前回の記事では、略称の名前に目を引くインパクトがあったというただそれだけの理由で、SIBOという、要はお腹イタイイタイな病気を見ていましたが(正式名称を書き下すと、「小腸内細菌異常増殖」という仰々しいものですけどね)、今回も一連の腸シリーズの記事のどこかで目にしていた、名前にインパクトがあったものを見ていこうと思います。
それが、記事タイトルにもしました、モチリン!
カタカナで表記されると非常に可愛らしい名前ですけど、言うまでもなくお餅とは関係なく、これは「mot-」という接頭辞が、「モーター」や「モチベーション(動機)」という語で使われていることからも完全に明らかな通り、「動く・動き」ということを意味する言葉ですから、何てこたぁない、腸の動きに関するホルモンなんですね!
しかし改めて何とも可愛らしい響きの名前に思えますけど、そういえば以前、ピクリン酸やらアニリンやらを挙げて、「『~リン』という化合物は多いですけど、可愛い響きっすね」とか書いていたしょうもない記事が(もうずーっと前に)ありましたが(↓)…
…何気に、この記事がこのブログで圧倒的に一番アクセスされている記事でして、まぁはてなブログのアクセス解析は脆弱であり、何回かまでは分からないんですけど、ブログ管理画面で目にする「アクセス数ランキング」では、この記事がGoogle検索からの流入で、永久にずーっとトップにい続けている感じです。
まぁ、どう考えても、『一番可愛い名前は、これでしょ』とかいう、「可愛い名前は何かないかなぁ~」と探してらっしゃる新ママ・パパが「おっ?」と思ってクリックしてもらえたものだと思うのですが、開いてみたら意味分からん化学物質を紹介しているだけという、毎回ランキングが目に入ってこいつがトップにいるのを見るにつけ、
「全然関係なさすぎる記事で申し訳ねぇ…」
…といたたまれない気持ちになっていることを、今さらですがここに懺悔の気持ちとともに告白させていただこうと思います…。
(まぁ、「本当に申し訳なく思ってるなら、タイトル変えるか消せや」って話なので、これは単なるアピールプレイなだけで、別にさほど反省もしてないのが見て取れる感じかもですけどね(笑))
御託はともかく、程よい長さというか短めの記事でしたし、そもそも最近ずーっとやってる一連のクリーブランド・クリニック記事参考シリーズも、神経伝達物質・ホルモンを見て行くことから始まっていたので、かなりマイナーで聞いたこともなかったホルモンですが、今回はこちらの記事(↓)を参考にさせていただこうと思います。
モチリン(Motilin)
モチリンは、消化に関与するホルモンです。小腸の筋収縮の引き金(トリガー)となります。この収縮により、食物は小腸から大腸へと移動します。モチリンはまた、インスリンの分泌をコントロールし、体内の空腹感のトリガーとなる役割も持ち合わせています。
概要
モチリンとは何?
モチリンは胃腸ホルモンの一種です。小腸から大腸へ食物を移動させるために、体内でモチリンが分泌されます。この消化管内を通した食物の移動は、移動運動複合体(MMC)と呼ばれています。
体内では1日中モチリンが分泌されています。食間や睡眠時といった絶食期間(食事をしていない時)には、より多くのモチリンが分泌されます。
モチリンのホルモンレベルは、食べたものによっても変化します。例えば、脂肪や糖(ブドウ糖)を含む食品を食べると、モチリンは減少します。
機能
モチリンの目的は何?
モチリンの第一の働きは、消化管内で食物を移動させることです。モチリンはまた、ペプシンと呼ばれる胃酵素の生合成も助けます。ペプシンは体内のタンパク質の消化を助けるものです。
体内でモチリンが分泌されると、モチリンレセプター(受容体)と呼ばれる細胞に結合します。モチリンが受容体に結合すると、小腸の筋肉が収縮します。この作用により、食物は消化の次の段階に進むのです。
モチリンはどうやって移動運動複合体と一緒に機能するの?
モチリンは移動運動複合体を制御しています。体内でモチリンが分泌されると、MMCが活性化されます。MMCは、以下の作用をしています:
- 未消化の食物を小腸から大腸に運ぶ。
- 細菌の過剰繁殖を防ぐため、細菌を小腸から大腸に移動させる。
- 大腸から小腸の最後の部分(回腸末端)へ細菌が逆行しないようにする。
- 食べ残しあるいは残された細菌が栄養吸収を妨げないようにする。
モチリンは他の身体機能にどんな影響を与えるの?
体内でモチリンが分泌されると、体の他の部分にも作用します。モチリンは以下のトリガーを引く一助となります:
症状や病状
どんな症状や病状がモチリンに影響を与える?
