裁判で嘘をついた思い出

結構ネタは溜まっていたようであんまりない気もしてきましたが、今回は、こないだ初サブウェイで遭遇したトラブル(というほどのトラブルでもなかったですけど)について書いたついでに、何か異国の地でのトラブルはなかったかなと思い出してみた所、1つネタが浮かんだのでそちらに触れてみるといたしましょう。


話すと多少長くなりますが、まず登場人物として、こちらへ来てから…というか日本時代を含めても今までで一番ぐらいに仲良くなったといえる、同じ研究室に入ってきた元同僚の中国人について触れておこうと思います。

既にもう大分前に異動してしまい、今は別の、「アメリカで知ってる都市を挙げてみて」っていわれたら恐らく5番目ぐらいまでには挙がってくる所(またそれかよ(笑))で別の仕事をしていますが、今でも頻繁にメールでやり取りするぐらい、意外と友達の少ない僕にしては珍しい、非常に深い付き合いになっている親友といえましょう。

このブログでは、引っ越すときにホテルの石鹸やらヨガマットやらをくれたという話でだけ出したことがあった気がしますが、そんなつまらんもの以外にもとにかく本当に色々良くしてくれて、モノだけでなく、とにかく色んなことを教えてくれたり食べさせてくれたり体験させてくれたりした、かけがえのない友人ですね。


ちなみに、あまりにも仲が良いので、既に結婚されている夫婦なんですが、夫婦両方ともと激クソ仲がいいです。

「ん?同僚の妻と仲良くなるって、そんなことある?」と思われるかもしれませんが、流れ的には実は同僚だったのは女性の方で、奥さんを介して旦那さんの方ともクッソ仲良くなった、という流れになる形です。


まぁ中国人と聞くと、割と多くの方にとって今でもあんまりいい印象がないことも多いかもしれませんが(若い人より、年配の方のほうが中国人のイメージはあんまり良くないかもしれませんね)、世界一の人口を誇る中国人をひとくちで語ることなど出来るわけもなく、「日本人は親切」といっても、やっぱり中にはそんなに親切ではない人もいっぱいいるのと同じように、素晴らしい人残念な人・優秀な人そうでない人、とにかく上から下まで色んな人がいるのがヤッコさん方で(まぁそんなの中国人に限らず、世界中、全ての人間がそうですけどね)、この夫婦は(まぁ身内褒めというか友人褒めも何か自慢みたくてあんまり好きじゃないんですが)掛け値なしに素晴らしすぎるタイプの人たちといえる感じです。


…まぁ、その夫婦についてはまたいつか別の機会でエピソードなどを語るとして、今回は彼らとともに遭遇したトラブルについて触れてみるとしましょう。

上述の通り彼らは僕の今いる所から異動してしまったんですけど、実は、こちらに家をもっていて、長期休みとかはこちらに家の管理をしがてら戻ってくることもあったのです(今ではそれも手離してしまい、もうこちらへ来る必須の用事もあまりなく、最近は直接会ってもいませんが)。


で、舞台はある年の独立記念日(ジュライ・フォース、いわゆる7月4日のインディペンデス・デイ、アメリカ夏の一番大きな祝日ですね)、いつものごとくこちらへ夫婦揃って、しかもその時は同僚のお母さんまで一緒に遊びに来たときのことでした。

「せっかく戻って来たし、チェリーピッキング(だかベリーピッキングだか忘れましたが、イチゴ狩り的なやつですね)に行くよ!一緒に行こう!!」

…と誘われて(夫婦と、その親がいる中に赤の他人が混じるなんてあり得る?と思われるかもしれませんが、それぐらいにマジで仲が良かった、ってことですね)、臆面もなくご一緒させていただくことになりました。


事件はそこで起こったのです…!!

まぁ事件ではなく、ぶっちゃけ事故なんですが、割と見晴らしのいいT字路で、我々の車はT字の下棒の部分で左折をしようとしていた側という場面なんですけど、後部座席に座っていた僕は、曲がり始める直前に「あっ、右から車来てるよ、やばくない?」と思ったのですが、咄嗟に声は出ずそのまま曲がってしまい、「え、大丈夫か…?」と思っていたら、数秒後、案の定、ドーン!……

幸いそこまで激しいものではなく、後部座席の僕を含め一切のケガもなく、車も自走可能ではありましたが、後部のガラスはバリバリ、トランクやドアも当然ひん曲がっており、このままのドライブは不可能…。

相手はいかにもアメリカンなでかくてごついランドクルーザーみたいな車でほぼ無傷に見えましたが、それでも事故は事故、警察を呼び、事故処理をすることとなりました。

 

ちなみに、その舞台というか道路は、↓のニュージーランドのTV CMがマジであまりにもクッソそっくりで、まさにこれとほぼ全く同じ状況・見た目の土地で事故った感じですね。

www.youtube.com
幸い相手の車がここまでスピードを出していなかったので無傷でしたけど、それにつけてもこのCMの出来はあまりにも良すぎるでしょ、と思える、本当に心に響く素晴らしい啓蒙コマーシャルですね。


