イオンをなるべく噛み砕いて説明してみよう

まぁイオンなんて小さすぎて噛み砕くことなどできませんけど(笑)、一連のbasic・pHなどの話の続きで、今回は「なぜ水はpH 7が中性なのか?」という部分に触れていこうと思います。

イオンとともに、数字と化学式も登場してくるので、慣れない方には何とも見ててムカムカしてくる話かもしれないものの(笑)、なるべく分かりやすく説明を試みてみたい限りです。

どこから話し始めるのがいいか悩みますが、そうですね……先述の通りpHというのは液体に備わった概念というか性質の一種であり、液体といえばもちろん誰がどう考えてもこの地球上での主役は水ですから、結局pHは水のことを考えることが多いということで(もちろん、こないだちょろっと触れましたが、水以外の液体でpHを考えることももちろん可能です。ほとんど意味がないので登場しませんが…)、ここはまず、水素イオンの関係をおさらいする所からいってみましょう。


こいつらの化学式はどなたもおなじみではないかと思いますが、こんな感じですね(↓)。


【水】H2O


【水素イオン】H


で、こいつらをよく見てみると……というかこれは中学理科で習ったことなので、そんなによく考えるまでもなく、これまた忘れていても言われたら恐らくすぐ思い出せることではないかと思いますが、水素イオンHと何がくっついたら水H2Oになるかといいますと、これは、アルファベット的にはHとOが加わればよく、電気的にはプラスとくっつくことでちょうど電気量ゼロの分子になっていることから明らかな通り、マイナスの陰イオン……つまり併せ技で、OHというやつがくっつけば水になるんですね!


名前はぶっちゃけどうでもいいですけど、この陰イオンのことを、水酸化物イオンと呼ぶのでした。


水酸化物イオン】OH


つまり、水というのはこの3つを用いることで、こんな風な関係で表せる形になっているといえるわけです。

 

H2O ⇔ H + OH

 

ここまでは割と自然な流れの話になっているので、問題ないのではないかと思います。


とはいえこれも、左側が「分子状態の水」、右側が「水素イオンと水酸化物イオンに分かれた状態」を表しているのはまぁいいとして、それ(特に右半分)が結局どういう意味なのか…?

…これが恐らく理系の専攻に進んでしっかり学んだ人でもない限り、イマイチ意味も分からないまま、ただテストで聞かれたら何となく雰囲気でそう答えていただけの、まるで呪文のようなものだったのではないかという気がしちゃいますね。


あぁあとそれから、「いや待て待て、なんで『Hが2つ + O2-』みたいにはならないの?酸素はマイナス2だって習ったぞ、ならこうなってもいいじゃねーか!」と思われる方もいるかもしれないものの、こればっかりは、

「H2OがHとOHに分かれることは普通にあるんだけど、OHがさらにHとO2-に分かれることは、この原子のもつ性質としてあり得ないから。

 なぜなのか、その理由は水素と酸素に聞いてみないと分からないけれど、ものすごく不安定になってしまうようで、OHはそれ以上HとOに分かれたがらないんだ」

…としかいえない感じ、要は「そうなってるからそう」という話に過ぎない感じですね。

(例えば、将棋の駒を適当に投げて、上側の短い斜めの辺で立つことは非常に稀だと思いますけど、OHがさらにHとO2-に分かれるというのは、例えていえば、適当に投げた結果、「てっぺんの、頂点の1点のみで立つ」ぐらい(指一本使って支えても立たせられない感じ)、バランス的にあり得ない状況になっているってことですね。

 もしかしたら何兆年振り続けたら、何かの間違いで、てっぺんの角の一点のみという信じられない状態で駒が立つこともあるかもしれませんが、現実的にはあり得ない、だからそんなことが起こる可能性は無視しましょう、というぐらいの話かと思います)

 

…ってそんな長々と語る話でもなかったかもしれませんが(あんまりいい例え話でもないし(笑))、少し段落を戻り、「水分子が水素イオンと水酸化物イオンに分かれるって、結局どういうことなん?」という話に触れていきましょう。

 

まず、物質が陽イオンと陰イオンに分かれることができるのは、液体の中に限られます。

(もちろんもうちょい特殊な環境を考えたら例外もあるんですけど、日常生活において、今とりあえずベーシックな話を考える上では、「液体のみ」と考えて問題ありません。)

 

で、液体というのは形が分かりやすいものであり(→容器に入れて、「この中に水が入っている」と考えるのが容易ということですね。もっと形が分かりやすいのは固体ですが(容器などなくても、常に一定の形)、逆に気体は、決まった形をもちません)、その一区切りの[水]というものに着目した場合、その中に限り、「(分子によっては)陽イオンと陰イオンに自由に分かれて泳ぎまわれるやつがいる」って話なんですね。

