失敗させてよ!

染色体の話から派生して、「DNAは簡単に目で見ることができます、具体的にはこう」などという感じで、子供科学体験教室のみならず、家庭でも簡単にできるDNA抽出の方法を、ブロッコリー・バナナ・自分の口の中の粘膜という3つの異なる材料で実施している実験を紹介していたのが前回の記事でした。

 

ごく簡単に、使う材料と、あとは結果の写真なんかをお借りしてペタッと貼っていただけで、「各ステップの詳しい中身というか仕組みについてはまた追って触れてみましょう」という感じで今回に続く…という形だったわけですけど、まぁ正直言うと、こんな実験、「家庭でできる」と言っても絶対誰もやらないし、詳しい仕組みなんて一切これっぱかしも気にならない話だと思うんですけどね(笑)。

 

「自分の専門を『つまらないものですが…』みたいに言う自虐」ってわけじゃないですけど、実際、前回も同じこと書いていましたが、「DNAを抽出して、だから?」って話でしかないですし……

…仕組みに関しても、小学生は言うに及ばず、高校生どころか、僕の場合大学の学生実習で行った時でさえ、正直ほぼ何も得られなかったというか、「目的は何で、各ステップはどういう意味があって…」などほぼ全く何も理解しておらず、何か本当に「言われたことをただこなしただけ」という感じでしかなかったです。

 

(まぁ、そうは言っても、レポートとかでは実習の手引きとかに書かれてる「目的」とかをしっかり書いて、成績や単位に問題はなかったですけど、本当に意味も理解せずただそれっぽい文字列を並べていただけというか、実験中も、好きな人の方をチラ見して「どうやってるかなぁ~」とかウワの空で他所事考えてるだけみたいな、本当、せっかくの講義や実習を何だと思ってるんだレベルのクソ野郎だった気がしますね(笑))

 

まぁでも実際こういう体験実習って普通に難しいというか、何て言うんでしょうね……結局、僕は人より何かを習得するスピードが遅いのかもしれないんですけど、教科書とか実験書に書かれてることを現実のものとしてイメージするのなんて(仮に写真があっても、大抵一部だけとか不親切ですし)実際に触ってみないと無理ですし、まぁそれに触れてみるのが体験型の実習とはいえ、一発で全てを理解するのなんて不可能に決まってるんですよね。

 

とはいえ正直、同じ班の人や周りの人はそこそこちゃんと理解してバリバリ実験してた気もしますし、その意味で僕はやっぱり実践が相当苦手なのかもしれませんが…

 

(実際、小学校の図工の授業での大掛かりな工作とか、家庭科での縫い物とか、結構みんなサクサク思い思いに進めていってるのに、僕は大抵、

「え?えっ…?何をすればいいの?失敗したら取り返し付かないし、そもそも説明適当すぎてどうすればいいか分からなすぎんだろうが先生さんよぉ(笑)、僕は指導されて伸びるタイプなんだから、もっと完全にゼロから手取り足取り全てを教えちくりぃ~」

…って感じで、グズグズ手を付けず、結局そういうのが得意で世話焼きな友達とかにほとんどやってもらってたような記憶もありますもんねぇ。

 

 そういう意味では、僕はずっと偉そうに「学校のお勉強は、幼い頃から死ぬ程よくできてました」とか事あるごとに抜かしてますけど、写生とか図工とか家庭科とか、そういう実技系は相当落ちこぼれだった気もします。


…あぁそうか、(別に今さら気付いた訳じゃないですけど)「少なくとも正しい答が存在していて、考え方も、イマドキ丁寧な解説や参考書が豊富に存在してるのみならず、質問すれば答えてくれる先生が必ず用意されてるような高校までの勉強で、分からなくなって詰む・躓くってあり得なくない…?ぶっちゃけ読んで考えれば分かるじゃん」などと、もちろんそんなこと周りにはわざわざ言いませんし、内心うっすらと思う程…ですらなかったぐらいですけど、そっか、あの時の「布切れからナップサックを作る家庭科の授業」とか、「彫刻刀で立体の木彫りを作る美術の授業」とかで僕が感じていた、

 「いや何も分からん!周りはどんどん作業してってるのに、もう今さら最初のステップを質問するわけにもいかないぞ、詰んだコレ(笑)」

…みたいな不安と焦燥感を、世の中の勉強で躓く多くの子はずーっと、下手したら10年以上思い続けてる、ってことなんですねぇ……。

 

 とはいえ僕は、勉強も別に「小学生で偏微分方程式を解く」みたいな天才・今流行りのギフテッドみたいなのではなく、数学や物理も普通に初見では全然理解できず、じっくり教わってようやく自分のものにできるという「学習型」の人間なので、「分からないことが分からない」「もう無理だから諦めた」みたいな子の気持ちも何気に非常によく分かり、任せられたらその子が詰まってるポイントを拾い上げて的確に教えられる自信みたいなのもあるんですけど……

…ちなみに、そうは言っても、これも偉そうな物言いといいますか、もちろん本人にそんなことは直接言いませんけど、学生の頃塾でバイトしていた時などの経験で、

「あぁ、どこで躓いてるかは手に取るように分かるけど、ちょっとこれはもう残された時間からは厳しいね……」

…みたいになることも多く、必ずしも「志望校、絶対合格させます」みたいな保証ができるほどのスーパー講師ではなかったですが……まぁ一応、24時間つきっきりで面倒見れるならいけたかもしれないものの、そういうわけにもいかないですしね)

 

…って、いきなり謎の自分語りが始まってしまいましたが、書きたかったのは「勉強得意・教えるのもスゴウマでサーセン(笑)」みたいなクソウザすぎる自慢ではなく(笑)、やっぱり前回紹介したDNA抽出実験みたいな「キッズ向け・体験型の実習」とかは、率直に言ってあんまり意味ない気がする……って点なのでした。

