こないだから尿路感染症=UTIの話に触れており、前回は特に性行為後のUTIについての話を見ていました。
行為後の排尿に意味があるのかどうかが気になって見ていた記事でしたが、結論は「意味がある」と考えて良さそうだったわけですけど、さらに「性行為後の排尿は重要か?」というものが独立記事としてリンクまで貼られているのも目につきました(↓)。
これも見てみようかと思ったのですが、いい加減同じ話ばっかりしつこい気もしますし、特に目新しい話もなかったので、こちらは省略しましょう。
(一応、やはり女性は行為後に排尿した方が良い、しかし男性は、害はないけれど特に意味はない(性行為で男性がUTIにかかることは本当に稀なので)、そして女性の場合もそれはあくまでUTI予防であって、行為後に排尿をしても、性病予防や妊娠予防には一切効果がない…などということが書かれていました。)
そんなわけで今回はUTIはUTIでも、性行為でかかるものではなく、高齢になるにつれてかかりやすくなる、他者との接触なしの、いわば自発的なUTIについての記事(まぁ、前回の記事でも触れられていた通り、UTIは性行為がきっかけであっても「相手からうつされる」ものではないため、「自発的」というのも語弊がありますが)を見てみようと思います。
誰しもが年を取りますから、若いつもりでも他人事ではない話と言えそうですね。早速参りましょう。
高齢者の尿路感染症の症状(Symptoms of Urinary Tract Infections in Older Adults)
注意すべきサインには、痛みおよび頻度や切迫感の変化が含まれます
尿路感染症(UTI)は、多くの方にとって避けがたい現実です。UTIは年齢を重ねるにつれて発症のリスクが高くなり、高齢者が最も多く罹る感染症のひとつとなっていきます。
UTIは、尿路のどの部分にも発症する可能性があるものです。それには以下が含まれます:
- 尿道(おしっこが通る道)
- 尿管(腎臓から膀胱に尿を運ぶ管)
- 膀胱
- 腎臓
「人間の体内には、正常で健康な細菌からなる微生物叢(マイクロバイオーム)が存在し、病気を引き起こす悪玉菌を撃退してくれています。それは膀胱や尿路でも同様です」と泌尿器科医のエミリー・スロプニックMD(医師)がおっしゃいます。「加齢とともに、善玉菌は様々な理由で感染を撃退するのが難しくなってしまう可能性があるんです。」
女性が毎年1、2回のUTIを発症するのは普通のことです。しかし、UTIが頻繁に発症したり、男性が罹ったりする場合、心配の種になり得ます。
高齢者におけるUTIの見つけ方と治療について、スロプニック医師にお話を伺いました。
高齢者のUTI症状
スロプニック医師によると、UTIの典型的な症状は、どの年齢の人でもよく似ているとのことです。以下のような症状が含まれ得ます:
- 排尿習慣の急激な変化(頻尿や切迫感の増加など)
- 排尿時の痛みや灼熱感
- 骨盤、腰、または腹部の痛みや圧痛
- 発熱
- 吐き気
- 疲労感
錯乱や見当識障害(方向感覚の喪失)はどうなの?
高齢者、特に70歳以上の高齢者のUTIでは、錯乱や見当識障害が伴うことが時折ありますが、スロプニック医師によれば、UTIは必ずしも錯乱の徴候を伴うとは限らないと理解することが重要だそうです。また、錯乱の徴候が必ずしもUTIを指し示すとも限りません。
加齢に伴い、特に認知障害、うつ病、栄養失調、あるいは完全な依存症にある方の間では、錯乱やせん妄の発生率は自然と高くなります。
「突然錯乱の徴候を示した方がいらっしゃった場合、かかりつけ医がUTIを調べることはあるかもしれません。しかし、錯乱だけではUTIの兆候とは言えません」と語るのはスロプニック医師。「他の典型的なUTI症状がない場合は特に、その他の要因も考慮されていることになるはずです。」
高齢者がUTIになりやすいのはなぜ?
尿路感染症は誰にでも起こる可能性があります。しかし、閉経後の女性が最もリスクが高いです。また、UTIのリスクは年齢を重ねるにつれて高まり続けます。ある研究では、65歳以上の女性の10%以上が毎年UTIにかかっていることが示されています。85歳以上の女性では、その数は30%近くまで増大します。
これにはホルモンが大きく関わっています。特にエストロゲンというホルモンは、善玉菌を健康に保ち、悪玉菌を遠ざける働きがあるのです、とスロプニック医師がおっしゃる通りです。
「エストロゲンがよく作られていると、膣内は酸性になり、悪玉菌の繁殖を防ぐことが可能となります」とスロプニック医師が説明しています。「閉経後は、エストロゲンのレベルが下がります。そうすると、尿道と膣の入り口の間の皮膚や組織が薄く乾燥し、酸性度が失われます。そのため、悪玉菌が繁殖しやすくなり、膣や会陰から膀胱に入りやすくなってしまうわけです。」
さらに、高齢者では膀胱や骨盤底筋の筋力が低下し、膀胱を完全に空にすることが難しくなっていく可能性があります。膀胱に滞留した尿は、悪玉菌にとって絶好の繁殖場となるのです。
高齢の男性では、前立腺肥大のような疾患があると、膀胱が完全に空にならないことがあり得ます。
また、以下のような場合にもUTIが起こりやすくなります:
UTIはどう治療するの?
