金属には3種類ある!

いやぁ~、タンパク質の結晶って、本当に美しいですね!(嘘だよ、記事を水増ししたいだけで、本当はそんなに大したことないと思ってるよ)…みたいな話をしていたわけですが、まぁそんな書く必要ない本音はともかく(笑)、前回見ていたJAXAの記事で、タンパク質の結晶の概説記事のサワリとして、食塩の結晶構造が例として載っていました。

 

https://humans-in-space.jaxa.jp/protein/public/about/structural_analysis.htmlより

 

このように、低分子(まぁ食塩はイオン性結晶なので「分子」ですらないですけど、ナトリウム原子と塩素原子1つずつが最小単位ですしね)の場合、タンパク質のような高分子全体が一つの大きい決まった構造を取るのとは違い、分子が(というか原子1個レベルで)規則正しく並ぶことで結晶を形成するわけですが、これについては金属結合でつながる金属原子の取る金属結晶が面白いものであり、高校化学でも習う話になっています。

 

せっかくなので、まぁ「面白い」と言いつつ、高校化学の試験で出てくるのはめんどっちい計算問題がメインで、クッソおもんないの極みなんですけど(笑)、話のネタとしては興味深い点だと思うため、今回記事水増しで触れてみようと思った次第です。

 

とっとと本題に入ると、ズバリ、金属というのは記事タイトルに挙げた通り、主に3種類の結晶に分かれることが知られています。

 

それが、体心立方格子面心立方格子、そして六方最密充填と呼ばれる3つの構造ですね!

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

リンクカードのサムネ画像はちょっと切れているので画像をお借りしますと…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/体心立方格子構造より

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/面心立方格子構造より

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/六方最密充填構造より

…それぞれこんな感じで表されるもので、もちろん球が原子を表しているんですけど、これは分かりやすく小さなボールになっているだけで、実際はボールとボール同士が触れ合っており、逆に立方体のフレームなんかはあくまでイメージしやすいように描かれているだけで、現実には「ボールが容器にどう入っているか」を表しているイラストになります。

 

まぁそう書いても文字だけだと分かりにくいかもしれないんですが、↓の我らがベネッセ先生による断面図イラストなんかを見ると、ズバリイメージできるのではないかと思います。

 

https://benesse.jp/teikitest/kou/science/chemistry/k00560.htmlより

まさに、こういう対角線と半径と…などから、容器の中に実質いくつ分の原子が入っているか…みたいな話やら、そっからさらに色々ややこしい計算がごちゃっと出てくる、マジでキモい単元なんですけど(笑)、まぁこれは多分、一生かかっても理解できない生徒が出てくるぐらいの難度ですね。

 

とりあえず、詳しい計算は置いておいて、ポイントは「面心」と「六方}が、両方「それ以上入らない、完全に球体が密に詰まった状態」で、一方「体心」は、実はその2つに比べるとちょっと隙間の存在する、スカスカ状態になっている点だといえましょう。

 

要は、「立方体のど真ん中に球を入れて、頂点の八方からそいつを支える」という構造は、ボールを最も多く箱に入れられる入れ方ではなく、最も密に詰められるのは、「頂点と、各面の中心にボールを置く」という面心格子、あるいは六角柱を考えて、上底面六角形の頂点とその中心に7つ配置、そして柱の内部に3つという、これは、もし子供に「ボールを最もたくさん入れられる方法は?」と聞いてみてこれを思いつく子がいたら凄いなぁと思える複雑な構造ですけど、世の中の「最も密にボールを詰められる入れ方」は、この2つなんですね。

(ちなみに、塩化ナトリウムは、塩素もナトも、どちらも面心で配置されている感じですね。こういうのの把握は、やっぱり図を見ながら考えても結構難しい気がしますが…。)

 

…と、そんな話からちょうど、別のネタ……少し前の一連の原子とかに触れていた記事で、「このネタにも触れてみようかな」と思ってメモ帳に控えていた話に、「物質の密度」というポイントがあるんですけど、今回まさに結晶の話からそこにさかのぼっていけそうなので、上手いこと都合よくそちらの話に戻って(絡めて)いこうかと思います。

 

これ、実は僕自身よく分かっていない話なんですが、金属はどなたもご存じの通り、アルミは軽いけど銅はそれより重い…みたいな、元素によって密度が異なるわけですけど、その密度って、そういえば結晶の構造が理由なのかな…?なんてことが気になってきました。

 

そんなわけで、今回自分の疑問を解消すべく、結晶構造と密度の関係についてまとめてみようと思った次第です。

 

言うまでもなく、アルミのような軽いものはスカスカの体心立方格子で、金(きん)のようなズッシリ重いやつはまぁ最密構造なのかな、という気もするものの、果たしてどうなっているのか…?