 

まぁ一応科学の面白さを啓蒙すべき立場にいるのにそんな斜に構えたこと言うのも何かアレかもしれないんですけど、本音を言わせてもらえば、

「こんなので科学に興味持つとかあり得なくない?『やってる感』の極みではないだろうか……こんなイベントに金刃時間使って参加するぐらいなら、友達と遊んでた方がナンボかマシな時間の使い方な気がする、少なくとも俺ならそーする」

…みたいな、まぁそれは僕自身の性格に基づいて偏りすぎた自分本位な考え方で、世の中にはそういう実体験で興味を持ってくれる子も絶対にいる…ってのも「まぁそれはそうなのかな」とも思えるんですけどね……

 

更に言えば、「じゃあこういった実験教室より、『もっと面白くて、もっと子供に興味持ってもらえるような催し物』を代わりに考えてよ」って話に尽きるわけで、特に対案もないのに文句だけ言うほど滑稽でみっともないこともないとは言えるわけですが……

…結局、この手の実習って、どうしても「ただやらされてる」だけになりがちなのが難しい所なんじゃないかな、などと思えます。

 

それは、時間の制限もあるし、予算・材料の制限もあるから実現が極めて困難なのは仕方ないとはいえ、少なくとも僕は実際研究の道を選んだぐらいにそこそこ興味も強い少年だったはずなんですが、そんな僕ですら体験型実習は全然やってみたいと思えなかったし、実際の学生実習でもほぼ何一つ身になるものが得られた記憶がないというのは、ひとえに、

「気が済むまで、自分のペースで無限回のトライアンドエラーさせてくれないかな?」

ってのが許されていないことが大きな要因としてある気がします。

(まぁ自分のゴミみたいな学習態度を棚に上げてはいますが(笑)。)

 

例えば、前回のブロッコリーの実験(↓)とバナナの実験(↓↓)の途中のステップから画像をまたお借りしますと…

 

kdc.csj.jp

 

lab-brains.as-1.co.jp

 

https://kdc.csj.jp/learning/item_812.htmlより

 

https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2021/10/36672/より

例えば2枚目のバナナのDNA液を混ぜた後、ステップ5で「※ぜったいに強くかきまぜないでください!」と、強調して脅されているわけですけど、これは、

「強くかき混ぜたら、巨大な染色体DNAは、途中でブチっと切れてしまいがちだから」

…というのがその理由になるわけですが、(まぁこの記事には丁寧にその理由や解説も下の方で載ってはいましたけど)実際の実習ではこういう「なんでダメなの?」という疑問がそのままになってることも多いですし、それ以上にそう……

「いや、そんな脅してくるぐらいならさ、せっかくなら失敗したらどうなるかもやらせてよ!

と思えるといいますか、何というか「理屈」を知った上で、「じゃあ失敗したら実際にどうなるか」みたいな「全てのパターン」も自分の目で経験したくなってしまうんですよね。

 

また、その「激しくかき混ぜたらDNAが切断されてしまう」という点も、ちょうどブロッコリーの方の操作4の注意書きにもありましたけど、これもこれで、

「は?今までスリ鉢でゴリゴリとひたすら破壊の限りを尽くしていたというのに、今さら『静かに混ぜないと、DNAが切れます』とか、何言うとん?」

みたいな「納得いかなさ」を感じるなど、何か色んな所で「う~ん…」って感じてしまう所が多い気がしてしまうのです。

 

(まぁそういうのは指導者に質問すればいいっちゃいいんですけど、自分の感じた細かい疑問の全てに答えてもらう時間なんてないことも多いですしね…

 前者の「なぜ失敗につながるのか?」という疑問含め、あまりにも気になるポイントが多すぎて「もうえぇわ、そもそも調べようがないし」ってなりがちなのが、この手の実習の難しさの一端といえましょう。

…とはいえ今はインターネットの発達のおかげで、感じた疑問もすぐ解決できるかもしれないですけどね…!)

 

結局、改めてまとめますと、「失敗が許されないプレッシャー」みたいなのが(さらには、「なぜそうすると失敗になるのかも、正味よぉ分からん」的に感じることが多い点含め)、この手の体験授業を面白くなくさせている……というと言い方が悪いですけど、何か「やらされてる」「何か満足感より不満の方が大きかった」みたいなネガティブ感情ににつながってしまう要因かな…と、個人的には思えるかもしれません。

 

…と、唐突に「いきなりどうした?(笑)」と思える体験実習教室への不平不満をこぼしちゃいましたが、別にそんな感じで僕は自ら参加したこともなかったですし、嫌な思い出とかも特にないんですけど(学生実習も、持ち前の「レポートとかでそれっぽいことを書くハッタリ力(りょく)」とかで、成績優秀でしたしね(笑))…

まぁ、勝手に想定した「実験とかに夢見てワクワク参加してくるキッズ」に「面白くなかったらごめんな」と先手謝罪を投げる、さらには「特に興味もない大人の方」を想定して「普通に何かおもんない実験っすよねこんなの(笑)」と理解者気取りをするというか予防線を張るというか、そんなことをまとめてみた形でした(笑)。

 

今回も各ステップの解説には結局入らなかった(というかよく見たらバナナの記事に丁寧な原理の解説もありましたし(笑))ですが、まぁその解説も含め、昔の僕なら感じていたであろう、ちょうど↑で書いていた「こんだけブロッコリーをゴリゴリ削りまくっておいて、今さら『DNA切断の心配』とか何でや!ふざけているのか!!」という点含め、適宜補足をしていこうかなと思っています。

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