結局コイツは動物かい、植物かい?どっちなんだい?

突如として脱線し始めた生物の分類シリーズ、話は大きなグループから少しずつより細かい区分けに移行しており、とはいえまだ事実上一番上の分類と言える「界」まで見た所で、前回は五界説や六界説という現在主流で考えられている主張を見ていました。

 

多少のアレンジというかマイナーな分け方はある感じでしたけど、改めておさらいしておきますと、基本的には現在の生命科学(生化学・代謝学・遺伝学・分子生物学・進化学などなど、様々な要因を総合して)の知識では、やはりまず大きく分けて、

「細胞の中で遺伝子DNAを格納している核に膜があるかないか

の点で一番大きく「原核生物・真核生物」の2ドメインに大別され、(まぁ原核生物は、ドメインレベルでさらに2つに分かれ、三大ドメインと考えるのが主流のようですけど)まずはその原核生物から2つ、ドメインとしても分けられることの多い真正細菌古細菌という2つの界を考えるのがメジャーで、太古の昔から存在している生物とはいえ、こいつらはもちろん今の世界でもウジャウジャ存在しているし、何なら人間の腸内なんかにもたくさん生息していて場合によっては健康維持にとても重要な役割を果たしてくれることもあるなど、友達のような存在のやつもいるわけですけど(もちろんヒトにとっては病原性の「悪者」もいますし、生物の体内ではなく海底や熱泉の中で暮らす謎のやつらもいっぱいいますが)、いずれにせよこいつらは1つの細胞が1個体という、いわゆる単細胞生物という大変原始的な存在だといえる感じですね。

 

一方、進化的により発展した、核に膜を持つ真核生物はまぁ基本的に4つぐらいに分けられるのが普通で、核膜を持ったけれどまだ1個体=1細胞の原始的な原生生物界(この辺本当に名付けた人は頭が悪すぎで(笑)、「真正細菌」は「原核生物」だし、「原生生物」は「真核生物」の仲間だし…と、ややこしいにも程がありますが、こればっかりはごっちゃにならないよう気を付けるしかない感じですね)、そしてあとは複数の細胞が寄り集まって、高度なコミュニケーションをとることで「1個体」として存在することが可能となった多細胞生物の生き物が、これはもう中学以来おなじみ、ちょうど生態系では「生産者・消費者・分解者」として知られる、植物界・動物界・菌界の3つに分けられる形で、以上合計6つの界が、この世の生物を大別したときにそのどこかに所属される区分けになっている、という話でした。

 

まぁこれも、「いや、既に『単細胞生物グループ』と『多細胞生物グループ』っていう違うカテゴリーもあったじゃん、それは何か特別な名前を持ったグループ扱いされないわけ?」という気もするものの、これはまぁ、「あんまりそこではされないっすね…」としか言えない感じで、あくまで偉い人が勝手に決めただけの恣意的な区分けに過ぎないことに注意が必要ともいえるかもしれません。

 

実際、前回チラッと紹介していたアーケゾア界クロミスタ界というよぉ分からんグループを提唱した人がいたように、「俺がそう思うから、そう分ける」ってのも普通にあり得るというかそんなのは本当に個人の自由だと思うんですけど、アーケゾアはどうやら否定されたものの、クロミスタはウィ記事でも特定の生物のページで記載があったように、結構な人が「確かにそういう分け方も一理あるね」と認めてくれているものともいえますから、

「不満がある人は自分なりに主張しましょう、本当に科学的に意味があるなら、多くの人が味方してくれるのが学問の世界です」

と偉そうに知った風な感じのことを書いて科学の柔軟性を説いておくとともに、逆に言えばこれは結局、完全に定まった決定版のような話はまだ存在してないということの裏返しに過ぎないともいえるわけですけどね。

 

…と、何だか似たような話を繰り返し書いてるだけの再放送みたいな内容になっていますが、もうちょいこの辺のネタをこすってみますと、他にも具体的に、「いやこの生物は、どっちなんだ…?」と思う例はいくつか存在していまして、代表的なのがやはりこちらさんといえましょう、ズバリ、「ミドリムシ」!