いくつかの状態が、モチリンレベルに影響することがあり得ます。例えば、妊娠中の方は、妊娠していない方に比べて、一般的にモチリンが低いという研究報告が複数示されています。モチリンが減少すると、妊娠中の方は、便秘や胸焼けに見舞われる可能性があります。
低モチリン状態
モチリンが少なくなると、運動低下症、すなわち消化管の筋収縮や運動が鈍くななる状態になる可能性もあります。特定の消化管疾患は、以下を含む運動低下と関連しています:
高モチリン状態
モチリンが多くなると、食物の移動が通常より速くなり、腸の収縮が強くなります。高モチリン状態に関連する疾患には以下が含まれます:
- 糖尿病
- 潰瘍性大腸炎
ケアする
モチリンレベルと消化器系を健康に保つにはどうすればいい?
健康的な生活習慣を実践することで、消化器系とホルモンの健康を高めることが可能です。以下のような方法が取れましょう:
- 毎晩、質の高い睡眠を少なくとも7時間とる。
- 体格、性別、活動レベルに応じ、1日大体3~4リットルの、たっぷりの水を飲む。
- 種々様々な果物、野菜、全粒穀物を摂る。
- 筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動を取り入れながら、継続的に運動する。
- 喫煙やタバコ製品の使用をやめ、カフェイン、アルコール、および加工食品の摂取を控える。
- 抗生物質は必要な場合のみ使用し、抗生物質の過剰使用を避ける。
その他のよくある質問
なぜ絶食時にモチリンが分泌されるの?
移動運動複合体ことMMCは、消化管内を食べ物が移動するのを促すために、タイミングを計っています。モチリンはMMCの一部なのです。
食事をすると、胃酵素が分泌され、食物を分解するプロセスが始まります。胃が食物の分解を開始した後で、体からモチリンが分泌されます。これは、絶食している時(食事と食事の間の時間)に起こるこのプロセスの最終段階です。未消化の食物は胃から小腸に移動します。
胃排出を促すホルモンは何?
胃排出とは、食べ物が胃から小腸の最初の部分(十二指腸)に移動するプロセスのことです。グレリンとモチリンが胃排出を刺激しています。
モチリン受容体はどこにあるの?
モチリン受容体は、消化管に沿って存在します。消化管には、以下が含まれます:
- 胃
- 小腸
- 結腸
モチリン受容体は、幽門洞と呼ばれる胃の狭い部分に最も集中しています。幽門洞は幽門の最初の部分で、胃と小腸の間の入り口です。
クリーブランド・クリニックからのメモ
モチリンは、消化器系を刺激するホルモンです。食物を小腸から大腸に運ぶのに役立っています。モチリンはまた、インスリンの分泌をコントロールしたり、空腹感を引き起こしたりする役割も担っています。モチリンが少ないと、小腸の筋肉の収縮が鈍くなるまたは遅れてしまう可能性があります。
極めて単純明快な記事で、今までで一番あっさりした記事だった気がします。
(下手したら可愛い名前どうこうの前置きの方が長かったですね(笑)。
…ただ、冒頭・概要の、「この消化管内を通した食物の移動は、移動運動複合体(MMC)と呼ばれています。」という文だけは、主語と述語が合ってない、おかしな文じゃない…?と思えてしばらく悩んだのですが、まぁちょっと変な気がするものの、原文を尊重してその通りに訳してみました(本当は「この移動は、MMCと呼ばれる複合体によって行われています」とかの方が正しい記述な気がします)。)
アイキャッチ画像用に何かないかウィキペディアを見てみたら、こちらは22個のアミノ酸がつながったいわゆるペプチドホルモンであり(アミノ酸三文字表記で、Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg-Met-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Asn-Lys-Gly-Glnの22個ですね)、例のタンパク質リボンモデルの構造図が(英語版にのみ)あったので、相変わらずこんなの見ても何も分かんないわけですが(笑)、しかしこの22個のアミノ酸が並んで螺旋リボンが主に形成されるという、構造面でも今までで一番単純明快なものではあったかもしれません、流石は名前が可愛いだけありますね…!

…と、画像はまさに「モチリン/グレリン」となっており、記事の前にこの画像から見ていた僕は、「グレリンはモチリンの別名なのかな?」と思っていたら、上記クリ・クリ記事の説明を見るに、どうも別物っぽいですね。
幸いグレリンにもリンクが貼られていたので、ほぼ完全に同じ長さであったあっさりめなそのグレリン記事を次回も見て行くことで、記事の水増しを図ろうと思います(笑)。