エックスレイ!

前回の記事では、最も波長の長いタイプの電磁波(一般的には「電波」と呼ばれる領域)である「ラジオ波」に触れていました。


とはいえ、日本語だとこの領域の電波は「短波」「中波」「長波」のように表すことが普通で、物理学的には「ラジオ波」という単語は使われないようです。


検索してみて気付いたのですが、この語はどうやら美容・エステ業界で使われている言葉のようで、施術を行っているエステサロンが大量にヒットしてきました。


「ラジオ」なんて、あの音のする機械しか思い浮かびませんし、何か凄そうなネーミングをつけることに定評のある美容業界にしては珍しく、「え?何でそんな名前にしたんやろ。もっとメガヘルツウェーブみたいな、それっぽいカッコいい名前にすりゃえぇのに」なんて思えましたけど、割と流行ってはいるようですね。


まぁ僕は体験したことがないので効果の程は分かりませんけれども、一応、理論的には、でっかい聴診器やスティックタイプの電極みたいな装置をお腹なんかに当てて、ラジオ波を照射することで体内の水分子を振動させ、熱を発生させることで脂肪の燃焼効果を期待する…というもので、実際電子レンジがアチアチになるのは小学生でも知っていますから、その技術と完全に同じもの・応用と考えれば、仕組み的にはまぁ理には適ってるようには思えます。


どの程度の出力なのか、なんてことも分かりませんが、臓器や細胞にダメージを与えず上手いこと脂肪だけを燃焼させるような熱を発生させることなんて可能なんやろか、とは思えるものの、まぁその辺はしっかり研究開発されて製造・利用されているものでしょうし、全く効果ゼロではない……少なくともマイナスイオンとかよりはちゃんと科学的に説明可能な技術だとはいえそうですね。


とはいえどうしても、個人的な印象では「まぁ同じ電波ではあるけどさ、マイクロ波と違って、ラジオ放送で使われてるような電波にそんな大層な効果が出せるのかな…?」という気はしちゃうものの、しかし冷静に考えたら前回見ていた通り、Wi-Fiの電波と電子レンジの電波は完全に同じものですから、そう考えたらラジオ波も一箇所に強烈に出力すれば、加熱効果もあるのかもしれないな……って気は確かにするといえるでしょうか。


幸いにして僕はダイエットを必要とはしていないので自分で体験することはまずないものの、どのぐらい温かみを感じるものなのか、興味はあるといえるかもしれません。


…と、何も知らないままなのもあれなので、検索したら上の方にヒットしてきたこちら、ラジオ波機器製造会社サーモ・シェイプの解説記事(↓)を見てみると…

www.thermo-shape.com

大体1 MHz弱の電波が照射される形のようで、「あぁ~、メガヘルツの波が、お腹の中に当たってりゅううぅぅ~」という経験、まぁ実際はそんなの分かるわけないんですけど(笑)、ちょっと経験してみたくはありますね…!

(ただし記事にもある通り、事故防止のため家庭で使えるものは尋常じゃなく弱い出力しか出せないものになっているようですし、やはり体感で温かみなどを感じるのは難しいといえそうです。)

 

…といった感じで、一点触れるのを忘れていたラジオ波ネタの前置きがまた長くなりました。


続いて早速、脱線ネタの本題であった、超短波長側の電磁波、2種類の放射線について見ていきましょう。


名前だけは既に見ていた通り、電磁波タイプの放射線には2種類、X線 (X-ray) とガンマ線 (γ (gamma) ray) が存在します。


今回はこの違いを見ていこう……と思っていましたが、例によって時間があまりにもないくせにまたラジオ波エステの話なんかに脱線したため、今回は雑談的な話を見るに留めさせていただこうかなと思います。


まず着目してみるのは、記事タイトルにもしましたX線の方……

(rayってのは、「光線、線」って意味ですね。こいつらはめちゃくちゃ波長が短い、凄まじく振動をし続けている電磁波ですから、「波」ではなく最早「線」と表されるものだといえましょう)

…こちらの応用例は恐らく、どなたも「X線」という名前を聞いただけでもすぐに思い浮かぶことでしょう、より身近な言葉で表すと、病院で骨や歯やその他体の内部をまるで透視して見るような偉大なる技術、「レントゲン」ですね!

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/X線より

そう、X線レントゲン写真というのは、実は放射線の一種であるX線を体に撃ちつけて、骨と肉の透過率の違いで体の内部の状態を撮影するという技術なのでした。


「え?レントゲン撮影をしたら、放射能を浴びることになるの?マジかよ、そんなの嫌すぎるぜ!」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、まぁ実際放射線であるX線が体を完全に貫通していくことにはなるんですけど、これも結局強度の話になるわけですね。


そもそもX線自体がα線β線より電離(イオン化)の効果は弱いですけど、撮影には画像解析に十分なホンのわずかなX線の照射しかしないため、こんなのはもう誤差の内とでもいいますか、撮影で得られる骨折部位を知るとかそういった医療的なメリットの方が遥かに大きいものだといえましょう。


