前回は天下のクリーブランド・クリニックによる黄疸の解説記事を見ていましたが、何気にそれは「成人の黄疸」であり、解説記事の最後にも「黄疸は新生児にもみられます」という記述に加え、リンクで「新生児の黄疸」記事(↓)が貼ってあるのも目に付いていました。
何となく黄疸といえば乳幼児にありがちな症状にも思えますし、せっかくなので世界一信頼できるといっても過言ではないクリ・クリがどんな話をまとめてくれているのか、将来赤ちゃんを迎えられた時に備えて読んでおこうかなと思います。
(無駄な備えになりそうだという点は置いておいて(笑)…)
新生児の黄疸(Jaundice in Newborns)
黄疸とは、多くの新生児の皮膚に見られる黄色の症状です。黄疸は、赤ちゃんの血液中にビリルビンが蓄積することによって引き起こされます。これは、ビリルビンを取り除く肝臓が十分に発達していないために起こるものです。黄疸は非常に一般的なものであり、通常は自然に治ります。時折、光線療法が必要な赤ちゃんもいらっしゃいます。
概要
新生児の黄疸とは何?
新生児の黄疸とは、乳児の皮膚が黄色くなることです。黄疸は、ビリルビン(「bil-ih-ROO-bin(ビル・イー・ルー・ビン)」と発音します)が赤ちゃんの血液中に蓄積することで起こります。高ビリルビン血症(Hyperbilirubinemia)というのが、この状態を表す医学用語です。
ビリルビンは、赤血球が壊れる際に体から生み出される黄色い物質です。妊娠中は、お母さんの肝臓が赤ちゃんのためにビリルビンを除去しています。しかし、出産後は赤ちゃんの肝臓がビリルビンを除去し始めなければなりません。赤ちゃんの肝臓が十分に発達していない場合、ビリルビンを取り除くことができないこともあり得ます。ビリルビンが過剰に蓄積することで、赤ちゃんの皮膚が黄色く見えることがあり得るわけです。
乳児の黄疸はよく見られます。通常は深刻なものではなく、2週間程度で治まります。しかし、かかりつけの医療機関で黄疸の有無をチェックすることは大切です。黄疸が酷い場合、放置すると脳に障害を起こすことがあり得ます。
新生児の黄疸の、異なるタイプとはどんなもの?
新生児の黄疸にはいくつかの異なるタイプがあります。
生理的黄疸
新生児の黄疸で最も多いのは生理的黄疸です。このタイプの黄疸は正常です。生理的黄疸は、ほとんどの新生児が生後2~3日目までに発症します。赤ちゃんの肝臓が発達した後は、余分なビリルビンが排出されるようになります。生理的黄疸は通常、深刻なものではなく、2週間以内に自然に治ります。
母乳哺育黄疸
黄疸は、粉ミルクで育てられている赤ちゃんよりも、母乳で育てられている赤ちゃんに多くみられます。母乳哺育黄疸は、赤ちゃんの生後1週間目によく発症するものです。赤ちゃんが母乳を十分に飲めない際に起こります。授乳がうまくいかなかったり、母乳がまだ出てこないために起こることもあり得ます。母乳哺育黄疸は、治まるまでに時間がかかることがあるかもしれません。
母乳性黄疸
母乳性黄疸は、母乳哺育黄疸とは異なります。母乳に含まれる物質が、赤ちゃんの肝臓のビリルビンを分解する方法に影響を与えることがあり得ます。これがビリルビンの蓄積の原因となり得るわけです。母乳性黄疸は生後1週間以降に現れる可能性があり、消えるまでに1ヵ月以上かかることがあるかもしれません。
その他の黄疸は、赤ちゃんに、これとは関係のない薬による症状がある場合に起こることがあり得るものです。
新生児の黄疸はどのくらい一般的なの?
新生児の黄疸は非常によく見られる症状です。満期産の赤ちゃんの60%ほどが、生後1週間の頃に黄疸を発症します。未熟児の80%程度が、生後1週間の頃に黄疸を発症します。
新生児の黄疸の徴候と症状は何?