で、T字路反対側はキャンプ場みたいな感じだったので、やってきたポリスマン(ポパイに似た感じの、いかにもアメリカンな警官でした。ポパイほどムキムキはしておらず、むしろヒョロっと長いタイプのアメリカマンでしたが、制服を着たら典型的なよくいるタイプの白人アメリカ警官って感じですね。俳優さんとか知らないので上手く例えられませんが、ちょうどポパイで検索してきたら出てきたこちらの実写版ポパイ映画の方(↓)が、そっくりでしょうか)が色々聞き込みを行い、車はレッカーを依頼しましたが、もうチェリー場は目と鼻の先だったこともあり、なぜかそのままさくらんぼ狩りは続行で、「事故ったのに思いの外明るいな」と思えるぐらい、みんなでチェリーやらベリーやらを楽しみました。

f:id:hit-us_con-cats:20220109064115p:plain

https://www.allcinema.net/cinema/21647より

…でも現場から徒歩で行ける距離ではなかったので、何かワゴン車っぽいのに乗ってチェリー場まで移動した記憶がありますけど、あれ警察の車だったのかな?

いや流石に警察がそんなことしてくれるわけないか、多分レッカー車のサービス業者が乗せてってくれたのかな…?

いずれにせよ、数時間チェリーを貪り、帰りは、同じ研究室の学生に電話をして「事故ったから迎えにきてくり~」と依頼して、みんなで家に戻った感じですね。

(本人たちは、その後レンタカーを借りて職場のある州に戻ったはずですが、その辺までは見ていないので詳細は不明です。)


で、話はその事故ですけど、運転手の旦那さん(似ている有名人は浮かぶのに、名前が分からない…!まぁ、微妙に似てないけど、優しそうな笑顔が多少似ている、V6の井ノ原さんにちなみ、イノッチと呼ぶようにしましょう。本人は、180 cm台後半で、常にめっっちゃ優しい笑顔の、スーパーナイスガイです)は「絶対に車は見えなかった。相手が猛スピードで突っ込んできたんだと思う」と主張して譲らなかったんですが、まぁぶっちゃけ僕は明らかに車がめっちゃ接近してたのが見えてて、もうちょい余裕があるか日本語環境だったら即座に声が出て止めてたと思いますし、実際の目撃証言からもそれは無理があるんですけど、イノッチ的にはどうしても納得がいかない様子……。


その後、事故からしばらく(数ヶ月)して、「事故見分の異議申し立てで、裁判をすることになったから、Konにも証人として話をしてもらっていいかな?」ということになり、まさかの、アメリカでの裁判初体験をすることになったのです。

まぁ、奥さんの方には「いや本当は車が来てるの、見えてたんだけどね」と伝えてましたが、「まぁでもイノッチ本人が車は見えなかったっていってるし、納得してないみたいだから、良ければ付き合ってちょんまげ」と頼まれたので、大の親友ですしそれが多少力になるならばと、協力させてもらった感じですね。


裁判は当然事故現場の管轄域ということで、彼らの職場ではなく僕の今いる所の地方裁判所的なもので行われたので、裁判の前に、またまた夫婦そろってこちらへ来て、一緒に車で向かったという感じですね。

(既に新しい車を買っていましたが、夫婦ともども(特に奥さんですが)「前の車はマツダのプレミアカー(だか、そういう限定版、もう買えないとのこと)で、アメリカに来て初めて買った車だったし性能も凄く良くって愛着があったから、悲しいな。この新しいフォード車は、あのマツダのより数段劣るよ」といっていました。
 僕は男にしては珍しく車には1ミリも興味がないので分かりませんが…(乗せてもらっても、違いは全く分かりませんでしたね(笑) むしろ、新車のフォードの方が乗り心地良かったような(笑))、その思い出のマツダカーはこんな感じの深緑の車でした↓

f:id:hit-us_con-cats:20220109064143p:plain

https://www.mycar-life.com/article/2019/05/25/20181.htmlより

(もちろん「似てる」だけで、グレードとかは名前からも見た目からも僕には全く分かりませんし、実際は別の車だと思いますけど、見た目的にはちょうどこれと同じぐらいで、個人的には正直「そんなにいいの?」と感じられるぐらいでしたね)

…あぁ、どうしても思い出の車で、廃車というか引き取ってもらうのが心惜しいということで、しばらくの間、僕の家の車庫に後部がつぶれたこの車がずっと置いてあるという事態になっていましたね。
 最終的に、ルームメイトの車を置く場所がない状況になり、流石にもう「置いておけない」となり、泣く泣く手離していましたが…)


車はともかく、裁判所に行くと、僕はてっきり事故った車の相手方と戦うものだと思っていたら、まさかの、異議申し立てで呼び出されたのは、例の警官ポパイマンでした。

「へぇ~、そこで戦うんだ」と面白かったですが、裁判は他の人たちの事件が順番に公開で続々進み、いよいよ我々の番!


