動物と植物と……何だコイツ?!

前回の記事では「対決!みんな集めて重さ勝負」を、生物分類の最上級クラス「界(kingdom)」の各グループで見ていたわけですが、結果はまさかの、どう考えても地球の覇者と呼ぶに相応しい我々人間を代表とする動物界(Animalia)のマス(重量)は断トツ最下位という、「代表面しているのは、自分だけであった…」という大変恥ずかしい話を繰り広げていました。

 

…いや別に重ければ代表って訳でもないし、そもそも「誰も動物が覇者とか地球の代表とかそんなこと思ってなくない?」って話だったかもしれませんが(笑)、まぁ勝ち負けはともかく、人間の総重量は、まさかのウイルスの総重量よりも小さい(人間0.06ギガトンに対し、ウイルスは0.2ギガトンでした)という、この地球上には、数は言うまでもなく、量(重さ)でも実はヒトよりウイルスの方がワンサカ存在している…というのは、まぁ別に悔しかぁないですけど(笑)、何とも意外なものだといえましょう。


(とはいえ一応、前回紹介していたあのデータは「炭素重量」であり、体内に含む水分なんかは完全に無視して計算されていたので、タンパク質とDNAという、有機化合物のみから成るウイルスとは違い、ヒトの「実際の体重」はもっと重いですから(6倍超になる計算でした)、現実的な個体の重さのトータルとしては、まぁ多分ヒトの方が流石に大きいんじゃないかな、って思えます。

…もちろんウイルスも、酸素や窒素といった別の元素分の加算があるため、単純に人間0.4・ウイルス0.2という形になるわけではないと思いますけどね。)

 

ちなみに前回のデータは「炭素重量」、いわば生き物本体の重さについて論じていたわけですが、全部で55ギガトン=550億トンと概算されるのが地球上の生物とのことでしたけれども、非生物、例えば海の水の重さはどれぐらいかと調べてみると…

「Mass of Oceans」で検索したらすぐに出てきました、約1.4 × 1021 kgだそうで、これは日本語に直すと140京トンになりますから、前回は「植物が地球の王者でした!」とか何とか書いていましたが、そもそも生物自体の占める割合は非生物に比べて文字通り桁違い、億・兆・京という2単位も離れたレベルで圧倒的な差で、この世界には「単なる物質」の方がいっぱい存在している感じ(具体的には水だけで圧勝)なんですね。

 

そんなわけで、植物が断トツ多く存在していることから「地球は緑の星だったのです…」とかポエミーなことを抜かしていたものの、結局やっぱり地球は「水」の星であり、「地球は青かった」が我らが母なる星を表す文句として最適だといえましょう。

 

(ちなみに地球に含まれる(「地殻中」なので、固体が基本ですが)元素を重量順に並べると、↓のウィ記事にあるように…

ja.wikipedia.org

 

  1. 酸素    O    46.60%
  2. ケイ素    Si    27.72% 
  3. アルミニウム    Al    8.13%
  4. 鉄    Fe    5.00%
  5. カルシウム    Ca    3.63%
  6. ナトリウム    Na    2.83%
  7. カリウム    K    2.59%
  8. マグネシウム    Mg    2.09%
  9. チタン    Ti    0.44%
  10. 水素    H    0.14%    N/A

…とのことで、やはりこの星は酸素の存在がキーであると、そう言えそうですね。)

(一応大気の割合だと窒素が8割弱を占めるわけですが、流石に気体は重さでいうとかなり軽くなるため(それでももちろん、大気圧を作るなどのしっかりした「重量」は存在するわけですけどね)、王者は酸素だといえるように思います。)

 

と、補足で話が逸れましたが、生物分類の「界」の話に戻ってまいりましょう。


まぁ前回も軽く触れていたわけですけど、基本的に分類学というのは、この世に存在する生物を人間が勝手に区分けして呼んでいるに過ぎず、どうしても恣意的な主観ありきの話になるため、歴史とともに変遷を辿ってきたものとなっているのはあえて説明するまでもないことだと思います。

 

なので、未来永劫宇宙が存在する限り不変だと思われる数学の法則などとは違い、こちらはこれからもまた何かが発見される度に「主流の説」は変わっていくものだと思いますし、そもそも現在の区分でも大いに例外や分類が難しいものなんかがちょこちょこいるわけで、そういうハッキリしないものは「何か胡散臭いな…」と思われる方もいらっしゃるかもしれないものの、とはいえ学問として認められているぐらいに、生物や進化を語る上でとても有用で、概ね誰もが納得できる合理的な基準が用意された、なるべく客観的に分類できる方法が提唱されている、というのも間違いないといえましょう。

 

まあ御託はともかく具体的に見てみますと、ちょうどウィッキ―先生の「界」記事に、とても分かりやすい「界」分類の歴史的な変遷がまとめられていました。

例によってペタリとお借りさせていただくと…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/界_(分類学)より

始まりは二界説、まだまだ微生物の存在が知られていなかったリンネさんの時代は、「動物か植物か」という幼稚園児でも分かるグループ分けがなされており……


…と思ったら、より正確には、

生物学が博物学に属していた時代には、博物学では3つの「界」が認められていた。動物界(動くもの)・植物界(動かないが成長するもの)・鉱物界(成長しないもの)である。リンネも3つの界を認めた。

…のように、非生物もこの星を構成する「界」の住人であろうという考えで、「鉱物界」なんてのも考えられていたんですね!