 

とりあえず、金属の取る結晶構造のリストについて、検索しても一覧でまとまっているのがなかったので英語サイトを頼ってみたんですけど、ちょうどいいのが↓の学習系サイトPhizze.comにあったので、こちらの表をお借りさせていただきましょう。

 

(…と思いきや、これを書き始めてまずこのネタが浮かんだのでこっからチェックし始めたのですが、最初は「結晶系」全般の記事しか見ておらず、検索しても一覧では見つからなかった気がしたんですけど、普通に上記の体心・面心・六方の各ウィ記事に、代表的な金属元素の結晶構造が一覧で載ってましたね(笑)。

 まぁでも、それはページが分かれていますし、さらに、元素名の英語&日本語も併記しておいたので、逆に英語名も分かるのでヨシとしたい所です(笑)。)

 

phizze.com

 

しかし当然、密度が併記されている表などは見つからなかったので、金属の密度データの方は、こちらも検索したらトップに出てきた↓のエンジニア向けのデータサイト、engineersedge.comからお借りしました。

 

www.engineersedge.com

 

結晶構造データは当然金属純品のデータなんですけど、密度の方は合金も含まれていたのですが(ブロンズ=青銅とかですね)、「結晶構造データ」の方で挙げられている金属は全部密度データが載ってるかなぁ…と心配していたら、見事に全部存在していたため、個別に調べる必要はありませんでした、ナイスエンジニアサイト!

 

…とかいう長ったらしい前置きはともかく、こちらが結晶構造&密度をまとめた表になります。

 

英語サイト由来なので、結晶構造は英語の略式表記で示されていますが、これは各Wikipedia記事にもあった通り、bccが「body-centered cubic」、fccが「face-centered cubic」、そしてhcpが「hexagonal close-packed」で、ズバリbody=体、face=面、hexagon=ヘキサゴン=六角形ってことで、これはそれぞれどの構造を意味するのか、非常に分かりやすい略記といえましょう。

 

では、こちらがデータですね!

 

金属 結晶構造 密度 (kg/m3)
Actinium (Ac) アクチニウム fcc 10070
Aluminum (Al) アルミニウム fcc 2600
Antimony (Sb) アンチモン Rhombic 6680
Barium (Ba) バリウム bcc 3595
Beryllium (Be) ベリリウム hcp 1850
Bismuth (Bi) ビスマス Rhombic 9790
Cadmium (Cd) カドミウム hcp 8690
Calcium (Ca) カルシウム fcc 1540
Cerium (Ce) セリウム dhcp 6770
Cesium (Cs) セシウム bcc 1930
Chromium (Cr) クロム bcc 7150
Cobalt (Co) コバルト hcp 8860
Copper (Cu) 銅 fcc 8960
Dysprosium (Dy) ジスプロシウム hcp 8550
Erbium (Er) エルビウム hcp 9070
Europium (Eu) ユウロピウム bcc 5240
Gadolinium (Gd) ガドリニウム hcp 7900
Gallium (Ga) ガリウム Orthorhombic 5910
Gold (Au) 金 fcc 19300
Hafnium (Hf) ハフニウム hcp 13300
Holmium (Ho) ホルミウム hcp 8800
Indium (In) インジウム Tetragonal 7310
Iridium (Ir) イリジウム fcc 22500
Iron (Fe) 鉄 bcc 7870
Lanthanum (La) ランタン dhcp 6150
Lead (Pb) 鉛 fcc 11300
Lithium (Li) リチウム bcc 530
Lutetium (Lu) ルテチウム hcp 9840
Magnesium (Mg) マグネシウム hcp 1740
Manganese (Mn) マンガン Cubic 7300
Mercury (Hg) 水銀 Rhombic 13530
Molybdenum (Mo) モリブデン bcc 10200
Neodymium (Nd) ネオジム dhcp 7010
Neptunium (Np) ネプツニウム Orthorhombic 20200
Nickel (Ni) ニッケル fcc 8900
Niobium (Nb) ニオブ bcc 8570
Osmium (Os) オスミウム hcp 22590
Palladium (Pd) パラジウム fcc 12000
Platinum (Pt) 白金 fcc 21500
Plutonium (Pu) プルトニウム Monoclinic 19700
Polonium (Po) ポロニウム Cubic 9200
Potassium (K) カリウム bcc 890
Praseodymium (Pr) プラセオジム dhcp 6770
Promethium (Pm) プロメチウム dhcp 7260
Protactinium (Pa) プロトアクチニウム Tetragonal 1540
Radium (Ra) ラジウム bcc 5000
Rhenium (Re) レニウム hcp 20800
Rhodium (Rh) ロジウム fcc 12400
Rubidium (Rb) ルビジウム bcc 1530
Ruthenium (Ru) ルテニウム hcp 12100
Samarium (Sm) サマリウム Rhombic 7520
Scandium (Sc) スカンジウム hcp 2990
Silver (Ag) 銀 fcc 10500
Sodium (Na) ナトリウム bcc 970
Strontium (Sr) ストロンチウム fcc 2640
Tantalum (Ta) タンタル bcc 16400
Technetium (Tc) テクネチウム hcp 11000
Terbium (Tb) テルビウム hcp 8230
Thallium (Tl) タリウム hcp 11800
Thorium (Th) トリウム fcc 11700
Thulium (Tm) ツリウム hcp 9320
Tin (Sn) スズ Tetragonal 7260
Titanium (Ti) チタン hcp 4510
Tungsten (W) タングステン bcc 19300
Uranium (U) ウラン Orthorhombic 19100
Vanadium (V) バナジウム bcc 6000
Ytterbium (Yb) イッテルビウム hcp 6900
Yttrium (Y) イットリウム hcp 4470
Zinc (Zn) 亜鉛 hcp 7140
Zirconium (Zr) ジルコニウム hcp 6520

