コメ返信や補足その1-2:「オレがオレが」の精神で

ここ最近の「似通った英単語」シリーズ(とその前座記事)でいただいていたコメントに触れていくシリーズを始めていますが、前回「-ing/-edの使い分け」の記事へのコメで、「主語の使い分けはムズいっすね」という話から、『英語らしさに迫る』という名著を無断で勝手に20ページ近くも引用させていただいていました。


今回は、前回紹介したその名著の内容を踏まえて、コメント内のご質問の方に触れて行くといたしましょう。

質問部が含まれる点を、↓に再度引用コピペしておきます。

(改めて、コメントはアンさんよりいただいたものです。)

あと、自分が迷うやつですけど、

例えば、「日本語は難しい」とか、そんな感じのざっくりした文章…これって、主語は「日本語」だと思うんですけど、「Japanese is difficult.」で通じますよね?更に、「日本語を話すのは難しい」となると、なんとなく、話すのは自分だし、難しいと感じるのも自分だから、主語は私じゃないの?って思ってしまうんですよね。

まぁそこで、「It's difficult to speak Japanese.」って、言われたらわかりますけど、、、それなら、これも「interest」と同じようにingとedでよくないですか?笑

 

⇒そんなわけで、「日本語は難しい」という単純な文ですら、案外「英語ではどう言ったら自然なんだろうか?」というのは迷えるものなんですよね。

そもそも僕も英文の自然さやネイティブにとっての違和感などを声高に語れるレベルでは全くないわけですが、一応の経験からいうと、少なくとも「Japanese is difficult.」は完全に通じるし、全く不自然ではないというか、「同じ意味でこっちの方がより使われる」というものは特にない気がしますねぇ。

(とはいえ、前回の「英語は名詞中心」という考えに則れば、もしかしたら「Japanese is a difficult language.」の方が、ひょっとすると、文としてはより長くなっているのにもかかわらずむしろ逆にネイティブの耳にはよりスッと響く……みたいなこともあるのかもしれませんけど、でもこれはやっぱり、ちょうど日本語で例えても「日本語って難しい。」「日本語って難しい言葉だね。」が別にどっちがどうということなど全くないのと同様、どちらもほぼ完全に同じだし好きな方で構わんよ、ってレベルではないかと思います。)


そして、その次に書かれていた「日本語を話すのは難しい」は……このぐらいの文になると、途端に主語の選択に迷えるレベルになるといえましょう。

まさにアンさんのおっしゃる通りで、これは中学で習った通り、「It's difficult to speak Japanese.」が自然というか極めて一般的な形の文で、少なくとも日本語原文を構造そのままで直訳した形の「To speak Japanese is difficult.」としてしまうと極めて不自然な形になってしまう(=意味は通じると思うけど、普通は絶対にそうは言わない)けれど、「It's...」の文は全く違和感なく、完全にそのまんまネイティブでも使う形である……というのは、僕でも断言できるレベルですね。


そこで、コメントでもおっしゃられていた「話すのは自分だし、難しいと感じるのも自分だから、主語は私じゃないの?って気も…」という点ですけど、まぁ先ほどの文に「for me」を足して「It's difficult for me to speak Japanese.」なんてすれば、これはよりハッキリ「自分にとっての意見」になる…ってなことも中学英語で習うわけですがそれはともかく、実際、「It's...to...」構文もやはりそんな形の文を持たない日本人的には生きた英会話で中々咄嗟に出てくるもんじゃないですし、僕なんかも自分のことを語る際はついつい「I...」と、自分のことなわけだし主語「I」で始めてしまうことがままある感じです。

その場合、どうリカバーすれば良いのでしょうか…?


これはまさに、前回の話で学んだ点が生きているのか、僕は実際に、今でもこんな風に(↓)言うことがよくあります(もちろん「日本語」より「英語」について語ることが多いので、以後JapaneseはEnglishに置き換えますが)。

  • I'm still a poor English speaker.
    (まだ英語を話すのが苦手でして…)

何度も書いている通り基本的に僕は日本語を基に英語を考えていますし、発音もかなりカタカナで実際に「poor」(プア;『貧しい』から転じて、『下手・お粗末』という意味でも多用される語です)なわけですが、図らずも、ここだけは前回のキムテツ先生の教えのおかげでかなりナチュラルな表現ができているようで、名詞「speaker」を使って、こんな感じで間接的に「英語は難しい」ということを伝える場面が結構ある感じですね。


