物質であるため、レプチンが肥満や減量にどのような影響を及ぼすのかを含め、レプチンについてより詳しく知ろうと今なお研究者が調査を続けています。体脂肪が減少すると、体が飢餓モードへと突入する引き金を引くというレプチンの役割により、体重を減らすことは難しくなっているのです。体重が気になる方、または健康的に減量する方法を知りたい方は、かかりつけの医療従事者に相談するか、ホルモンを専門とし、体重管理プログラムを提供している内分泌専門医の受診を検討してみてください。

 

「痩せホルモン」と言いつつ、これは単に名前の由来であって、もちろんこのホルモンがドパドパ出ていればお腹が空きにくくなるとはいえ、体内の脂肪の量に正比例するということですから、ある意味「デブホルモン」でもあったということですね(笑)。

 

最後の項目にもありましたが、これはホルモンであり、しかも↓の分子構造を見ると分かる通り…

https://ja.wikipedia.org/wiki/レプチンより

…こちらは螺旋リボンの数が多いことからも分かる通り、こないだのモチリン・グレリンより遥かに大型なタンパク質であるため…

(なお、クリーブランド・クリニック記事では「タンパク質のような栄養素とは違うのです」とありましたが、これは生化学に興味のない一般の方向けの話であり、実際は紛うことなきタンパク質なんですけどね(笑)。

 ちなみに具体的には、20アミノ酸程度だったモチ・グレとは違い、こちらは167アミノ酸がつながったものになります。参考:UniProt

…サプリみたいなので経口摂取しても胃でズタズタに分解されて単なるプロテイン的な栄養になるだけ(=機能を維持したまま血中に乗せることは不可能)であるため、

「『このホルモンは脂肪細胞が作るから、食事からは摂れない』といっても、痩せに効く機能自体は間違いなくあるんだし、強引にこの痩せホルモンだけを飲みまくればよくね?」

…という風に一瞬思えるかもしれないものの、残念ながらそれは成り立たない話だと言える形なわけです。


もちろん注射すれば効果はあるはずですが、恐らく「お腹が空かない」だけではなく、そんな無理なことをすると、記事内で「高レプチン血症」などとして挙げられていた悪い作用がガッツリ出てしまうでしょうから、それも難しい……という感じで、正直、「痩せホルモン」なんて名前だけのガッカリ分子だったという感じかもしれませんね(笑)。

(まぁそもそも別にどこにも「痩せホルモン」なんて書かれておらず、僕が勝手に書いてただけではありますが(笑)。)


「飲んだらお腹が空かなくなる薬」は、残念ながらまだまだ将来の夢物語のようです。

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