黄疸の主な徴候は、赤ちゃんの皮膚が黄色くなることです。窓の前のような、自然光の下で最もよく見ることができます。黄疸は通常、まず赤ちゃんの顔に現れます。白目や舌の下が黄色く見えることもあるかもしれません。ビリルビンの濃度が高くなるにつれて、この黄色みは赤ちゃんの胸、おなか(腹部)、手足に移動することがあり得ます。赤ちゃんの肌が暗い色だと、黄疸が分かりにくいかもしれません。しかしそれでも、目の色や舌の下の色で黄疸があるかどうかを見分けることは可能なはずです。
症状と原因
新生児の黄疸の原因は何?
黄疸は、赤ちゃんの血液中のビリルビンが多すぎると起こります。ビリルビンは、古い赤血球を分解する際に体内で作られる化学物質です。通常、肝臓が血液からビリルビンをろ過しています。うんちと一緒に体から排出されます。
赤ちゃんの肝臓がビリルビンを取り除くのに十分発達していない場合、ビリルビンが蓄積し始めることがあります。このビリルビンの蓄積によって、赤ちゃんの肌が黄色く見えるようになるわけです。ほとんどの赤ちゃんは、生後数日で黄疸を発症します。これは、赤ちゃんの肝臓が発達し、ビリルビンを除去できるようになるまでに数日かかるからです。
重度の黄疸は、以下のような場合に起こる可能性があります:
- 血液感染症(敗血症)
- 母親と血液型が異なる
- 難産によるあざ
- 赤血球が多すぎる
- 酸素濃度が低い(低酸素症)
- 胆道閉鎖症といった、肝臓疾患
健康な新生児と黄疸のある新生児との比較
診断と検査
新生児の黄疸はどうやって診断されるの?
赤ちゃんの担当医が、お母さんがまだ病院にいる内に、黄疸の徴候がないかチェックします。赤ちゃんのビリルビンレベルは、生後3~5日で最も高くなります。この期間内に医療機関で再検査を受けることが大切です。
担当医が、赤ちゃんの頭に検査棒を当てて、ビリルビン値を推定することが可能です。この検査で、経皮ビリルビン(TcB)レベルが分かります。この値が高い場合、担当医は結果を確認するために、血液検査を指示することでしょう。赤ちゃんのかかとを刺して、少量の血液を採取します。血液検査では、血清総ビリルビン(TSB)レベルが示されます。
アメリカ小児科学会は、赤ちゃんに治療が必要かどうかを判断するために、新生児黄疸レベル表を使用しています。この表は、赤ちゃんの血清総ビリルビン値と年齢に基づいています。
血清総ビリルビン(TSB)レベル 新生児の年齢 10ミリグラム超 生後24時間未満 15ミリグラム超 生後24~48時間 18ミリグラム超 生後48~72時間 20ミリグラム超 生後72時間より後
管理と治療
新生児の黄疸はどう治療されるの?
新生児の黄疸の治療は通常、必要ありません。軽度の黄疸であれば、赤ちゃんの肝臓が成長するにつれて自然に治るのが一般的です。これには1~2週間かかり得ます。赤ちゃんに頻繁に(1日に10~12回)ミルクを与えることで、うんち(排便)を促すことが可能です。これは、赤ちゃんが体内の余分なビリルビンを排出する手助けとなるものです。
もしも赤ちゃんのビリルビン値が高かったり、上昇し続けたりする場合は、担当医が光線療法を勧めてくることがあるかもしれません。光線療法では、赤ちゃんは服を脱がされ、特別な青いライトの下に置かれます。おむつと目を保護するマスクだけを着用します。光線療法は、赤ちゃんの肝臓が過剰なビリルビンを取り除く手助けをするものです。光は赤ちゃんに害を与えません。光線療法は1~2日で終了します。赤ちゃんのビリルビン濃度がそれほど高くなければ、自宅で光線療法を行うことも可能でしょう。
稀なケースとして、光線療法が効かない場合、担当医が交換輸血を勧めることがあるかもしれません。交換輸血では、赤ちゃんの血液の一部が新鮮な、献血された血液と交換されます。
予防
新生児の黄疸はどう予防できるの?