イノッチは、紙とペンを用意してきて、(相手の車が見えなかったと仮定した場合の)距離と時間とから想定速度を計算して、数字を書いて説明していましたが(「私は車が見えなかったので、あの道路において○秒の間にこれだけの距離を詰めたことになる、従って相手の車は○○mphもの速度で突っ込んできたことになり、これは避けようがない」的な答弁論旨)、それを聞いたポパイおっちゃんは苦笑いしながら「Impossible...」と呆れ返るようにつぶやき捨てたのが非常に印象に残っています(まさに、「あり得ねーよ(笑)」という感じで)。


そしてイノッチの異議申し立てが終わり、第三者として僕が呼ばれましたが、呼ばれて答弁台に立った直後、裁判官からの決まり文句的なもの(実際は違うと思いますが、例え話として)「今から行う証言に虚偽や誤りがないことを、右手を上げてご自身の名前とともに誓ってください」みたいな言い渡しがまるで理解できず、「??Sorry…?」とキョロキョロまごまごして一向に進行しない状況が続き、側にいたイノッチが分かりやすく「見たことをいう約束ね」と助け舟を出してくれて、待ってる人や公聴席が「おいおいコイツ大丈夫か…?」的な感じでどよめいてましたけど、気にせず「あーOKOK、シュアオフコース」的な感じで軽くいなし、裁判長からの、

「あなたは後部座席に乗っていたが、イノッチ氏が答弁でおっしゃった通り、相手の車が近付いてくるのは見えなかったということですね?」

…という質問に「Yes! Yes!!」と答えたものですから、「…え?? 見えたの?」となり(注:これ、英語の超基本ネタですけど、否定疑問文にYesで答えると、日本語の場合だと「はい、見えなかった」となるように思えるのに、実際の英語だと、Yesは肯定文にしか使われないので「Yes、見えた」(日本語にするなら、「いいえ、見えた」になってしまうという罠なんですね!)、またも異様などよめきにパッとその英文法誤解ネタに気付いた僕は「Oh, sorry!! No, No, I didn't see!!」みたいな、「こんな言うことのコロコロ変わるどころか質問すら理解してないようやつの言葉、何も信用できんやんけ!(笑)」的な空気にはなったものの、一応僕からの証言も加わり、公聴が終わった、って形になった感じですね。


結局、結果としては、まぁ僕のクッソ頼りにならない答弁の(ネガティブな)寄与がどれだけあったかはともかく(そもそも、同乗してたやつの意見にどれほど信憑性があるのか分かりませんしね。ただ一応、奥さんは身内なので第三者意見としては使えないので、Konにお願いしたい、って話でした)、裁判長は極めて冷静に「ふむ、イノッチ氏の意見は、やはり常識的に考えてやや無理があるから、通知通りコレコレの罰金を支払うこと。よろしいね?」となり(「それは君の自由だけど、これ以上異議申し立てしても、恐らく何も変わらないと思うよ」的なことも、ニヤニヤというか優しく微笑みかける感じでいわれていたような記憶があります)、イノッチも「了解、オケマル」となった感じでした。


まぁイノッチ氏も優しいだけでなく普通に極めて合理的で冷静な男なのでそれ以上は食い下がらず、判決後も、「自分の中で思ってたことはちゃんとアピールできたから、後悔が残らず、それだけでも本当に良かったよ」と前向きでした。


…ってな感じで、何気に僕はしれっと、アメリカの裁判で、最初に宣誓をしておきながらあからさまな嘘をついてしまったわけですけど、まぁ相手方は事故の被害者ではなかったし、いうなれば確かに「(事故を抑えられる十分な距離のある状況では)車を見ていなかった」といえるのでセーフ……もし虚偽の証言がアレで詰められたとしたら「スマン、聞かれてることがよく理解できんかった、メンゴメンゴ(テヘペロー)」でどうにかなるっしょ!…と、およそ適当極まりない考えで、遵法意識の欠片もない姿勢すぎてこんなのをブログで世に向けて書くのは良くないかもしれませんけど(笑)、まぁ、時と場合に応じて・友達を助けるためなら嘘をつくことも辞さない、優しいヤツなんだコイツは……とポジティブに捻じ曲げて受け取っていただければ幸いに存じます。

いずれにせよ、事故は本当に危なかったしプレミアムカーが壊れるなど被害もあったものの、アメリカの裁判とか滅多にできるものでもない経験もさせてもらえて、改めてイノッチ夫婦には本当に感謝しかない感じですね。

皆様も、どうか交通事故にだけは、本当に心から気をつけてお過ごしください。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村