この世で一番重いのは…?

今回またちょっとあまりにも時間がなかったもので、前回の記事で紹介していた金属の結晶構造と密度の表、せっかくまとめたこともあり、あれを使って適当にもうちょい話を広げさせていただくチョイ回とさせていただこうかと思います。

 

前回はアルファベット順の表を最初に示し、密度順にソートしたものは冗長に感じたため一部のみピックアップしていたのですが、まぁせっかくなので密度順ソートの完全版を今回貼る所から始めさせていただきましょうか。

 

金属の結晶構造と密度の表(密度の昇順ソート)

金属 結晶構造 密度 (kg/m3)
Lithium (Li) リチウム bcc 530
Potassium (K) カリウム bcc 890
Sodium (Na) ナトリウム bcc 970
Rubidium (Rb) ルビジウム bcc 1530
Calcium (Ca) カルシウム fcc 1540
Magnesium (Mg) マグネシウム hcp 1740
Beryllium (Be) ベリリウム hcp 1850
Cesium (Cs) セシウム bcc 1930
Aluminum (Al) アルミニウム fcc 2600
Strontium (Sr) ストロンチウム fcc 2640
Scandium (Sc) スカンジウム hcp 2990
Barium (Ba) バリウム bcc 3595
Yttrium (Y) イットリウム hcp 4470
Titanium (Ti) チタン hcp 4510
Radium (Ra) ラジウム bcc 5000
Europium (Eu) ユウロピウム bcc 5240
Gallium (Ga) ガリウム Orthorhombic 5910
Vanadium (V) バナジウム bcc 6000
Lanthanum (La) ランタン dhcp 6150
Zirconium (Zr) ジルコニウム hcp 6520
Antimony (Sb) アンチモン Rhombic 6680
Cerium (Ce) セリウム dhcp 6770
Praseodymium (Pr) プラセオジム dhcp 6770
Ytterbium (Yb) イッテルビウム hcp 6900
Neodymium (Nd) ネオジム dhcp 7010
Zinc (Zn) 亜鉛 hcp 7140
Chromium (Cr) クロム bcc 7150
Promethium (Pm) プロメチウム dhcp 7260
Tin (Sn) スズ Tetragonal 7260
Manganese (Mn) マンガン Cubic 7300
Indium (In) インジウム Tetragonal 7310
Samarium (Sm) サマリウム Rhombic 7520
Iron (Fe) 鉄 bcc 7870
Gadolinium (Gd) ガドリニウム hcp 7900
Terbium (Tb) テルビウム hcp 8230
Dysprosium (Dy) ジスプロシウム hcp 8550
Niobium (Nb) ニオブ bcc 8570
Cadmium (Cd) カドミウム hcp 8690
Holmium (Ho) ホルミウム hcp 8800
Cobalt (Co) コバルト hcp 8860
Nickel (Ni) ニッケル fcc 8900
Copper (Cu) 銅 fcc 8960
Erbium (Er) エルビウム hcp 9070
Polonium (Po) ポロニウム Cubic 9200
Thulium (Tm) ツリウム hcp 9320
Bismuth (Bi) ビスマス Rhombic 9790
Lutetium (Lu) ルテチウム hcp 9840
Actinium (Ac) アクチニウム fcc 10070
Molybdenum (Mo) モリブデン bcc 10200
Silver (Ag) 銀 fcc 10500
Technetium (Tc) テクネチウム hcp 11000
Lead (Pb) 鉛 fcc 11300
Thorium (Th) トリウム fcc 11700
Thallium (Tl) タリウム hcp 11800
Palladium (Pd) パラジウム fcc 12000
Ruthenium (Ru) ルテニウム hcp 12100
Rhodium (Rh) ロジウム fcc 12400
Hafnium (Hf) ハフニウム hcp 13300
Mercury (Hg) 水銀 Rhombic 13530
Protactinium (Pa) プロトアクチニウム Tetragonal 15400
Tantalum (Ta) タンタル bcc 16400
Uranium (U) ウラン Orthorhombic 19100
Gold (Au) 金 fcc 19300
Tungsten (W) タングステン bcc 19300
Plutonium (Pu) プルトニウム Monoclinic 19700
Neptunium (Np) ネプツニウム Orthorhombic 20200
Rhenium (Re) レニウム hcp 20800
Platinum (Pt) 白金 fcc 21500
Iridium (Ir) イリジウム fcc 22500
Osmium (Os) オスミウム hcp 22590

