前回は生物分類の「界」について、ややこしいミドリムシの話なんかも見ながら、「あくまで恣意的な分類なので、ハッキリしないものも中にはいるんですね」などと書くことで、最上位グループの「界=キングダム」については見終えていました。
次の階層は「門」、英語だと「ゲート」ではなく専門用語の「phyrus(ファイラス)」が用いられますが、生物をざっくり動物やら植物に分けた後の、次のレベルのグループですね。
まぁこんなのはウィッキー先生のリストを見ればそれで終わりなわけですけど…
…なんと、日本語版には、真核生物4種類の内、下等と言える2界、菌と原生生物の一覧が空欄で、「この節の加筆が望まれています」となっていました…!
もちろん英語版にはリストが用意されていたので、まぁ僕はWikipediaの編集をしたことがないためウィ記事の編集はしないものの、せっかくなので英語版のリストを翻訳する形で、ここに日本語版リストをまとめさせていただくといたしましょう。
改めて、菌界は、動物植物より若干分かり辛いですけど基本は多細胞生物の、化合物をより小さな元素レベルにまで分解する役割をもっていることの多いいわゆる分解者、具体的にはキノコやカビなどで、まぁ冷静に考えたら「キノコとカビ」ってのも全然違う気がするものの、でも食べ物を放置したらカビが生えたり最悪キノコが生えたりしますから、何だかんだこいつらは似たもの同士ってわけですね。
一方原生生物界ってのは単細胞のザコ微生物で、とはいえ細菌とは違って核に膜は存在しているため、一応大腸菌とかみたいなカスとは違い、高等動物と同じ真核生物の仲間とされている生き物でした。
何気にリストも大きく、かなり時間を食ったので、特にコメントもなかったため今回は「日本語リストを用意しました」でおしまいとさせていただきましょう。
以下、英語版の「phyrus」記事からの翻訳引用です。
一部ウィキペディアリンクは、消すのが面倒くさすぎたのでそのまんま残してある形になっていますが、特に気にせず行こうと思います。
菌(Fungi)
区分 意味 一般名 特徴 種類 子嚢(のう)菌門(Ascomycot) 膀胱感染性の菌(Bladder fungus) 子嚢菌(Ascomycetes, sac fungi) 子実体(子のう殻)を持つ傾向がある。糸状で、隔膜で分離された菌糸を出す。無性生殖(asexually)が可能。 30,000 担子菌門(Basidiomycota) 小さい基底の菌(Small base fungus) 担子菌、棍棒状菌(Basidiomycetes, club fungi) ブラケット菌、毒キノコ、汚れ、サビ。有性生殖。 31,515 厚膜嚢菌(コウマクノウキン)門(Blastocladiomycota) 派生分枝した菌(Offshoot branch fungus) コウマクノウキン(Blastoclads) 200未満 ツボカビ門(Chytridiomycota) 小さな鍋の菌(Littlecooking pot fungus) ツボカビ(Chytrids) 主に水棲の腐生性または寄生性。後鞭毛を持つ。単細胞の傾向があるが、多細胞の場合もある。 1000+ 糸状菌門(Glomeromycota) 糸の玉の菌(Ball of yarn fungus) 糸状菌、AM菌(Glomeromycetes, AM fungi) 主に低木性根菌が存在する。繁殖は無性だが、植物の根を必要とする。 284 微胞子虫門(Microsporidia) 小さな種(Small seeds) 微胞子虫(Microsporans 1400 ネオカリマスチクス門(Neocallimastigomycota) 新しく美しい鞭毛性の菌(New beautiful whip fungus) ネオカリマスチクス菌(Neocallimastigomycetes) 大多数が草食動物の消化管に存在する。嫌気性、陸棲、水棲。 約20 接合菌類(Zygomycota) ペアの菌(Pair fungus) 接合菌(Zygomycetes) ほとんどが腐生菌で、有性生殖と無性生殖を行う。 約1060 合計: 8
原生生物(Protista)
ストラメノパイルズ(Stramenopiles) クロミスタ
("Chromista")
アルベオラータ(Alveolata) リザリア(Rhizaria) ハクロビア("Hacrobia") 肉質鞭毛類("Sarcomastigota") 原虫("Protozoa") エクスカバータ("Excavata") 分類不能グループ(Orphan groups)
門 意味 一般名 特徴 種類 画像 アメーバ門(Amoebozoa) 不定形動物(Amorphous animals) アメーボゾア(Amoebozoans) アメーバ運動のための仮足、管状クリステ(tubular cristae)が存在する。 約2,400 アピコンプレックス門(Apicomplexa) 頂点が折り込まれた(Apical infolds) アピコンプレック、胞子虫(Apicomplexans, sporozoans) ほとんどが寄生性で、ライフサイクルの少なくとも一段階は扁平な小胞と完全なアピカル・コンプレックス(先端複合体)を持ち、光合成を行わないアピコプラストを持つ。 6,000以上 アプソゾア(Apusozoa)
(側系統)アプソモナス様動物(Apusomonas-like animals) 2~3個のコネクターを持つ滑空二繊毛動物。 32 ビギラ門(Bigyra) 2つのリング(Two rings) 毛様体移行帯に二重らせんを持つストラメノパイル。 ケルコゾア門(Cercozoa) 鞭毛を持つ動物(Flagellated animal) ケルコゾア(Cercozoans) 分子系統学によって定義されており、特徴的な形態学的・行動学的特徴は欠く。 クロメラ門(Chromerida) クロメラ様生物(Chromera-like organisms) クロムポデル、クロムメラ、コルポデル(Chrompodellids, chromerids, colpodellids) 二鞭毛虫、4つの膜を持つ葉緑体、不完全なアピカル・コンプレックス、表層胞、管状クリステ。 8 コアノゾア(Choanozoa)
