女と、男と、第3の性があったらどうする…?

前回前々回と、ウェブ上で漫画を公開されている模造クリスタルさん・詩野うらさんを取り上げ、さらにその前は、(特に最近)ジェンダーに関する問題提起的な内容を分かりやすく面白い形で漫画にしてくださっている瀧波ユカリさんを取り上げましたが、今回はまさにその合わせ技で、ウェブ上で公開(現在連載中)されている社会派な大傑作をご紹介させていただきましょう!

僕が初めて拝見させていただいたのは去年の中ごろ、ツイッターで話題になっていたときだったように記憶していますが、連載自体は確かもう3年近く前から続けられているこちら、いそろくさんによる『妊娠可能な男 ニンカオ』です!!

reiwa04.hateblo.jp
元々はツイッターやnoteで掲載されていたように記憶していますが、現在は↑のリンクカードで貼ったはてなブログの方で公開してくださっており(…と思ったら、ツイッターの方も、まだ普通に一連のツリーとしてありましたね。環境によりますが、ツイッターの方がもしかしたら読みやすいかもしれないので、そちらのリンクも↓に貼らせていただきましょう)、どなたも全話閲覧可能ですね(今月頭に、最新44話が更新されたばかり)。

mobile.twitter.com

(あ、完全に余計なお世話かとも思いますが、いそろくさんのアップしてらっしゃる公式のタイトル表記は「妊娠可能な男 -ニンカオ-」なんですけど、これをそのまま検索すると「半角スペース・半角のマイナス・ニンカオ」という形になっていることから「“ニンカオ”という語の除外検索」になってしまい、この作品が一切ヒットしなくなってしまうため、マイナス記号を全角のダッシュにするとか、半角スペースを取り除くとか(やっぱり半角マイナスが検索する上では危うい存在なので、多分前者の方が良さそうに思いますが…)された方が、検索のしやすさという面で良いのではないかな、と思いました。

※追記:いそろくさんに記事をご覧いただけて、タイトルがマイナス記号なしに修正されました。差し出がましい話だったかもですが、お役に立てたなら幸いです…!)


これはマジで凄い、あまりにも凄すぎる作品ですよ!

深刻なネタバレにならない程度のざっくりしたあらすじだけ書きますと、研究機関の実験動物(ラット)からもたらされたウイルス(なのか細菌なのかは明確にはされてなかった記憶がありますが、まぁそんなのはどっちでもいいでしょう)の力で、

「感染した女性には致死性の効果が、一方、男性には子宮が発生し、まさかの『妊娠可能な男』に生まれ変わる!」
(『妊娠可能な男』を略して、作中ではニンカオと呼ばれています)

…という、最早設定だけでクッソ面白そうすぎワロタとしかいえない、実際に読んでみても本当にクッソ面白すぎる、読み応え抜群・本格的な意欲作なのです。


僕は一応生命科学を専門としてますけど、そんな僕の目から見ても普通に「説得力、あります!」という設定で、物凄く丁寧に緻密に考えられている世界観であることが窺えますし、全国規模のウイルス感染というのを、コロナ禍前に既に描かれていたというのも大変驚嘆に値するのですが……

その点よりもやはり、設定倒れではない、話の中身の密度……それぞれの登場人物の思考や行動などが、善悪を超越して、本当に容赦ないまでにリアル・現実的であるその点が、あまりにも凄まじいのです。

いそろくさんの社会や世界や人間を見る目が、いかに鋭いかが作品を通してハッキリと伝わってくる感じですね。

どのように着地するかはまだ分かりませんが、既にもう表彰に値するレベルですし、この作品は何らかの権威ある賞をぜひ受賞して欲しいなぁ…とそう思える、大人が読んでも楽しめる傑作に思えてなりません。


一方、漫画としての面白さの他に、この作品はやはりジェンダー平等的な話への問題提起にもなっているように見受けられるわけですが、こないだの記事でも書いていた通り、僕はその辺の話には完全に疎く無頓着で、作者のいそろくさんが感じ取って欲しいであろう所までは多分あんまり受け取れていないのではないかなぁ…という気はしてしまうかもしれません。

