前々回の尿の色記事でリンクが張られていた話から今回もネタ出しをさせていただく形で、今回は尿路感染症、いわゆるUTIってやつですね。
まぁ日本語ではしばしば「膀胱炎」と大雑把に言われることが多いと思いますが、医学的により正確な用語、そして世界中恐らくどこでも通じるのが「UTI」という呼び名であり、ちょうど↑のリンクカードのサムネイラストにも表示されていますけど、もちろんそれだけが原因では決してないとはいえ、生々しい話になりますけれども、非常によくあるのが、性交後、特に女性がお腹や排尿時にかなりの痛みを訴えることになる症状…それがUTIですね。
基本的には細菌感染であり、抗生物質の処方で速やかに治ることが多いわけですけど、より詳しい話を、結構短めの内容でしたが今回も世界最高峰の医療機関の呼び声高いクリーブランド・クリニックによるhealth essentials記事でおさらいさせていただきましょう。
なぜこんなに頻繁に尿路感染症に罹かっちゃうの?(Why Do I Get Urinary Tract Infections So Often?)
尿路感染症の再発は、女性や高齢者に多くみられます
頻尿、痛み、尿意切迫感: 尿路感染症(UTI)に罹っているかもしれない、典型的なサインです。おしっこが濁って悪臭を放つこともあることでしょう。抗生物質を一通り飲むと、気分はよくなります。しかし、数ヶ月後、また症状が戻ってきてしまいます。どういうことなのでしょうか?なぜこの感染症は繰り返すのでしょう?そして、これはご自身の健康について、何を語りかけているのでしょうか?
「良いニュースとしては、特に女性の方であれば、これは大抵全く深刻なものではない、ということが挙げられますね」と泌尿器科医のサンディップ・ヴァサヴァダMD(医師)がおっしゃいます。「我々泌尿器科医は、全年齢の女性で再発性UTIを診ていますよ」とヴァサヴァダ医師が語る通りです。(医師は、1年間で3回または4回の感染がある場合、UTIを再発性として分類します。)
高齢者も、UTIをより再発しやすくなります。
男性もUTIになることはありますが、男性の場合、一般的には腎臓結石や前立腺肥大といった、排尿を妨げる何かがあることを意味しています。「男性のUTIは、通常再発しません」とヴァサヴァダ医師が話している通りです。
女性や高齢者のリスクが高いのはなぜ?
大腸菌やその他の細菌が、腎臓、膀胱、尿管、尿道の感染症であるUTIを引き起こします。残念なことに、主に解剖学的構造から、女性の方がUTIにかなり罹りやすくなっているのです。
女性の尿道は男性より短く、肛門に近いです。尿道は膣にも近く、性行為中に細菌が集められてしまう可能性があります。そのため、肛門と膣の両方からの細菌が、女性の尿路に簡単にアクセスできてしまうのです。
閉経後の女性も、膣内のpHが変化してより感染しやすくなるため、リスクが高くなります。
男性も女性も、加齢とともにUTIに罹りやすくなります。女性の膀胱脱や男性の前立腺肥大といった特定の疾患があると、高齢者では膀胱を完全に空っぽにすることができません。膀胱に長く留まる尿は、細菌の繁殖を促し得ます。
「糖尿病の新薬の中には、尿中の糖分を増加させ、UTIに理想的な条件を作り出すものもあります」とヴァサヴァダ医師が付け加えています。
UTIはなぜ治療しても再発するの?
UTIを治療する経口抗生物質は、大体5, 6種類あります。時には、医師が1つの薬を処方し、尿培養によってどの細菌が働いているかを特定した後、別の薬に切り替えることもあります。薬の調整には時間がかかり、その間に感染が再発することもあります。
また、体調が良くなってきて、抗生物質の服用を中止―医師の指示に反して、勝手に―してしまい、すぐに別の感染症に罹ることもあります。抗生物質の服用が完了する前に服用を中止するのは、決して良い考えではありません。
「しかし、医師の処方通りに服用している人でも、感染を繰り返すことがあり得るのです」とヴァサヴァダ医師が語ります。
性的に活発な若い女性であれば、性行為の前後に服用する抗生物質をかかりつけ医から処方されるかもしれません。閉経後の女性には、膣エストロゲンクリームが、感染を減らすのに役立つ可能性があります。
感染症が続く場合は、腎臓や膀胱やその他の泌尿器系の部分に健康上の問題がないか、かかりつけ医に検査してもらうことも良いかもしれません。
UTIの再発を防ぐことは可能?
UTIに罹りにくくするためにできることは複数あります。最も基本的なことは、水分をたくさん摂ることです。これは頻繁な排尿を促し、細菌を洗い流すのに役立ちます。
女性の場合は、以下に挙げる良い衛生習慣を実践することが特に重要です:
- 排便後は、大腸菌が直腸部から尿道へ移動する可能性を減らすため、前から後ろへ拭くようにする。
- 性行為のすぐ前と直後に、おしっこをするようにする。
- 性器に洗浄液をつけたり、女性用デオドラントを使用したりしない。
- 綿の下着を着用する。
高齢者の場合は、特に年齢を重ねるにつれて問題になる「尿閉の問題」に注意してみるようにしましょう。
「私は高齢者に、ダブルボイド(二重排出)―排尿後、もう一度戻って排尿すること―をするように伝えています」とヴァサヴァダ医師がおっしゃっています。
UTI対策にクランベリージュースを飲むのはどうなのでしょうか?
「それは、最もよくある質問の一つですね」とヴァサヴァダ医師が話します。「相反するデータが存在しているんです。感染症を治すことはできませんが、予防には役立つかもしれないので、我々泌尿器科医は、それを禁止はしていませんよ。」
ということで、流石はクリーブランド・クリニックだけあって、短いながらも要所が完全に抑えられている素晴らしい記事でした。
最後の4点(中でも最初の2つ)に尽きますね。
特に行為前後は必ず排尿をするようにするだけで、劇的にUTI発症確率は下がるように思います。
まぁあんまり言うのも生々しいというかアレなんですが、UTIは知識のない男女が行為に及ぶと、極めて高い確率で発症してしまうものだと思います。
「お腹痛いけど、別に腹痛なんていつものことだし…」と我慢する子もいるでしょうから、原因や感染したことに気付かないこともあるかもしれませんし、正直、経験のある女性は全員かかるのではないかと思えるぐらいに(むしろ、知識があっても油断したら即かかるレベルで)容易に発生するものなので、男女とも協力して気を付けたい限りですね。
(※一応検索したら、女性の生涯UTI罹患率は60%とのことで、一応2人に1人よりちょっと多い程度ではあるようです。
まぁでもここから病院にかからず自然治癒で頑張って治した人や、未経験の方なんかを差し引くと、やはりかなり100に近付くレベルで高いのではないかな、って気がします。)
もちろん性行為以外にもリスクは高いので(年を取るごとに、我々男性にも(主に尿切れの悪さから)結構高いリスクが襲ってくるのは記事にあった通りですね)、深刻な症状ではないとはいえかなりの痛みを伴うこともあるもののようなので、どなた様も大切な尿路の清潔維持にはぜひお気を付けください。
