エレガンス!

ここ最近の記事では、ふと気になったので調べてみていた巨大分子について、人工的に合成された物では何と分子量=分子の体重(分子1モル個の重さ)が2億という凄まじい大きさを誇るPG5という物体から、天然に存在する一品モノ(=より小さな構成単位が繰り返しつながったようなものではないモノ)ですと、マイトトキシンという毒素が分子量3422と、億と比べると随分小さいわけですが実際最も大きい天然分子だと、そんな話をしていました。

 

まぁそもそも本当に、書いている僕本人が「割とどうでもいいな」と思ってるしょうもなさすぎるネタではあるのですが、まぁせっかくなのでもう少し補足をしておきますと……

これに関して、「別に『ひとつながりのもの』なら、高層ビルの外壁とかの方が遥かにデカいじゃん」って話にも思えるかもしれないんですけど、まぁそれは普通に沢山の分子が寄り集まったものですから、「たった1つの分子だけで、めちゃくちゃデカい」というのとは全然違うわけですね。

 

例えばコップ1杯の水には、180ミリリットルとかの、ひとつながりになっている「水」という液体が入ってるわけですけど、この中には、以前「分子の数」とかのシリーズで見ていた通り、水の分子量は18、つまり1モル個あたり18グラムの重さになるのが水なので、180ミリリットル=180グラムの水には10モル……「1モル」というのは「約6000垓(がい)個」でしたから、このコップの中にはなんと更に単位も増えて6杼(じょ)個(6の後に0が24個つながる)もの分子が含まれているということで、「小さいものが超大量に存在しているだけ」になっています。

 

…いやまぁ、「だから何だよ、数が多くても、それで一塊の物質になるならそれはデカイじゃん」って話の極みで、1分子の大きさとか実際ホントどうでもいいんですけど(笑)、ネタ切れに苦しんでいる結果、何となく話のタネに触れてみた…って次第ですね。

 

そしてPG5も非常に大きな分子でしたが、「同じものが繰り返しつながるだけのもの」も許容するのであれば、おなじみDNAというものが多分一番長い分子で、キヌガサソウの染色体は数十億もの塩基がつながったひとつながりの分子になっていますから、これはとんでもない長さになっている……けれど、実は我々が暮らしている日常スケールだと、まさにコップ一杯の水に6杼個もの分子が含まれていた通り、ミクロのスケールではかなりの数に思えても、実際は40億塩基がつながったところで1分子の重さは1グラムにもならない雑魚の極みともいえるわけですけが(笑)(実際コップ一杯の中に水分子が6杼個あることを考えたら、チリアクタレベルのカスでしかないともいえますしね)、とはいえ数億数十億というのはとてつもない数であることも間違いなく、DNAというのはやはり長い分子には違いないのです……と、そんな話に触れたかった感じでした。

 

最近は本当に時間がなく、恐らく何となく「時間ないんだろうな」と思われているであろう中身の浅さで大変恐縮なのですが、今回もとんでもなく時間がなかったので、簡単に思いついていた脱線ちょいネタに触れてお茶を濁させていただきましょう。

 

話はこないだ見ていた、DNAを染色体構造に変化させるために働く「コンデンシン」という分子で、これは5つのタンパク質分子が組み合わさったものだという話でした。

脱線ネタに移行するために、以前もお借りしていたウィ記事画像を再度ペタリとさせていただくと…

https://ja.wikipedia.org/wiki/コンデンシンより

…こんな感じの、微妙に異なる5種類のタンパク質が組み合わさることで、コンデンシンIとコンデンシンIIという異なる複合体として機能しているようですけれども、こないだのコンデンシン記事の初稿ではその点に触れておらず、しばらくしてから推敲・追記修正したときに書き足しておいた話として、画像一番右の、「コンデンシンIDC」というものについて……

「これはどうやら線虫という生物限定で存在するものなので、無視していいでしょう…」などと追記で書いていたんですが………線虫とは一体…?!

