業務用の強力洗剤、案外お買い得…?

あまりにも時間がない日々が続いている結果、適当に思いついたちょいネタでごまかしている感じで恐縮ですが、温度の話(「高い温度に上限は?」的な)から唐突に洗剤ネタなんぞに脱線しており、今回もこちらをもうちょい擦らせていただくといたしましょう。

 

前回は「研究室では、SDSの純品を水に溶かして、細々したガラス器具の洗浄に使ったりしとります」なんてことを書いていましたが、まぁ今いる研究室にはたまたま古いSDSの試薬ボトルがあったので…

(隣近所の、教授が引退して閉鎖するラボが「お好きな備品・試薬をご自由にどうぞ」というお得な掘り出し市をしてくれることがままあり、その時にガッポリ、「OPEN 01/23/87」みたいな、下手したら自分と同じ年に作られたぐらいの、歴史を感じる試薬をGETして手持ちにある感じですね(笑))

…流石に古すぎて実験ではあまり使いたくないため、洗剤として活用している感じです。


……ってなことは前回も書いていたんですけど、実際SDSはSDSで、純品は結構値段もするものなので(何せ同じ化合物のみから成る、他に不純物を含まない精製品ですしね)、普通はSDSを日常の洗浄用途に使うなんてことはせず、医療用・研究用の洗剤を買っている研究室がほとんどかな、とも思います。


せっかくなのでどんなものがあるか紹介してみようと思ったのですが、その前についでなので、SDSの値段はどのぐらいなのか、試薬サイトでおいくら万円かチェックしてみた所、おっ!


TCIという略称でおなじみ、日本が誇る世界でもビジネス展開をしている巨大な化学企業・東京化成の公式ページがヒットしてきました。

 

www.tcichemicals.com

TCIの試薬は、アメリカからでも(多分研究試薬・機器系の世界最大手、Thermo Fisherと契約しているから、Thermoを介して)購入可能で、品質もめちゃくちゃ高く、それでいて値段は大変安いことが多いので、何気にTCIの化合物は今いる研究室からもちょいちょい買ってるのですが、多分これは一般価格で、大学とかを通したらもっと安くなるはずだとは思いますけど、どれどれ……

 

https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/I0352より

 

25G     ¥2,500

100G     ¥5,400

500G     ¥13,900

 

ほほぉ~、25グラムで2500円……25グラムは手の平サイズの小瓶ですから、それで2500円ってのは、まあまあやっぱりお値段張りますね。


とはいえこの手の試薬は、大容量を買うと「ギャグかよ」ってぐらい単価が下がるものでして、4倍の100グラムなら、値段は2倍ちょいの5400円、さらに5倍の500グラムなら、25グラム瓶20個だと5万円もするのに500 g大ボトルであればわずか1万3900円で買えると、これはお得ですね!


とはいえしかし、まぁSDSなら結構使うことが多い試薬なのでともかく、実際実験で使うのは微量なことが多く、グラム単価の安さに引っ張られてデカボトルを購入してしまうと、置き場所もなくなるしずーっと古い試薬がホコリを被るレベルでそこにい続ける状態になりますから、僕も当初、「20倍の量が入っていて値段は数倍とか、絶対こっち買わないとアホだろ」とか思ってひたすらデカイ試薬を買ってましたけど、結局「こんなに要らんかったわ、邪魔くせー!」と、効率厨の末路みたいなアホ状況に陥ることが多かったため、最近は必要量をちゃんと考えて買うようにしている感じです(笑)。

(実際、閉鎖ラボに残されたままだった80年代のデカボトルSDSとかも、昔試薬を買った人が同じようにグラム単価を賢しらに考えて、結果、手持ち無沙汰になって世紀を越えて残ってしまった感じだといえましょう(笑))

 

いずれにせよ、500グラムというと牛乳パックの半分の重さ程度ですが、半パックで1万4000円程度ってのは、まあまあ高いっちゃ高いですね。

(とはいえ試薬類は、もっととんでもない値段のものもままありますけど…)

 

そんなわけで、化合物純品を豪気に普段洗いの洗剤用途に使うことはまぁあまりされず、実際は専用の洗剤を買うことも多い、という話でした。


(ちなみにSDSは「ドデシル硫酸ナトリウム」でまたの名を「ラウリル硫酸ナトリウム」とも呼ばれますが、化粧品・ヘアケア・衛生製品でしばしば「これ入りのものは買ってはいけない」的な悪の親玉的な扱いされてますけど、成分表示でよく見るのは「ラウリル~」表記かもしれませんけど(生命科学系では、「SDS-PAGE」という一番よくやられるレベルの実験の名前にもなってますし、個人的には「ドデシル」呼びが馴染みがありますが)、名前はともかく、こいつはまぁ普通に白い粉ですね。

