前回はまさかの突然「ギョウチュウ」について見ており、生物の進化の歴史でいえば、胚発生時に3胚葉に分化するという点からクラゲやサンゴ(代表的な2胚葉生物)よりも遥かに高等な生物で、消化管は口と肛門という別の穴を保有するようになったという点から愛らしいプラナリアなんかよりも圧倒的に進化している生物ともいえ、また脱皮できるという新しい性質を獲得したという点ではイカやタコよりも複雑な仕組みを備えた生き物だといえる…なんてことも成り立つ、線形動物門に所属の動物であることに触れていた感じですね。
もちろん、流石に脱皮するというだけで脱皮しない動物よりも優れているとか高等であると言い切ることは全くできないんで、「イカよりギョウチュウの方が上」は絶対ないんですけど(笑)、明白に進化レベルが異なるものとしては、「サンゴよりもプラナリアよりもギョウチュウの方が上」ってのは確実に言えることであり……
…宝石にもなるサンゴ礁や、謎の再生力を持つ可愛いプラナリアより、小汚ぇ衛生管理もなってない時代にしばしば感染して、お尻をペッタンとして卵チェックするというあまりにも汚らしいイメージしかないギョウチュウの方が上とか、正直認めたくない序列にも思えますけど(笑)、まぁ進化の序列と生物としての高等さというか人類への有用さみたいなのは、得てして相関性はそこまでないという話に尽きる感じだといえましょう。
では今回も早速「門」リストを進めていきますと……
…メンバーが5桁未満のものはマイナーにも程があるのでスルーしていたものの、今回は意外と目ぼしいやつがいたため、使えそうなやつはとことん使わせてもらうという姿勢でピックさせていただきましょう……
まずは、マイナーもいい所で正直初耳レベルでしたけど、「ちいかわかよ(笑)」と思える名前が面白かったというそれだけで触れてみたくなりました、動吻(どうふん)動物門とかいう、グループの名前もそこそこ面白いこちら、トゲカワ!
(「トゲカワ」個別WikiPページは存在せず、動吻動物に自動リダイレクトされました↓)
…全然可愛くなくてワロタ(笑)。
まぁ脱皮動物の中ではまた進化的に古いもので、実際小さいことは小さいようですが(まぁ別に「ちいかわ」って名前ではないですけど笑)、体節が沢山あるというその時点で残念ながら我々人間の美的センス的にノーセンキューとなるこちら……おや、でも↑のリンクカードサムネだと禍々しい感じにしか見えないイラストだったものの、実際の写真だとクリスタルクリアボディが結構神秘的で、そんなに悪くない感じじゃないっすか!
…うん、これなら「かわ」を名乗る資格、アリ!
(いや何様だよ、トゲカワもおめぇにだけはそんな認定、勝手にして欲しくねぇだろうよ(笑))
まぁこれに関しては本当に名前が面白かったというそれだけの理由で取り上げたのでその辺にしておくとして、今回の主役はそう、トゲカワの1つ下にいらっしゃいます、クマムシ!
グループ名は緩歩(かんぽ)動物ということで、まぁ確かにノロそうなフォルムをしてらっしゃる……というか、ギリギリグロいのと可愛いのとの境目に位置しそうな攻めたナリをしてますけど、実際この写真は顕微鏡観察像であり、実物は体長1ミリメートル未満がほとんど(ウィ記事によると50マイクロメートルから1.7ミリメートル)の、微生物と言っても過言ではない生き物ですね。
名前は…まぁお笑いコンビでいらっしゃるのでそっちで知ってる方のほうが多いかもしれませんが、生命科学の業界ではこちらさんはすこぶる有名人でして、こないだのプラナリアが再生力最強であった一方、こちらはなんと、生命力が最強なんですね!