新生児の黄疸は正常で、通常は予防できません。赤ちゃんに頻繁に授乳することで、黄疸が酷くなるリスクを減らすことは可能です。頻繁に授乳することで規則正しい腸運動が促され、これによってビリルビンが排出されやすくなるのです。
- 母乳で育てられている赤ちゃん: 生後1週間は、1日に8~12回母乳を与える必要があります。
- 粉ミルクで育てられている赤ちゃん: 生後1週間は、2~3時間おきに1~2オンス(30~60ミリリットル)のミルクを与える必要があります。24時間で、少なくとも8回は与えるようにしましょう。
また、退院前に、赤ちゃんのビリルビン値を担当医に必ずチェックしてもらってください。生後1週間以内に再診を予約し、ビリルビン値を再度チェックしてもらいましょう。
見通し/予後
新生児の黄疸はどのくらい続くの?
新生児の黄疸は正常です。通常、生後2~3日目までに発症します。粉ミルクで育てられた赤ちゃんでは、黄疸は通常2週間以内に自然に治ります。母乳で育てられた赤ちゃんでは、黄疸は1ヶ月以上続くこともあり得ます。
新生児の黄疸の見通しは?
新生児の黄疸は一般的です。ほとんどの赤ちゃんの黄疸は、治療しなくても1~2週間でよくなります。しかし、赤ちゃんのビリルビン値をチェックしておくことは大切です。ビリルビン値が高い場合、すぐに治療しないと深刻な健康状態になることがあり得ます。そういった状態には、脳性麻痺、難聴、および脳障害の一種である核黄疸が含まれます。
受け入れる
赤ちゃんを、いつ医療機関に受診させるべき?
退院後すぐに医療機関を受診すべきです。赤ちゃんのビリルビンレベルは、生後3~5日で最も高くなります。受診のタイミングは、退院時の赤ちゃんの日齢、退院時のビリルビンレベル、およびその他の要因によって異なります。
いつ医療機関に連絡すべき?
黄疸が強くなったり、2週間以上続いたりした場合は、赤ちゃんのかかりつけの医療機関に連絡してください。酷い黄疸の症状には、以下が含まれ得ます:
- 赤ちゃんの皮膚が、鮮やかな黄色やオレンジ色に変色する
- 授乳のために起きるのも困難など、赤ちゃんがとても眠そう
- 赤ちゃんがとても騒ぐ
- 授乳が上手くできない、または哺乳瓶を上手に吸えない
- おむつが十分に濡れていない、かつ/または汚れている
いつERに行くべき?
赤ちゃんに以下のような症状がある場合は、911に電話するか、最寄りの救急治療室に行ってください:
- 泣き声が高い
- 熱がある
- 体が弓なりになっている(頭や首、またはかかとが後ろに反り、体が前に出ている)
- 体がこわばっている、ぐにゃっとしている、またはぐったりしている
赤ちゃんの担当医にはどんな質問をすべき?
新生児の黄疸は不安になってしまうものです。入院中や退院後に赤ちゃんに黄疸が出た場合、疑問に思うのは普通のことです。担当医に尋ねておきたい一般的な質問には、以下が含まれます:
- 赤ちゃんに黄疸があるかどうかは、どうすればわかりますか?
- 黄疸によってどのような合併症が起こる可能性がありますか?
- 私の赤ちゃんは、黄疸の治療が必要ですか?
- 自宅で赤ちゃんの黄疸を治療できますか?
- 光線療法は赤ちゃんに害を与えますか?
- 黄疸はどのくらいで治りますか?
- 経過観察のためにいつ再来院すればよいですか?
クリーブランド・クリニックからのメモ
赤ちゃんが黄色く見えると少し心配になるかもしれませんが、黄疸は新生児にとてもよく見られる症状です。退院前と生後5日以内に再度、担当医が赤ちゃんのビリルビンレベルをチェックする必要があります。黄疸は通常重篤なものではありませんが、適切な治療を行わないと危険な場合もあり得ます。新生児の黄疸が改善しない、あるいは悪化しているようであれば、直ちに医療機関に連絡してください。ビリルビン検査を再度行い、赤ちゃんが健康な状態に近づいているかどうかを確認してくれます。
めちゃくちゃタメになりました。
ほとんどの場合、生後数日レベルの話ということで、むしろ「生の喜びで、黄色く輝いている!」と思えるぐらいの、貴重な状態かもしれませんね(笑)。
赤ちゃんに恵まれた暁には、黄疸を見ても慌てすぎないようにしたい限りです。
