前回の記事では、尿路感染症、略してUTIと呼ばれる、身体の構造的に、圧倒的に女性(しかも、尿路が細菌にさらされる確率が飛躍的に上がる、性行為後)に多く見られる症状について見ていました。
そこでまたいくつか気になるネタがリンク付きで張られていましたが、今回は、最後の方に挙がっていた「クランベリージュースがUTIに効くって本当?」という、まことしやかな噂についてかなり短くまとまっている記事があったので(↓)、時間不足につきそんな小ネタを見てみようかと思います。
まぁ既に前回ディ医師が「相反するデータがあるので、何とも言い切れません」と言っていましたし、単なる噂の気休め程度ではないかと思えるものの、しかしわざわざ天下のクリーブランド・クリニックが取り上げているという時点で、完全に眉唾の嘘八百とは言い切れないのかもしれません(というか、「相反するデータ」ということは、「効く」とする説もあるということですしね)。
正直、「そもそもクランベリーって何だよ、そんなマイナーフルーツ、美食家の日本人は食わねンだわ」とも思えますけど、まぁベリー類の仲間で名前は聞いたこともありますし、大きなスーパーに行けば普通にジュースも果実も売っている感じでしょうか。
果たしてどれ程の効果があるのか、今回も早速上記health essentials記事を参考にさせていただこうと思います。
クランベリーはUTIを予防できるの?(Can Cranberry Stop Your UTIs?)
尿路感染症を予防する3つの秘訣
こんな統計があります: 女性の約60%が、人生のどこかで尿路感染症(UTI)を経験するというものです。
UTIに関して最も広く信じられている考えに、クランベリージュースを飲む(またはクランベリーのサプリメントを摂取する)と、UTIを予防・解消できるというものがあります。
「クランベリーには、細菌、特に大腸菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ有効成分が含まれているのは確かです」と泌尿器科医のコートネイ・ムーアMD(医師)が説明しています。「しかし、ジュースやサプリメントには、細菌が尿路に付着するのを防ぐほど十分にはこの有効成分(A型プロアントシアニジン)が含まれていない、と示唆している研究がほとんどです。」
科学的な信憑性はまちまち
全般的に、クランベリージュースや抽出物のUTI予防効果に関する臨床研究は、相反するものになっています。
2013年に行われた13の異なる臨床試験の分析研究によると、クランベリージュースやタブレット錠は、UTIを再発している女性において、プラシーボ(偽薬)と比較してUTIの発生を減少させたと結論づけています。しかし、別のレビューでは、そうならなかったことが見出されました。
UTIの予防と治療におけるクランベリーの効果についての疑問に加えて、各製品に含まれる有効成分の量は必ずしも一定ではありません。そのため、製品によっては、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐのに効果的な有効成分が十分に含まれていない可能性があります。
アメリカ泌尿器科学会による女性の再発性UTIに関するガイドラインでは、こういったサプリメントに関連するリスクはほとんどないため、臨床医は(予防のために)クランベリーの予防投与を行うこと自体は可能であると述べられています、とムーア博士が付記しています。
結論は?「クランベリーは害にはなりませんが、役に立つ可能性はあるかもしれません。頻発するUTIで悩んでいる方であれば、試してみる価値はあるでしょう」とムーア医師がおっしゃっています。
UTIの予防に役立つかもしれない実際の方法
ムーア医師は、UTIの予防法や治療法について、以下の全ての俗説を耳にしたことがあるとのことです―水をたくさん飲む、性行為の後に排尿する、ぴったりしたズボンは履かないようにする、そして湯船、泡風呂、およびタンポンを避ける、といったものです。どれも科学的データには裏付けられていません、とムーア医師が話しています。
一方、ムーア医師は、UTIを予防するために女性がすべきこととして、以下の3つを挙げています:
- 性行為後のUTIを防ぐよう用心する。「性行為の頻度はUTIと強い相関関係があります」とムーア医師が語る通り、複数のパートナーがいたり、性感染症の既往歴があったりする方は、リスクが最も高くなります。UTIを再発しやすい方は、殺精子剤やバリア型の避妊具(ペッサリーのような)の使用を控えるようムーア医師がアドバイスしており、また同時に、性行為の前または後に経口抗生物質を1回服用するように勧めることも多いそうです。
- 良い排便習慣を身につける。UTIは、直腸の細菌が膣に迷い込むことで起こります、とムーア医師が話す通りです。便秘や下痢のときに最もよく起こるものなので、規則正しい排便ができるよう心がけましょう。
- 善玉菌と悪玉菌のバランスをとる。UTIを繰り返す閉経後の女性には、ムーア医師はしばしばエストロゲン局所(膣内)投与とプロバイオティクスの組み合わせを用いるそうです。更年期は膣内のpHが変わり、これにより細菌のコロニー形成に変化がもたらされます。外用エストロゲンは膣内のpHを正常化し、膣内が再び善玉菌の住みやすい環境になるようにしてくれます。それにより、プロバイオティクスを摂取することで得られる「善玉菌」すなわち乳酸菌が、膣内でコロニー形成をすることが可能となるのです。「悪玉菌が膣に付着するのを減らすために、もっと健康な菌を増やしたいわけですね」とムーア医師がおっしゃいます。とはいえ、ヨーグルトを買いにスーパーに駆け込むだけでは十分ではありません。「全てのヨーグルトにプロバイオティクスが含まれているわけではありませんし、必要な量を摂るには1日7個は食べなければなりません」とムーア医師が語っている通りです。
UTIは頻繁に起こる症状とはいえ、リスクを下げるための対策を講じることは可能だと言えます。
何とも中途半端な記事だった気がするといいますか、プロバイオティクスがいいと言いながら、「ヨーグルトだけでは大量に食べないと意味がありません」とあり、「じゃあどないすりゃえぇねん」という点が欠けているようにも思えましたし、それ以上に、前回「以下を心がけることが超重要」と挙げられていて、僕も得意げに「マジでこれ」とか抜かしていた、「水をよく飲む」「性行為後には即排尿で洗い流す」というのが「科学的データの裏付けはありません」とか、ムァジかいムーア医師、流石に理論上も経験上も、それは意味があるでしょ?!…と思えてしまえたものの、まぁ半数近くの女性はそんなの気にせずとも生涯UTIとは無縁とのことですし、それよりも乱交を避けるとか排便後の拭き方なんかの方が、ムーア医師的には重要だということなのかもしれません。
そもそものクランベリーは、やっぱり気休め程度に思えましたけど、「ちゃんと対策してるのに、頻発する」という方は、害はないようですし(単なるジュースだから当たり前ですが)、効果がゼロではない可能性の方が高いとのことですから、気休めでもジュースを探して飲んでみると良いかもしれないですね。