 

…ってことで、これはアルファベット順に並んでいる表ですが、はてなブログで「ソート可能な表」の挿入方法が、調べても若干面倒だったのでソートができない形式で大変恐縮なんですけど、今見たいのは密度と構造の関係なので、分かりやすいよう密度順にソートして、軽いのと重いのの上位10位(と、重い方はマイナー物質ばかりの中、有名金属があったのでプラス1,)を並べてみましょう。

 

金属 結晶構造 密度 (kg/m3)
Lithium (Li) リチウム bcc 530
Potassium (K) カリウム bcc 890
Sodium (Na) ナトリウム bcc 970
Rubidium (Rb) ルビジウム bcc 1530
Calcium (Ca) カルシウム fcc 1540
Protactinium (Pa) プロトアクチニウム Tetragonal 1540
Magnesium (Mg) マグネシウム hcp 1740
Beryllium (Be) ベリリウム hcp 1850
Cesium (Cs) セシウム bcc 1930
Aluminum (Al) アルミニウム fcc 2600
(途中省略)
Mercury (Hg) 水銀 Rhombic 13530
Tantalum (Ta) タンタル bcc 16400
Uranium (U) ウラン Orthorhombic 19100
Gold (Au) 金 fcc 19300
Tungsten (W) タングステン bcc 19300
Plutonium (Pu) プルトニウム Monoclinic 19700
Neptunium (Np) ネプツニウム Orthorhombic 20200
Rhenium (Re) レニウム hcp 20800
Platinum (Pt) 白金 fcc 21500
Iridium (Ir) イリジウム fcc 22500
Osmium (Os) オスミウム hcp 22590

 

…はい、ってことで、やはり密度の軽いふんわり金属は体心bccが目立つものの、しかし意外に全体でもかなり軽い金属であるカルシウムはビッチリ詰まったfccで、それより重いマグネシウムはまたbccと、どうやら金属の密度は、すべてが結晶構造の形で決まるわけではなかったといえそうですねぇ~。

 

一方重い方は、やはり「最密構造」である面心fccと六法hcpが目立つものの、まさかの金ゴールドよりも若干重いタングステンbccということで、改めてやっぱり、必ずしも構造の形が密度を確定で決める、ってわけではないんですね!

 

これはもちろん、原子そのものの重さとかが関わってくるものでしょうけど、完全なルールは存在しないということが分かって何よりでした。

 

なお、記事タイトルでは「金属には3種類ある!」と書いていましたが、表を見れば3文字略記以外にもいくつかあることが明らかなように、実際は他の構造も少しあるんですね。


僕は全く構造には詳しくないですけど、「(Ortho)rhombic」が「直/斜方晶系」、「Monoclinic」が「単斜晶系」、dhcpはダブル六方最密充填構造とかそんな感じらしいですね(最密なのにダブルって何やねん、って話ですが、よぉ分かりませんでした(笑))。

 

まぁ名前なんてどうでもいいですけど、英語記事になりますが(日本語版には画像なし)、それぞれあまり目にしない名前のやつらがどんな構造なのかは、ウィッキー先生の「結晶系」の記事に掲載されていました。

en.wikipedia.org

 

気になる方は参考までに上記の記事をご覧ください(僕は全く気になりませんが(笑))。

 

ということで、「3種類ある!」とか言いつつ実はもっとあったわけですけど(笑)、というかそもそも例えば鉄なんかは、温度によって結晶格子形が変わる、って聞いたこともあった気がしますし、金属の形も一筋縄ではないってことですね、という浅い結論で今回は〆とさせていただきましょう。

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