 

…と、再ソートしていて気付いたのですが、前回の表では、最も軽い金属に、ラジウムが来ていたんですよね。


特にしっかりと見ておらず、都合よくbcc(体心立方格子、他のよりスカスカな構造)だったこともあり完全に見落としていたのですが、「ラジウムがリチウムより軽いとか、あるわけなくない…?」と気付きました。

 

なぜそんなミスが発生したのか不思議だったんですけど、ズバリ理由が発覚……前回もリンクカードを貼っていた通り、密度データの数値はこちらのエンジニア用データサイト(↓)の方からお借りしたわけですが…

 

www.engineersedge.com

 

こちらのデータ、何気に「g/cm3」と「kg/m3」があり、どう考えても「グラム/立方センチ」の方がイメージしやすくて分かりやすかったものの、桁の大きい「キログラム/立方メートル」の方が細かい数字まで表示されていた(まぁ「細かい」というか、1000倍の違いで、「グラム」の方では省略されていた小数点以下の数字が表示されているという、専門用語で「有効数字が大きい」ってことですね)ため「キロ」の方を採用したのですが、まさかの、ラジウムのデータは「5 g/cm3」でこれが正しいんですけど、「kg/m3」の方は1000倍ではなく100倍の500となっており、十分の一も小さい密度で掲載されてしまっていたんですね!

 

エンジニアサイトにあるまじき値のミスでしたが、まぁ単純ミスは誰にでもあるということで許しましょう(無断でデータ借りておいて、何つう偉そうな態度だ(笑))。

 

(っていうか今回の記事アップ後、念のため見直していて気付いたのですが、他にも1つ上のプロトアクチニウムが100倍のミスになっていることを発見しました。

 念のため全て調べたら、他にはミスがなかったですが、こちらも含め、前回の表もしれっと直しておきました。

 ちなみにプロトアクチニウムの結晶形はtetragonalで、前回触れていませんでしたがこちらは「正方晶系」ですね。)

 

ということで、ラジウムの方も正しい値に直して下の方に移動した形になりましたが、改めて言うまでもなく、この世で最も軽い金属ってのはリチウムなんですね。

 

水兵リーベの「リー」で、原子番号=陽子の数、すなわち原子の体重がべらぼうに軽いですから、それも納得だといえましょう。

(逆に、ラジウム放射性元素で、原子番号はかなり遅いものであり(2族一番下の、88番)、こんなのが最軽量とかあるわけねーだろ(笑)、って話だったわけですね。)

 

とはいえ金属リチウムなんて反応性がでかすぎて金属単体でお目にかかることなどまずないといえるわけですが…

(なお、リチウムは本当に反応性が高く、金属単体どころか、イオンとして化合物になっているものですら凄まじい反応性で、近年、リチウムイオン電池が原因の火災なんかが多発している感じですね。

 この辺の動画(↓)、リチウムイオンの「ガワ」をほどいて水につけた様子ですが……

www.youtube.com

 

…まさにホンのちょっとのリチウム化合物でさえ爆発炎上ですから、小型のリチウム電池が何個も水と接触してしまうと、本当に危険だという話ですね!気を付けたい限りです。)

 

…なので、単体の金属としてお目にかかるものでは、何気にマグネシウムが最も軽い金属となるわけですけど、安定性や価格などを考慮して、最も身近に存在する軽い金属でいえば、やはりアルミニウムになる感じですね。

 

なお、リチウムはアルミニウムの5倍軽いので、ただでさえ軽い1円玉の1/5の重さしかないってこですから、相当軽いことが窺えるのではないかと思います。

 