環境省のデータ(↓)によると、日本人が1年で平均して浴びる放射線の量は、専用の単位である「Sv(シーベルト}」で表すと…

www.env.go.jp

5.98 mSv(ミリシーベルト)のようで、国立保健医療科学院生活環境研究部による面白い対話式ブログ記事(↓)によると…

ndrecovery.niph.go.jp
胸部X線検査で被曝する線量は大体0.05 mSvとのことですから、10回レントゲン撮影を受けても、1年間普通に生活していて受けることになる放射線の1/10にも満たない量でしかないわけですね。


…とはいえ、環境省の記事をよく見たら、「日本人は年間放射線被曝量が世界的に見ても多い。これは、CTなどの放射線検査で受ける、医療被曝が多いからである」となっていたので、まぁレントゲンはともかく、より多くのX線を浴びることになるCT検査とかは、無視できないものがあるとはいえるのかもしれません。

(CT検査=コンピュータ断層撮影の参考ウィキP記事↓)

ja.wikipedia.org

とはいえ、これもよく比較に挙げられる話で、先ほどの保健医療科学院の記事もまさにその旨がメインテーマでしたが、飛行機に乗ると、地表付近では大気で弱まる宇宙線が、大空を飛ぶことでモロ食らうことになるため、実は飛行機に乗ると通常より遥かに放射線を浴びることになるんですけど、成田ーニューヨークの往復1回分のフライトは大体0.15~0.2 mSvにもなるということで、NYに行って帰ってくるだけで、何気に胸部レントゲンの3-4倍もの放射線を浴びることになるんですね。


なので、飛行機に乗るときに「やだいやだい、放射線なんて浴びたくないやい!」と駄々をこねる人なんて全くいないしそんなこと考える意味すら全くないのと同じように、「レントゲンは放射線を浴びる」と聞いても、「放射能を浴びるなんて、それマ?そんなの受けたくなか!」と思う必要など全くない話になっているといえましょう。

 

レントゲンに関してはあともう1つ、やはり発見者であるヴィルヘルム・レントゲンさんの話をせずにはおれますまい。


これも僕は高校の授業(生物で)聞いた話でしたが、X線がいわゆるレントゲン撮影的なことに使えると発見したレントゲンさんは、その功績で第一回ノーベル物理学賞を受賞したわけですけど、このとき、レントゲン技術の特許を取得していれば莫大なる富を築けたことになるわけですが、レントゲンさんは、

「特許?わたしは特許権を獲得したいとは思いません。また必要でもありません。私はX線を発明したのではない。X線X線を必要とする方々のものです」


…と、一切の権利を主張せず世界中の病院で自由に使えるようにしたことで、以後、世界中あらゆる場所でX線撮影が行えるようになり、極めて多くの人を救うことにつながったとともに放射線医学の発達にも貢献した、ガチモンの偉人なんですね…!

 

サンキュー、レンッゲ!

 

ちなみに上の引用発言はこちらの記事(↓)からお借りしましたが…

epilogi.dr-10.com

他にも、こちらの記事(↓)にもあるように…

 

www.chugenkon.org

ノーベル賞の賞金も全額を所属大学に寄付したりですとか、他にもこの辺の記事(↓)でより詳しく語られている通り……

kitnet.jp

そもそも賞というもの自体を好まず、ノーベル賞以外の賞は全て辞退したり(まぁノーベル賞は受賞してんじゃん、って話ですが(笑)、記念すべき第一回の単独受賞者ですし、それはもう、辞退する方が失礼にあたるぐらいになっていたのでしょう)、貴族の称号なども一切を固辞するなど、偉人エピソードの枚挙に暇がありません。

そういった俗世の評価みたいなものには一切興味を示さない、こういう人こそが真の研究者だなぁ……と、畏敬の意を禁じ得ませんね。

 

各記事にもある通り、晩年はドイツのインフレが直撃したこともあり、私益を一切求めなかった姿勢から清貧に甘んじ、癌でころりと亡くなってしまったそうですけど、俺は分かるよ、レントゲンさんほど自分の人生に満足して旅立たれた方はいないであろうことが……


富とか、名声とか、そういうんじゃねぇんだよな、本当に人生で大切なのはよ……と、いきなり「いやお前は誰だよ(笑)」という感じでしたり顔で語ってしまいましたが、レントゲンさんの遺した功績は永久に消えないものであるには間違いありません。

(そもそもそういう、「歴史に名を残す・永久に色褪せない」みたいなことに重きを置かず、「そういうのは本質ではないよ」と思ってらっしゃられそうなのが、レントゲンさんのような男だといえる気がしますね)


X線レントゲン撮影をする度に、そんな偉大なるレントゲンさんの生き様を思い出すものです、という話でした。

(って、言う程レントゲン撮影なんて受けたことがないし、別に実際はそない思い出すわけでもありませんが(笑)、最初に貼った手の写真だけではあれなので、ご本人のご遺影も貼らせていただきましょう。)

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィルヘルム・レントゲンより

ちなみに英語で「レントゲン撮影をする」という場合、レントゲンさんの名前は使われず、普通にそのまま「X-ray」という単語が使われます(「take X-rays」など)。

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