 普段10%の溶液で使ってますけど、まさに石鹸水のような、めちゃくちゃアワアワになりやすい、普通の無色透明な水溶液になります。

 実験でお世話になっているからかもしれませんが、個人的にはSDSにはそこまで悪い印象はなく、純粋に「いや代表的な界面活性剤、単なるセッケンじゃん」と思える感じかもしれません。

 むしろ、粉末はめちゃくちゃ細かい粒子の白い粉で、量る際にかなりフワッと舞うため、肺とかにも悪そうですし教科書的には「絶対にマスクをして取り扱うこと」となってますけど、それすら特に気にせず、「あ、SDS舞ってる、吸わないようにしなきゃ」程度ですが、実際かなり「SDSのニオイ」を感じるので多分吸っちゃってますけど(笑)、それも結局、「別に脂肪酸にナトリウムがくっついただけのもんだし……むしろ身体の中をセッケンで洗ってキレイになれる、ってもんだガハハ」とか適当にやり過ごしてる感じですね(笑))


…と、SDSネタに逸れましたが洗剤に戻ると、もちろん業務用の洗剤も色んなものがありますが、僕が学生時代にいた研究室で使っていて印象深いものに、SCATスキャット)という、検索したらこちらも研究機器メーカーとして有名なアズワンが製造販売しているもののようですが、強アルカリ性で(とはいえ洗剤は基本的にアルカリ性ですけど)、RNA分解酵素などは全く混入していないことが保証されているものになっており、RNAを使うことの多かった出身研究室では、これを洗剤代わりに使っていました。


(改めて、生命科学系の研究の場では、RNA分解酵素、通称RNase(アールエヌエース)と呼ばれますけど、こいつが尋常じゃなく厄介なヤツ(人間の唾液とかに多く含まれて、混入しがち……しかも、極めて丈夫な強い酵素なので、とにかく除去が大変)でして、少しでも混ざってしまうと大切なRNAサンプルがズタズタに分解されてしまうので、RNaseフリーであることは大変重要なポイントになっています。)

 

そのSCATですが、調べてみたら、なんと我らがAmazonでも取扱いがあって、基本的には業務用の法人向け製品ではありますけど、個人でも普通に購入可能な感じなんですね!

 

https://www.amazon.co.jp/dp/B06XVSSYNPより

 

説明を見たら、基本的にこちらは浸け置きで使うのが基本のようですけど、僕のいたラボでは、ちょっと濃い目のストック溶液(原液は20X(20倍に薄めて使う)ですけど、これを10X(2倍に薄めただけ=本来の使用濃度より10倍濃い)とか)を洗ビンなんかに作って、洗いたいガラス器具にピューっとかけて、スポンジで洗ってた気がしますね。


もちろん極めて強力な洗浄力で、素手で使うと一瞬で荒れてしまうので手袋必須レベルでしたけど、個人的には、泡立ちに関しては一般食器用洗剤よりは悪く、例の「キュッキュ」感も数段落ちる感じだったので、洗ってての気持ちよさはあんまなかったですね(笑)。

(しかも、使い捨てのゴム手袋が破けていたらその穴から手に染み込んできてストレスマッハですし、なるべく使いたくない…ぐらいまであったかもしれません(笑)。)

 

価格としては、20Xが2 kgも入っていて4257円ということで、もちろん市販の食器用洗剤よりは高い……と思いきや、20倍に薄めて使えるってことは40 kg相当の洗剤液が入っていて4000円ちょいってことで、案外普通のジョイとかママレモンとかより安いまでありますかね…?


実際、医療現場でも使われているぐらい、滅菌・洗浄力は相当なものがあるので、プロ仕様のこいつ、普段使いの洗浄にも、もしかしたら悪くはないかもしれませんね。

(とはいえ、除菌力と「洗い心地」はまた別問題ですから、↑でも書きましたが泡立ちはすこぶる悪いですし、ドロッともしていない単なる液体なので、普通の洗剤のように使ってもすぐ食器から流れ落ちてしまいますし、当然手にも大ダメージですから、使い勝手は不便っちゃ不便かもしれません。

 RNaseの混入とか家庭ではどうでもよすぎますし、手肌の味方・洗い心地なんかの方がずっと重要ポイントですから、やっぱり不要の長物かもですね(笑)。

 ただやっぱり、1XSCAT溶液を作って浸け置きしておくだけで、皿はめちゃくちゃキレイになる(特に微生物の残存という側面においては、完璧レベルで)のは間違いないと思います。)

 

…というところでまた完全に時間切れとなってしまったため、続きはまた次回に……。

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