これまた身近な物質のオンパレード!サランってどういう意味よ?!

1つとか2つの分子がツラツラ~っとつながった分かりやすい高分子を見てみようシリーズ、前回はプラスチック四天王(PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、PS:ポリスチレン、PET:ペットボトル)を見ていましたが、残るザコを見ていきましょう。

…と、日常の容器とかではほぼ見かけないクソザコでも、その他の用途ではめちゃんこ有能な、ザコ呼びなどとんでもない素晴らしいマテリアル様から、まずはご登場!

DIYをする方なんかですと恐らく非常に親しみもあり、また、その有用さもご存知かと思われる、「塩ビ」という愛称でおなじみ、その名もポリ塩化ビニル

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリ塩化ビニルより

リサイクルマークみたいな矢印三角形で製品に刻印されている樹脂識別コード03番で、PVCという略号でも知られていますね。

こちらは、上記Wikipediaの画像にもある通り…というか名前の通り、構成分子(モノマー)には塩素・Clが含まれています。

以前一度触れていた通り、エチレンの腕が1本フリーになったものは「ビニル基」と呼ばれますから、まさに「塩化ビニル」がつながった「ポリマー」なんですね(命名ルールにのっとると、クロロエチレン呼びの方が正式ですが)。

こちら、塩ビといえば恐らく多くの方が思い浮かべるイメージは、シート(板)で売られている、透明のへにょへにょの材質のアレではないかと思いますが、Amazonでも当然、便利そうなのが売られていますね。

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https://www.amazon.co.jp/Clear-inches-Thickness-Amakagu-ITA-10/dp/B08XN6K5CB/より

お好きなサイズにカット可能、へにょへにょというか柔らかい素材で、形(曲げ・伸ばし)もある程度自由が利きますから、日曜大工の強い味方といえましょう。

しかも、塩ビというのは、ちょうどポリスチレンが泡を混ぜることで発泡スチロールになるのと同様、混ぜ物を加えることで色々な硬度・材質のものに変貌を遂げるタイプのもので(まぁどの高分子化合物も基本的にそうですけどね)、へにょへにょ透明シートに限らず、Wikipediaにも画像がある通り…

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリ塩化ビニルより

割としっかりした作りで水道・排水・通気パイプとか、逆にもっと柔軟な形に加工して使われるビニールハウスのビニールとか、他にも衣類や壁紙やインテリアといったオシャレ用途や、さらには小学生以降誰しもがお世話になってる消しゴムなんかも塩ビが主成分のものが多く、まさに万能選手といえましょう。

ただ、分子内に塩素が含まれているせいで、焼却したときにダイオキシンが発生するだの、環境ホルモンとして人体に悪影響だの、90年代以降、度々問題視されてきた歴史もある物質といえますね。

個人的には別に、たかが塩素だし、みんな塩をうめぇうめぇって食べてるわけだし、まぁ問題ないんちゃう?って気もしますが(まぁそれも暴論ですが(笑))、車の排気ガスの方がよっぽど…というのは間違いないと思うので、まま、そんな目くじら立てなくてもいいんじゃないかな、なんて思います(個人の感想)。

MONOで有名なトンボ鉛筆も、大丈夫だといっていますしね(↓)。

www.tombow.com


続いて、塩素を含む高分子化合物といえば、これまた身近で、高校化学でも触れる物質としてもう1つありますね。

それが、塩ビからさらに塩素を1つ足したやつ、特に同じ炭素に塩素がついた方(1,1,-ジクロロエチレン)で、この、エチレンの両方の手がHじゃなくフリーになったもの(CH2=C<)をビニリデン基と呼ぶことから、塩化ビニリデンと呼ばれるモノマーがつながったもの、その名もポリ塩化ビニリデン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリ塩化ビニリデンより

まぁ名前は長ったらしいですが、「塩ビ」はさっきの塩ビなのでそう略すわけにもいかず、こちらはpolyvinylidene chlorideの頭文字を取ってPVDCと呼ばれることが多い気がします。

しかし現実的には、PVDCよりもっと身近で誰でも知ってる名前が存在するのです。

それがご存知、サランラップ

まぁサランラップは日本では旭化成の商標で、競合製品はその名前が使えずクレラップとかの名前になってますが、こちらもペットボトル同様、小学生含めて認知度100%の物質といえましょう。

当然、塩ビよりさらに塩素が多い分子なので、こちらも環境問題で槍玉にも挙げられてた気がしますが、あまりにも日常生活で便利すぎる逸品のため、こちらの害は黙殺されていた印象もありますね。

個人的には、塩ビですら別に問題ないと思うので、サランラップも別にヨユーでしょう。


ちなみに、「サラン」は何か化学的な物質名かと思いきや、まさかの、開発者2名の奥さんの名前、サラ(Sarah)とアン(Ann)にちなんだ名前だそうで、ビックリですね!