 

なんでそんな謎の生物にしかないものがわざわざ特別扱いされているかと言いますと、実は線虫というのは世界で初めて「その生物の持つ全遺伝子DNA配列=ゲノム配列」が完全解読された生物(正確には、細菌類といった単細胞の生物では既に他に読まれていたので、より複雑な多細胞生物としては初)でして、歴史的に極めてよく研究されている、分子生物学において、いわゆる「モデル生物」と呼ばれている花形生物だから…って理由があるんですね!

 

まぁ線虫といってもいくつか種はあるわけですけど、中でも特に非常によく研究されているのが、↓の「カエノなんちゃらエレガンス」、通称「C. エレガンス」!!

ja.wikipedia.org

 

↑のウィ記事にもある通り、日本語でも英語でも「シー・エレガンス」と呼ばれることの多いこちら(ちなみにフルネーム「caenorhabditis」は、英語だと「セイノ…」という発音で呼ばれることが多いと思います)、サムネ画像にも一部表示されていますが、全身画像を説明部込みでお借りすると…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/カエノラブディティス・エレガンスより

…こんなまぁよくありそうなタイプの微生物、人によっては「ミミズみたいでキモいだけじゃん」と思われるかもしれないものの、どうやらイカれたセンスを持つことの多い生物学者には、研究材料として非常に優れている点も込みでとても神々しい存在に見えるのか、種名である「エレガンス」は、語源を検索したらまさにそのまんま、「elegant(上品・優雅な)」というエレガントが由来だそうで、こんなのがエレガントとか、同業者ながらぶっちゃけセンス悪いっすね(笑)。

 

とはいえ、やっぱり生命科学を学んでいるとこいつが分子生物学の発展に寄与した貢献度の大きさからも尊敬のまなざしで見られることが多いようで、僕は学生時代に研究室紹介イベントでいくつか研究室を訪問した際に、線虫をメインで研究されているラボで見たことがあるぐらいなんですけど、一緒に訪問していた友人は、顕微鏡で眺めて「シーエレガンス、マジでかっけぇ!」と感動していたことをよく覚えています。

 

ウィ記事によると、どうやらシーエレガンスを生命科学研究のモデル生物として採用したのは、ちょうどこないだ教科書を参考にさせていただいたばかりだったシドニー・ブレナーさんとのことで、

「……C. elegans をモデル生物とすることを提案した。当初近縁種の C. briggsae も候補にあげられていたが、ブレナーの好みで C. elegans になったとされる。」

…などという面白い情報も載っていましたね。

 

(ちなみに学名のC. elegansは、Cが属、elegansが種で、これは高校生物で教わる話として、生物の分類は小さい方から種属科目綱門界(しゅぞく・かもく・こうもんかい)と、大変リズムよく覚えられる感じになっていますけど(笑)、よく聞く「ホモ・サピエンス」などは、最後の属と種が書かれているという形になっています。)

 

…と、線虫についてもうちょい色々触れてみようと思っていたのですが、実際近隣の研究室では今でも盛んに使われていますしどの大学でも学部単位で1つか2つの研究室が飼ってると思いますけど、僕自身は一度も自分で飼ったことはないので、より詳しい説明をしてくれている解説サイトを貼るのが一番な気がしてきました。

 

こちら九大附属図書館による学習記事・Cute.Guidesに、画像や動画や実際の飼育の様子など、その他豆知識が豊富な素晴らしいまとめがあったのでこちらを参考リンクとして紹介させていただきましょう(↓)、これはウィ記事よりも素晴らしいですね…!

 

guides.lib.kyushu-u.ac.jp

 

…ちょうど、動画とかもミミズがうねるような感じでグロく感じる方がいらっしゃるかもしれないので、「興味ある方はリンク先へどうぞ」というのが一番良いかもしれませんね(↑のウィキP画像をお借りしたアイキャッチ画像も、実際の線虫は画像上部でフレームアウトする感じだったので、ちょうど良かったかもですね)。

 

ということで、今回もただ「線虫は有名でカッコイイのです(まぁ自称センスの良い僕は、そないエレガントだとも思えませんが(笑))」というだけの記事でしたが、次回はいい加減、ようやくまた染色体の方に話を戻して行こうかなと思っています。

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