真の最強消毒薬はこれだった

殺菌消毒についての脱線ネタに触れているここ最近のシリーズですが、前回は抗菌スペクトルの表を見ることで、「消毒用エタノールは素晴らしい、神のような液体です」などと書いていました。

 

参考にさせていただいた福岡県薬剤師会の抗菌スペクトル表を再度お借りさせていただくと……

 

https://www.fpa.or.jp/library/old/infomation/shoudokuyaku/ichiran/syoudokuyakuichiran.pdfより


そんな神の水・エタノールでも、「細菌芽胞」といういわば冬眠状態に入って防御力を上げた状態の菌には「×:無効」なのですが、まさにWikipedia芽胞記事で明記されており、上記の表でもハッキリ表示されている通り、消毒薬として汎用される物質の中で、唯一「芽胞」をぶっ壊すことのできる分子が存在したんですね。 

 

それがズバリ、製品名グルタラールで、具体的に物質としては何かと思ったら、これはグルタルアルデヒドのことだったようです。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/グルタルアルデヒドより

ホルムアルデヒドの水溶液をホルマリンと呼ぶように、グルタルアルデヒドの水溶液をグルタラールと呼ぶとのことで、これは単純に「水で薄めたグルタルアルデヒド」のことを指す形だったんですね。

 

(ちなみに、アルコールの一般名というか化学命名法における接尾辞は「オール」であるのと同様(メタン (methan)→メタノール (methanol)、エタン→エタノールなど)、アルデヒド「アール」となりますから、炭素5つ=ペンタンで、「アールが2つ=ジ」ということで、一般名としては「1,5-ペンタンジアール」となるわけですが、この手の昔から使われていた薬品は、慣用名で呼ぶ方がより一般的だといえましょう。)

 

「グルタルアルデヒド」なら聞き馴染みがあって、「あれ、グルタルアルデヒドって、組織の固定薬じゃなかった?」と思ったらまさにその通りだったのですが、要は極めて強い化学変性作用があるため、微生物も完全にお命ちょうだいできるレベルのものであり、消毒薬としても強い効果があるという話だったようです。

 

その抗菌スペクトルは、驚きにして唯一の、オール有効、全て「●」!

(表の、下から3つ目になります。)

 

当たり前ですが非常に強力な化学特性があることから人体には使用不可であるため、上記スペクトル表では「適用部位」の三か所に「×」があるものの、効果のある対象微生物はあまねく全てが「●」……広く知られている病原性を有するあらゆる物質を完全に滅するということで、特徴欄の説明の一言目が「最強の消毒薬。」というのもカッコいいですねぇ~。

 

(なお、もう一つ表の評価右端に「△」がありますが、これは対象物質の「排泄物(便・尿・痰等)」への評価であり、グルタラールは普通のシャバシャバした液体ですから、糞便との相性はそこまで良くなく、逆に排泄物に最も効果的なのは、表の一番下にある「クレゾール石鹸液」で、こちらは「石鹸液」だけあって泡状のものを吹きかけて使うことが多いため、糞便に付着して消毒をするのにより適切だという感じなわけですね。

 とはいえ、液体の状態として最適ではないだけで、消毒殺菌効果はもちろんある(なので、「×」ではない)んだと思います。)

 

ウィ記事よりももうちょい消毒薬に特化した記事を検索して出てきた、健栄製薬のこちらの特徴解説ページにある通り(↓)…

 

www.kenei-pharm.com

 

…基本的には病院なんかで、内視鏡の消毒薬として使われることが多いものということのようですね。

 

当たり前ですが、内視鏡という内臓に直接触れることもある器具は本当に微生物1匹も生き残してはいけないレベルでの清潔性が要求されますから、そういう完全を求める現場での使用にうってつけだという話だといえましょう。

 

ただし、シックハウス症候群なんかでも「アルデヒド」というのがよく有害物質だと聞くと思いますが、こちらも揮発性が強く、取り扱いには注意を要するものといえるになっています。

 

↑の記事では、利用の際に吸引してしまわないように専用のマスクの画像まで紹介されていましたけど、鼻や口の粘膜のみならず、目なんかもグルタルアルデヒドの蒸気に触れると深刻なダメージを受けますから換気は極めて大事で、強力なだけに取り扱いも大変な薬なわけですね。

 

ただし、タンパク質以外の無機物へのダメージはほとんどないようで、その意味でも金属製の手術器具やその他プラスチックのトレーなんかにも問題なく漬け置き消毒が可能ということで、人以外のモノに対しては本当に優れものだといえるように思います。

 

もちろん、家庭用としてはオーバースペックの極みなのでここまでのものを必要とする場面なんてあるわけないんですけど、果たして個人でこの最強消毒薬は購入できるのでしょうか…?

 

「グルタラール 市販」で検索したら、トップには我らがモノタロウのページがヒットしてきました。

 

早速見てみると…

 

https://www.monotaro.com/s/q-グルタラール/より


「グルタラール」の検索結果なのになぜかグルタラールは全然含まないハイターなどの除菌・漂白剤なんかもヒットしてきましたけど、右端・4番目にちゃんといましたね、我らがグルタルアルデヒドの水溶液が!

 

わずか100 mL(コップ半分程度)でお値段・税込み5万4890円とか高くてワロてまいましたが(まぁ試薬ならまあまあそんなもんとはいえ)、こちらのメルク・ミリポアの製品個別ページを開いてみると……

 

https://www.monotaro.com/g/04201753/?t.q=グルタラールより

 

…やはり、注意書きとして、「※個人宅(戸建住宅・集合住宅)様への配送は行っておりません。」ってありますねぇ。

 

まぁ、別に全くこれっぱかしも欲しいなんて思いませんし、たとえ50円で売られてたとしてもそんな危ねぇブツ僕は買いませんけど(笑)、個人が気軽に入手するわけにはいかないあたり、「最強の薬」っぽい気がしてやはりカッコいいともいえるでしょうか。

 

改めて、「最強の消毒薬」ということは、人間にも大ダメージを与えるということであり、「薬と毒は、紙一重」ということの証左なのかもしれませんね。

 

その点やっぱり、皮膚につけすぎると多少カサカサになったり、飲んで酔っ払って他人に迷惑をかけるなどがあるとはいえ、優れた抗菌力を有しながら人体にはほとんど無害であるエタノールは大変素晴らしいと、まぁ別にこないだからそんなにエタノールの肩を持つ意味も我ながら分かりませんが(笑)、総合ナンバーワンはやっぱりエタノールやろなぁ、と思えてなりません。

 

…といった所で、本当はエタノールについて最後もう一脱線する予定だったのですが、その前に目に付いたグルタラールで一記事こさえることに成功したので、そちらはまた次回に持ち越しとさせていただきましょう。

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