でも、とてもいい名前だと思います。

出典は、旭化成の記事より…↓

www.asahi-kasei.co.jp


こちらの記事では、サランラップのパッケージの歴史も掲載されていましたが、面白かったので引用させていただきましょう。

僕が知っているのはこの81年版からですが…

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マイナーチェンジ版(?)の、こちら赤と黄色のやつは強く印象に残ってますね。

 

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一方、93年に大幅リニューアルするわけですが……

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「うわぁー、見慣れないぃー!改悪だぁー!!こんなパッケージでは買う気がなくなってしまうぅー!前のに戻してくれぇーーっ!!」…と思ったことを今でも強く覚えていますが、まぁ小学生がラップを自分で買うわけもなく、不買運動も実らず、いつの間にか完全に定着しちゃいましたね。

しかし、今でも「前の方が良かった気がするなぁ…」って気持ちは強く、折に触れて「サランラップのパッケージ…。変わっちゃった……」と思い出しては涙を拭いていますね…。
(いやそこまでのことかよ(笑)。…ってまぁそれは冗談ですけど、改めて今見たら、フォントが昭和っぽいし、そもそも前のやつもそこまででもないだろ、って話だったかもしれませんが(笑))。


その後2004年、また変わるもののこれは色合いも同じなほぼマイナーチェンジで…

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続いて2008年、あぁこれも覚えてますよ、ま、そんなに変わった気はしませんでしたよね、赤黄黒の懐かしいアレから緑カスに変わったあのときに比べたら…。

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…と、僕の記憶にあるのはここまでですが、おっ?でも、まだ続きがあるのか?

…おもむろに下にスクロールしてみると…

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知らねぇ~っ!!

そして微妙~ん!

いや、もちろん僕はもう日本を発っていたので一度も見たことなかったが故の驚きですけど(というか、今さら驚いてる人間に驚くレベル?)、これは…えぇのんか?!

これもあの緑カス化したとき以来の改悪に思えますが、どうやらこれが現行バージョンのようですね。

もう7年も経ってるようなので、多くの方には最早なじみのあるパッケージなのかもしれませんが…。

まぁ、見慣れれば……鮮やかだし、むしろ愛着も湧く…?


ちなみに僕は柔軟性の塊と自負しているものの、案外一途な所もありまして、例えば友蔵じいさんの声は、95年に富山さんから青野さんにバトンタッチしましたが、その後何百回見ても、「前の方が良かった…」と思い続けましたし、カツオくんの声も、98年に高橋和枝さんから冨永みーなさんに変わりましたけど、(冨永さんには申し訳ないですが)永久に違和感しかなく、もう(僕が見始めてから)変わってからの方が長くなったぐらいの頃に、先代声優時代のサザエさんが久しぶりに再放送で流れたことがあったんですけど、そのときですら圧倒的に高橋ガツオの声を聞いて「これこれぇ!」と思えましたからね。

やっぱり、何事も、自分にとってのオリジナルが、いつまで経ってもNo. 1なのかもしれません(ヒヨコの刷り込み効果)。

…え?わさびドラ?何ですそれは?知らない子ですね…。

ドラえもんというのは、大山のぶ代さんが「こ↑ん↓にちは、ぼく↑ドラえもんです」というあれですから…。

(って、調べてて驚きましたが、カツオくんの初代声優はまさかの大山さんだったということで、サザエさんガチ勢にとっては「いやカツオは大山だろ」であって、高橋さんをヨシとする僕も、何だかんだニワカサザエストのゴミカスに過ぎないのかもしれません…。)


…とまぁ話は逸れましたが、サランラップは生活の味方です、ってことですね(無理やりなまとめ)。


最後もうひとつ、これまたおなじみ物質といえる高分子も見て、今回はおしまいとしましょう。

それが、特に最近話題になって久しい、ウレタンが大量につながったポリウレタン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ウレタンより

実は、ウレタンは高校化学では触れないので(反応様式が案外複雑だからでしょうか?)、あまり構造になじみがなかったんですが、まさかの、COOとNHがくっついた、アミノ酸の結合(これは超重要で、またその内登場予定)に近い感じの結合だったんですね。

ちなみに、画像のRは、何らかの炭素骨格がつながっていることを意味しているので、これもエステル結合同様、「エステル」や「ウレタン」という固有の物質があるわけではなく、あくまでこの構造をもったものを総合して「エステル」とか「ウレタン」とか呼んでいるという話(グループ名でしかない)ですね。

当然、ポリウレタンというのも、ウレタン自体に様々な種類があるので多種多様な物質が存在するわけですが、最近の世界情勢で一躍有名になったのはやはり意味がないと散々バカにされ続けているマスク、でもまぁこれは「自分はマスクは要らないけど、してないとブチ切れられる可能性もあるから、単なる『してるアピール』用の、苦しくないもの」としての用途は一応あるといえるのではないでしょうか。

あとはまぁ代表的なのはスポンジ

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリウレタンより

それから同じくWikipediaの画像にありましたが、シーリング材・断熱材・防音材として、建築用途でウレタンフォーム(発泡スチロールみたいなものですね)なんかにも使われますが…

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリウレタンより

スポンジを思い浮かべれば明らかなように、他のプラスチックと比べても劣化の激しい物質ですから、樹脂・プラスチックとしては、これまでで一番ザコい印象がありますね(略号PUですが、樹脂識別コードには顔を出しません)。

ザコとはいいつつも、小物類(財布とか、手袋とか、靴とか鞄とか。いわゆる合皮の表面加工に使われることも多い感じですね)では、クッション性や伸縮性・快適さ、触感やデザイン性の良さを増すために案外よく使われている物質でもありますが(その意味では、本当に便利で有能)、やはり経年劣化が激しいので、買うときはその辺も意識した方がいいかもしれないですね。
(どんなに大切に扱っても、PU製品は、紫外線や、高温&大気中の水分のコンボとか手肌の脂分で、いずれボロボロになる運命。)


…といった所で、高分子化合物、もうちっとだけ続くんじゃ、という感じで、また次回へ…。

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