僕は政治とかにも本当に全く興味のないチャランポランなカスなわけですけど、どのぐらいチャラポラしてるかというと、

「経験として、子供とかぜひ産んでみてぇから、自分だったらマジでニンカオになってみてぇぜ~」

…と思えるぐらい、何も考えていない、小学生レベルなその場のノリで生きている感じですね(笑)。


まぁこないだも書きましたが、あえて言い訳をすると、やっぱり自分自身は性別で不当に他人を差別するという意識がマジで1ミリもないですし、これまでの人生でハラスメントとかそういう差別意識みたいなのが強い人だなぁ…と思える方にも幸いにして一人も巡り会ったことがないため、どうしてもどこか当事者意識がもてないといいますか、例えば…

「アフガン・タリバンの問題とか、現在進行形でめちゃくちゃ深刻な状態になっていることはニュースなどでうっすら見聞きはするんだけれども、どうしても自分のこととして、そこまで真剣に悩んだり何か具体的な活動をする所までには至らない…」
(あくまで例で、アフガンとジェンダーの問題を同列に語っているわけではないという点にご注意いただければと思いますが…)

…という、結局「自分のことで精一杯なカス」と罵られても一切反論はできないんですけれども、そうはいってもやはり世の中全ての、森羅万象あらゆる問題に目を向けていたらあまりにも大変すぎて、中々そうは生きていけないわけで……というのも正直な所といえる、まぁ詰まる所やっぱり「自分は嫌な思いしてないから」というエゴに帰着する話になっちゃうんですけどね。


ただこれもこないだ書いた通り(前回のビーガンの話にも通じますかね)、自分自身の正義や良心に従って行動されている方を茶化したりバカにしたりだけは、僕は絶対にしたくないとも思っています。

また、更にいえば、僕自身がジェンダーの話をもっともっと学んで、世界がよりいい形になっていくよう尽力していきたい…とまでは思えなくとも、「あっ、これは男の視点からは気付けなかった点だな」とか「なるほど、こういう悩み苦しみもあるのか。自分はそういう部分に加担してしまわないように、絶対に気を付けるようにしよう」などといった具合に、自分にできる範囲での行動にはもちろん反映させたいと思えますし(「チャランポランなりに」ですが)この作品からはそういう面でも少なからず良い影響を与えていただけたのではないかな、などと感じる次第ですね。


「何が『自分は嫌な思いしてない』だ、まだまだ解消すべき差別にまみれたこの現代社会というコミュニティに自分自身属していながら積極的に動こうとしない傍観者は、加害者であるも同然だ!」

…といわれたら(いやまぁそんなこと思う方はいないかもしれませんが(笑))、本当に「すみません…」としか返せないわけですが、心の中では間違いなく不当な差別のない世界を願っておりますし(一応、仮に自分にデメリットがあっても、客観的に見て「それは理不尽だ」と思えるものは是正されることを望む性格ではある(あえて自ら積極的に活動はしないまでも)と自認しています)、無理のない範囲であれば微力ながら協力していきたいと思っておりますので、どうか許してつかぁさい…と思わずにはおれません……。

多分、本作のようなレベルの高いものに目を通すことで、自分でも意識していないレベルで、少しずつその辺の問題にも考えが及ぶようになってきているんじゃないかな、とも感じます(無理やりすぎる結論な気もしますが)。


改めまして今回のニンカオは、ジェンダー的視点の解像度の高さもある素晴らしい作品ですが、僕個人的には、その辺の難しい話が不得手なため、期待されている読み込みにまで届いていない面も恐らくあれど、純粋に漫画として本当に面白いと感じられる作品だと思います…というのが一番の感想ですね。

続きを楽しみに待たせていただきたく存じ上げておりますとともに、書籍化やメディアミックスなどで、より多くの方の目に留まることを願わずにはおれません!

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