UTIは抗生物質で治療します。UTIが疑われる場合、かかりつけの医療従事者が尿サンプルを検査し、症状やその他の要因を考慮して抗生物質が必要かどうかを判断してくれることでしょう。
スロプニック医師によれば、よくある誤解として、尿から細菌が検出されれば、それはUTIの確かなサインであり、治療が必要となる、というものがあるそうです。
「もし担当医が尿検査をして細菌が見つかっても、それは全く問題ありません。他の症状がなければ、我々泌尿器科医は、一般的に抗生物質は勧めません」とスロプニック医師が強調しています。その理由は、感染症とは関係のない細菌が尿中に見つかることはよくあることだからだそうです。
症状を引き起こさない尿中細菌は、無症候性細菌尿と呼ばれています。これは健康にとって危険なものではありません。
無症候性細菌尿を治療してしまうと、抗生物質耐性ができ、将来の感染症の治療が難しくなる可能性があります。さらに、抗生物質は下痢やクロストリジオイデス・ディフィシル感染を含む副作用を引き起こし得ます。
高齢者がUTIを未治療のままにしておくとどうなる?
UTI感染症を治療せずに放置すると、膀胱から腎臓、さらにその先へと感染が広がる可能性があります。特に高齢者や免疫力が低下している方の場合、感染症を早期に治療することで、全身に感染が広がったり、影響が及んだりするのを防ぐことが可能です。
未治療のままの感染症は、重篤な感染症である敗血症につながる可能性があります。スロプニック医師は、敗血症への恐怖が、無症候性細菌尿に対する心配を引き起こすものなのです、と述べています。もしUTIに罹っていれば、感染が広がったり敗血症になったりするずっと前に、ほぼ確実に症状が現れることになるでしょう。
UTIはどう予防できる?
UTIを予防するナンバーワンの方法は、膀胱を完全に空っぽにすることです。スロプニック医師は、尿意を感じていてもいなくても、数時間おきに排尿することを指示しています。
スロプニック医師はまた、以下のような確実で信頼できる予防法も推奨しています:
- 定期的に水を飲む。飲みすぎる必要はありませんが、のどが渇いたら飲みましょう。目標は、おしっこが淡い麦わらのような色になることです。
- 前から後ろへ拭く、および手を洗うことを含む、性器や泌尿器の良い衛生習慣を徹底する。
- 閉経後の女性用の低用量膣クリームについて、医療従事者に尋ねてみる。これは、膣の皮膚を若返らせ、善玉菌の存在をサポートするのに役立ち得るものです。
- 善玉菌の増殖を促すために、プロバイオティクスの摂取を検討してみる。
- クランベリーのサプリメントや100%クランベリージュースを試してみる。これは、アメリカ泌尿器科学会のガイドラインで、UTIを頻繁に経験する女性に推奨されているものです。
- 通常は大腸菌を引き寄せている膀胱の受容体に付着してブロックする作用をもつサプリメントである、D-マンノースの摂取を検討してみる。通常、UTIの原因となる細菌が、この大腸菌です。
医師にかかるべき時
ご自身や愛する人にUTIの疑いがある場合は、医療機関を受診するのが一番です。排尿痛、切迫感、頻尿などの症状は、無視すべきではありません、とスロプニック医師が強調しています。
かかりつけ医が、UTIが原因であるかどうかを確認するために、症状について尋ね、尿培養や場合によってはその他の検査を行うことになるでしょう。年に何度もUTIに罹っている場合は、膀胱脱や前立腺肥大、あるいはその他の疾患が頻繁な感染の原因となっていないかどうかをよりよく理解するために、担当医がその他の検査を指示することもあるかもしれません。
高齢になると尿切れが悪くなるのは男女共通のようで、そこをしっかり気を付けるようにするのが最重要のようですね。
ちょうど、男女それぞれの加齢に伴う排尿の困難さに関する記事が既にこないだの記事でも挙がっていたので、そちらも順番に見ていこうかなと思います(女性は「Q&Aが1段落のみ」という超絶短いものでしたが、ちょうど2日後はかなり時間がなさそうなので、その激軽記事でサボらせていただく予定です(笑))。