一方、順に下の方に目をやり、重い方を見ていきますと……まずちょっと下に「チタン」なんてのが目に付きましたが、チタンってのはゴルフクラブとかで「軽くて硬質な、優良素材」というイメージがあるかと思うんですけど…

(とはいえ僕はゴルフを一度もプレイしたことないぐらいのモグリなので、特に最近の高級クラブとかですと全くもってそんなことはないのかもしれませんが、幼い頃見た何かの本でそんなことが書かれていた記憶がありますし、チタンはゲームとかでも登場する、見た目も結構高級感があるイメージなので、そんな印象があります)、何気に先ほどミスのあったラジウムは、原子番号も大きいし重金属かと思いきや、ほぼチタンと同程度ってことで、案外軽量級だったんですね。

 

まぁそれはともかく、我々人類に最も馴染みのある金属は当然「鉄」ですが、鉄は挙げられている70種の金属中、34位に位置するもののようで、ちょうどど真ん中、一応真ん中よりギリ軽い組ということで、意外とこちらさんも名だたる金属の中にあってはヒョロガリな感じだったんですね。

 

そして他のおなじみ金属といえばやはり金・銀・銅ですが、これは当然、高級感が上がるごとに重くなっていく感じで、それはまぁ想像通りだといえましょう。

 

ただ意外な点として、金(ゴールド)はあの金塊を思い浮かべても極めて重たいものの代表、むしろ他のマイナー金属以外だとこれが実質世界で最もヘヴィー級の印象があるんですけど、まさかのまさか、同じ漢字もちの元素、白金プラチナの方が、金よりも重たい物質だったんですねぇ~。

 

というか白金はほぼ地球上で最重量物質というか、まぁ実際は表にある通りナンバー3なんですけど、有名所では一番重い物質ですね。

とはいえ「プラチナ」なんて、下手したら「金属じゃなくて宝石かなんかじゃないの?」と思っている方もいそうですし、見た目が銀とてんで区別がつかないことからも……

https://ja.wikipedia.org/wiki/白金より

 

…メダルにも選ばれず、他の3強と比べてもややマイナー元素感あるのは可哀想な所といえるでしょうか。

 

一方、真の地上最重元素であるのは、恐らく誰一人名前すら聞いたことがないであろう、オスミウム

 

ja.wikipedia.org

 

…まぁ、偉そうに紹介しておきながら僕もマジで「一番密度が大きい」以外何も知らないんですけど、見た目は↑のサムネ画像にある通り、白金同様、重厚感と高級感あるメタルでなかなかのものですが、こちらなんと、万年筆のペン先・先端にも使われることがあるそうで、案外身近にいたんですね、このクソデブ元素!

(…って、「デブ」というより「中身が詰まっている」という感じなので、「マッチョ」の方が語感としてもいいのかもしれませんが(笑))

 

まぁ密度は、表よりも正確な値がウィ記事に載っていましたが22.587 g/cm3とのことで、ちょうど500円玉の体積が約1 cm3になるため、500円玉の大きさで22.587グラム……正直あんまパッとはイメージ浮かばないですけど、実際持ってみたら「うっわ重っ!」となるレベルなのは間違いないですね。

(とはいえ、こちらの身近な物質で重さを例えてくれている記事によると、大体500円玉2枚と1円玉6枚で20グラムとのことで、ほぼ500円玉2枚、たった1000円分ぐらいの重さにしかならないと考えたら、あれ、そんなもん?って気もしてしまうかもですね(笑)

 なので、いかに高密度といえど小さいものだとそこまでの重量感はないでしょうし、万年筆で使われていてもそこまでの重さは感じないわけですが(というか、そもそも500円玉も結構重いですしね)、でもまぁ、大きくなればなるほど、砲丸の玉みたいに、見た目で想像した重さより遥かにズッシリ感は出てくるので、一度純品のオスミウム塊なんかも持ってみたい限りです。)

 

というところで、あっさり時間切れとなってしまいました。

せっかくなので、次回もまた、もうちょい金属に絡めながら、以前触れようと思っていたネタを見ていこうかなと思っています。

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