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ミドリムシより

こちら、何気に中学理科でも、多くの教科書の最初のカラーページとかに載っていることが多いと思うので(少なくとも僕の頃の教科書は、「第2分野・上」の冒頭のカラーページに微生物の写真が載っており(僕の学校は、確か2分野(生物・地学的な内容ですね)から始めていたので、こっちが最初の教科書でした)、多くの人がそうであるように、まともなテストとかを受けることになってまともに勉強し始める初めての瞬間が中学生ですから、「へぇ~こんなのを学んでくんだぁ、果たして理解できるだろうか…」とワクワクした思い出とともに、1年生の最初の教科書はめちゃくちゃ印象に残っています)、そこでアメーバとかミジンコととかボルボックスとかケイソウとかと一緒にこのミドリムシなんかも載っていたのを覚えています。

 

ただ、中学生の頃はそこまで触れてなかった気もしますけど(いや、動物・植物・菌の違いは学んだはずなので、触れてたかもしれませんが)、このミドリムシ……「ムシ」って名前だけに鞭毛をもって動くことができるのはいいとして、まさかの細胞内に葉緑体を備えており、光合成ができる=生産者すなわち植物の一面も持つということで、一体コイツは動物なのかい植物なのかいどっちなんだい…?…と思える、大変謎めいたというか分類学上悩ましい存在だといえる感じなんですね!

 

とはいえ、まぁ何度も書いている通り、分類なんて人間が勝手に決めて、勝手に名前を付けて分けて扱っているだけで、「ミドリムシミドリムシだよ、動物とか植物とか、そんなのはどっちだっていいんだ…」と多様性が重視される今の時代ならそうなりそうな気もしますけれども(笑)、果たして知の巨人ウィッキー先生はどういうカテゴライズをしているのか、改めて↑のスクショ画像を見てみますと……

 

ミドリムシの所属する「界」として挙げられていたのは、まさかの、エクスカバータ!!

 

…聖剣かよ、これまた全く知らねえーっ!…と思えましたが(笑)、エクスカバータ個別記事に飛んで見てみますと(↓)…

 

ja.wikipedia.org

 

…うーん、これも結局、あくまで仮説上の分類(まぁ分類学は全部仮説といえば仮説ですが)で、前世紀末に提案はされたけれど正式には認められておらず、多くの学派では使っていないグループ名のようですね。

 

まぁ何度もくどいですが、こんなのは人間が勝手に名前を与えてるだけなので別に絶対的なルールなんてないと思えますけど、とりあえず言えることは…

ミドリムシは真核生物の最初期の生物であり、まだ動物と植物の境目が曖昧だった頃の特異点のような生物で、より進化的に進んだ生物は「動けるが、自分でエネルギーは作れない」動物か「動かないが、太陽光から自前でエネルギーを作れる」植物か(もちろん「複雑な化合物を単純な物質に分解する」菌などの道もありますけど)の、専門性を獲得してハッキリと別物になっていった…ということで、ある意味この動物植物どっちつかずの存在は、生物の進化を辿る上でとても貴重なモデルとなっている…

…と、そういう話だといえましょう。

 

個人的にはやっぱり、動ける時点で動物な気もしますが、しかしやっぱり日の光からエネルギーを生産できるグリーンは植物の特権な気もしますし……結局、「ミドリムシミドリムシ」とお茶を濁しておくのが最善かもしれませんね(笑)。

 

なお、最近は豊富な栄養をもつことからサプリメントやエネルギー生産用途なんかで注目されているイメージもあるミドリムシ(その場合、よりカッコいい、学名である「ユーグレナ」と呼ばれることも多いですね)、他に類を見ない特別な存在だけあって、更に脚光を浴びて我々人類の役に立ってくれることを願いたい限りです。

 

あともう一つ曖昧…ではないものの多くの人が勘違いしそうな生物として、「サンゴ」ってのも挙げてみようと思いましたが…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/サンゴより

まぁこちらは、人間の直感的に「植物っぽい」だけで、ちょうどこないだの重量ネタで「刺胞動物」の例として挙げていた通り、実際触手のような部分は動かすことのできる立派な動物ですから、サンゴからしてみたら「あんまり動きそうにないからって勝手に植物認定、やめてくださる?あなたと同じ動物よ」って話だった感じでしょうか(笑)。

 

ということで、「界」については触れようと思っていた「ややこしい生物」ネタまで無事に触れ終えましたが、ここから先はもう細かすぎて特にこれといって語る話も何もない感じですけど、まぁせっかくなので(ネタ不足も深刻なため)もう少し下位区分の方に下って見ていこうかなと思います。

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