結局「自分のことだから主語は私で…」という考えは、意外とより自然な英語を使うためには大変重要で有益な第一歩かもしれず、基本的に英語は「オレがオレが・私が私が」なクソ主張が激しい言語・文化といえますし(笑)、その明るいウザさに一歩近付くべく(笑)、何か自分のことを語りたい際はなるべく主語を「I」にした上で、こんな感じの名詞構文での言い換えを上手いこと活用できるようになると、表現の幅が広がるかもしれませんね。

(とはいえ、「今はたまたま主語が『私』だったけどさ、日本語で考えるとそうじゃない文の場合の方が圧倒的に多いから、やっぱり主語を意識するのはかなり大変じゃない?」と思われるかもしれず、それは実際その通りなんですけどね。

 いわば、「何でも努めて『I』で表現してみる癖」をつけるのがいいともいえる感じでしょうか。)


あとそれから、「いや、『英語を話すのは難しい』と、その『I'm a poor English speaker.』って、大分ニュアンス違くない?俺が言いたいのは、微妙にそういうことじゃないんやが…」みたいな気持ちは、この例に限らず他のあらゆる英訳・英作文の模範表現とかでも感じるかもしれないことに思うんですけど、これはやっぱり、異なる言語に変換する際の限界とでもいいますか、どうしてもニュアンスが完全に一致しないのはしょうがない点だといえてしまうのではなかろうか…と思えます。

まさしく前回引用していた話にもいくつか例が出ていましたが、「日本語ではこう言うから、全く同じニュアンスになっている(ように見える)この表現を、俺は使いたい」というこだわりは、得てして失敗することの方が多いんですよね。


直訳がドンピシャで英語でもナチュラルで全く同じニュアンスのフレーズになってることは少ないように思えるため、

「英語での自然さとか知らね。俺の目にはこれが俺の言いたいことに一番近いように見えるから、こう言うぜ」

というのと、

「いや、それ俺の言いたいことと微妙に違うんだが…。本当のニュアンスを伝えられない気持ち悪さがビンビンにあるけどしゃあない、こういう言い方のほうがよぉ聞くから、これ使ったるわ」

というのとを比べると、「相手に『自分の本当に伝えたかったこと』が伝わる度」は、結局ほぼ間違いなく後者の方が上になるように思えてなりません。


要は、言語のみならず、所変われば考え方も文化も違うのは当然ですから、何かを伝える際に何かをちょっと犠牲にしなくてはいけないのは仕方のないことであり、「自分の目から見て納得できる、自国語へのこだわり」よりも「多少の差異には目を瞑った、相手国語への擦り寄り」の方が大切……と一概には言いきれないまでも、後者を重視した方がトータルで見てより良いコミュニケーションになることが多い気がする……というのは、直感的にも(=言語以外の話でも)何となく「まぁ、そうだろうね」と思える点ではないでしょうか。

(とはいえ、これも言うほど簡単なことではなく、そもそもその擦り寄るための知識というものがないと擦り寄りようもないわけですし、僕なんぞは自国語へのこだわりが強い方ですから、色々偉そうに言っててしばしば「いや、日本語ではこう言うから…」的な表現を気にせず多用してますけどね(笑))


というわけで、自戒の念も込めて、英語で色々、特に自分自身のことを語る際は、なるべく主語を「I」にして会話を行うことを心がけると、コミュニケーションが意外と想像以上にスムーズになり、かつ、自分の英語力アップにもつながるのではないでしょうか、というお話でした。

(最後ご質問の点について繰り返すと、「英語を話すのは難しい」と言いたい場合、当然上の「It's difficult...」の文が第一候補として使えるし、それで全く不自然ではない&一切何の問題もないんですけど、僕はほぼ同じことを伝える意図で「I'm a poor English speaker.」的なことを言うことも結構よくあるかな、という感じですね。

 あぁでもこれは、「日本語は難しい」の場合は使えませんね。流石に、ネイティブ日本人が「I'm a poor Japanese speaker.」と言うと、アイデンティティの崩壊というか「じゃあお前は普段何を話してんだよ(笑)」ってなっちゃいますしね(笑)。

 でもこの場合も、主語をIにすることで自分の意見として、「Yeah, I believe learning Japanese from scratch is very hard...!」などと、日本語学習者に「分かるぜ、ゼロから日本語を学ぶのは難しいだろうね」という感じで、同情・理解をより強く示してあげるべく、文を「I」で始めるのもいい気がしますね。

…ってまぁ、これはIが主語というより、単に「私は思う」の句を挿入しただけで、実態は単にIt's hard to learn...と同じ文でしかないわけですが。
 言うまでもなく、上記例文は「Yeah, I believe it's very hard to learn Japanese from scratch...!」でも問題ないというか、むしろそっちの方が自然かもしれませんけれども、やはり「it's...to...」構文より、日本語構造により近い文の方がとっさの時には言いやすい気がしちゃいます。