 

これは面白い話ですが、まぁ今は生物の分類について考えているのでそれはどうでもいいとして、そこから世紀も変わり、続いてはドイツのエルンスト・ヘッケルさんが、微生物の存在を認め、「この世には目に見えにくい、原生生物界というのもあるのじゃ」と提唱したのが三界説になります。

 

さらに世紀が下ると、「どうやら微生物の中には、我々高等生物とは全く異なる中身を持った細胞スタイル(具体的には核に膜がなく、染色体が剥き出し)のやつらもいるようだ、これを原核生物モネラ界と名付けよう」とし、原核生物モネラ)界が加わった四界説に話が広がり、更にそこから四半世紀して、

「おい、キノコは、一般の植物とは全然、生態系の中における役割から何から完全に違わないか?」

と考える人たちが増え、特に生物進化の研究が進んで栄養摂取の方法の違いが着目されていく中で、上述の通り地球規模の生態系を考えた際の「生産者・消費者・分解者」という、中学理科でも必ず習うこの概念をもとにして、「キノコなどは植物とは違う、菌と呼ばれるグループに分ける方が良いのではないか」という学説が認められるようになり、名前が挙げられているロバート・ホイッタカーさんが有名ですけど、これが現在の分類の基本線となっているともいえる、五界説が出来上がるわけですね。

 

まぁ正直、前回も書いていた通り、素人目線からすると「キノコなんて植物でいーじゃん」とは思えるものの、やはり地球上での役割や生殖様式なども特徴的なものですから、こいつらは別グループと考える方が、特に生物の進化を考える上では色々と捗る感じなわけですね。

 

そこからまた四半世紀近い時を経て、これはもうこないだドメインの話で書いていた通り、「原核生物も、よく見たら『我々に近い生体反応で生きているもの』と『全然違うもの』の2種類に分けた方がいいと思う」と余計なことを言い出す人が現れ(笑)、まぁもちろんその方が科学の議論がスムーズにいくからこそ認められている学説なわけですが、モネラ界をを真正細菌古細菌とに分けてできた六界説なんかが、僕が高校で学んだ一番馴染み深い学説である気がします。

 

その後「ドメイン」で考えることも提唱されたようですが、これは正直言うまでもなく元々大きく分けたらそう言えるものにあえて新カテゴリーを創設しただけだと思うのでともかくとして、その次の八界説・修正六界説は、提唱年を見ても分かる通り、僕が子供の頃に出された大変新しいもので…

(…って、もう四半世紀以上経ってるので、「いつまで90年代が最近だと思ってるの?今は令和ですよおじさん^^」と思われそうな話ですが(笑))

…あぁ何か僕の高校の生物の先生は本当に教え方も話してくれる内容や豆知識も素晴らしく、そういえばそんな話があるみたいなことは触れてくれていた気もしますけど、教科書で扱われる内容ではなかったので全く覚えてはいませんでした、「『八界』って2つも増えて何やねん」と思ったら、真核生物のザコ単細胞生物こと原生生物界を更に細かく分けたもののようで、アーケゾア界クロミスタ界……知らねぇーっ!!

 

幸いそれぞれ単独の日本語ウィ記事は存在していましたが……

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

…写真を見ても、どっちも知らんぞ、何じゃこいつら…と思ったら、アーケなんちゃらは「トーマス・キャバリエ=スミスが1983年に提唱し、その構成を変えながら検討が続けられた仮説的分類群であったが、20世紀末までに否定された」とあり、クロミスうんちゃらも「単系統性は疑問視されている」ということで、全然まともな学説として認められてないじゃねーか(笑)。

 

よく見たら八界説と修正六界説を提唱したのは同じキャバリエ=スミスさんで、存在が否定されてしまったアーケゾアはこっそり撤回し、申し訳程度に、以前分けられた真正細菌古細菌を再びまとめて「細菌界で十分だろ」としたようですが、その意見には同意できるものの、まぁ正直「普通の六界説でいいと思います…」としかいえない気がしますね(笑)。

 

しかし、キャバさん一押しのクロミスタ、↑のサムネ画像にもある、顕微鏡写真はそこそこ面白い生物とはいえる感じでしょうか。

 

画像の1つは「円石藻」と呼ばれるものだそうで、アイキャッチ画像に良さそうだったので、こちらの画像だけお借りしようかと思います(まぁ説明文の部分も含めたので、アイキャッチで表示されるのは中途半端な部分だけになりそうですが)。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/円石藻より

まぁ面白い生物ですけど、微生物なんて顕微鏡で拡大したら面白いに決まってますし、一応「亜界」としてクロミスタは称されていますし、「界」もキャバスミさんが提唱した「クロムアルベオラータ」界として分けられているようですけど、名前はひたすらカッコいいものの、まぁ「原生生物界でいいんちゃいます?」って気は個人的にしちゃいますね(笑)。

 

そんなわけで、そういった細かい点は若干議論されがちな部分ではありますが、まぁ概ね現在は六界説を考える人が多い形だといえましょう、という話でした。

 

せっかくなので次回以降も分類ネタをもう少し続けてみようかと思います。

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