まぁ結局あんまりいい説明になっていない気もしますけど、改めて、液体というのは(コップの水を思い浮かべると)「空間に何かが満たされた状態のもの」といえると思うんですけど、それを踏まえると、ある意味その液体という空間は分子にとって異次元の状況であり、普段陸地では陽イオンと陰イオンがくっついて存在していたやつらが、その中でだけハメを外してそれぞれ単独の、電気的に偏りを持った粒子=イオンとして、自由に泳ぎまわれるようになる……ってのが、何となくイメージがつくかもしれない描写でしょうか。


…うーん、何かボンヤリした説明で、こんなので分かるようになるわけなくない…?とも思えますが、何とな~く雰囲気が伝わっていただけていればそれでいいんですけれども、この説明を聞いた場合、例えば初学者だった頃の僕なら、

「そもそも陽イオンと陰イオンが『くっつく』とか『離れる』って具体的にどういうことなんだよ。あと『粒子として自由に泳ぎまわる』ってのも、それは本当に実体のある粒みたいなものなわけ?めっちゃ小さいピンセットとかがあったとしたら、『これが水素イオンです!』って掴めるものなん?」

…なんて疑問を感じたことでしょう。


(自分で疑問を投げて自分で説明するとか忙しいヤツにも程がありますが(笑))順番に見ていくと、まず「イオンがくっつくいて分子に戻る」「分子がイオンに分かれる」ってのがあまりにも謎すぎる概念なわけですけれども、これは結局、高校化学になったら「電気的にプラマイ逆のものがお互いに引き寄せ合っててぇ…」みたいなそれっぽい説明を受けるものの何となくごまかされたような気は拭い切れず、大学になって電子の軌道論や静電引力を数式で表すことなどを学んでも、最終的には結局目に見えないから理解できた実感がまるでない…という、正直、謎は謎のまんまになってしまうのが実情なんですけれども(笑)、とりあえず分かりやすい説明としては、以前の「楽しい有機化学」シリーズでしばしば見ていた、こんな原子同士が腕でつながったようなモデル(↓)を考えて……

https://ja.wikipedia.org/wiki/水の性質より

「くっついているもの=分子は、原子同士が腕で手をつないでいると考えてみよう。その腕が離れたら、イオンであったり官能基であったり、電気的に偏りのあるカタマリになるんだね」という、まぁ分からんでもないもののやっぱりどうにも胡散臭さは拭えねぇ感じの記述に落ち着くしかないところでしょうか(笑)。

 

やっぱり結局「目に見えない」ってのが大きくて、目に見えないから実体=具体的なイメージをもってして状態の想像がしにくいというのが一番のネックといえるように思うんですけれども、こればっかりは、想像力を働かせて自分なりに納得するしかない所だといえるかもしれません。

例えば逆の話で、富士山に登っているときは富士山全体の形は絶対に分からない(近くからだと、あまりにも大きすぎるので、美しい円錐型であることが全く分からない)けれど、遠くから見れば富士山は実際美しい形でちゃんと存在している…というのと同様、水分子も、あまりにも小さすぎて我々には実感できないものの、そういう性質のものがそこにあるのは間違いないので、騙されたと思って「まぁそう考えようか」と柔軟に捉えてみると、何となく見えてくる世界があるかもしれない…みたいな感じですかね、化学や生物のお話って。

(これもマジで何の意味もない下手な例え話にも程がありましたが…(笑))

 

とりあえず、なぜか(=「メカニズムの詳細は不明」と考えるのが現時点ではベストに思えます)分子というのは水の中で陽イオンと陰イオンに分かれることができるやつがいる(もちろん、できないものもあり、それが「非電解質」と呼ばれるもの(例:砂糖)、あるいはそもそも水に溶けないもの(例:ペットボトルなどのプラスチック)ですね)、しかしそれは水の中限定の話であり、分子にとってはとても特別な状況なのです(液体の外の世界では、イオンくんたちはガッチリ手を結び合って、「分子」として存在せねばいけないという感じです)…というのが、イオンを理解するための第一のポイントでしょうか。

 

…って、正直何かめっちゃボンヤリというかフンワリした「分子がイオンに分離するとは?」という話しかしておらず、「数字も登場します」と言っていたのにその数字が出てくる所にまで辿り着けませんでしたが、またしても圧倒的な時間不足につき、今回はこの辺で一区切りとさせていただきましょう。

(次回からもっと具体的な話に入っていきたい限りです。)


英語のbasicからまたいきなり全然違う話に脱線中ですが、アンさんからはいくつか追加質問とともに「この辺の話を知れるのも面白いです」というありがたいお声もいただけていましたし、気が済むまでのんびりその辺の説明を試みてみようかなと思います。

では次回、続きは……あぁ、「その分かれた水素イオンとやらは、ピンセットでつまんで『これがHだよ~』みたいに言える、実体をもったものなのか?」みたいな点からですかね。

まぁ、上の話から明らかな通り、水素イオンというのは分子が腕を放した片割れといえるので、確実に実体をもって存在する物質なわけですけど、ピンセットで「あいよ、Hだよ!」と取り上げるのはとても難しい、って感じの話になる感じですね…!(笑)

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