※なお、「To learn Japanese is...」は大変不自然ですが(というか聞いたことがない)、それと比べれば「Learning Japanese is...」はおかしさがない気がするという、「何でや!」という話でもあるものの、まぁ理由はよく分からないけれど経験的にも英語ではそうなっているという感じです。
 前回の引用部でも紹介されていた、「日本語で『彼は速い走者だ』は不自然で、普通は『彼は足が速い』と言う」というのと全く同じで、まさに誰でも納得できるその例のように、英語の方も「理由は知らんけど実際不自然なんだからしょうがないじゃん」としか言えない話ですね(笑))

(さらにちなみに、上の例文ではあえて「believe」を使いましたが、これも確かマーク・ピーターセンさんの著作で学んだ話ですけど、「『believe』というと日本人は盲目的・自動的に『信じる』と訳すが、これはそうじゃない場面、単に『think』よりちょっと強く『思う』程度で、『思う』と訳すのが最適である場面の方が圧倒的に多いと思う。非常にカジュアルに使われる単語であるので、『信じる』というのはどう考えても重すぎる訳であることの方が多い」……というのは、これまたまさにその通りだと思います。

 ちょうど上の「自国語にこだわりすぎるのは良くない」の例として書こうと思っていた話ですが、日本語学習者の方も「believe=信じる」の図式は信じてしまいがちで、例えば、同じ部活に所属している留学生が、試合前の帰り道でふと、

「明日の試合は、私たちが勝てると信じますか?」

…みたいな日本語を言ったとしましょう。

 これ、めちゃくちゃ非日本語話者の発言に思えるわけですけど、これこそがズバリ、「自国語に引っ張られて言ってしまった結果、原語では不自然に聞こえてしまう」例の、日本語版に近い形(まぁこの場合は、「believe=信じる」という直訳のせいで不自然になってるだけかもしれないので、その例とはちょっと違うかもしれませんが)じゃないかな、と思えます。

…まぁちょっと違う気もするものの(笑)、「俺は日本語でこう言いたいから、英語にすると不自然なのかもしらんけど、一番近い気がするこの直訳文で伝えるよ」と強引に自国語にこだわって英訳しちゃった場合、同じような不自然さを相手に感じられてしまうことが多いように思う、ってことですね。)

 

いやぁ~、サクッと終わって次のコメントに行く予定でしたが、意外と長くなりましたね…!

というか、上で書いていた「I'm a poor English speaker.」に関して、念のためこの表現について調べていたら、直接は関係ないものの非常に面白い記事がヒットしてきたので、それの紹介もさせてもらおうかな…とも思ったのですが、既に結構いい分量になっていることもあり、記事水増しを兼ねて、そちらはまた次回触れてみようかと思います。

補足の補足の補足という感じになりそうですが、まぁネタも常に不足している状況ですし、派生ネタがあったらそっちに寄り道する感じで、のんびり進めさせてもらおうかな、という所ですね。


アイキャッチ画像、今回はネタもないので、タイトルから連想して「オレオレ詐欺」のイラストにでもしようかなと思いましたけどそれも微妙だったので流石に自重して(笑)、「オレ」といえばこれ、そう、「カフェオレ」ですね!(笑)

ちなみに「カフェ・オ・レ」はフランス語ですが、この「café au lait」、意味をご存知の方は案外少ないのではないかと思います。

僕は(以前チラッと書きましたが)大学で選択した第二外国語はフランス語で、これも、これらの語を習った際「あぁなるほど!」と思えた話なんですけど、「カフェ」はほぼそのままなのでともかく、「au」というのは、前置詞「à」(inやtoなどに近い語ですが、もうちょい色々な意味も含む単語でしょうか)が、男性型単数定冠詞「le(ル)」と組み合わさったときに変化してできる語で、フランス語では冠詞に性や単複があってとにかくややこしいですけど(対応する女性冠詞は「la(ラ)」、複数冠詞は「les(レ)」)、幸いにしてこれは結局英語でいう所の「the」に過ぎないということですね(笑)。

(なので、フランス語は、英語で例えて言えば、「at the」が「ah」みたいな一語に短縮する形になっている…ということなので、慣れるまではかなり面倒くさく感じるかもしれません。)

そして「lait(レ)」が「牛乳」なので、なんとカフェオレっちゅうのは単に「coffee with the milk」って言ってるだけだったんですね(笑)。

なので「いちごオレ」や「バナナ・オ・レ」とかは、普通に「いちごwithミルク」「バナナwithミルク」なだけなんですけど、何となくやっぱりフランス語読みの方が美味しそうではあるかもしれません(笑)。

最後本題とは全く関係ない、どうでもいい豆知識でした。

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