(側系統)
漏斗状の動物(Funnel animals) オピストコンタ原虫(Opisthokont protists) 糸状仮足;鞭毛を取り囲む微絨毛を持つものもある。 約300 繊毛虫門(Ciliophora) 繊毛を持つ者(Cilia bearers) 繊毛虫(Ciliates) 複数の繊毛とサイトストームを持つ。 約4,500 クリプチスタ門(Cryptista) 隠れた
(Hidden)
分子系統学的に、平坦なクリステによって定義される。 246 渦鞭毛藻門(Dinoflagellata) 旋回する鞭毛(Whirling flagellates) 渦鞭毛藻(Dinoflagellates) 細胞の左側で複数の波を打つリボン状の横断型鞭毛と、後方で1本か数本の波を打つ縦断型鞭毛を持つ二鞭毛藻類。 現存2,957、化石
955エンドミクサ門(Endomyxa) 粘液の中の(Within mucus) 分子系統学的に定義され、通常、他の真核生物の形質内寄生虫である。 エオルーカ(Eolouka)
(側系統)初期の溝(Early groove) 腹側に食溝を持つ従属栄養性褐虫藻。 23 ユーグレノゾア門(Euglenozoa) 真正眼動物(True eye animals) 二鞭毛虫で、2本の繊毛のうち1本はアピカルまたはサブアピカルポケットに挿入される。 現存2,037、
化石20オクロ藻、不等毛植物門(Ochrophyta,
Heterokontophyta)黄土植物、ヘテロコント植物(Ochre plants, heterokont plants) ヘテロコント藻類、ストラメノクロム、オクロ藻類、ヘテロコント藻類(Heterokont algae, stramenochromes, ochrophytes, heterokontophytes) 三部錘体、4つの膜とクロロフィルaとcを持つ葉緑体、管状クリステを持つ二鞭毛藻類。 現存21,052、
化石2,262ハプティスタ門(Haptista) 結び付けた(Fasten) 摂食のための細い微小管に基づく付属器官(ハプト藻類ではハプト鞭毛、セントロヘリド類では軸足)、複雑な鉱化鱗。 現存517、
化石1,205ヘミマスティゴフォラ門(Hemimastigophora) 不完全または非定型な鞭毛虫(Incomplete or atypical flagellates) ヘミマスティゴ類(Hemimastigotes) 楕円形かイボ状の貪食細胞、繊毛は12本前後で2列にややラセン状に並び、細胞膜の下には微小管に支えられた篩プレートがあり、回転対称に管状と嚢状のクリステがある。 10 マラウィモナダ門(Malawimonada) マラウィモナス様生物(Malawimonas-like organisms) マラウィモナス(Malawimonads) 2つのキネトソームを備えた、後方の繊毛に1つまたは2つの羽根を持つ小さな自由生活性の二繊毛。 3 メタモナス門(Metamonada) 中程度の単細胞生物(Middle monads) メタモナス(Metamonads) 嫌気性または微好気性、ミトコンドリアを持たないものもある;キネチド1個につき4個のキネトソーム。 オピストスポリジウム門(Opisthosporidia)
(しばしば菌とみなされる)オピストコンタの胞子(Opisthokont spores) キチン質の胞子と押し出し型の宿主侵入装置を持つ寄生虫。 ペルコロゾア門 (Percolozoa) ペルコロモナス様動物(Percolomonas-like animals) アメーバ体、鞭毛体、嚢胞体を含む複雑な生活環を持つ。パーキンソゾア門(Perkinsozoa) パーキンサス様動物(Perkinsus-like animals) パーキンソゾア、パーキンス類(Perkinsozoans, perkinsids) 寄生性二鞭毛虫、不完全なアピカル・コンプレックス、菌糸状管を介した遊走子嚢または未分化細胞の形成。 26 プロヴォラ門(Provora) 貪食性の原生生物(Devouring voracious protists) 分子系統学的に定義され、腹溝と外套膜を持つ自由生活型の真核生物の従属栄養性二鞭毛藻類。 7 偽菌門 (Pseudofungi) 偽の菌類(False fungi) 分子系統学的に定義され、らせん状の繊毛移行帯を持つ食原性従属栄養性菌類。 1,200以上 レタリア門
(Retaria)
網様体を持つ生物(Reticulopodia-bearing organisms) 網様体(または斧状体)が様々なタイプの骨格を貫通して突出し、閉鎖有糸分裂を行う。 現存10,000、
化石50,000サルコゾア(Sulcozoa)
(側系統)溝を持つ動物(Groove-bearing animals) 好気性鞭毛虫(鞭毛を0、1、2または4本持つ)で、背側に1層または2層の膜下密層からなる半硬質外皮を有し、腹側に食溝、枝分かれした腹側仮足、一般に糸状体をもつ。 40+ テロネマ門(Telonemia) テロネマ様生物(Telonema-like organisms) テロネミド(Telonemids) 独特の複雑な細胞骨格、管状クリステ、三部錘状鞭毛虫、皮質の肺胞を持つ、貪食性膿胞状二鞭毛虫。 7 合計: 26, ただし、分類法に依る
ということで、菌は8門でそこそこの量だったのに、クッソしょうもない原生生物とかいうザコは、まぁ下等生物だけに逆に色々なバリエーションがあって、まさかの26もの門が存在して無駄に大変でした(笑)。
ほとんどが聞いたことのない分類でしたし、専門家でもないとその違いも全く分からないものだったなので、日本語に変換しただけで今回は終わらせていただこうと思います、実に無駄な努力を費やしてしまいした(笑)。