とはいえ「生命力が最強」というと「ほ~ん、1万年ぐらい寿命があんのか?」と思われるかもしれないものの、寿命はこちらも上記ウィ記事によると半年とのことで、「何が最強だ、セミよりちょっと長いぐらいのむしろ最弱レベルじゃねーか(笑)」と思える気もしますが(笑)、まぁ「生命力」というより正確には「防御力」「耐久力」が尋常じゃなく強いと、そういう話になっています。
これはあまりにも有名な話ですし、色々(ネタではなくしっかり学術的な知見に基づいた)まとめ記事もあるので、とりあえずリンクだけ貼ってみますが……
まぁほぼ同じ内容(数字は若干異なりますが)なので、例によってウィ記事から主な耐性をコピペさせていただくと…
…そう、体重の8割以上の水を飛ばして、3%(ニコニコニュース記事によると0.05%)しか水分を含まないカラッカラな状態もいい所にしても生き続ける(人間でいうと、体重の60%程度存在する水分が0.05%になる=体重60 kgの人が、体重24 kg(内、水分は30グラム(笑))になるまで、まさにミイラのように干からびても生き続ける)…ということで、これはとんでもないにも程がありますねぇ~。
また、これは逸話の域を出ない話ではあるとのことですが、「例えば、ある博物館に保管されていた130年前のコケに水をかけると、ひからびた樽状のクマムシがもとに戻った」という「んなバカな(笑)」と思えるネタもウィ記事に記載されていましたが、「そうであってもこいつらなら不思議ではない」と思えるぐらいに、強靭な生命力を備えている、ってことですね(まぁ、とか言ってあっさり半年で死にますけど(笑))。
一方、温度は上記ニコニコ記事によると151℃の高温でも耐えられる&下は絶対零度=-273℃でも耐えられるということで、温度変化に関しても凄まじい耐久力といえましょう。
(とはいえ、1000℃とかそういう常識外れの温度になると、有機物の限界でどうしても炭素が炭化してしまうなど分子構造そのものが崩れてしまいますから、そこまでは不可能ですけどね。)
そして、圧力・放射線の話に関しては、「宇宙空間(空気がないので気圧が0だし、宇宙船バンバン飛びまくり)でも、10日間放置して普通に生き続けた」という報告は大々的に科学ニュースになっていましたし、まさにこれが一躍クマムシを有名にしたといっても過言ではないぐらい、大変よく知られた話になっています。
最後、「弾丸のように射出しても平気の平左」という点ですが、それに関しての限界は、上記ギズモード記事の方で確かめられていたようです。
…と、そちらは文章だけでしたし、そういえば動くクマムシも見たことがありませんでしたから、せっかくなら実物を拝見させていただこうと思いYouTube動画を検索した所、一番実験が簡単ともいえる「圧力ゼロ=真空状態でのクマムシの動態実験」の様子が公開されていました。
早速リンクをお借りさせていただきましょう!
水槽の中にクマムシを入れ、バキューム(真空ポンプ)を用いて水槽内の空気を抜くことで真空状態を作り出す(真空になると水は液体ではいられなくなるので、沸騰して液体自体がカラカラにもなります)実験をした様子がこれで、まぁ色々なまとめにある通り、クマムシは真空状態でも生きられるというのが結論なわけですが、何度目かの真空化→空気を戻してやった直後の様子が、こんな感じですね。
まぁスクショ画像なので何のこっちゃという話ですけど、何度も真空にして、合計30分とか経過後、空気を戻して通常の状態に戻してやった結果、英語字幕にある通り、
「now they start moving again(今またこいつらは動き始めてるね)」
ということで、動く様子が観察できていました!
…と、実際動いてはいるんですけど、先ほどのウィキP画像にもあったあのおなじみのキモ可愛いクマムシとは違い、「こんなゴミみたいなカタマリなん?ってか、何か千切れて死んでるカタマリもおらん?(笑)」と思えて、やや「本当に正常に生きてるのか…?」と疑問にも思える感じでしたが(笑)、まま、普通にちゃんと動いてはいますね、確かに。
真空状態になると「休眠状態(dormant state)」になるということも動画内で語られて実際にその様子も収められているわけですが、そんな感じで今回は強い子クマムシについて触れてみた形でした。
なお、我々人間はそういえば真空状態でどのぐらい生きられるのか気になったので調べてみた所…
…やはり学術機関の情報が最も信頼に足るので、上記ウエスト・テキサスA&M大学のサイエンスQ&A記事からお借りさせていただくと、
「9-12秒の間であれば、人間は完全な真空状態にさらされても意識を保ち、機能も落ちずにいられる」
とのことで、これは裏を返せば人間は真空状態に置かされると15秒程度で気絶してそのまま死に至るとも言えますから、10日間生き抜けるクマムシ(なお、英語では、YouTube動画タイトルにもあった通り、water bearなどと呼ばれることもあるようです…そんな日本語でも英語でも言われるほど熊っぽいか?(笑))よりは遥かに軟弱なのが我々人類だということで、クマムシ先生に敬意を表して今回は幕を閉じさせていただきましょう。